主が、付喪神達の前に立っている。
長谷部には「皆にお礼が言いたい」と言っていたが、主は、胸に手を当てたままうつむいている。
なかなか言葉を発しないので、皆がとまどった表情を見合わせた。
大倶利伽羅が、不安そうな光忠の向こうに座っている長谷部に「主、どうしたんだ?」と小声で尋ねた。
長谷部は「俺にもわからない」と首を振った。
両端に座っている獅子王と、石切丸も不安そうな表情で主を見つめている。
「ごめんね。」
主は、ふいにこぼれた涙を拭うと、意を決したように顔を上げた。
「今日は、思わぬ事でここに来ることになったけど、おかげで幸せな時間を過ごせました。皆、ありがとう。」
主がそう言って、頭を下げた。
「あのね…あの…」
言いかけて、主がまた口をつぐんだ。必死に涙をこらえるような表情をしている。
「…私、もうここへは来られないかもしれない。」
「!!!」
付喪神達が、戦慄した。
「…なんだって…?」
大倶利伽羅が、震える声で呟いた。短刀達がざわめきだした。乱が両手で口を覆った。
長谷部も目を見開いている。
「…ウィルスが…私がここへ来る道を辿って…流れ込む事がわかって…」
光忠が目を見開いて「なに?」と呟いた。主が続けた。
「私がここへ来なければ、ウィルスが流れ込まない事がわかったの。だから…皆を守るために、現世とここを繋ぐラインを完全に遮断する事を…本部が決めました。」
長谷部が思わず立ち上がっていた。大倶利伽羅も同時に立ち上がっている。光忠がうつむいた。獅子王と石切丸は呆然とした表情でただ、主を見つめている。
「今まで設置されたカメラも、すべて外されることになりました。…これからは、一般の主達のように、パソコンの外から、皆を見る事だけしかできません。」
「そ…んな…」
長谷部が震える声で呟いた。短刀達が泣き出した。
「ごめんね。皆。…私にも、どうにもできなかったの。本当にごめん。」
主が泣きながらそう言ってしゃがみ込むと、全員が主を取り囲んでいた。
「主様!!嘘だっ!もう会えないなんて嘘だっ!!」
今剣が立ち上がって、叫んだ。
長谷部達も、短刀達の外を囲むようにして立ちすくんでいる。
主は、短刀達の頭を1人1人撫でて回った。
「今までありがとう。私、本当に幸せだったよ。」
乱が「お母さん」と呟いて、主に抱き付いた。主はその乱の頭を撫でた。
「本当に、役立たずのお母さんでごめんね。」
主はそう言うと、長谷部達に向いた。
「第1部隊の皆…これからも、この子たちを頼みます。」
「…主…」
長谷部が、震える声で言った。
「もう…本当に…会えないのですか?」
「……」
「永遠に?」
主が、うつむいた。長谷部が声を荒げた。
「このままずっと…!…このまま死ぬことができない俺達に…貴女に会えないまま、永遠に生きろと言うんですかっ!!」
「長谷部!」
大倶利伽羅が、その長谷部の両肩を背中から押さえた。
「主を責めたって…主だって…どうにもできないんだよ。」
大倶利伽羅は涙声でそう言い、長谷部の背に顔を伏せた。光忠がその肩に手を乗せた。獅子王と石切丸が同時に背を向けた。
「ごめん。もう時間が…」
主が、腕時計を見ながら言った。全員が、目を見開いて主を見た。
「長谷部君、もうメールもできないの。」
長谷部が、目を見開いた。
「でも私、あきらめてないから。」
主は、短刀達を見渡しながら早口で言った。
「いつ戻れるかわからない。でも、必ず戻ってくるつもり。永遠に会えないなんてことにはしない!」
「主…!」
「だから、あなたたちも諦めないで!!」
主の姿が、少しずつ消えていく。乱が主の顔を見上げながら必死にしがみついたが、その手はやがて空を掴んでいた。
主の微笑みだけが残り、チリのように消えた。
-FIN-
Back music「花吹雪リフレクト」by Last Note.様
-妄想CAST-
へし切長谷部「XAIN様」式
大倶利伽羅「ku-ya様」式
燭台切光忠「SAM様」式
獅子王「るか様」式
石切丸「帽子屋様」式
乱藤四郎「なかむら様」式
薬研藤四郎「ぱぴこ様」式
今剣「ゆるん様」式
五虎退「カクタス様」式
前田藤四郎「2PC様」式
平野藤四郎「2PC様」式
(特別出演)
2代目 大倶利伽羅「ES様」式
3代目 大倶利伽羅「RIRAKO様」式
4代目 大倶利伽羅「ミズタ様」式
<あとがき&懺悔>
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回は短いものでしたが、アクセスしていただいた皆様、お気に入りにご登録いただいた方に心から感謝いたします!
特に今回は最初のうちは説明文ぽく、面白くない始まりとなりました。一応読み飛ばせるようにいたしましたが、、私の妄想の賜物である「付喪神達の歌とダンス」シーンなんて、見るに堪えなかったのではないかと…。長谷部君はなんか頼りなくなってるし(本当の長谷部君はもっとしっかりしてますよっ!)、主役だった大倶利伽羅君は、渋い脇役にはまっちゃってるし(--;)それでもそれでもです!この「あとがき」まで乗り越えて(?)いただいた皆様に、本当に本当に感謝いたします(涙)
そして…頼りない本部(それは私)のために、主と付喪神達を離れ離れにさせることになりましたが、もちろん、これでは終わりません。
なんとか、ウィルスの問題を解決させて、再会させてやりたいと思っております。(うわー…どうしようかなぁ…)
また、Back Musicに使わせていただいた「花吹雪リフレクト」という曲は、なんと!本家本元の大倶利伽羅様のお声をされている「古川 慎(まこと)」様も歌ってらっしゃる曲なんです!優しい感じの素敵なお声ですよぉ!「それがあなたの幸せとしても」も歌ってもらえないかなぁなんて思ったりもしたりして。(おそらく、夢のまた夢だ(;;))ご存じない方は、聞いていただけると幸いでございます。
そして最後に…。
この後、主と別れた付喪神達のその後のシーンをおまけとしてアップいたしております。お付き合いいただける方は、最後まで読んでいただけたらと思います。
今回は(今回も!)本当に本当にありがとうございました!
立花祐子