ハリー・ポッターと帝王のホムンクルス 作:オリゴデンドロサイト
ダンブルドア視点
「どういうことか、説明してもらってもよろしいですかな?」
セブルスは校長室に入ってくると、開口一番にそれを口にした。
いつも不機嫌そうな男ではあるが、今はいつも以上に苛立っている様子じゃった。
彼が何に腹を立てているか想像できるが、わしはあえてとぼけるように答えた。
「どういう、というと?」
「とぼけないでいただきたい。ミス・マルフォイをどうしてあの場で呼び出したのか、それをお尋ねしているのです。あの娘はポッター達と違い、先程のパーティーに参加しておりました。疑う理由などないはずですが?」
確かに、今のところダリア・マルフォイを疑うような根拠は何もない。それなのに生徒をあの場で呼び出すというのは、どうぞ彼女を疑ってくれと皆に宣言するようなものじゃ。我がごとながら、理不尽極まりない所業とさえ思う。
じゃが、彼女のトムと非常に似通った雰囲気が、わしの彼女に対する警戒心を生み出していた。ダリア・マルフォイがただの一生徒であればこんなことはしなかった。
わしには、どうしても彼女が『継承者』であるとしか思えなかったのじゃ。
50年前。まだ学生であったヴォルデモート、当時は『トム・リドル』という名前だった彼は、優等生として振る舞っている裏で『秘密の部屋』を開き、その中にいた
そんな彼と似通った雰囲気を持つ生徒。類まれなる才能で教師を魅了する裏で、彼と同じ残虐性かは分からぬが、確かに何かを隠していると思しきダリア・マルフォイが、今回の事件と無関係であるとは、わしにはどうしても思うことができなかった。トムと違い、わしが何か言う前から他の生徒には疑われている様子じゃったが。
「セブルスよ。冷静になるのじゃ。確かに、彼女はパーティーに参加しておった。じゃが、以前扉が開かれた時も、トムは証拠は何一つ残しておらんかった。それに、パーティーにおったからといって、彼女がやっておらん証拠にはならん」
「……どういうことですかな?」
「『秘密の部屋』の伝承はおぬしも知っておろう? もし、伝承通り部屋の中に何かしらの『恐怖』があったとして、それを継承者が操れるなら、別に犯行現場に本人がおらんでもよいということじゃ」
前回扉が開かれた時も、トムは一切の証拠を残さなかった。当時も多くの生徒が石にされた。わしは事件が始まった段階でトムに対する監視を強めたが、結局彼の殺人を止めることは出来なかった。最後には生徒の一人が石になるのではなく、本当に殺されてしまう結果になってしまった。トムは何かしらの方法でわしの監視をすり抜けておった。
「……彼女にやっていない証拠がないということは分かりました。ですが、彼女が
確かに彼女がやったという証拠は、彼女ならそれが可能という評価と、彼女の持つトムとの類似性のみだった。
「そうじゃのう、確かに彼女がやったという確かな証拠はどこにもない。じゃが、考えてもみよ。もし、あの場であの子を呼ばなければ、彼女の代わりに誰が疑われた?」
「……ポッターですな。奴はミス・マルフォイと違いあの場にいた。生徒達は短絡的に奴を疑ったことでしょうな」
わしが何かするまでもなく、ある程度生徒は最初からダリア・マルフォイを疑っている様子じゃった。じゃが、心情的にはともかく、やはりあの場の状況として最も疑わしいのはハリー達じゃった。あの場でああしなければ、彼らが最も疑われていたことじゃろう。
「そうじゃ。じゃから、」
「ポッターを守るためとおっしゃりたいのは分かりますが、だからと言って、無実のミス・マルフォイに容疑を擦り付けるのには納得しかねますが?」
「……随分彼女を庇うのじゃのう。生徒達に興味を示さんそなたらしくない」
「……」
ルシウス・マルフォイの娘を気にかけているとは口が裂けても言えず、沈黙しながらこちらをにらむだけのセブルスにため息をつきながら続ける
「……確かにハリーを守るために、彼女に疑いの目を向けたのは確かじゃ。じゃが、それはハリーを守るとともに、彼女を守るためでもある」
「……どういうことですかな?」
わしの返答に、セブルスは訝し気に問うてきた。
「考えてもみよ。ダリア・マルフォイが犯人だった場合でも、アーガスには悪いが、所詮猫を石にしただけじゃ。まだホグワーツ内で彼女を庇うことはできる。じゃが、生徒の誰かが犠牲になってしまえば、もうわしは彼女を庇うことはできん。アズカバンに送るしか道はない」
わしは一度言葉を切り続ける。
「前回はわし以外の人間は誰一人として、トムを疑ってはおらんかった。その結果、一人の尊い命が失われてしもうた。わし一人の監視では限界があったのじゃ。じゃが、今回はこれで
生徒達のためにも、そして何よりダリア・マルフォイのためにも、50年前の惨劇を繰り返してはならないのじゃ。
「……もし、彼女が『継承者』でなかったなら?」
まだいらだった様子のセブルスにこたえる。
「『継承者』でなくても変わらんよ。監視のさなか、彼女が
「左様ですか……」
まだ納得はしておらん様子じゃったが、セブルスは一応頷いてくれた。
頷くセブルスを眺めながら考える。
前回とは違い、事件始まり直後にこちらは対応できておる。
このまま何も起こらねばよいのじゃがのう……。
そう祈る心とは裏腹に、事件はこれだけでは絶対に終わらないという暗い予想が頭から離れなかった。
ハリー視点
ロックハートの部屋から談話室に戻ると、もう夜遅いからか誰も部屋にはいなかった。
僕は誰もいないことを幸いに、気になっていることをロンとハーマイオニーに尋ねた。
「僕が聞いた
「いんや。止めた方がいいよ」
ロンはきっぱりと言い切った。ハーマイオニーも賛成らしい。
「貴方が聞こえたって言ってた声、私とロンには聞こえなかった。なら言わない方がいいわ。最悪、頭がおかしいと思われてしまうから」
「で、でも、君たちは信じてくれるだろう?」
「勿論よ」
すかさずハーマイオニーが答える。ロンも同じなのか頭を縦に振っている。
僕がそれをうれしく思っていると、ロンが話し始めた。
「本当に気味が悪いことだらけだ。あの壁の文字だってそうだ。『秘密の部屋は開かれたり』だっけ。秘密の部屋か……。どっかで聞いたことあるんだけどな……。昔ビルが言っていたきがするんだけど」
「私も聞き覚えがあるのだけど、詳細は覚えていないの。でも、何に書いてあったかは思いだしたわ。マルフォイさんが教えてくれた通り『ホグワーツの歴史』に書いてあったはずだわ」
僕とロンは、ハーマイオニーの口から出た名前で体が少しこわばる気がした。
「……ハーマイオニー。君、今度こそあいつと縁を切った方がいいよ」
「どうしてよ」
いつになく真剣な表情のロンに、ハーマイオニーは不機嫌そうに返す。
この期に及んで彼女はまだマルフォイを疑っていない様子だった。
「あいつはさっき、秘密の部屋はマグル出身の子を排除するためのものって言ってたよ。あの時の顔、絶対に君を心配しているような顔じゃなかったよ。あいつはマルフォイ家だぞ。むしろ喜々として君を襲うよ。さっきの言葉だって、君を脅そうとしていた言葉だよきっと。あいつに近づくと、今度は君が襲われてしまうかもしれない」
「お言葉ですけど、ロン。マルフォイさんはいつもあんな表情よ。ただ彼女は表情を変えるのが苦手なだけよ。それに、あなたにはいつもの無表情に見えたかもしれないけど、私にはちゃんと彼女が心配してくれているように見えたわ」
ピシャリと言い切ったハーマイオニーは、そのまま肩を怒らせながら寝室に行ってしまった。
僕とロンはそんな彼女に肩をすくめながら、自分たちも寝室に戻っていくのであった。
それから数日、学校中はミセス・ノリスの件で持ち切りだった。
あの場で文字を見た生徒だけでなく、一夜にしてどうやらあの時の光景は皆に伝わったようだった。もうあの現場でのことを知らない生徒など一人もいない様子だった。
そして皆が話している内容の多くは、
「やっぱり僕たちだけじゃなくて、皆ダリア・マルフォイのことを犯人だと思ってるみたいだよ」
ロンが朝食の席でハーマイオニーにそう言った。それをハーマイオニーは、『ホグワーツの歴史』という本を開きながら無言で聞いている。どうやら無視を決め込むつもりらしい。
『秘密の部屋』については、確かに今彼女が開いている『ホグワーツの歴史』に書いてあった。と言っても、書いてある記述はそこまで多くない。
ホグワーツ創設者の一人であるサラザール・スリザリンが、彼の純血主義のために他の創設者と対立。そして追い出される際、ホグワーツのどこかに自分の真の継承者しか開けない部屋を作り、その中に彼がふさわしくないと考える生徒を追い出すための『恐怖』を封じ込めた。
そういった内容しか、その本には書かれてはいなかった。継承者とは何か。恐怖とは何かといった具体的な内容はどこにもなかったのだ。
でも、どうやら『ホグワーツの歴史』を読んだのは僕たちだけではなかったみたいで、数日するとその内容も皆が知るところとなっていた。
そして皆がもっぱらその『継承者』だと疑っているのが、件のダリア・マルフォイだった。
わずかではあるが、現場にいた僕を疑う声もあるそうだけど、ほとんどの人間はダリア・マルフォイを疑っていた。
「マルフォイの家は歴史だけは長い純血の家だよ。しかも全員が腐れスリザリン出身だ。あいつがスリザリンの末裔だっておかしくはないよ。そんな家のあいつは、これまた冷たい表情が板についているような奴だ。あれは誰か殺してても僕は驚かないね。それに、あいつがロックハートの授業初日でやらかしたことを考えればね」
「ロックハート先生の授業がどうしたの?」
ロンを無視していたハーマイオニーが、本から顔をあげて反応した。
どうやら話を聞いていないというわけではないらしい。
「なんでも、ロックハートが用意していた大量のピクシーを虐殺したらしい。しかもとびっきりの笑顔で」
「マルフォイさんが?」
僕もハーマイオニーも初耳の話だった。
ハーマイオニーは真偽のほどを疑っている様子だったが、僕には容易にそれを想像することができてしまった。
彼女は人だってあんな笑顔で殺そうとするのだ。それに比べたら、ピクシーを殺すことなんて何の抵抗も感じはしないだろう。
それどころか喜々としてやるような気さえした。
「うん……。そうだね、あいつならやりかねない」
「ちょっと、ハリー!」
僕がロンに同意したことで憤慨するハーマイオニーに、僕は諭すように話した。
「ハーマイオニー、君にも話しただろう? 去年僕が禁じられた森で見たことを。マルフォイがあそこでどんなことをしたか」
「ええ、そうね。聞いたわ。あなたがマルフォイさんに
そう不機嫌に言い切るハーマイオニーを無視してロンが話を再開した。
「まあ、ここまででも皆あいつが犯人だと薄々気づいてるんだけどね、決定的なのはダンブルドアがあいつを疑ってるってことだよ。あの時ただ参考にしたいからって言ってたけど、そんなわけないだろう? ダンブルドアは今世紀最高の魔法使いなんだぜ。ダンブルドアがあいつを疑ってるのは間違いないね」
「でも、それならなんでダンブルドアはマルフォイを捕まえないんだろう?」
僕が問うと、ロンはすかさず答えた。
「証拠がないんだよ。あいつが犯人だろうことは皆性格で分かっているのに、それをやったっていう証拠がないんだよ」
「でも、このままじゃあいつはこれからも誰かを襲い続けるよ。それに、僕を疑う人もいるにはいるんだろう?」
「うん……まあね。あの場にいたのはあいつじゃなくて、僕たちだからね。でも、気にすることはないぜ。犯人はダリア・マルフォイって分かってるんだからさ」
「でも、証拠がないんだろう? 誰かが襲われる前に、はやく証明しなくちゃ、」
「証明なら出来るわ」
黙って僕たちの話を聞いていたハーマイオニーは、意を決したようにそう言った。
僕とロンは驚いてハーマイオニーを見つめる。正直、ここまでダリア・マルフォイのことを庇う以上、ハーマイオニーがあいつの犯罪の証拠をつかむのに積極的になることはないと思っていた。
「どうやってさ?」
「難しいし、危険なことよ。でも、やる価値はあると思うわ」
ハーマイオニーは言葉を一度きり続ける。
「それはね、私達がスリザリンの談話室に忍び込んで、正体を偽りながらマルフォイさんにいくつか質問するのよ」
どう考えても無理な方法だった。
「そんなの無理に決まってるだろう!」
ロンは半ば呆れながら言う。僕もハーマイオニーにしては荒唐無稽な案に半ば驚いていた。
「いいえ、無理ではないわ」
それに対してハーマイオニーは断言した。
「ポリジュース薬が少し必要なだけよ」
ハーマイオニー曰く、『ポリジュース薬』とは飲めば誰かに変身できる薬とのことだった。
しかし作ると言っても、それを作るためには詳しい製法が書かれた本、そして多くの材料が必要だった。しかもその中にはスネイプの管理する材料や、変身したい相手の体の一部などといった、手に入れるのが困難極まりないものも存在した。
「ハーマイオニー、本当にその薬を作るのかい? だって、それを作るのに、スネイプの倉庫に忍び込んだりしないといけないんだろう?」
規則どころか明らかな犯罪行為だ。この手のことをハーマイオニーは心底嫌っているはずだが、それでも決意は固いみたいだった。
「分かってるわ。でも、こんなことより、マグル生まれの人を襲うことの方がよっぽど悪いことよ。だから、証明するのよ」
「どうしたんだい、ハーマイオニー。君、さっきまであいつのこと庇ってたじゃないか? でも、そうだね。今回はミセス・ノリスだったけど、次からは人間を襲うかもしれないもんな。時間は少しかかるけど、これが最も最速の方法だろうし。それに、これなら確実にマルフォイを捕まえ、」
「何を勘違いしているの、ロン」
ハーマイオニーはロンの言葉を遮って言った。
「私はね、彼女がそんなことを
そう言って決意に燃える瞳をしているハーマイオニーに、僕たちは曖昧にうなずくことしか出来なかった。
ハーマイオニーはそう言うけど、僕はやっぱりダリア・マルフォイこそ犯人だと思っていた。
当初は兄のドラコも犯人ではないかと思った。が、確かに嫌な奴だけど、あいつにそんなこと出来るような度胸もないだろうと思いなおしたのだ。
なにより、ダリア・マルフォイの方がそれっぽかった。
そんな認識の違いこそあるが、僕たちのやることは変わらない。ただスリザリンに忍び込み、この事件の真相を聞き出すだけだ。
ハーマイオニーには申し訳ないけど、僕はダリア・マルフォイが犯人だと確信しているし、これであいつの犯行の証拠をつかむことができたらなと思っている。
ハーマイオニーが、ダリア・マルフォイに襲われる前に。
こうして、僕たちの『ポリジュース薬』作りが始まった。
???視点
馬鹿な小娘の体を使って扉を開いた時、僕はいいしれない高揚感に包まれた。
これから、50年前に果たせなかった仕事を完遂することが出来る。
しかしそれ以上に、僕にはどうしてもやらなくてはならないことがあった。
今のホグワーツには、
今年僕は、50年後の僕が出来なかったことを成し遂げることが出来る。僕はより偉大な存在になることが出来る。
そう思うと僕は興奮を禁じえなかったのだ。
生贄が選ばれた際僕が初めに知ったのは……どうやらこの少女はハリーに恋をしているらしいことだった。
そのため、僕が彼女に優しく寄り添い、根気よくこの馬鹿な小娘の悩みを聞いてあげていた。
すると、彼女は喜々として僕に彼についてのことを書き込むようになっていた。
彼がいつも何をしているか。彼がどのようなことが好きか。そして彼が今
彼女の視点から見たものでしかなかったが、それでも多くのハリーに対する情報が僕の中に舞い込んできた。
ルシウス・マルフォイは非常にいい生贄を選んでくれた。
僕は本の中でほくそ笑む。この少女の手に僕がわたることによって、僕は非常にハリーを殺す計画を立てやすくなった。
そして、彼女が僕を信頼しきり、ついには僕に魂をさらけ出し始めたとき、僕は計画を実行に移すことにした。
僕は流れ込んでくる魂で力を増し、そして彼女には逆に僕の魂を流し込むことによって、ついに彼女の肉体を短時間とはいえ乗っ取ることに成功した。
僕が彼女の体で初めにしたことは、まず『秘密の部屋』の扉を開くことだった。
『怪物』を制御下に置き、僕はついに50年前の続きを始めた。
でも前回と違い、扉を開いた目的は『穢れた血』の一掃ではない。勿論それは非常に大切なことであるが、物事には優先順位というものがある。
僕は今回、扉を開くことで、ハリーを絶望の淵に追いやり、その果てに孤独な死を与えてやることにした。
少女の書き込みから、ハリーが非常に周りから慕われていることは分かっている。
だから、その下らない友情とやらをまず壊すことにした。
僕を倒したという少年に、僕は罰を与えることにした。
ハロウィーン。この日は皆が大広間に集まるパーティーがあるはずだった。これについては50年前から変わっていないはずだ。
でも、そのパーティーにハリーは参加せず、何をとち狂ったのか、地下で『絶命日』パーティーに参加するということを僕は書き込みで知っていた。
だから、僕はその日に彼を罠にはめることにした。
ハリーは忌々しいことに、僕のスリザリンから受け継いだ偉大な力を有しているらしかった。それを『怪物』から聞き及んだとき、僕は正直非常に腹立たしく思ったが、逆にそれは僕の計画に利用できることに気が付いた。
僕は『怪物』を使い、ハリーをパーティーが終わりかける時間帯に、本来その時間に生徒は絶対にいないような場所におびき出すことに成功した。
そして、それは非常にうまくいった。
ハリーはまさに犯行現場を見られた犯人そのものであるという印象を生徒に持たれ、全生徒の中で孤立する。
……はずだった。
ダリア・マルフォイという生徒さえいなければ。
どうやら僕の思惑と違い、生徒の多くはハリーではなく、このダリア・マルフォイという生徒を疑っているらしかった。
彼女は現場状況など問題にならないほど疑わしい生徒らしく、それどころか僕を散々苦しめたダンブルドアにさえ疑われているようだった。
あのダンブルドアが、まったく的外れな推理をしているというのは滑稽であった。が、せっかく僕がおぜん立てした舞台を、まったく予期せぬことでぶち壊されるのも非常に気分が悪いものだった。
……まあいい。今回は失敗したみたいだが、まだまだハリーの交友関係から割り出した、ハリーが邪魔だと思ってそうな『穢れた血』は少なからずいる。
それを順に襲うことで、計画通りハリーを孤立させていけばいい。ダリア・マルフォイとやらに対する疑念など問題にならない程の状況を造りだせばいいのだ。
でも、もしそれでもダメなようであったら……。
ダリア・マルフォイ。君には消えてもらはなくてはならない。
マルフォイ家は純血であるはずだが、彼女が偶然僕に触ったさい、彼女は純血どころか
何故そんな生き物がマルフォイ家の娘として存在しているかは分からないが、僕の邪魔をするのなら容赦はしない。
娘とはいえ、純血でもなんでもない化け物を排除してやるのだ。むしろマルフォイ家には感謝してもらわなくてはならない。
そう僕は、何故か