彼の名前は八幡 洋介。
冴えない印象の強い高校生。
感情の変化が乏しい為、一人称は僕だが無表情の為クール系と思われている。
その彼はいつも
天気は土砂降りだが…
「…」
学校へ行く道を淡々と歩く彼だが、実は雨が嫌いなのだ。
その為かなり機嫌が悪い。そして足取りも重い。
彼の住む方向には友達(と言えるかは分からない)が殆ど居らず、何時も一人で通学をしている。
家から数十分歩いた。後ろから笑い声と自転車の音が聞こえた。
後ろを振り返ると十数メートル先に違う学校の制服を着た男子生徒と思わしき二人が傘を差しながら並走してこちらへと来た。
横を見ているせいか、こちらには気づいてはいない。
思わず轢かれそうになった為、避ける。普通なら彼らは謝る側だろう。だが彼らは…
「あぶねぇぞ!!!気を付けろ!!!」
と、こちらを向いて言った。
つい、反論しようと口を開いたが、次の瞬間言葉を飲み込んでしまう。
彼らの前にはまだ小学校なのだろう。幼い少女がこちらを、正確には自転車に乗っている男子生徒を見て固まっていた。
自分の様に回避出来るならまだ良いだろう。だが少女は突然の事に驚いてフリーズしてしまっていた。
轢かれるのは必然。
彼は頭の中が真っ白となった。
いつもならこんな事はない。
なら何故?
それは…
轢かれて飛び出したのが車道で、そこへ大型車両が突っ込んで来ていたからである。
そこからは体が一人でに動いた。
荷物と傘を投げ捨て、全力で地面を蹴った。
車と少女の距離は数十メートル位だろうか
少女を抱きかかえる。
車が自分たちの存在に気付きブレーキをかけた。
間に合わないと気付き、少女を歩道へと投げる。
スリップを続ける車両がこちらへと突っ込んでくる。
自分の退避が間に合わないと知ると彼は目を瞑った。
車両が目と鼻の先に居るのが分かる。
彼が思い浮かべるのは今までの人生。走馬灯と言うやつだ。
(家族に…感謝も言えずに僕は逝くのか…)
彼の家族は血縁関係は殆どないと言えるだろう。
彼は養子だったからだ。
体に響き渡る衝撃。その時、少女が歩道で倒れて居たのが見えた。
詳細は分からないが、恐らく生きているだろう。
少女が大丈夫なのを見れたからだろうか、洋介は少し微笑んでいた。
地面に叩き付けられたのだろう。彼の意識はブラックアウトした―――
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とある裏路地、眼帯を付けた赤髪の女性が惹かれる様に立ち寄った。
そして彼女は彼を見つけた。
見た事の無い服を着て、びしょ濡れで倒れて居る彼を。
食い倒れにしてはやせ細った感じはない。服には見た事の無い文字が書かれている。
そして、近頃晴天が続き、雨が降っていないにも関わらず濡れている。
不審な点が多かったが、何故か彼に惹かれる。
その何かは分からないが、神としての性なのか、気になってしょうがない様子である。
とにかく拾って様子を見よう。そう思い、彼女は自分のホームへと連れていく決心をした。
彼女の名は、ヘファイストス。主に鍛冶を専門でやってるヘファイストス・ファミリアの主神である。
これが、神ヘファイストスと洋介の出会いだった。
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彼が起きたのは拾われてから一日が経った頃だ。
「…眠い…」
寝起きが悪い訳では無いが、車に轢かれた等という経験をすれば精神的に疲れるだろう。
だが、自分がそんな事を言ってられる立場ではないと言う事を彼は気付き、素早く起き上がる。
自分の体の状態を確認する。
骨折では済まないだろうとは覚悟していた。死ぬ事も視野に入れていた。
それなのに、彼にはギブス所か手術痕すらなかったのである。
何時も冷静な彼もこの事には驚いていた。
「どういう事だろう…」
そう呟いた。
次に彼は自分が居る場所を確認する。
少なくとも病院ではないと言う事は分かる。
少しの間きょろきょろと部屋を見回す。
すると気配に気づいたのか赤髪の眼帯を付けた男装の麗人が来た。
「あら、起きたのね。大丈夫?」
「あ…大丈夫です。」
表面上は友好的に振る舞う(だが無表情である)が、内心は警戒する。
知り合いにこんな人物は居ない。そして、轢かれた直後の事を考えると無理も無いだろう。
後もう一つ理由がある。
まさか脳みそを弄られたのか?と彼は思ったがそんな事はあり得ない。と、その考えを捨てる
だが、警戒は解かず、目の前に居る女性を見る。
「…随分警戒しているわね。まあいいわ。自己紹介しましょう。」
溜息を吐いた彼女は彼を見ながらそう言った。
「私はヘファイストス。ヘファイストス・ファミリアの主神よ。」
「僕は八幡 洋介です。」
外国人か。と彼は思ったが、その名前を聞いて彼は引っかかりを覚えた。
聞いた事のある名前なのだ。何故か思い出せないで居た。そしてシュシンと言う言葉。頭から当てはまる言葉を探す。
『主審』と『主神』。この二つが出たが、主審はこの場合当てはまらないと思った。
主神…そしてヘファイストス…そこでやっと思い出した。
ヘファイストスは神の名であると。友達が言っていた可哀想な神様。妻を寝取られたりしたらしい。
「炎と鍛冶を司る神…」
「ええ、そうよ。」
胸を張って言うヘファイストス。
だが、彼には疑問で満ち溢れていた。
確かヘファイストスは男神。つまり男の筈なのだ。
だが目の前にいるヘファイストスは女性。
彼の知識と噛み合わないのだ。
「ヘファイストスさんって、女性ですよね?」
彼は好奇心に負け、そう問いかけた。
「ええ。そうだけどどうしたの?」
「いや、まあ、自分の知識と違う点があったので…」
彼女は態々答えてくれたが、訝し気な目で見て来た。
「あら。どんな所かしら?」
「いえ、僕が知っているヘファイストスと言う神は男神なので…」
彼はそう答えた。素直に言ってしまうのは彼が嘘が苦手で、ついストレートに言ってしまうからである。
「え?そうなの?でも、私は女よ。どうしてそうなったのかしら…」
それは彼も聞きたいと思っていた。そもそも、車に撥ねられ気付いたらベットの上。そして神様が目の前に居る。
妙に冷静なのは驚きすぎて逆に一周回って冷静になってしまったのだ。
ちょっとばかりではなく、かなり頭がこんがらがっているのだ。
「
一つの可能性を見出した。
良く小説とかである異世界転生物…それを彼は体験しているのではないだろうかと考えた。
「質問良いでしょうか。」
「良いけど…どうしたの?」
彼は問う。己の考えを検証する為に
「ここは何て言う都市ですか?」
「ここはオラリオだけど?」
日本には無い地名…
「アメリカを知っていますか?」
「いいえ。知らないわね。」
知らない人は居ない国をあげても知らない…
「最後に一つ…地球は知っていますか?」
「知らないわ。」
ビンゴ!!!
彼は心の中で叫んだ。
地球をしらないと言う事はここは並行世界で間違いなさそうだ。
「どうしたの?納得した様な顔をして。」
ヘファイストスは洋介の顔を覗いてそういった。
「いえ、疑問が解けたので…」
「その疑問って何かしら?」
「えっと…」
彼は言い留まる。なんて説明すればいいか分からないからだ。
そりゃそうだろう。「自分は他の世界から来た様です」なんて言ったらいくら神でも「はぁ?」となるだろう。
そう説明すれば良いか考える。
いくら頭を捻っても出てこない。言い負かすのは彼は得意だ。何故なら正論をブチかませば誰も反論出来ない。出来たとしても負け犬の遠吠えだろう。
だが、説明するのはどうしても苦手だ。いくら頑張っても上手く説明出来ないのだ。
俗に言う「説明が苦手な人は自分を表すのが苦手」と言う奴だ。
それからは頑張って説明した。
「…にわかには信じがたいわね。でも、嘘はついていない様だし…」
「ええ…自分で言っておいて支離滅裂なのは重々承知していますよ…」
「そうね…それで、住む場所はどうするの?」
ヘファイストスが言った言葉に首を傾げる。
「だって、異世界から来たなら住む場所無いでしょ?それに一文無し…宿を借りようにもお金ないといけないし…」
正直考えていなかった問題が出てきた。どうしようかうんうん唸っているとヘファイストスから提案された。
「どうせなら私のファミリアに来ない?」
と。
まあ、洋介からするとありがたい申し出だった。
この世界の事は知らない。まして、お金すらも持っていない。
下手すれば一日で死んでしまう状態だ。
洋介は喜んでその提案を飲んだ。
「一人居候が増えた程度何ともないわ。」
そうヘファイストスは言った。
おまけ
ヘファ「そう言えば、名前は東の国の名前に似てるけど、別世界から来たって言う事は多分タケミカズチも知らないわよね。」
洋介「...日本の神ですね。」
ヘファ「ニホンって何処か知らないけど、東の国の神ね。かなり眷族思いで全員の名前を知ってるそうよ。」
洋介「...そう言えば、地上に居る神って娯楽を求めて来たのですよね...」
ヘファ「そうね。」
洋介「それだと、別世界の存在の僕ってどうなりますか?」
ヘファ「...あっ...」
洋介「それで、その...東の国から来たって言い訳してもタケミカズチ様が僕の存在を知らないのなら芋ずる式でバレますよね...」
ヘファ「そうね...」
洋介「...」
ヘファ「...」
洋介&ヘファ「バレない様に名前変えましょう。」
おまけ2
椿「主神よ。探したぞ。」
ヘファ「あ、丁度いい所に。椿、今日からここで面倒見る洋介よ。」
洋介「どうも。洋介です。」
椿「ふむ。椿・コルブランドだ。よろしく頼む。」
ヘファ「それでね。かくかくしかじかで」
椿「まるまるうまうまとな。ふむ。手前も手伝おう。」
ヘファ「ありがとう。いい案あるかしら?」
椿「ふむ...目と髪が黒か...鴉の羽の色だから、クロウはどうだ?」
ヘファ「いいわね。名前はクロウで、鴉繋がりで苗字がレイヴンでどうかしら?」
洋介「いいですよ。」
ヘファ「じゃあ、よろしくね。クロウ」
洋介「よろしくお願いします。」