舞巫女の転生譚   作:ジャック

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タグって何つけたら良いか分からないんですよね……ご指摘頂けると嬉しいです。


プロローグ 後編

(あれから2年経って、ボクは10歳になった。それなりに強くなったと思う。ボクなりの騎士道(みち)も見つけたし、一輝や珠雫とも仲良くなった。王馬兄さんや、父さんともちょっとは分かり合えた……と思う。多分。でもさあ……なんでボク……女の子になってるの?)

「えぇ…………」

昨日までは確かに付くものは付いていたし、胸も膨らんでいなかった。確かに女顏で、何度も何度も女の子と間違えられたし、妹である珠雫と比べても遜色ないぐらいだったが、確かに男だった。なのに朝起きたら胸が少し膨らみ、股の部分に少しあった重さが無い。むしろちょっとスースーする。髪の毛も伸びていて腰あたりまであるし、色やツヤも良くなっていてサラッサラッになっている。そんなニュースにななること間違い無しなびっくり現象が自分の身に起これば叫んだりしてもいいのだろうが、色々と言いたい事があり過ぎて言葉が出なかった。美雪が困惑していると、恒例のメモ用紙が降ってきた。

「これも神様のせいなの!?えー、なになに……これも転生特典だよ♪黒髪ロングの超絶美少女になるから喜びたまえ!※精神が身体に引っ張られるようになってるから安心してね。霊装も増えたよ☆やったね!あとは、武術の天才にしてあるよ!おめでとー♪。か……通りでやたら体術とか剣術とかすぐ出来るようになるわけだよ……霊装も増えたのは嬉しいよ……伐刀絶技も増えてるって事だろうし。でもさあ……黒髪ロングの超絶美少女ってそれは要らないって……もうやだあ〜……あ。増えた。ps.だって君が名前と性別が合わないって言っていたんじゃないか!って。そういう事じゃないんだよなあ……名前と容姿をどうにかして欲しかったよ……」

何故特典なのに悲しくならなくてはいけないのだろうか……だが、ずっとこのまま部屋に籠っている訳にも行かないのでとりあえず、父である厳に報告しに行くしかない。美雪は重い足取りで厳の部屋へと向かった。

「父さーん……ボク、女の子になっちゃったあ〜……」

(なーんて、いきなり言われても驚くだろうなあ……)

「……誰だ?いたずらか?お前が美雪な訳がないだろう。確かに服は一緒で顔付きも少し面影があるが、美雪は間違いなく男だぞ」

厳は結構子供想いな所があるのでかなり驚くかと思っていたのだが、想像の斜め上を行く無表情だった。

(もう答え出てるじゃん!!!!ボクが美雪だとはまだ一言も言ってないよ!)

「ところがどっこい美雪だよ!言ったじゃん!女の子になっちゃったって!ほらこれが証拠!」

「雪神楽!」

二振りの扇子が顕現する。

「ほらね!?これで分かったでしょ!?」

固有霊装は自身の魂を具現化した物だ。美雪であるという何よりの証拠になる。だが、相変わらず厳は無表情だった。寧ろさらに深まった気がする。おそらく、驚いて思考を整理するときは無表情になるのだろう。

「あ、ああ……本当に美雪なんだな……何故そんな事になったんだ?それともやっぱり元から女だったのか?」

信じてくれたのはいいが、なんという事を言い出すのだろうかこの父親は。一緒に風呂に入った事もあるというのに、あろう事か元から女だったのかなどど聞いてくる。お前の目は節穴か!と、突っ込んでも今なら許されるのではないかと思ってしまう。だが、そんな事を言い出すくらい厳も目の前の不思議現象に混乱しているのだろう。

「よくわかんないけど朝起きたらこうなってたんだよ」

「性別以外に変化はあるか?」

「うん。霊装が増えて、能力も増えたよ」

「……」

美雪のあっさりとした衝撃の告白に厳は黙ってしまった。そして、しばらく何かを考えた後--

「美雪、お前の事は高校になるまでは秘匿する。お前の存在を知らせるのは本家の物のみだ。それも女になったという事のみ伝える。本当の事はお前が信用できると思った人にのみ話せ。いいな?」

「うー……分かった。とりあえず一輝と珠雫には伝えて来るよ」

本当なら王馬にも伝えておきたいのだが、あいにく王馬は旅へと出ていて家には居ない。しかもいつ帰ってくるのか分からず、帰って来てもまた直ぐ何処かへと行ってしまうだろうから、当分は会えないのだ。

「ああ。ちなみに、霊装と伐刀絶技はどんな物だ?」

厳が情報制限をする以上、固有霊装の見た目、能力を知っておかないと出来る事が限られてしまう。それに、親として子供の能力は知っておかねばならないのだろう。父さんもこの2年でかなり変わったなあ……と、思わず少ししみじみしてしまった。

「えっとね。見てもらった方が良いかな」

「纏え。紅桜。おいで。流星黒狼」

すると、白と紅を基調とした巫女服のような服が美雪に纏われる。その後、流れるような黒毛とツヤツヤの毛並みが特徴的な2メートルほどはある巨大な狼が出て来た。

「!?……お前、霊装が増えたって二つも増えたのか……しかもなんだその服は、肩も出てるしスカートの丈も短い。露出が多過ぎやしないか……?とどめにそのデカい狼と来た……その大きさはどうにかならんのか……」

今までずっと無表情だった厳だが、今度は顔を少ししかめて額に手を当てていた。

『小さくなる事も可能だぞ!』

少年の、愛嬌のある、だがどこか少し威厳がある声が響いた。

「!?」

「!君、喋れたの!?」

2人が驚くのも無理はない。何せ、美雪の固有霊装である狼が喋ったのだから。

(ていうか、その見た目でその声!?)

『うん!よろしくな!美雪!厳!』

「よろしく!ティティ!」

『ティティ?』

「流星黒狼で、流星(ミーティア)だからティティ!嫌だった?なら別の名前を……」

『いや!嬉しいぞ!うん!僕は今日からティティだ!』

「良かったぁ。気に入ってくれて」

そんな2人の微笑ましい会話が続いてる中、厳は、

「えっ?ティティ?あれが?」

と言って、1人困惑していた。

「それで?小さくなれるって?」

『うん。こういう風に!』

ティティの周りにボワン!と一瞬白い煙出て、消えたと思ったらそこには先程の2メートルほどの黒狼の姿は無く、『りゅうせいこくろう』という感じのSD化したティティがいた。

「おお〜〜!!可愛いいいい!!」

美雪は思わずティティに抱きついてもふもふしている。

「美雪、とりあえずティ、ティティはお前のペットということにしろ。

「わかった。他の人の前では喋っちゃダメだよティティ」

『任せろ!』

 

(あの後、一輝と珠雫に報告に行ったら一輝は少し驚いてたけど、「でも、美雪は美雪だよ。僕の親友で、兄弟で、ライバルで、恩人なのは変わらないよ」って言ってくれたし、珠雫は「お兄様がお姉様に!?やったぁー!私、お姉様も居たら素敵だなって思ってたんです!これで堂々と一緒にお風呂に入れますね!」って言ってたし。子供って強い。ティティの事も普通の犬みたいに接してたし。珠雫はただ純粋なだけな気もするけど……)

 

--------

 

あれから更に2年。美雪が黒鉄家に来てから4年が経った。

「どうぞ〜」

美雪が部屋でゴロゴロしていたら、誰かが訪ねて来た。と言っても美雪の部屋に来るのは珠雫と一輝位のものなのでそのどちらかなのだろうが。

「失礼するよ。……話があるんだ。」

やはり、部屋に来たのは一輝だった。だがいつに無く真剣な表情をしていた。

「どうしたの?」

「明日、この家を……出ようと思うんだ」

(そっか。ようやく原作に向けて始まるんだなあ……と言ってもボクほとんど原作知識無いけどね……でも寂しくなるよなあ)

「また随分といきなりだね」

「この家で見よう見まねで1人で鍛錬するのも無理があるからね。色々な剣術を見て学ぼうと思って」

そう。美雪が来ても、一輝の待遇は変わらなかった。まあ、それにはちゃんとした理由があるのだが……

「そっか、行っておいで。色んなものを見て来るといい。世界は凄いからね。色んな景色、人、武術を見て学んで来なよ。お土産話待ってるからね!」

美雪がとても美しく、どこか嬉しそうに微笑む。それは一輝の心を揺さぶるには十分な威力だった。

(〜〜〜っっ!!やっぱりこれだけは絶対に言っておかないと!じゃないと後悔する。頑張れ!僕!)

心の中で自分の頬を叩き、喝を入れる。

「あのさ!美雪!」

「うん?」

好きだ。そう言えたらどんなに良いだろうか。だが、彼女は2年前まで男だった。だから、あまり女性として見られる事を好まない。そして彼女は兄弟だ。義理とはいえ、この4年間でとても仲良くなったし、本当の家族のように思っている。そして、彼女は一輝の恩人でもある。その事実が一輝の心を躊躇わせるのだ。美雪と出会ってから4年間。最初の一年は、ただ気の良い友達で、仲の良い兄弟位にしか思っていなかった。だが、3年前のあの日美雪は言った。厳、王馬、珠雫、自分の居る時に、

「ねえ。才能って何なんだい?生まれ持った力?じゃあ成長する過程で得た技術、力は?この家の考え方はおかしいと思うんだ。武術の大切さは分かっているはずなのに、伐刀者としての能力が無いだけで落ちこぼれよわばりだ。5の伐刀者としての力を持った者よりも、3の伐刀者としての力と3の剣客としての技術を持った者の方が強いのなら、伐刀者としての力が0の者は、10の技術で補えば良い。100の技術で超えればいい。僕は、努力が出来るっていう事はとても素晴らしい才能だと思うな。だから。一輝は別に落ちこぼれなんかじゃ無い。僕みたいな考え方になれとは言わない。でもね。こういう考え方もあるんだって事を、色んな考え方があるんだっていう事を覚えていて欲しい。伐刀者としてのランクはあまり関係無いんだって勘違いするような人が居るのが困るんだったら、圧倒的な力を、技術を世界に知らしめればいい。公の場でね」

と、きっぱり言い放った。これがどんなに支えになった事か。この日を境に、王馬は少し変わった。強さとは何か、それを考え、追い求めて行くようになった。それは些細な変化かもしれないが、一輝への対応はかなり変わったのだ。普通に接してくれるようになった。美雪の言葉が、行動が、一輝にとっては眩しかった。美雪は天才だった。伐刀者としての能力も、武術の才能も、桁違いだった。そんな彼が言う言葉だからこそ、一輝達には響いたのだ。当時はまだ憧れでしかなかった。だが、2年前。美雪は女の子になった。どういう訳かはいまいち分からないが、とにかくなったのだ。そこからは速かった。もともと男に見えなかったのもあり、男だったというイメージが少なかったのかもしれない。あんなに凛々しくて、真っ直ぐで、自分を見てくれる女の子がこんなに身近に居て惚れないわけがなかった。目の前の黒髪の美しい美少女が好きで好きでしょうがない。だから。断わられるかもしれない。それでも。それでも言わずには居られない。

「美雪。好きだ」

勇気を振り絞って、心から、自分の想いを伝えた。

「ふぇ?」

美雪には、何を言われたのか理解できなかった。否、したくなかった。だって、一輝が元男である自分を好きになることなんて無いと思っていたから。

「likeのほう?」

「どっちもだよ」

美雪はようやく理解する。自分は一輝に告白されているのだと。

「ふぇぇぇ!?///」

(えっ?何で?え?え?いや嬉しいけども。何でそうなるのおおおおお///)

美雪は耳まで真っ赤になって狼狽えてしまった。

「君が、好きだ」

だから、何度でも言おう。目の前の、この愛らしい少女に。自分の想いが伝わるまで。

「ズルいなあ……ボクだって一輝のことが好きだよ!コンチクショー!!///」

(あーあ!///言っちゃった!///もうボク知ーらない///どうとでもなっちゃえ)

「ぇ……」

「何さ!そんなに意外だった?」

そう。こんなに身近に魅力的な異性が居て惹かれない訳がない。それは美雪も同じだった。精神が身体に引っ張られると言うのは、男性への意識だった。何度も一輝にドキッとさせられたし、ジロジロ見られれば恥ずかしかった。女性の裸を見るのも恥ずかしい。男性に見られるのも恥ずかしいという事で、最初は苦労したものだ。

「じゃ、じゃあ」

「うん。でもね。最後に聞いて。これはずっと隠してた事だ。言うのは君が初めてだし、これを言わなければ君に応える事は出来ない。だからよく聞いてね。それで、聞いてから判断して。本当にボクでいいのか」

急に、美雪の表情が真剣なものに変わる。

「ボクはね。転生者なんだ。中2の時に転生させられたみたいで、気付いたらここに居た。神様に会った事は無いけど、手紙をもらった事はある。そして、ボクと共に生きるのなら、永久の時を過ごす事になると思う。その覚悟はあるかい?」

できるだけ簡潔に、分かりやすく伝える。一輝は、困った顔をして少し考えてから

「2年前も言ったけど、何があったとしても美雪は美雪じゃないか。それに、寧ろ永遠に生きられるなんてお得じゃないか。だから、僕と婚約してください」

アッサリとキッパリと言い放つ。過去に何があろうと美雪は美雪だと。彼は言った。

「グスッ……はい。喜んで」

美雪は目から雫がぽとり、ぽとりと落としながらも、満面の笑みで微笑んだ。それはとても絵になっていて、どこか幻想的だった。

「じゃあ、僕は支度しなくちゃいけないから行くよ。ゴメンね急に。これだけは伝えておきたかったんだ」

「うん。明日見送りには行くから」

「じゃあ、お休み」

そう言い残して一輝は部屋から出て行く。

(まさかこんな事になるとは……嬉しい♪)

美雪はベッドに入り、ずっと先に寝ていたティティをギュッと抱きしめて眠りについた。

 

翌日、美雪は珠雫と一緒に一輝の見送りに来ていた。

「じゃあ僕は行くよ。またね。珠雫、美雪」

「うん!またね!」

「お気を付けて行ってらしゃいませ。お兄様。でも許せません……お兄様が家を出なくてはいけない環境作るなど……私が大人になったらどうしてやりましょうか……」

それぞれ簡潔に別れを告げる。珠雫はブツブツと何やら怨言を呟いているのだが、これからは美雪1人で珠雫を止めなければならないと思うと頭が痛い。

「あはは……珠雫。しなくて良いからね?僕は大丈夫だから。それじゃ」

そう言い残して一輝は行ってしまった。あまり長く話すと行き辛くなるからだろう。

「全くもう。お兄様いつもそう。ご自分ばっかり我慢なされて、いつも気にする事はないって言うんですもの……」

「それが一輝なんだから仕方ないよ。さ、屋敷にもどろっか」

「そうですね……お姉様!私もっと強くなります!今度会った時にお兄様を驚かせてやるんですから!」

「それは頼もしいや。ボクももっともっと強くならなくちゃ。一輝にも、誰にも負けないくらいに」

2人は言葉を交わしながら家へと帰って行った。




紅桜(美雪の霊装)は艦これの榛名とかが着ているような奴のイメージです。
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