舞巫女の転生譚   作:ジャック

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プロローグ 前編

「ここどこ?」

小柄で女の子にしか見えない少年、笹宮 美雪は困惑していた。

(あれ?確かボクはアニメ見てたんだよね?それでいきなり視界が真っ白になって……気付いたらここにいた。どういうこと?なんでこんなに豪華な部屋に居るんだろう)

自分の部屋に居たはずなのに、気が付いたら壁には壁紙が張ってあり様々な装飾がされていて、高級そうなテーブルと椅子に、今自分が居るこれまた高級そうな天幕付きのベッド。そんな豪華な部屋に、一般家庭のごくごく平凡な男子中学二年生である自分が居る訳が分からない。誰だって自分の部屋に居だと思っていたのに気付いたら貴族の部屋みたいなところに居たら驚くだろう。すると、一枚のメモ用紙が降ってきた。

「えーっと……間違えて君を殺しちゃったので、適当に転生させました☆君の年齢は8歳。前世の記憶は未練が残らないように、君の中の他人の記憶を全て消してあるよ。転生特典も楽しみにしててね♪神より☆って、かっる!ボクの命かっる!適当すぎるよ神様!あれかな?ドッキリかな?」

そんな適当に自分の命を、おもちゃ壊しちゃった!ゴメンね☆代わりのもの買っておいたから♪みたいに言われたら堪ったもんじゃない。

「ほんとだ!手も足も背も縮んでる!しかも記憶も消えてる!楽しかったことも嫌だったことも、思い出は確かにあるのに誰との思い出だったかまるで思い出せないや。でも覚えてないから悲しく無いな……ちょっと複雑……あっ。紙が消えた!神様すごい!」

確かに紙に書いてあった通りの事が起こってるので、もうすごいというほかなかった。すると、タイミングを見計らったかのように、いや、実際神様が合わせたのだろうが、1人の男性が入って来た。

「目を覚ましたようだな」

「えーっと……どちら様でしょうか?」

「私は黒鉄 厳。君のご両親が事故で亡くなったので、引き取った」

(ん?黒鉄?どこかで聞いたような気がする)

「じゃあ。親戚の方ですか?」

(ほう。賢いんだな。親が死んだと聞いても冷静か。教育を施せば経営の面でも活躍させられそうだな)

「いや、君に親戚は居ない。私は君の伐刀者としての能力を買って引き取ったんだ。どうしても嫌だと言うのなら孤児院入れる事もできるが?」

(伐刀者!?ってことはここは落第騎士の英雄譚の世界か!なるほど!黒鉄って言うのは、そういう事ね)

「いえ。これからよろしくお願いします。厳さん」

そう言って頭を下げる。

「私とお前は家族だ。父さんとでも呼べ。別に敬語も無理にいらんぞ。公私の区別さえつければな」

「わかりま、わかった。父さん」

「ああ。それで良い」

「ねえ。父さん。ボク、自分の能力とか、記憶とかが曖昧なんだ。それを少し教えて欲しい」

本当は最初から知らないだけなのだが、そんなこと言える訳が無い。転生して、気付いたらここに居ましたなんて言って誰が信じるものか。

(ん?でも今までの記憶が無いと言う事は誰かの体を乗っ取っちゃった事になるのかな?)

「わかった。お前はショックで記憶が無くなっているんだろう。事故から今まで2日ほど眠っていたんだ。それに関しては放っておいた方がいい。お前の能力だが、明日測る。そこでちゃんとした数値が出る。今日は服などの生活の用意をしてから休め。といっても使用人が来るから採寸をするだけで良い。まだ疲れが取れきってないだろう」

「わかった」

「お前の事を夕飯の時にでも家族紹介する。自己紹介を考えておけ」

そう言い、厳は立ち上がって出て行った。

「はーい」

(うーん……やっぱりこの体は誰が別の人の物なのかな?後で服の採寸とかするらしいからその時に分かるか……でもなぁ……うーあーもうっ!よく分かんなくなってきたっ!)

考えても仕方ないのは分かるが、それでもやっぱり気になるものは気になる。そう悶々と考えていると、また先程のようにメモ用紙が降って来た。

「あっ。なんだろ。えーっと……その体はもともと死んでしまうはずの体だったから大丈夫♪気にするな!by神様☆ ps :君の容姿は前世の物と一緒だよ?なんだ〜良かったあー……でも前世と一緒かー……」

美雪はその名前のせいかたまたまか、男なのに女の子にしか見えないと言う男の娘だったのだ。前世はよくそれで悩まさせれたのだから、どうせ転生するなら変えてくれよと思う。タイミングが良過ぎる気もするが、神様だからと納得しておく。紙は先程と同じく消えていった。

「まあ神様も適当に転生させたって言ってたし、あんまり贅沢はよく無いかな。でも母さんもなんで美しい雪の日に産まれたからって男に美雪って付けるかなあ……」

普通それだけの理由で男に美雪と言う女の子っぽい名前をつけるだろうかと文句も言いたくもなる。この名前と容姿の所為で美雪は今まで何度かナンパにあったり告白されたりしてなんとも居た堪れない気持ちになった物だ。もっとも、神様のおかげで誰にされたかとかは覚えていないが。

(あれ親友にされてたりしたら辛いよなあ……)

すると、ドアがコンコンとノックされた。先程厳が言っていた採寸だろう。

「はーい。どうぞ〜」

そう返事をすると、ドアを開けて使用人です。という感じの人が入ってきた。さすがは名家、動きが洗練されていて本当に使用人なんだなあと思わされる。

「失礼します。美雪様。お洋服の採寸に参りました」

「よろしくお願いします」

「お洋服はどの様な物がよろしいでしょうか?」

「と、言いますと?」

一般市民からしたら服なんて大概変わらないだろう。ましてやオーダーメイドで服を作った事なんて一度も無いので、何があるのかもわからない。美雪からすれば、服なんてTシャツとズボンと上着があれば良いじゃん。と言いたくなる。変に男らしい服を着ても容姿の所為で似合わず、かと言って女物も嫌なので、普通の格好しかできなかったのだ。よし。格好いいのにして貰おう。そう意気込んだ矢先にーーー

「例えば、スカートは膝下どれくらいの長さですとかフリフリのが良いですとか、サラサラのが良いですとかですね。そういう材質とかデザインは、どの様な物がよろしいか教えて下さい」

これである。父さん性別くらい伝えといてくれよ!と、今はここに居ない厳に文句も言いたくなる。黒鉄家は名家であり、今居る部屋から考えても屋敷はかなりの広さであり、相当な数の使用人が居るだろう。これから何回このような誤解を解かなければならないのだろうか。そう思うと気が滅入ってしまう。

「ボクは男です!スカートとかドレスじゃなくて男用の服が良いです!」

「ええっ?何を仰るのですか。可愛らしいご冗談はよして下さい。本当はどの様なものか宜しいのかお教え下さい」

「で〜す〜か〜ら〜あ〜」

そんなやりとりがしばらく続いてなんとか誤解を解き、やっと作って貰う予定になったのがアニメで見た幼少の頃の一輝が着ていたものに似ている物だった。と、言ってもちょっとこっちの物の方が良さげではあったのだが。

 

 

美雪が黒鉄の子になった翌日、美雪は厳に連れられて家の敷地内にある訓練所に来ていた

「では、今からお前の能力を確かめる。まずは固有霊装(デバイス)を出してみろ」

(僕の伐刀絶技とか教えてくれないの!?固有霊装も出し方教えてくれ無いし……いや、この世界の人たちにとっては感覚で出せるのが当たり前なのかな)

それにしたって昨日記憶が曖昧だと伝えてあるのだから、少しは教えてくれたっていいだろう。だが、そんなことを考えてもしかたがないのでやるしかない。確か、固有霊装とは自身の魂を具現化した物とされていたはずだ。ならば、自分の心に語りかければいい。

(おいで。ボクの固有霊装。君の名前を教えておくれ。ーーー-------ああ。そうか)

「舞おう。雪神楽」

水色の雪の模様が入った、純白の扇子が2つ顕現する。

「うむ。なら次は伐刀絶技を使って、向こうにある木を斬り倒してみろ」

「うん」

美雪が木まで走り雪神楽を木に向かって振るうと、木がスパン。という音がしそうな程切断面が綺麗に切れた。これが美雪の能力、絶対切断。雪神楽に触れた物を絶対に断ち切る事が出来る能力だ。

「これがボクの能力か……我ながら結構ずるいなあ……」

「私がお前を引き取る理由がよくわかるだろう。さらにお前の現段階での能力値は、魔力量A、攻撃力S、防御力Aだ。魔力制御や身体能力がまだ低いが、それはこれから鍛えるから問題ない。もう戻るぞ。明日から鍛錬開始だ」

「はーい」

(よし、明日から修行だ。とにかく速くなろう。そうすればいつかきっと誰にも負け無いようになれる。今はまだ、何をしたいとかないけど、とりあえず原作についていけるようになろう!)

そう。何せ彼の能力は絶対に断ち切るという能力。当てればそれで絶対に勝てるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 




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