「おはようございます。」
ベル・クラネルはかなり嬉しがっていた。
あの後、憧れであるクロウに少しでも近付きたいが為にダンジョンへ潜った。
そしてステータス更新の時にステータスがかなり上昇していた事によりホクホク顔である。
「申し訳ありません、お客様。当店はまだ準備中です。時間を改めてお越しになっていただけないでしょうか。」
「まだミャー達のお店はやってニャいのにゃ!」
店内でテーブルにクロスを掛けていた2人の店員が僕に気づいて対応して来た。
「すみません。シルさんにちょっと会いたくて来たのですが...」
僕は昨日、シルさんに「明日のお昼にも来てくれますか?」と聞かれていたのだが、翌々考えてみたらダンジョンに潜る為昼には行けない事に気付いた。
それを、謝りに来たのだ。
「あぁ!!!あんたはシルが連れてきた白髪にゃ!!?今シルを連れて来るから待ってるニャ!!!」
そう言い、奥に走っていったキャットピープルの店員を見届けた。
少し経つとシルさんがやってきた。
「ベルさん!!!来てくれたんですね!!!」
「はい。ちょっとお話がありまして...」
僕は事情を話した。
彼女は残念そうにしてたが、奥に帰って、また戻って来ると大きめなバスケットを持ってきた。
彼女は賄い料理を渡してきたのだ。
当然断りはしたのだが、どうしてもと言われたので貰い、外に出ようとする。
「...坊主」
ミアさんに止められる。
「何ですか?」
「冒険者なんて、カッコつけるだけ無駄な職業さ。最初の内は生きる事だけに必死になってれば良い。背伸びしてみたって碌な事は起きないんだからね。」
あの時ミアさんもカウンターに居たから僕の事情も見通しているのか?
「それに、目的の為に淡々と努力した方が達成感も強いってもんよ。」
「...」
「ただね。目的や目標の為に頑張り過ぎて自分を見失った馬鹿が身近に居るんだ。そいつ見たいにならない様に、たまにゃ息抜きは大事だよ。」
「大丈夫です。きっと。ここもありますし、ヘスティア様も居ますから...」
ミアさんはゆっくり微笑んだ。
「そうかい。なら大丈夫だね。どうもあんたはあいつ見たいに危なっかしい場所があるからねぇ。」
ミアさんが笑う。ついつい釣られてわらってしまう。
「では、また今度!!!」
「じゃあね。また来なさい。」
僕はダンジョンに向かって走る。
「クロウがここに来た時と同じ感じだね...クロウと同じ様に道を見失わないと良いけどね...」
ミアさんがそんな事を言ってる事も知らずに...
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「む!!?給仕君踏み台を持って来てくれ、早く!」
「はっはい!!!」
神の宴で料理をタッパーに詰め込んでる1人の子供...彼女はヘスティアでベルの主神である。
見た目は子供だが、胸は大きい。
かなり目立っている。
「何やってんのよ...あんた...」
「むぐ?むっ...」
彼女は口に詰め込んだ料理を飲み込んだ。
「ヘファイストス!」
「ええ。久しぶりヘスティア。もっとマシな姿を見せてくれたら私はもっと嬉しかったんだけど...」
ヘスティアはヘファイストスに駆け寄った。
「いやぁ良かった。やっぱり来たんだね。ここに来て正解だったよ。」
「何よ。言っとくけどお金はもう一ヴァリスも貸さないからね。」
「し、失敬な!」
因みに彼、クロウが来た頃にはヘスティアはヘファイストスの元で厄介になっていた。
ヘスティアがヘファイストスに文句を言い、ヘファイストスがヘスティアに辛烈なカウンターを食らわせると言う押し問答をしていると、コツコツ、と靴を鳴らす楚々とした音がヘファイストスの後ろから近付いた。
「ふふ、相変わらず仲が良いのね」
「え......ふ、フレイヤっ?」
ヘスティアの前に現れたのは容姿の優れた神々の中で群を抜いた容姿の女性。
「な、なんで君がここに...」
「ああ、すぐそこで会ったのよ。久しぶりーって話していたらじゃあ一緒に会場まわりましょうかって流れに」
「か...軽いよ...ヘファイストス...」
「お邪魔だったかしら?ヘスティア」
「そんな事は無いけど...」
常に微笑を湛えてる美神が問いかける。
ヘスティアは口を曲げながら言った。
「僕は君の事苦手なんだ」
「うふふ。貴女のそう言う所、好きよ?」
「止めてくれよ」
ヘスティアは少し嫌そうに手を振った。
他の神達から頭一つ飛び抜けた容姿を持つフレイヤは、『美の神』と呼ばれる神々の中でも特に美しい存在なのだ。
基本的に移り気な神々が涎を垂らして夢中になってしまう程の力____『美』が、彼女にはあった。
下界の者が1目見ればその上瞬間から骨の髄から虜になってしまうだろう...例外を除けば
「おーい!!!ファーイたーん、フレイヤー、ドチビー!!!」
「...もっとも、君なんかよりずっっと大ッ嫌いな奴が僕にはいるんだけどねっ」
「あら、それは穏やかじゃ無いわね。」
品よく微笑むフレイヤから視線を外し、大きく手を振って寄ってくる女神をヘスティアは見た。
朱色の神と、朱色の目。黒いドレスを着こなしたロキが居た。
「あっ、ロキ」
「何しに来たんだよ君は...!!!」
「なんや、理由がなきゃ来ちゃあかんのか?『 今日は宴じゃー!』って言うノリやろ?むしろ理由を探す方が無粋っちゅうもんや。はぁ、マジで空気よめてへんよ。このドチビ」
「...!!!...!!!」
「凄い顔になってるわよ。ヘスティア」
彼女より頭二つは高い神、ロキに馬鹿にされたヘスティアは顔を引き吊らせる
「本当に久し振りね、ろき。ヘスティアやフレイヤにも会えたし、今日は珍しい事続きだわ。」
「あー。たしかに久しぶりやなぁ...まあ、久しくないかおもここには居るんやけど」
糸目になりがち無い目を薄く開いて、フレイヤにニヤニヤと視線を送る。
フレイヤは、自分の美貌に骨抜きにされた給仕に貰ったワインを口にして、目を瞑って微笑を崩さない。
「何、貴方達何処かで会ったの?」
「先日にちょっと会ったのよ。と言っても、会話らしい会話はしてないのだけど」
「よく言うわ。話しかけんなっちゅうオーラ、全開で出しとった癖に」
「ふーん...あ、ロキ。貴方のファミリアの名声よく聞くわよ?うまくやってると見たいじゃない。」
「いやぁー、大成功してるファイたんにそんな事言われるなんて、うちも出世したなぁ〜。....でもま、確かに今の子達はちょっとうちの自慢なんや。」
ロキは照れくさそうに頭の後ろに手をやった。
つんとした態度だったヘスティアは、その会話を聞いて丁度いいとロキに話しかける。
「ねぇロキ。君のファミリアに所属しているヴァレン何某について聞きたいんだけど...」
「あっ、【剣姫】ね。私もちょっと聞きたかったのよ。あの子からは【剣姫】の印象しか聞いてなかったし」
「うぅん?ドチビがうちに願い事なんて、明日は溶岩の雨が降るんとちゃうか?ハルマゲドーン!ラグナロクー!見たいな感じで。って言うかヘファイストスはあいつからなんて聞いたんや?そっちも気になるわ。」
「かなり無口な子。必要最低限の事しか言わないし、無表情だけど感情豊かで面白い。って」
「かなり意を得てるから何とも言えんなぁ...恋愛感情は持っとるん?」
「いいえ?異性とは思ってるけど恋愛感情は持ってない見たいよ。」
ヘスティアは、馬鹿にされた事にイラつきながら、落ち着いて話を聞く。
「それで、その噂の【剣姫】は付き合ってる様な男や伴侶は居るのかい?」
「あほぅ、アイズはうちのお気に入りや。嫁には絶対出さんし、誰にもくれてやらん。うち以外があの子にちょっかい出してきたら、そいつは八つ裂きにする...と、言いたい所やけど、アイズたん次第やな」
「その様子だと、居るのかい?」
「片思いやけどね。うちだってあいつとだったらいいかなとは思ってるんやけど...」
ロキはヘファイストスを睨む。
ヘスティアは慌ててヘファイストスを見た。ヘファイストスは苦笑いをしていた。
「私も、あの子には恋愛とかして欲しいけど、どうにも興味が無さそうなのよね。それに鈍感だし...」
「あの子って誰だい?」
「ヘスティアも何回か御世話になってるわよ。クロウよクロウ。」
クロウの名が出た瞬間、ヘスティアは驚いた。
「まさか彼が?」
「ええ。噂ではアイズの想い人よ。」
「そうなのかい...」
ヘスティアは考え込む仕草をした。
その様子を見ていたロキだが、突如思い出した事を口に出した。
「そう言えば、あいつはどうしてるん?元気か?この前ベートをボコったんやけど、怪我はして無かったか?」
「ええ、少し落ち込んでるけどね...って言うかクロウは何してるのよ...」
「いんや?こっちのせいや。新人をディスってクロウを怒らせただけや。それにしても怖かったなぁ...何時も怒ってないから怒ってる所見てみたいと思ってたんやけどもう二度とみたくないわ。それで、なんで落ち込んでるん?」
「そう...あの子新人には甘いものね...でも、厳しいから甘く見ない方が良いわ。それで何で落ち込んでるかと言うと、新人に逃げられたかららしいわよ。『そんなに俺は怖いのか...?』って言ってたわ。」
そう言うとロキは大笑いをした。
「何や、そっちもかい。アイズたんも逃げられて落ち込んどったわ。」
そう言うとヘスティアは顔を上げた。
ベルから聞いていた黒い人はクロウと知ったのだ。
ヘスティアは前にベルから黒い人から助けて貰ったと言った。
そして、その後に来たアイズ・ヴァレンシュタインに話しかけられそうになって逃げてしまったと。
「やっぱり新人はベルくんか...」
そう呟いた彼女の呟きは喧騒の中に消えていった。
1度書いたのですが消えて萎えて書いてませんでした。
遅れてすみません。
変な所があったらご指示を。