ハリー・ポッターと帝王のホムンクルス 作:オリゴデンドロサイト
ハーマイオニー視点
教室の作りが変わったわけではない。『魔法薬学』の教室は相変わらず地下にあり、窓の一つもありはしない。開放的とは言い難い空間。
でも、先生が変わったことで教室の雰囲気はガラリと変わっていた。私達はスネイプ先生以外の『魔法薬学』を経験したことが無い。それはつまり、グリフィンドール生は誰一人として授業で正しい評価を受けていないことを意味している。ハリーでなくとも、『魔法薬学』に多少なりともストレスを感じるのは間違ってはいないと思う。私もスネイプ先生の優秀さは理解していても、苦手でなかったとは決して言えない。今までの授業で何度手を上げ、何度無視されてきたか。結局一回も当てられることはなかった。
だからこそ、スラグホーン先生がまだ部屋に到着していないというのに、グリフィンドール生の表情は非常に明るいものだった。今までの『魔法薬学』では考えられない表情だ。
私はダリアが遅れて教室に入ってきたことを確認し、安堵の息を吐きながら考える。
ハリーから聞いたスラグホーン先生の人となりを考えると、おそらく先生は優秀な人と交流を持つことが好きなのだろう。ただ有名な人と交流を持つだけならば、ジニーをコンパートメントに招待した理由に説明がつかない。ならばこの教室において、最も優秀な生徒にも目をつけるはず。
私達とは違い、ダリアにとってスネイプ先生は優しい教師であったと思う。でも『魔法薬学』担当が代わったとしても、彼女は正しく優秀さを認められ続ける。彼女が特別扱いを求めていなくとも、必ずある程度の優遇はされる。それは本来正しいことではないのだろうけど、今の彼女にとって少しでもストレスの少ない環境になるのであればと私は願っていた。
そして、
「やぁ、諸君! お待たせしたかな?」
教室の扉が開き、スラグホーン先生の授業がいよいよ始まった。
「おぉ、ハリー! 君もこの授業を受けるのだったね! 急な事ではあるが、マクゴナガル先生からそうなるだろうと聞いておったよ。優秀な君を私の教室に迎えれて、私は嬉しいとも! 勿論他の皆もそうだ! 何せ君らは『O・W・L』を潜り抜けてきた生徒達だ。実に楽しみだよ!」
テカテカの禿げ頭に巨大な銀色の口髭。スネイプ先生は絶対にしないような朗らかな微笑みを浮かべ、先生はその立派なセイウチ髭を撫でながら続けた。
「では早速授業を始めるとしようか。久方ぶりの授業だ。随分張り切ってしまってね、授業が始まる前にいくつか魔法薬を煎じておいたのだよ。折角だから君らに見てもらうことにしよう」
そう言って先生が杖を振ると、どこからともなく大鍋が現れる。大鍋の数は3。どれからも独特な香りが立っており、
「これらは『O・W・L』の次……『
教室で手を挙げたのは私だけだった。今までであれば、そんな私はことごとく無視され、強制的にダリアが指名されていた。でも今年からは違う。
「ほう、随分勢いのいい生徒がいるね。君はどれが答えられるかね?」
「全てです、先生」
私の答えに先生は驚いた表情を浮かべていた。
「なんと。それが本当であれば素晴らしいことだ。では、一つずつ言ってごらん」
「こちらの薬は『真実薬』です。無色無臭であることが特徴的です。これで飲んだ者に無理やり真実を話させることが出来ます。そしてこちらが『魅惑万能薬』。真珠貝のような独特の光沢が特徴です。世界一強力な愛の妙薬で、その者が何に惹かれるかによって匂いが変わります。私の場合はミントの歯磨き粉。これは確かロ……いえ、何でもありません。それと最後に、こちらは『ポリジュース薬』です。相手の一部を入れることで、飲んだ者を相手の姿に変えることが出来ます。今は泥の様な色をしていますが、相手によって色が変わります」
最後まで横やりを入れられることなく答えれたのは初めてだった。スネイプ先生の時ではとても考えられない。
更に今までと違い、スラグホーン先生は心底喜んだ表情を浮かべていた。
「素晴らしい! いや、本当に素晴らしい! 君は大変優秀な生徒だ! グリフィンドールに20点! 以前ここで教鞭を振るっていた時も、君程優秀な生徒はほんの一握りしかいなかったとも! すまないが、名前をお聞きしてもよろしいかな?」
「グレンジャーです。ハーマイオニー・グレンジャー」
「グレンジャー? もしやヘクター・グレンジャーと関係が? 私の教え子で、今は超一流魔法薬師協会の設立者なのだが?」
「いいえ、関係はないです。私はマグル生まれなので」
私の言葉にスリザリン生の間で小馬鹿にしたような笑い声が漏れる。それでもスラグホーン先生の表情は変わらず、逆に笑顔を強めながらハリーと私を交互に見ていた。
「ほっほう! では君がハリーの言っていた子か! ハリーは随分君のことを褒めていたよ! 僕の友達はマグル生まれの子で、学年で1番優秀な子です、と。ハリー、この子が君の言っていた友達だね?」
「はい、その通りです、先生」
ハリーも笑顔で応えるのを聞き、私は表情をほころばせながら考える。
やはり私の予想は正しかった。まさか『魔法薬学』でこんな素敵な気分になるなんて想像もしていなかった。先生は私のことを正しく評価して下さる。本当に今までの授業では考えられないことだった。
「もう、ハリー! せ、先生、ありがとうございます! で、でも学年で一番の生徒は私ではありません。一番は私ではなく、そこにいるダリアです! 彼女こそ学年主席ですから!」
私もただ舞い上がっているだけではいけない。私だけでなく、本当に優秀な子のことも評価してもらわなくてはならない。
私の言葉を受け、ハリーは苦虫を噛み潰したような表情を。ダリアはいつも通りの無表情を。そしてスラグホーン先生は私に対するものと同じ笑顔をダリアに向けた。
「ほう、こちらの綺麗なお嬢さんが学年主席と? ミス・グレンジャーが言うのだから、間違いなくそうなのだろうね。それも私と同じスリザリンか! これは負けていられないね。では君、とっておきの薬をお見せしよう。これが何か分かるかね? これだけでは分からないだろうから、ヒントを少々。この薬の別名はフェリックス・フェリシスだ」
先生が取り出したのは小さな小瓶だった。対するダリアはいつもの無表情。でも、何故か私にはそれが酷く煩わしそうなものに見えていた。彼女は一瞬非難がましい視線を私に向けた後、静かな口調で答え始める。
「フェリックス・フェリシス。幸運薬です。人に幸運をもたらす薬。それを一さじ飲むだけで、その人の一日を幸運なものにします」
「その通り! スリザリンに10点! ではもう一つ質問だ。少々難しい質問だが、答えられれば更に加点しよう! 君の言う通りの効果があるというのに、何故皆これを服用しないのかね?」
「調合が非常に困難だからです。少しでも調合を間違えると恐ろしい結果を招きます。そして毒性も強い。多量に摂取すれば、危険な自己過信にも陥ります。先生のお持ちの量であれば、12時間分の幸運といったところでしょうか。それ以上は毒性が勝ると思われます」
「おお、そこまで知っているとは! いやはや、今年の生徒は本当に優秀な子ばかりのようだね! スリザリンに更に20点!」
私とスリザリン生の拍手が教室に響く。ダリアは迷惑そうな空気を醸し出していたが、評価されないよりはマシだろう。
しかし、
「本当に私は運がいい! こんな豊作な年にホグワーツに戻ることが出来るとは! おぉ、そうだった! 君の名前もお聞きしてもよろしいかな?」
「……ダリア・マルフォイです、先生」
事態は突然予想外の方向に転び始めることとなる。
今までこれ以上とない笑みを浮かべながらダリアに向き合っていた先生。しかしダリアの名前を聞いた瞬間、その笑みは完全に凍り付いたものとなった。
「……マルフォイ? し、しかもあ、あのダリア・マルフォイ? き、君があのダリア・マルフォイなのか!?」
「……何が仰りたいかは分かりませんが、私がダリア・マルフォイであることに間違いはありません」
そしてダリアの応えを聞いた後、今までの笑みは消え去り、ただ怯えた表情だけが残されていた。
ダリア視点
スネイプ先生からの忠告を聞くまでもない。
正直なところ、スラグホーン先生から私への反応は予想通りのものでしかなかった。
「そ、そうかね。う、うむ。優秀な生徒が大勢いることはいいことだ。うん、そうとも」
スラグホーン先生は純血、非純血問わず大勢の著名人と親交を持っている。ならばある程度私の情報も得ているはず。『死喰い人』であるマルフォイ家の娘。『死喰い人』はこの夏散々先生を追いかけまわしていた。証拠こそ残してはいないが、ある程度私が『死喰い人』と繋がりがあることを警戒するのは当然だ。それどころか教員達の中では半ば事実として認識されていることだろうし、それはまごうことなき事実でもあった。
「さ、さて! そろそろ皆も話を聞いているだけでは退屈だろう。今から皆には『生ける屍の水薬』を作ってもらおう。『上級魔法薬』は用意しておるね。教科書の10ページを開いてくれ。御覧の通り非常に複雑な魔法薬だ。存在こそ知っておっても、調合したことがある生徒はおらんだろう。だからこそ私も君達がこれを調合出来るとは思っておらん。それこそ
だからこそ、スラグホーン先生が私を恐れ、存在を無視するようになるのは当然の帰結と言える。スネイプ先生以外の教員も、表面上こそ初年時同様丁寧だが、その瞳には隠しようもない警戒心に溢れていた。実際に『死喰い人』に追い掛け回されていたのならば、その恐怖感は他の教員以上のものであるはず。
結果、先生は私に先程の笑顔を向けることはなくなり、存在を無視することに決めたようだった。チラチラと視線こそ感じるが、その視線は恐怖と警戒心に溢れている。
生徒の大勢が大きすぎる報酬を欲し、今まで以上に集中した様子を見せていた。そんな中、ダフネとお兄様だけは私の傍に寄ってくる。
「ダリア、大丈夫? なんだろうね、あの先生の態度」
「いいえ、ダフネ。先生の態度は当然のものです。寧ろ私の存在を歓迎するようであれば、それこそ先生の頭を心配せねばなりません。……マルフォイ家が『死喰い人』であることは周知の事実ですから」
「ダリア……」
私の返答に、ダフネも口をつむぐしかなさそうだった。お兄様も難しい顔をして黙り込んでおり、遠くの席にいるグレンジャーさんもただ困惑した表情で私と先生の交互に視線を送っている。私は余計なことをしてくれたグレンジャーさんに一瞬だけ視線を送った後、ダフネとお兄様になるべく明るい声音を意識して応えた。
「何故お二人がそんな暗い顔をされているのですか? ……確かにお兄様もスラグホーン先生にはいい対応をされないでしょうが、別に授業から放り出されたわけではありません。私も特別扱いされたいわけでもないですし。それよりも、ダフネ。はやく魔法薬作りに取り掛かりましょう。この中で薬を貰える可能性があるのは、貴女か……グレンジャーさんのどちらかです。私もお手伝いしますから」
だが当然、私の上辺だけの言葉に効果があるはずもない。お兄様とダフネの表情は暗いまま。しかし二人もこれ以上ここで議論しても無意味であることは気が付いている。それ以上何も言うことはなく、ただ黙って授業に取り掛かる。
「あの、先生。実は僕とロン……最初はこの授業を受けられるとは思っていなかったので。その、教科書がなくて」
「おぉ! 成程! そういえばそうだったね。ではハリー。そしてその御友人。そこの棚に昔の教科書があるから使うといい。なに、昔と製法は変わっておらんから大丈夫だとも!」
ポッターと先生との会話を横目に、私も私で作業に取り掛かりながら考える。
スネイプ先生……そしてグレンジャーさんの気遣いは無用のものだ。お兄様はホグワーツでの生活は今年で最後だと語っていた。それは私も同様だ。私も来年があるなどと甘い考えは抱いていない。私の企みが成功するにしろ失敗するにしろ、この城に残るという選択肢はない。ならばこの方が後腐れが無くて良い。スラグホーン先生に気に入られていようと気に入られまいと、先生の豊富な『魔法薬学』の知識が手に入るならばそれで良い。
こんな事態に陥っているのは、全て私自身のせいでしかないのだから。
私は小さく溜息を吐き、気分を切り替えるためにも隣で作業をするダフネの鍋を見やる。
「いい出来ですね。ただもう搔きまわす方向を時計回りにした方が良いでしょう」
「え? で、でも反時計回りって教科書には書いてあるよ?」
「実のところ、この薬は教科書通りに作成するのは難しいのです。最新の研究が全く反映されていないと言いますか……。ほら、淡いピンク色に変わったでしょう?」
「ほ、本当だ! ありがとう、ダリア!」
私への心配が消えたはずがない。それでもダフネは何とか声音だけは取り繕い、私にぎこちない笑顔を浮かべてくれていた。そんなダフネの気遣いに対し、当然私がかけるべき言葉はない。あるはずがない。だからこそ、私はただダフネに自分自身の片手間とはいえアドバイスを続ける。グレンジャーさんの鍋を遠目に見たが、とても完璧とは言い難い出来だった。最新の研究にも触れられる純血貴族の出身である私と、優秀とはいえ教科書でしかその存在を知らない彼女とでは残念ながら環境が違う。今回ばかりはグレンジャーさんにあまりに不利な状況。流石のグレンジャーさんもこの差を埋めることは出来ない様子だった。この様子であれば、ダフネがこのクラスで一番になることだろう。つまり『幸運薬』は彼女のものとなるということだ。
……視界の端でお兄様も真剣に魔法薬を作っておられるが、今回はお兄様に助言するつもりはない。助言をすれば、お兄様の計画を手助けしてしまう可能性が僅かでもあるためだ。尤も、その僅かな可能性もほとんど無いに等しいものではある。そもそもお兄様も私と同じくマルフォイ家の人間。ならば先生に気に入られるはずもない。そして何より、たとえ『幸運薬』を手に入れたとしても……
お兄様や……私のしようとしている行為は、決して
しかし私は万が一の可能性を考えお兄様に助言はせず、ダフネに報酬が渡る様に手助けをすることにした。『幸運薬』はダフネにこそ相応しい。一時的な幸運とはいえ、息抜き程度には役立つものだ。ならばせめて、いつも心配をかけるダフネにこそ薬を受け取ってほしかった。それくらいしか、私が彼女に返せるものはないのだから。
しかし、
「おぉ! これはこれは! まさかこれ程完璧な調合を見ることになるとは!
私の予想とは違い、先生の口からは思いがけない名前が発せられることとなる。
ハリー視点
学校の成績では、確かにハーマイオニーよりダリア・マルフォイの方が優れているのだろう。
でも、それを知った上で僕はあいつよりハーマイオニーの方が優れた魔女だと思っている。ハーマイオニーは成績が良いだけではなく、常に正しい行いをしてきた。何より危険があるにも関わらず、常に僕の傍で敵と対峙してくれていた。賢いだけでなく、勇気に溢れた僕の親友。そんな女の子が敵の一味であるダリア・マルフォイに負けているはずがない。
だからこそ、
「ほほー! ミス・グレジャー! 完璧とは言えないが、優秀な出来だとも! これ程の物を初めて調合できる者はそうはいない!」
「あ、ありがとうございます、先生。で、でもダリア達の方が、」
「さ、さぁ! お次はどうかな! 君は確か……ウ
スラグホーン先生がダリア・マルフォイではなく、ハーマイオニーの方をこそ評価しているのは当然のことだと思った。
ハーマイオニーが抗議しても、スラグホーン先生は決してダリア・マルフォイの方を見ようとしない。というより視界にすら入れようとしない。まるでダリア・マルフォイを心底恐れているかのように。
スラグホーン先生のことは正直あまり好きではなかったけど、この点において先生への印象は随分良いものに変わっていた。
何より、
「おぉ! これはこれは! まさかこれ程完璧な調合を見ることになるとは!
今までと違い、僕は初めて『魔法薬学』が楽しいと思うようになっていた。
ここに来るまでは『魔法薬学』の授業なんて来たくもなかった。スラグホーン先生への印象とは別に、今までの『魔法薬学』の印象が悪すぎたのだ。
得意科目でもなく、スネイプのせいで授業では嫌な思いしかしない。そんな科目が好きになるはずがない。
だけど、僕は今日生まれて初めて『魔法薬学』の授業で褒められている。
たとえそれが偶然手に入れた
僕がこの教科書を手に入れたのは本当にただの偶然だった。もし僕がダイアゴン横丁で新品の教科書を手に入れていたら。もしこの教室で棚の中にあった二つしかなかった教科書の、もう片方の比較的新しい教科書を手にしていたら。僕は決してこの素晴らしい古い教科書と出会いはしなかっただろう。
古い教科書にはびっしりと注釈が書き込まれていた。最初はただの悪戯書きだと思った。素材一つの刻み方にまで文句をつけていたのだから当然のことだろう。でも、周囲の生徒が教科書通りに素材を刻む中、気まぐれに注釈通りに刻めば想像以上の成果を上げたのだ。そしてまさかと思いながらも注釈に従った結果、今現在に至る。
「君が紛れもない勝利者だ! 素晴らしい! 本当に素晴らしい、ハリー! ミス・グリーングラスの調合も素晴らしいものだが……完璧に自力でここまでの成果を為したのはハリーの方と言えるだろう! スリザリンとグリフィンドールに10点! だがこの『幸運薬』はハリー、君の物だ! 上手に使いなさい!」
先生は僕に金色の液体が入った瓶を手渡す。
本当の意味で自分自身の力で調合していたハーマイオニーに罪悪感はある。しかし僕は初めて『魔法薬学』で褒められたことが嬉しく、頬が緩むのを我慢することが出来なかった。
「さーて! では今日の授業はここまでとしよう! 今回は初日だ! 甘いとは思うが、課題は無しとしよう! では次の授業もあるだろう! 駆け足で向かうのだよ!」
そしてダリア・マルフォイの視線から逃げるように先生が教室を出て行くと、今までにない程明るい表情を浮かべたグリフィンドール生達が僕の下に集まってくる。
「どうやったんだ、ハリー!? 今までスネイプにいびられてたとはいえ、そんなに『魔法薬学』が得意ではなかっただろう!?」
「グリーングラスはともかく、ハーマイオニーに勝ってしまうなんて! 何かあるに決まってるだろ!?」
皆の喜びながらも素直な感想に苦笑するも、
「ダフネ……ごめんなさい。私が余計なことをするから」
「ううん! そんなことないよ! ダリアの助言がなかったら、そもそも完成すらしていなかったもの! それにしてもあの先生……どういうつもりなんだろうね」
近くにまだダリア・マルフォイ達がいるため、今は真実を話すことは出来ない。
話すのは夕食の時、満面の笑みを浮かべるロンと、そしてこちらに訝し気な視線を送るハーマイオニーだけにしよう。
そう思い僕はただ曖昧な笑みを浮かべ、グリフィンドール生達の笑顔と、スリザリン生達の怒りの視線に応えるのだった。
『半純血のプリンス蔵書』
そう裏表紙に小さく書かれた、一見ただの古い教科書を大切に抱えながら……。