「うっせぇんだよ、ド素人がっ!」
ボロボロになって吹き飛ぶ上条君の姿があった。
残念、上条は負けてしまった。
「何で上条さんがボロボロになってるんですかねぇ、不幸だぁー!」
「まぁまぁ落ち着けよ、まだ決まったことじゃないんだ」
「そうだよ上条くん、未来は変えられるんだ」
「私の頭がパーンになるとか聞いてないかも!」
というのは未来の話、そんなことは無かったぜ。
タイムテレビで俺達は未来を知った。
お風呂に行こうとした上条は通り魔に襲われるのだ。
それも飛んでもなくエロい通り魔に襲われるのだ。
性的な意味だったら良かったな、物理的な意味でだったけど。
そんな通り魔さんはインデックスちゃんの秘密を知ってたんだぜ。
十万三千冊の魔導書だか魔法書だかが全部記憶されてるせいで頭がパーンするって秘密だ。
「とうま、とうま!どうしよ、頭パーンだよ!」
「HAHAHA!んな訳あるかい、暗記パン食べまくっても平気だったぞ」
「可哀想に、騙されているんだ」
ほら見ろドラえもんのお墨付きだ。
科学的に頭がパーンするってことはない、そもそもどうやって数値化したんですかね?
記憶領域の何%が使われてますってUSBかよってんだ。
「よし、解決したな。じゃあ食べて忘れよう。ステーキ!」
「僕はドラ焼き」
「えっ?えっ、じゃあハンバーガーなんだよ」
グルメ掛けテーブルから各自が頼んだ物があらわれる。
しゅごい、進んだ科学は魔法だね。
人を笑顔にする、料理ってのは魔法だって分かんだね。
「待て待て待て!おかしいだろ、このタイミング!?っていうかインデックスも何食べてんだよ」
「でもおいしいよ?」
「いやいやいや、流石に馬鹿な上条さんでも質量保存の法則とか無から有は産み出せないって知ってますのよ!なにこれ、賢者の石で出来てんのか!?」
「何言ってんだよ。お前が触っても消えないだろ、紛れもない科学的な事象だよ」
「科学スゲェェェ!」
それに晩御飯の時間なんだ、ご飯をだったけど食べるのは仕方ないと思うんだよ。
ご飯を食べたら原因究明である。何でパーンするか、きっと何か魔術的なことがあるんだろ。
超能力があるなら魔術だってあり得るだろ。
「ドラえもん、頼んだ」
「しょうがないな、アンケーター」
「テッテレー!で、なんの道具」
「これをこうしてこうするんだ」
ドラえもんはインデックスちゃんの髪を引っ張り一本抜くと、アンケーターにぶち込む。
するとアンケーターが動きだし、ピコピコ鳴り出した。
「ふむふむ」
「先生、どうでしょうか」
「喉に原因不明の何かがあるね」
「ドラえもんスゲェェェ!」
はい、あーんとインデックスちゃんが喉を開けると奥に不思議な刻印があった。
しゅごい、まじゅつはあったんだ!夢だけど夢ではなかった。
人類の夢、魔法はあったのです。
「よし、俺にいい考えがある。ちょっと上条、インデックスちゃんにアレをぶっ込め」
「卑猥な表現は慎むべきだよ、阿頼耶くん」
「……あぁ、イマジンブレイカーか」
スピード解決だよ、上条くん。
上条はインデックスちゃんに許可を貰って、手の中に腕を突っ込んだ。
なんて背徳的な光景……
「警告、第三章第二節。Index-Lidrorum-ProhiBitorum―――禁書目録の『首輪』第一から第三までの全結界の貫通を確認」
「ファッ!?」
「再生準備……失敗。『首輪』の自己再生は不可能、現状、十万三千冊の『書庫』の保護の為、侵入者の撃退を優先します」
ガラスが割れるような音がしたと同時に俺達は吹き飛ばされるような圧力に包まれる。
その中心ではインデックスちゃんが目を真っ赤に光らせながら浮いていた。
まさか、アルファステイグマって奴か……ラノベの読みすぎか。
「おいおいどうなってんだよ、これ!お前のせいだからな、上条!」
「そんな事言ってる場合か、クソ!インデックス、絶対助けてやるからな!」
「侵入者個人に対して最も有効な魔術の組み合わせに成功しました。これより聖ジョージの聖域を発動、侵入者を迎撃します」
インデックスちゃんの頭の前に光が集まっていく。
すいません、魔術ってのは使えないって言ってませんでしたっけ、どうなってんだゴラァ!
「ドラえもん、どうにかしてくれ!」
「あわわわ、これでもない!あれでもない!」
「ここか!」
ドラえもんがポケットから色々な道具を出して右往左往していると、ドアが爆発するように吹っ飛んできた。
そのドアを吹っ飛ばした正体は、ステイルとか言う赤い変態と神裂とかいう痴女である。
「どうしてインデックスが!」
「うおぉぉぉぉぉぉ!」
「竜王の殺息!?」
「よし、上条来た!これで勝つる!」
上条の右腕が良く分からないビームを防ぐ、凄いこれで……消えないだと!?
「あった!ヒラリマント」
「知ってるけど、それって運動エネルギーしか跳ね返せないんじゃ!」
「阿頼耶くん、細かいことは試してから考えるんだ」
ドラえもんはそう言って上条の横からマントを翻した。
瞬間、ビームは上へと機動を変えて直角に曲がる。
やっぱりドラえもんは最高だぜ!
「今だ、上条!」
「インデックスゥゥゥゥ!」
チャンスを物にするべく上条が走っていく。
インデックスちゃんに向けて、右手の幻想殺し、イマジンブレイカーを駆使しようと走った。
パキンとガラスが割れるような音、勝った、第一部完!
「あぁ!?」
「えぇぇぇぇ!?なんで上条倒れてんの!アレだ、なんか羽が白くて世界がヤバイ!」
「何を言ってるか分からないけど阿頼耶くん逃げよう」
俺達を祝福するような白い羽、それが上条に触れた瞬間に上条は倒れた。
救急車を呼ばなくては、というかマンションに穴が空いてるけど上の階の人達全滅してないよな?
「貴方達には聞きたい事があります」
「ファッ!?俺は悪くねぇ!ドラえもんが悪いんだ!」
「なんだって、君はいつもいつも僕のせいにして!」
「なんだと、元はといえばお前がインデックスの異常を見つけるから!」
「そんなこと言ったら頼んだのは君じゃないか!」
殴り合いの喧嘩が始まり、そして俺達は虚しさに包まれる。
「やめようドラえもん、俺が悪かったよ」
「僕の方こそ言い過ぎた、誰も悪くないんだ」
「ドラえもん!」
「阿頼耶くん!」
ヒシッと俺達は互いをハグして仲直りをする。
争いは何も生まない、いい話だな……
「うっせんだよ!ド素人が!茶番に付き合ってられるか!」
「待て神裂!話を聞く前に切るのは良くない!うごぉぉぉ、止まらないぞこの女!?」
「あわわわわわ」
「はわわわわわ」
その後滅茶苦茶、説教された。
所変って、病院。
俺達は上条の見舞いに来ていた。
脳細胞がパーンしたけど学園都市の医療は世界一ィィィ!ってことで治したらしい。
カエル顔のゲコ太先生凄い。
でも、記憶は消えてしまったんだって……マジかよ。
「そうか、これが心か……」
「プークスクス」
上条のインデックスちゃんへの説明に俺らは笑いを堪え切れなかった。
結局馬鹿は記憶を失っても馬鹿なのである。
「よお、久しぶり!見舞いに来たぜ」
「お、おう、久しぶり……」
「ダウト!初対面だよ、バーカ!」
「なっ……」
「なんてな、やっぱ忘れてんのかよ。黒髪美人のお姉さんの聖職者とあんなに激しい夜を共にした仲だってのによ!」
「それマジ!?」
嘘は言ってない、ただしゴリラのようなパワーの持ち主だけどな。
「なぁ、提案なんだけどお前の記憶戻してみないか?」
「出来るのか?」
「あぁ、時間を巻き戻して……頭部だけベイビーなフェイスになるかもだけど……」
「どういう事、そして怖ッ!?」
「加減を間違えなければ、生物に試したことねぇけどダイジョウブデース」
「高確率で失敗しそうだからいいです!」
本当にいいのかと、俺は上条に問いかける。
ふざけるのは一切なしに、ドラえもんの力を使わないのかと。
だが、上条は首を横に振った。
「もし失敗したら、俺は彼女をまた傷付けてしまうかもしれない。だったら、今のままで嘘を貫き通すよ。きっと前の俺だって、同じ状況ならこうしただろうさ」
「そうかいそうかい」
「当人が満足ならいいことだ」
自分のためじゃなくて人の為とか……
「お前って馬鹿だな、お人よしの馬鹿だぜ」
「フフフ、阿頼耶くんは素直じゃないなぁ」
「じゃあな、お大事に上条!次の不幸まで休んでろよ」
「えっ、不幸!?ちょっと、待て!どういうことなんだ!」