ハリー・ポッターと帝王のホムンクルス   作:オリゴデンドロサイト

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不完全な守護霊

  

 ルーピン視点

 

幼い頃に狼男になってしまった私は、どこに行ってもつま弾きにされていた。

どこに移り住もうとも、満月の時期毎に私のことが露見し、

 

『出て行け! この怪物が!』

 

再び石を投げられながら放浪する日々。

私の居場所など、この世のどこにもありはしなかった。

ただ狂った狼男に噛まれただけなのに……私は何も悪いことをしていないのに、それでも私は人を襲う怪物として扱われ続けた。

両親だって口でこそ私のことを大切に扱ってくれてはいたが、内心では私が狼男であることを苦々しく思っていることは間違いなかった。そもそも狂った狼男に目をつけられたのも、

 

『狼人間は生きるに値しない連中だ』

 

と、魔法生物規制管理部に所属していた父が口走ったからなのだ。同じ狼人間になった私を快く思っているはずがない。

私は誰にも受け入れられることのない、人間の形をしているだけの怪物。その形ですら、満月になると怪物のそれになり果てる。

幸い今まで実際に人を襲ったことはないが、それも時間の問題だ。私は誰にも認めてもらえず、ただ誰かを襲うことを恐れながら生き、そして誰かを襲ってしまうことで人生を終わらせていくのだと思った。

そう、ダンブルドアのお慈悲により、ホグワーツに入学した時だって……。

 

『君がリーマス君じゃの? まずはホグワーツ入学おめでとう。正直不安なことも沢山あるじゃろぅ。じゃが、それは杞憂じゃ。ワシは君が安心してここで過ごせるよう、最大限の努力を惜しまぬつもりじゃ』

 

そう言って私に、後に『叫びの屋敷』と呼ばれることになる隔離施設のことや、その屋敷への道に『暴れ柳』を植えてくださることを説明されていても、私の憂鬱な気持ちが消えることなどなかった。

ここだってどうせ同じだ。このダンブルドアという先生だって、今は私を受け入れてくれているが、最後には必ず私を恐れ放り出すことになる。よしんば先生が僕を放り出さなかったとしても、生徒達にいずれ露見する。結果は同じ。ここにだって、私の居場所が出来ることは絶対にない。

 

そう思っていた。なのに……。

 

「リーマスは馬鹿だなぁ。お前はちょっと毛深いだけじゃないか。そんなことで、僕らがお前を怖がるわけないだろぅ? な、そうだよな、シリウス」

 

「当たり前だろう、相棒。我ら『悪戯仕掛け人』はそんなことを恐れたりしないさ。ピーター! お前はどうなんだ!?」

 

「も、勿論僕も……」

 

私はホグワーツにおいて、人生最高の出会いを果たすことになる。

グリフィンドールで出会った三人組。ジェームズにピーターに……そして()()()()()()()()()。彼らは私が狼男だと知っても尚、私のことを友人だと言ってくれた。それどころか私のために『動物もどき(アニメーガス)』にまでなって、私の傍に居続けようとしてくれた。

 

世界に彩りが戻ってくるような気分だった。

いつもくすんだ色をしていた景色が、友人たちのお蔭でとても素晴らしいものに変わっていく。狼男であることが嫌で仕方がなかったのに、友人たちのお蔭で寧ろ喜ばしいことにすら思えてくる。

狼男は人間しか襲わない。だからこそ『アニメーガス』である友人たちといる時は、私はただの大人しい狼でしかない。『叫びの屋敷』で友人たちと夜を過ごし、時にはその屋敷の外にすら繰り出す生活。そんな日々が私には楽しくて仕方がなかった。

 

私のホグワーツでの生活は人生で最も輝いていた時間だ。最初恐れていたダンブルドアの裏切りもなく、最初の宣言通り最後まで私の面倒を見てくださった。

友人達との関係も決して変わることはない。卒業してもダンブルドアが私の恩師であることは間違いなく、大切な友人たちもずっと友人であり続ける。たとえヴォルデモートが台頭する闇の時代であろうとも、私達の関係は決して変わることはないのだと……寧ろ我々の友情こそが、この闇の時代を終わらせるのだと、私はずっと確信していた。

私の幸福とは、この人達と一緒にいることだった。

 

そう、あの日までは……。

 

それは13年前の10月31日のことだった。

いつものように『不死鳥の騎士団』として『死喰い人』との戦いに備えている時、その知らせが届いた。

 

『闇の帝王滅ぶ』

 

その号外には、ヴォルデモートがたった一人の赤ん坊に敗れ去ったと書かれており……その赤ん坊の両親に当たる、ジェームズとリリーが殺されたことが書かれていた。

私は最初その号外の意味が分からなかった。ヴォルデモートが敗れたことの喜びより、何故どうしてといった戸惑いの方が大きかったのだ。

 

何故なら、そんなことは本来起こりえないことだったから。

リリーとジェームズの居場所は、シリウスを『秘密の守人』にすることで完璧に守られている。彼らがヴォルデモートに襲われるとしたら、それはシリウスが裏切って情報を漏らさない限りあり得ない。シリウスは私達の大切な友人だ。そんなこと、天地がひっくり返ってもあり得ないことだ。

それなのに、

 

『リーマス……信じられぬと思うが、落ち着いて聞いてほしい。シリウスが……いや、シリウス・()()()()が、先程裏切り者としてアズカバンに収監された。彼は……友人より、自らの血に従うことを選んだのじゃ。ジェームズやリリーだけでは飽き足らず、彼はピーターまでその手で殺めてしもうたのじゃ……』

 

現実は非情なものだった。

彼は拷問されて情報を漏らしたのではなく……自ら望んでヴォルデモートに親友たちの居場所を伝えたのだ。

今世紀最も偉大な魔法使いであり、私をいつだって導いてくださった大恩人。そんな彼に断言された現実によって、私が今まで素晴らしいと思っていたものはただの幻想であり、私が友人だと思っていたシリウスは、その実彼の方は私達を友人だと思っていなかったのだと思い知らされた。

 

 

 

 

あの日から綺麗な銀色をしていた狼の『守護霊』は、何故かただの()()()()にしかならない。『吸魂鬼』をニ、三体追い払うのが限界で、完全とは程遠いものだ。

 

……私の幸福な日々は遥か遠く。そして何より、ただの幻想でしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ダリア視点

 

「……先生、どうかなされましたか? 少しボーっとされているようですが?」

 

「ッ! いや、すまない! 少しだけ考え事をしていたよ。君の守護霊を見ていると、何だか昔を思い出してしまってね……。それに、ここのところ()()調()()()()と忙しくて……」

 

もはや恒例となりつつあるルーピン先生の個人授業。最近ではようやく私への恐怖心が薄れてきたのか、()()()()()()()先生もある程度は普通の会話をしてくださる。

しかしそんな中で、今日は何だか心ここにあらずというような態度だった。それでも一応話しかければ反応をしてくださるし、顔色も別に悪くはないことから体調に問題があるわけではないのだろう。そもそもまだ満月の時期ではない。

先生は私の視線に一瞬気まずそうな表情を浮かべていたが、すぐに気を取り直したように続けた。

 

「……態々この時間に来てもらったのに、本当にすまない。今からはちゃんと集中するよ。……それにしても、どこが問題なのだろうね」

 

少し無理やりな話題転換である気がしたが、あながち間違ったことを言っているわけでもない。

私は先生から、再び()()()()()()()()()()守護霊擬きに視線を戻しながら応じた。

 

「やはり……先生にもお分かりになりませんか?」

 

「うん。君の杖の使い方や、呪文の唱え方には一切の問題は見当たらない。おそらく魔力の使い方に関しても大丈夫だろう。あと問題があるとすれば……」

 

先生に指導していただくことになっても、少しも私の守護霊が完成に近づくことはなかった。あまり可能性があるとは思っていなかったが、やはり先生に確認していただいても私の杖の使い方に問題があったわけではない。あと問題があるとすれば、

 

「問題があるとすれば……前回言った通り、君の幸福な記憶がまだ十分ではないからだと思うのだけど……。そちらはどうなんだい? 内容までは聞いていないが……つまり、ちゃんと気持ちを集中できるようなものなのかい?」

 

「ええ、勿論です。これ以外の記憶などあり得ません」

 

私の幸福な記憶だった。が、それこそあり得ないことだ。

私の幸せは家族やダフネと一緒にいること。()()()()()怪物を受け入れてくれた人達と共にいること以外に、幸せなことなどあるはずがない。

私のきっぱりとした応えに先生は一瞬驚いたような表情を浮かべていたが、再び考え込むような態度に戻る。

 

「そうかい……。それなら何が問題なのか私には分からないな……」

 

「そうですか……」

 

何だか暗い空気になってしまった。それを変えようと、先生は今度は慰めの言葉を発する。

 

「そう落ち込むことはないさ。君はこの学校で最も優秀な生徒とはいえ、この魔法は本来なら学生が出来る様なものではない。実際今ハリーにもこの呪文を教えているのだけど、彼も中々苦労しているよ。私だって守護霊を習得したのは学校を卒業してからだ。それに比べたら、今の段階でここまでのものを出せている君はやはり優秀だね」

 

下手な慰めだが、先生が真剣に私を慰めようとしてくれていることは分かった。私は無表情に僅かな苦笑を浮かべながら尋ねる。

しかし、

 

「そういえば先生の守護霊はどんな動物なのですか?」

 

「……私のものかい? 私の守護霊は狼なんだよ。いや、だったと言うべきかな。皮肉な物だろう? 狼人間である私の守護霊が狼なんて。だが、以前の私はそれが気になることはなかったんだ。寧ろ誇らしく思ってさえいた。でも……今は違うんだ。どうしても、元の完成したものを出すことが出来ない」

 

どうやら聞いてはいけない話らしかった。

先生は表情を苦痛と後悔に満ちたものに変え、静かに呪文を唱える。

 

「エクスペクト・パトローナム」

 

先生の杖先から銀色の靄が溢れ出す。そしてその靄は、私の物よりかは遥かに形になっていたが、確かに先生の言う通り完全には程遠いものだった。

思えば最初に出会った時も、先生が出したのは完全な守護霊ではなかった。あの時は『吸魂鬼』が一人だったため、この形でも事足りるからだと思っていたが、どうやらそういうわけではなかったらしい。先生はやらなかったのではなく、出来なかったのだ。

だから先生は最初頑なに、

 

「最初に言ったが、私が『守護霊の呪文』について教えるなど本当は烏滸がましいことなんだ。私は君が守護霊を完成させられない理由が分からないのと同時に、自分が何故守護霊を()()()()()()()のかも分からない。すまない……。幻滅させてしまったね……」

 

『守護霊の呪文』の講義をすることを渋っていたのだろう。

そう言って先生は黙って俯いてしまう。今日の先生は相当重症らしい。本当にどうしてしまったのだろうか。

軽い世間話のつもりだったのだが、思いのほか重い話になってしまった。私は内心この展開に驚きながら応えた。

 

「えっと……。そうだったのですね。ですが、そんなことで幻滅したりなどしませんよ? 出来ないからといって、それが教えるのが下手だということにはなりませんし……。実際今までの授業に私は満足しております。それに、よいではありませんか。こんなことを言って申し訳ありませんが、寧ろ先生が完成した守護霊を出せなくなったというのは、私にとってはいいことです。それは先生の守護霊が再び完成した時、理由によっては私の守護霊も完成させられる可能性があるということですよね?」

 

私の言葉に、先生は本日何度目かになる驚きの表情を浮かべる。

ある程度私への恐怖が薄まっているとはいえ、私がこのような発言をするのはまだ驚きなのだろう。先生はしばらく私の無表情を眺めていたが、ややあって、

 

「……あぁ、そうだね。君の言う通りだ。こんな不甲斐ない教師だけど、一緒にキチンとした守護霊を出せるように頑張っていこうか」

 

「はい、勿論です」

 

朗らかな笑顔を見せながら頷いてくださったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハーマイオニー視点

 

あの医務室での一件から数週間が経った。

あれからというもの、『マグル学』でのグリーングラスさんへの当てつけのような言葉は消え去っている。勿論皆がグリーングラスさんを受け入れたわけではなく、いつマルフォイさんに報告するかと恐れているだけなのだけど……それを含めても以前よりかは遥かにマシな環境と言えるだろう。

それに何より、

 

「ね、ねぇ、グリーングラスさん」

 

「……今度は何、グレンジャー」

 

グリーングラスさんは以前と違い、私を無視することはなくなっていた。

皆の恐怖の視線。特に件のレイブンクロー生からの強い視線を感じる中でも、私が話しかければ多少険のある声音なりに応えてくれる。話す内容は授業の内容であったり、

 

「だから私、ハリーとロンは警戒心が足りてないと思うの。なんでファイ……新しい箒が匿名で送られた段階で、それがシリウス・ブラックからのものという可能性を考えないのかしら」

 

「……私から言えるのは、グレンジャー。警戒心以前の問題として、貴女はもっと友達を選んだ方がいいよ」

 

「……そ、そこまで悪い人達ではないのよ? ただちょっとなんて言うか……」

 

自分の身内話であったり、果ては天気の話なんて言うどうでもいいことであったけど、それでもグリーングラスさんは律儀に応えてくれていた。

警戒心や恐怖心が全く消えたわけではない対応。でもそんな中でも、少なくとも私をもう一度見つめなおしてもいいという思いがあることは確かで、そのことが私には無性に嬉しくて仕方がなかった。

 

……しかし、私の近況でプラスの面なことはそれくらいのものだった。

寮に帰れば、再び暗い気持ちを抱えなくてはならない状況が続いている。

 

「やっぱり凄いな、この箒は! こんな綺麗な流線形をしている箒なんて、今まで見たこともないよ! ハリー、今度乗せてもらってもいいかい!?」

 

「まったく、こんなものどこで手に入れたんだよ!」

 

「もう乗ってみたのかい!?」

 

「これでレイブンクローとスリザリンに勝ち目はなくなったな! レイブンクローはクリーンスイープ7号、スリザリンはニンバス2001だが、ファイアボルトの前では赤ん坊も同然さ!」

 

まさにお祭り騒ぎ。

マクゴナガル先生が、遂に()()()()()()()()()()()()()()ファイアボルトをハリーに返したのだ。

寮内で唯一騒ぎに参加せずに勉強を続ける私をよそに、ファイアボルトをほめたたえるバカ騒ぎは続いていく。

たとえ終わったとしても、

 

「ハーマイオニー! ほら、ファイアボルトが返ってきたんだ!」

 

「言っただろう! マクゴナガルがフリットウィックにも、ルーピンにだってシリウス・()()()()()()()()()()()()()()()聞いたらしいけど、箒にはな~んにも呪いはかかっていなかったってさ!」

 

不愉快であることに変わりはないけど。

ファイアボルトを掲げた状態でこちらに輝く瞳で話しかけるハリーとロンに、私は憮然として返した。

 

「あら、かかっていたかもしれないわ! 私は箒が届いた段階で当然のことをしただけよ! そんなことより、勉強に戻ってもいいかしら!? 私は今とっても忙しいの!」

 

本当に不快な話だった。

確かに箒に呪いはかかっていなかったかもしれない。でも、かかっていた可能性だって十分にあった。一体どこの誰が、無償かつ匿名で最高級箒を送るだろうか。そんなもの、ハリーを狙っているシリウス・ブラック以外考えられない。それは私だけではなく、この話を聞いてくれたグリーングラスさんだって同意してくれていた。私が責められる謂れなんて一つもない。

私は再びテーブルに山積みになった教科書に視線を戻す。

このところ嫌なことばかり。ファイアボルトのことだけではなく、試験が迫ってきたことにより大量の宿題が出ており、私の生活が悲鳴を上げ始めている。一つ一つの授業の宿題はまだ許容範囲内なのに、私の場合全ての授業を選択しているため、とんでもない量になってしまっていたのだ。

いいことなんてグリーングラスさんのことくらいで、他にいいことなんて一つもない。

ファイアボルト、クルックシャンクス、大量の宿題……そしてビックバークの裁判に向けての資料集め。頭がどうにかなりそうだった。

しかし私の不愉快な気持ちなどつゆ知らず、目の前の二人は箒のことでのぼせ上がっているようで、

 

「う、うん、そうだね。でも、もうちょっと話せないかな? 箒を寝室に持って行ってから、」

 

「僕が持っていくよ! スキャパーズにネズミ栄養ドリンクを飲ませないといけないしね! ね、いいだろう!?」

 

「うん。じゃあお願いするよ」

 

私とのいざこざも忘れた様子で、ハリーは私の隣の席へ、ロンはスキップでもするような足取りで階段を上がっていった。

ハリーが興奮冷めやらぬ様子で話しかけてくる。ただ、

 

「その、あ~と。最近どう?」

 

多少の後ろめたさは感じているようだった。

流石に箒が返ってきたことで冷静になれば、私が正しいことをしたという意識はあるのかもしれない。

 

「見ればわかるでしょう? 私、とても忙しいの。まだ『数占い』のレポートも出来上がっていないわ。やっぱりこの前の授業を休んだのが痛かったの。それに『マグル学』の宿題も、『古代ルーン文字』の翻訳までしなくちゃならないのよ!」

 

私の大声に、ハリーは根気強く返してくる。

 

「え、えっと。よくこんなに沢山の宿題が出来るね。いったいどうやったらできるの?」

 

「ただ一生懸命やるだけよ」

 

教科書を持ち上げながら適当に答える私に彼は続ける。

 

「い、いくつか止めたらどうかな? 今の君、何だかとっても疲れているみたいだ」

 

ハリーの言葉に、私の理性がはじけ飛んだ気がした。ハリーは私以上に辛い立場だというのに、何だか無性にこの苛立ちを彼にぶつけてしまいたかった。

私の気も知らないで!

私は思わずヒステリックな声を出そうとする。でも、

 

「そんなこと出来るわけないでしょう! 私は早くマルフォイさんに追いつきたいの! それに、私が全部の科目を取るためにマクゴナガル先生がどれほど、」

 

「ハーマイオニー! おい! これはどういうことだ!」

 

突然男子寮から響いた叫び声に遮られたのだった。

談話室は静まり返り、皆声のした方に釘付けとなる。そんな中談話室に飛び込んできたのは、声の主であるロンだった。

彼はベッドのシーツと思しきものを引きずりながらこちらにやってきて、テーブルにそれを投げつけながら叫んだ。

 

「見ろ! 血だ! こんなに沢山! それに、スキャバーズがいなくなってる! それで……」

 

そして彼が次に私に投げつけたのは、

 

「それで、こんなものも一緒に床に落ちてた! ハーマイオニー! これは一体どういうことなんだ!」

 

数本の長いオレンジ色の()()()だった。

それは明らかに、私のペットであるクルックシャンクスのものであり……同時に、スキャパーズを食べてしまった動かぬ証拠であるように思えた。

 


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