ハリー・ポッターと帝王のホムンクルス 作:オリゴデンドロサイト
ダンブルドア視点
「皆、素晴らしい夜じゃのぅ!」
今年も大勢の生徒達が壇上に立つワシのことを見上げておる。皆純粋で、未来を感じさせる瞳ばかりじゃ。
ワシは彼等の瞳を見つめ返す。本当に美しい瞳じゃ。ワシの人生は実に無意味なものじゃったが、この瞳を見る時だけは自身の価値を信じることが出来る。
……あぁ、じゃからこそ今は寂しくもあった。この光景を見るのは、
その
隠すことも出来たやもしれん。自惚れになるが、ホグワーツが安全と言われておる理由の一つは、ワシがここにいることじゃ。そんなワシの腕がこんな有様じゃ。皆が不安に思うのも無理はない。じゃが、
「おぉ、皆が心配しておるのを感じるのぅ。じゃが何も心配はいらぬ。見た目はこうじゃが、そう大した問題ではない。日常生活に問題はないのじゃ」
無論納得しておらん生徒がほとんどじゃろぅ。特に休暇中にワシに会ったハリーは、ワシの腕の変化に驚愕しておる様子じゃった。黒ずんだ右腕は、一目でもはや二度と動かぬことが見て取れるものじゃ。この場で多少誤魔化せても、話せば話す程ボロが出るだけじゃろぅ。ワシは袖で右腕を隠しながら続けた。
「さて、詰まらぬことで皆の貴重な時間を無駄にするわけにはいかん。まず管理人のフィルチさんから伝言じゃ。多くの者が知っておる、あのウィーズリー家の双子が素晴らしい店を出しておる! 彼等の素晴らしい商品を購入した者も多いと思うが……残念なことに全て禁止とのことじゃ。皆、上手く隠すのじゃぞ」
例年通りの言葉じゃが、やはり無性に寂しさを感じる。ワシはその寂寥感を頭の片隅に押しやりながら続ける。
「次に、新しい先生を紹介するとしよう! まずは魔法薬学の先生が変わる。昔ここで教鞭をとっておられたスラグホーン先生! 彼には今年から魔法薬学の教師として復帰していただく」
ワシにとって重要なことはまだ話しておらぬが、生徒達にとっては重要なことじゃろぅ。ワシの腕を見た時以上のざわめきが大広間を満たす。皆不思議に思ったのじゃろぅ。ハリーなど顔を青ざめさせながら立ち上がっておる。さもありなん。何故ならホラスが魔法薬学に就くということは、
「そして去年まで魔法薬学を担当しておられたスネイプ先生は、今年から『闇の魔術に対する防衛術』を教えてもらうことになる」
ハリーが最も得意とする科目が、彼の最も苦手とする教師が担当することになるのじゃから。彼の気持ちは分からんではない。セブルスは些かハリーに対して屈折した感情を抱きすぎておる。彼のハリーへの態度はお世辞にも褒められたものではないじゃろぅ。
じゃが、じゃからといってこの決定を覆すことはない。ホラスを招いたことで、魔法薬学の席が埋まってしまうことも理由の一つ。そしてもう一つの理由は……今年は
ワシは隣に座るセブルスに視線を送る。じゃが彼の表情は相変わらずの仏頂面。ワシの視線に反応すらしなかった。彼も自分自身の未来に気が付いておる。この程度の褒美で彼の宿命を振り払えるわけではない。彼はただスリザリン席を……その中で、ワシが最も警戒する生徒の席を見つめ続けておった。
じゃが彼のこともある意味では二の次じゃ。ワシはいよいよ最も重要な話を始めた。
「さて、新しい先生方の紹介はここまでじゃ。本題に入ろう。……この広間におる者は誰でも知っておるじゃろぅ。あれだけ否定しておった日刊預言者新聞でも、連日のように恐ろしい事実を伝えざるを得なくなっておる。ヴォルデモート……奴とその従者達が再び跋扈し、その力を強めておる」
生徒達の反応は劇的じゃった。大広間全体が静まり返り、青ざめた表情でワシの方を見つめ返しておる。一部はダリアの方に視線を送っておるが、当の彼女はただ自身の空になった皿を見つめるのみじゃった。ワシの方に顔も向けておらん。ワシは彼女のことを視界の端に捉えながら続けた。
「現在の状況は正直なところ危険としか言いようがない。このホグワーツは安全……と、ワシも断言したい。城の魔法防衛は強化された。考えうる限りの方法を施したつもりじゃ。それこそありとあらゆる手段を。じゃが、外に対する防備は完璧であっても、内からの攻撃には不安を禁じ得んのが実情じゃ。皆、肝に銘じておくのじゃぞ。ワシ等が対策を講じたとしても、敵もありとあらゆる手段を講じる。それこそワシ等の想像を超える残忍な方法を。特に奴らは他者の弱みに付け入るのが上手い。以前の戦いにおいて、奴らにどれ程の魔法使いに望まぬ犯罪を強要したことか。いくら警戒しても足りぬ。ならばこそ、どんなにうんざりするようなことでも、多少は守ってもらいたい。まずは時間厳守。決められた時間以降、夜間ベッドを抜け出してはならぬ。そして、どんなに些細なことであっても、自身が怪しいと感じるならば教員に報告すること。ワシが皆に望むことは以上じゃ。皆が常に自身と互いの安全に気を配ると信じておる」
言いたいことは言った。これがどこまで効果があるかは分からぬ。寧ろ望まぬ効果も出るじゃろぅ。
視界の端で、ダリアがワシの方に視線を向けておるのを感じる。それも無表情でありながら、冷たく憎しみの込められた視線を。ダリアの怒りは尤もじゃ。実際ワシの言葉を受け、何人もの生徒がダリアに警戒した視線を送っておる。彼女が『継承者』として疑われるよう、ワシが皆を誘導した時と同じように。彼女はワシが再び同じことをしたと思ったのじゃろぅ。そしてその懸念は完全な間違いとは言えぬ。
彼女はヴォルデモートの配下。それも学生でありながら、奴の右腕と呼ばれる程の。おそらくワシとある程度互角に戦うことが可能であり……そもそも
彼女のことはまだまだ考えねばならんことが多い。それは確かじゃ。じゃが、生徒に必要以上に彼女のことを警戒させるのはワシの本意ではない。それは寧ろ彼女を知ることの妨げとなる。そう、今までと同じく警戒するばかりでは埒が明かぬ……その事実をワシもようやく受け入れざるを得んかった。ワシ一人では今までと同じ選択をしておったじゃろぅ。じゃがワシの最後の望みを聞いてくれたセブルスに強く諭されれば、ワシも否とはとても言えんかったのじゃ。ワシも勇気を持って行動する必要があるじゃろぅ。
ワシはこれ以上ダリアに余計な警戒心を抱かれんよう、そのまま宴会の終了を宣言する。
「以上じゃ! 長々と引き留めてしまいすまんかったのぅ! そろそろ皆も眠くなっておるじゃろぅ。長い話じゃったが、皆に真の意味で大切なことは、ゆっくり休んで明日からの授業を真面目に受けることじゃ! それではお休み! そーれ行け、ピッピッ!」
大広間に騒音が満ちる。生徒達が一斉に動き始めたのじゃ。何百人もの生徒が一斉に立ち上がり、列をなして大広間から寮に向かっていく。
じゃが、そんな中でスリザリン席だけは妙に静かじゃった。原因は無論、ダリアが依然こちらを冷たい瞳で見つめ続けておるから。彼女を他寮以上に恐れ敬っておる寮生達は、彼女の方を窺うばかりで動こうとしておらんかった。
……今までのワシであれば、その姿にただ嘗てのトムと同種のモノを感じるだけじゃったじゃろぅ。いや、事実今も彼女の姿とトムを重ねておる。彼女は危険な存在じゃ。放っておけば、それこそ第二のヴォルデモートになる。今は未来を見ることは止めておるが、それでも彼女の未来は決して明るいとは予想すら出来ぬ。
おそらく彼女が今ワシに感じておる感情は殺意のみじゃろぅ。しかしその根本にあるものは何か。ワシへの憎しみが無いはずがない。ヴォルデモートからドラコに指令が下っておるが、彼女は自分自身でワシを殺そうとしておる。あの瞳を見る限りそれは間違いない。じゃが、それはワシへの憎しみか、それとも……純粋に家族を守りたいがためか? ドラコに罪を負わせないためか? 理由によっては、ワシはダリアへの評価を改めざるを得ないじゃろぅ。たとえ今までのワシの全てを否定することになろうとも。
事実彼女が人間ではない場合……ワシが想像もしておらんかった複雑な背景や心情が彼女にある可能性がある。
いずれにせよ、もう賽は投げられた。彼女が寝室に着けば、彼女は
思えば同じことを彼女が一年生の時にもしたのぅ。あれはクリスマス前のことじゃったか。あの時と同じじゃ。彼女の人となりを知る。本来であればワシが教師である以上、それは当たり前にせねばならんことじゃ。今度はワシが彼女に歩み寄らねばなるまい。それこそがセブルス曰く、今年ワシに必要な事なのじゃろぅ。
ようやくダリアが兄と友人を連れ、スリザリン席から立ち上がるのが見える。彼女の背中を見つめながら、『今世紀最高の魔法使い』と称されながら、その実臆病な自分自身を感じ続けておった。
ドラコ視点
隣のベッドからクラッブとゴイルの大きないびきが聞こえる。
僕はベッドに横になりながら、奴らのいびきを黙って聞いていた。眠れない。原因は無論二人の騒音ではない。それが無くとも、今年の休暇から僕は満足に眠ることが出来ていないのだ。
『お前にも選ばせてやろうではないか。お前が父親に代わって責任を果たすか、父親のもがき苦しむ様を見るか。どちらをお前は望むのだ?』
頭の中に響くのは、僕達マルフォイ家の主とされる男の声。あの言葉を聞いてから、僕は満足に眠ることも出来ていない。
僕がやるべきことは明白だ。ダンブルドアを殺す。言葉にするのならばただそれのみだ。それも僕自身の手で。誰の手も借りず、僕自身がそれを為さねばならない。
だが為すべきことは単純であっても、考えるべきことは多い。
まずは手段。相手は僕などより遥かに実力のある魔法使いだ。それこそこの任務を命じた『闇の帝王』にも出来ないことを、僕が出来るはずがない。それは誰の目にも明らかだ。真っ当な手段で為せることではない。ボージン・アンド・バークスで呪いネックレス、そしていざという時援軍を呼べる道具は購入した。だがそんな物では越えられない程の差が、僕とダンブルドアとの間にはある。時間も有限な中、果たして僕は奴を殺せるのだろうか。
……いや、出来るかどうかは、手段だけの話ではない。
出来たとして、僕は最後の最後に奴を本当に殺せるのだろうか? それを軽々しく為していいのだろうか?
それを軽々しく為すことは、ダリアの苦悩を軽んじることに繋がるのではないか。
ダリアは常に悩んでいた。殺人とは何か。殺人を為せば人はどうなるか。……その殺人を目的に作られた自身が、
……殺人とは、本当にどういう行為なのだろうか?
ほとんどの人間がいけない行為だと言うだろう。許されない、罰せられるべき行いだと。だが、何故いけないことなのか。その根本を答えられる人間はそう多くはない。
否定することは簡単だ。許されない行為だから。ただそう答えればいい。
だが、ならばこそ……他者はその殺人を目的に作られたダリアを、当然の如く存在すら許されない怪物と蔑むに違いないのだ。
そんな答えを僕が認められるはずがない。殺人が悪い事である理由。ダリアを愛している僕が、その根本的な疑問を蔑ろにしていいのだろうか。
尤もそんなある意味で哲学的な、それこそ答えがない疑問をいつまでも考えている時間が残されていないのも事実だ。
僕は湧き上がった不可思議な
僕はマルフォイ家だ。ならば僕のやるべきことなど生まれた時から決まっている。それに僕がやらずに誰がこの任務をやるというのだ。ダリアにさせるわけにはいかない。いや、ダリア
僕はやるしかないのだ。余計なことを考えている場合ではない。ただでさえダンブルドアと絶望的な実力差があるのに、それ以外の妨害も考えられる。
ハーマイオニー・グレンジャー。あいつは僕の目的を知っている。僕が話さなくとも、いずれダフネから奴に情報は届く。あいつが事情を知るのは遅いか早いかの違いでしかない。だからこそ僕は今日あいつにこちらから釘を刺したわけだが……正直時間稼ぎくらいにしかならないだろう。グレンジャーが最終的に殺人を容認するはずがない。どのような結論に辿り着くかは知らないが、あいつは取り敢えず僕の妨害はするはずだ。あいつはそういう奴であり、だからこそ
そう……結局のところ、グレンジャーもダリアの手駒の一つに過ぎない。僕が真に相手をすべきはダリアであり、グレンジャーではない。表立ってダリアが僕の邪魔をすることはないが、少しでもダリアに情報を漏らせば、それはグレンジャーにも知られると考えていいだろう。
無論だからと言ってダリアを責めるつもりはない。僕がダリアのことを心配していると同時に、彼女も彼女で僕のことを考えてくれているだけだ。それも僕がダリアのことを考えている以上に。何故なら……ダリアは僕以上に殺人に惹かれ、同時に嫌悪しているから。その先に何があるか、彼女は知っているのだ。その先に僕を行かせまいとダリアは僕の妨害をしている。ならば僕が彼女に怒りを感じる理由はない。僕如きが彼女の不安や苦悩を否定していいはずがないのだ。
あぁ、ダリア。僕の大切な家族にして……最愛の女性。
お前は否定するが、僕は僕自身の手でお前を救いたいんだ。お前に救われるのではなく、僕がお前を救いたいんだ。
だからこそ、どんなにお前が僕を邪魔しようとも……。
僕はただクラッブとゴイルのいびきを聞きながら、天井を見つめ続ける。
頭の中で何通りものダンブルドアを殺す方法を考える。僕に出来る方法を何通りも。
だが結局、何度考えても奴を殺す手段も……そしていざ奴を殺す瞬間の自分自身の姿も、僕は最後まで思い浮かべることは出来なかった。
ダリア視点
ダフネ。私の様な怪物を、事情の全てを知りながら受け入れてくれた……私の親友。
「……どうしたの、ダリア? ……何かあったの?」
「いいえ」
隣のベッドに腰掛ける彼女を見つめながら考える。本当はダフネを不安になどさせたくない。マルフォイ家と同様、彼女のことも私は何としても守りたいのだ。
しかし、現実は理想とは程遠いものだった。どんなに悍ましい真実を隠したとしても、賢いダフネはその存在に気付いてしまう。お兄様が『闇の帝王』に受けた暗殺任務の話はした。事実のみを包み隠さず。ただそれで誤魔化せる程ダフネは鈍感ではない。当然時間が経てば私の目的に気が付く上、そもそも私が休暇中手紙を返さなかった理由は別物だと分かっていることだろう。
それでも彼女が黙っているのは、私が話すのを根気強く待ってくれているからに他ならない。隠し事をしないと約束していても、無理やり聞き出せば逆効果になる。優しいダフネらしい判断だった。
そんな彼女の優しさを利用している自覚はある。今も彼女は心配そうな視線を私に投げかけているが、私はただ受け流すのみだ。
でも言えるはずがないではないか。私の成長が止まっているのは、私の中に吸血鬼の血が混ざっているから。吸血鬼である理由が、『闇の帝王』の道具として半永久的に使われるため。そんな吐き気を催す程悍ましいことを、優しいダフネにどうして言えるだろうか。
無論ダフネは受け入れてくれるだろう。今更私の悍ましい秘密が増えたところで、ダフネが私を否定しないことくらいは分かる。でも、彼女は必ず悲しむはずだ。その悲しみに私がどのように応えれば良いか分からないのだ。同じ時間にさえ生きていない、汚らわしい怪物である私が……。
そして、今日もう一つ秘密が増えてしまった。
「では、ダフネ。明日も早いですよ。……色々驚いているとは思いますが、今日はまず眠りましょう」
「うん……ねぇ、ダリア。聞きたいことは山程あるけど、取り敢えず今日は一緒に寝ていい? 本当に久しぶりに会えたんだし」
「……えぇ、勿論」
私のベッドにダフネが潜り込むのを確認した後、私は枕元の明かりを消す。部屋の中には私達だけ。他のルームメイト二人はまだ談話室にいるのだろう。他のスリザリン生と外のことで情報交換しているのか。あるいは私の事を恐れているからか。おそらくそのどちらもが正解だろう。
しかし、私はそんな二人のことなど気にするはずもなく、ただダフネと共にベッドで横になる。
お互い言葉はない。ダフネを汚してしまうという自己嫌悪はあっても、ダフネは私を問答無用に抱きしめ、私の頭をそっと撫でてくれる。そこまでされて拒否など出来るはずがない。ここで拒否しようものなら、お兄様ではなく私自身に何かあったと自白するようなものだ。私はダフネの温もりを感じながら、今後のことについて考える。
私のことはこの際どうでも良い。マルフォイ家に比べれば無価値なモノだ。私が考えるべきは……ダンブルドアをどうやって
グレンジャーさんへの布石は終わった。以前からお兄様の行動に気が付いていた様子だが、これで更に彼女は目的を持って動けるはず。
残る不安はスネイプ先生のことか。お母様と何かしらの契約を結んだ様子だが、先生のスタンスが判然としない。先生のことだから本物の『死喰い人』ということはあり得ない。ただお兄様の事情を把握している以上、先生はどのように行動するのか。お兄様に表面上協力する一方、それこそダンブルドアにお兄様の情報が流れているはず。
そうでなければ……
今は枕の下に隠している手紙。部屋に入った時には、これ見よがしに枕元に置いてあったものだ。しかも堂々と奴の名前が差出人として書いてあった。ダフネがパジャマに着替えている隙に内容を見たが、
『これから時折校長室で会いたい。君に
要約すればそのようなものだった。ゴチャゴチャと老害らしい下らない冗談も書いてあったが、要点自体は実にシンプルなものだ。
奴が私に見せたいものなど碌な物であるはずがない。思い浮かぶのは魔法の鏡。私の最も恐れ、同時に憧れるものを写していた。どう言い繕おうとも……あの鏡の写し出すものは、私が怪物であると証明していた。あれをまた持ち出すつもりなのだろうか。
しかし、私は奴の誘いを断るわけにはいかない。何故なら、この誘いは奴を殺す絶好の機会でもあるから。無論奴もそれは分かっているのだろう。この招待状の存在自体が、お兄様の計画が奴に筒抜けである証拠でもある。目的が監視や、もしくはそれ以外のモノであったとしても、私がこの絶好の機会を逃さないと知った上での挑発だった。
思わずダフネに隠してしまったが、この秘密はそう長く隠し通せはしないだろう。いつかはダフネにもこの密会のことは露見する。そうなれば必ずダフネは私を制止するはずだ。私のことを心配して。だが、それでは困るのだ。ダフネの制止を振り切るためには、必ず言い訳をしなければならない。まさか彼女に……私がダンブルドアを殺すために会うと言うわけにはいかない。適当な誤魔化しで騙されるダフネでもない。でも、今だけは……。
「ダリア? やっぱり、」
「何もありませんよ、ダフネ。……絶対に守りますから」
まずは奴の誘いに乗ってやる。奴の目的が何であれ、私にとって好都合であることは変わりないのだ。私は絶対に成し遂げてみせる。