007/暁の水平線より愛をこめて   作:ゆずた裕里

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第四話 『戦慄のカジノ・アドミラル』
其の一


 「日本に来てこんなことをするなんて思ってもみなかったでしょう、ミスター・ボンド」

 「なに、お呼びがかかればいつでもどこでもなんでも、それが私の仕事さ」

 

 屋外に作られたバーのカウンター席で、英国海軍士官の礼服を着たボンドは明るく答えた。ボンドと話しているのは、バーボンのグラスを手に、海軍の礼服を着た日本人の男だ。この男一見端正だが、ぼんやりとした印象の目をしており、どこか考えが読めない。

 

 ボンドは三重県のとある島にある鎮守府で行われているパーティに、秘書艦の叢雲と共に来ていた。この鎮守府の提督、堂本新次郎は、時折提督など関係者を集め、このようなパーティを開いている。ボンドと叢雲、そして堂本は、このパーティの屋外会場の一角のバーカウンターにいた。叢雲は普段の白い制服ではなく、淡い水色のレディスドレス姿だった。

 

 「鎮守府生活は退屈ではないですか?」

 「いや、退屈はしちゃいないよ。時々物足りなく感じることはあるがね」

 「一人でもお酒に精通した艦娘がいれば、この生活にも張り合いが出ますよ」

 

 堂本はカウンターに肘をつくと、拳で机をコンコンと叩いた。その呼びかけに近づいたのは、黒のタキシードを宝塚歌劇の劇団員のように華麗に着こなした重巡洋艦・那智だった。

 

 「何にします?」

 「そうだな……」

 

 ボンドは一呼吸置いて、那智の切れ長の眼を見つめて言った。

 

 「ウォッカ・マティーニを。ステアじゃなくてシェイクして」

 「お嬢さんのほうは?」

 

  堂本は叢雲にも声をかける。

 

 「そうね……ジョニー・ウォーカーのロックを頂くわ」

 「分かりました。しばしお待ちを」

 

 那智が準備をしている間、退屈しのぎにボンドは叢雲にささやいた。

 

 「無理は禁物だよ。君はカナダドライでよかったんじゃないか?」

 「アンタ……馬鹿にしてんの?」

 

 そんなボンドと叢雲を見て、堂本はにこやかに二人を静止した。

 

 「まあまあお二人とも。ミスター・ボンドから先ほど秘書艦のご紹介もいただいたわけですし、それでは僕の方も」

 

 そう言った堂本の後ろには、栗色の髪をボブカットにし、黒いドレスに身を包んだ背の高い女が立っていた。那智に頼んだグラスを手にしたボンドと叢雲に、堂本は自慢するかのように胸を張って話し始めた。

 

 「彼女は戦艦、陸奥。僕の秘書艦にして、この鎮守府のエースだ」

 

 紹介を受けた女、陸奥はボンドに微笑んだ。その微笑みには、本人が自覚していないだろう色気があった。

 

 「陸奥よ。よろしくお願いね」

 「ボンド。ジェームズ・ボンドだ。こちらは秘書艦の叢雲。よろしく」

 

 長いまつげを揺らしながら煌めくグリーンのつぶらな瞳、主張しすぎない程度に豊満な胸、そしてスラリと長い脚の脚線美……その雰囲気はまるで牝鹿のようであった。ボンドはそんな陸奥を頭から足の先までじっくりと見つめると、言った。

 

 「素晴らしい艦影ですな……観艦式ではさぞ目を引くことでしょうね」

 

 そんなボンドを叢雲はジロリと睨みつける。

 

 「あらあら、ありがとう、ボンドさん」

 「いや、ジェームズ、って呼んでほしいな。もっと親しげにね」

 

 なおも陸奥に色目を使い続けるボンドに、叢雲はプイと背を向けてどこかに行こうとした。

 

 「おい叢雲、どこへ行くんだ?」

 「知り合いが会場にいたのよ。挨拶しにいって何が悪いの?」

 

 ボンドに強く言い放った叢雲は、そのまま参加者の人ごみに消えていった。そんなボンドと叢雲を見た堂本と陸奥は笑っていた。

 

 「まったく、落ち着きのない秘書艦だ……これはお見苦しいところを見せてしまった」

 「いやいや、一連の流れを見ていた側としては、なかなか微笑ましいものでしたよ。楽しげな鎮守府生活が眼に浮かぶようで、羨ましいですね」

 

 ボンドも笑みを浮かべながら、マティーニを口にした。しかしその一瞬、ボンドの瞳は殺し屋のそれになって堂本を睨んだ。

 

 

 

 

 

 ボンドがこのパーティーに出席したのは、一週間ほど前にタイガー田中の依頼を受けてのことだった。

 

 

 「堂本新次郎、三十一歳。三重県の鎮守府を受け持っている提督だ。ここは伊勢湾から紀伊半島沿岸、さらには渥美半島あたりまでを管轄としており、対深海棲艦作戦にもそこそこの功績があるのだが……近頃妙なことが判明してな」

 

 叢雲はタイガーから渡された、堂本のファイルに目を通していた。ボンドはそれを脇から覗きながら聞き返した。

 

 「妙なことって?」

 「この鎮守府だけ艦娘の轟沈率が異様に高いんだ。他の鎮守府に比べ、轟沈の報告が四倍近くある。そこでだボンド。今度彼の鎮守府で、提督を集めたパーティが開かれる。そのパーティに潜り込んで、彼の鎮守府、ひいてはこの海域一帯を調査し、轟沈率が高いわけを調べて欲しいんだ。それが分かれば、あとは我々が事を進める」

 

 ボンドはそこまで聞いて、不機嫌な顔でタイガーに言った。

 

 「タイガー、これは深海棲艦との戦い、戦争だろう。古今東西、戦争には犠牲がつきものだ。轟沈率が高いのも多少の犠牲を払っても任務を達成させる考えの人間だからだろう。別におかしいことじゃないし、功績を挙げているのならむしろ軍人としてはまともじゃないのか」

 「ボンド!」

 

 叫んだのは叢雲だった。

 

 「普段の艦隊運用をしっかりとしていれば、本来轟沈なんて起こりえないの。ここまで轟沈の報告があるのは異常なことなのよ!覚えておきなさい!」

 

 そう言い放った叢雲には、普段以上の気迫があった。ボンドは珍しくその気迫に押されながら頷くと、タイガーに続けて言った。

 

 「しかし……そもそも俺は英国諜報部の人間だ。どうして俺が君らの内部調査をしなければならんのだ。これは本来おたくの部下の仕事だろう。君の部下に熱い心を強い意志で包んだGメンみたいな連中はいないのか?」

 「堂本は提督全員のリストを持っているのか、公安の人間から選ばれた提督はパーティに呼んでいない。だが君は軍人扱いされているからか、こうして招待状が来ているんだ。私たちの関係者でパーティに呼ばれているのは、君しかいないんだ」

 

 タイガーはファイルから抜き取ったボンド宛ての招待状を見せた。しかし、それでもなおボンドは食い下がった。タイガーには悪いが、この仕事を引き受ければ、これからなし崩し的にいろいろとさせられることになるだろう。

 

 「それでも俺はごめんだね。ここに来てからの仕事だって、俺は少なからず英国の為だからやっているだけだ。英国諜報部の人間として、全く旨みのない仕事はお断りするよ」

 「そうか……ならこうしようか。君が任務を成功させれば、報酬として英国政府にまだ公開していない艦娘の情報を渡そう。この任務が英国の防衛に多少なりとも関わることになるぞ。それでも嫌と言うならば、無理にとは言わんが」

 

 タイガーは何としても俺に協力して欲しいようだ。考えてみれば日本の艦娘は皆、彼の娘のようなものだ。そんな感情論を抜きにしても、情報提供のネタをちらつかされては仕方がない。どうも釈然としないが……まったく、駆け引きのうまい男だ。

 

 「ああ、分かったよ」

 「協力に感謝するよ、ボンド。あと、パーティの参加は秘書艦の同伴が必須なんだ。叢雲、ボンドと行ってやってくれ」

 「分かったわ。ボンド、私の恥になるようなことしないでよ」

 「わかりました。ところで……パーティに行くドレスは持ってるの?」

 「艦娘関連のパーティなんだし、戦闘時の服装で十分でしょ」

 「そっか、持ってないんだね」

 「持ってるわよ。何?私のドレス姿、見たいの?」

 「行先は戦場じゃなくてパーティ会場だ。もし周りの艦娘が皆ドレス姿だったら逆に目立ってしまうじゃないか。ちなみに見たいかどうか、っていうのは……まあ微妙なところかな」

 「相変わらずカンに障ることしか言わないのねアンタは……」

 

 

 

 鎮守府がある島は小さな漁港から数キロ先の沖合にあった。その港から出ている定期船が島への唯一の行き方なのだが、ボンドは車で牽引してきたQボートで島へと乗りこんだ。この島はかつては風光明媚な観光地として映画の撮影にも使われていたらしいが今ではその面影はなくなり、鎮守府以外には寂れた旅館の廃墟を残すのみとなっていた。ボンドは島のはずれの岩陰にQボートを隠すと、港で合流した叢雲と共に鎮守府に足を踏み入れた。

 

 

 

 

 バーカウンターから離れた叢雲は、古今東西の料理が並ぶテーブルの方へと歩いていった。叢雲が見たところでは、参加している艦娘の制服とドレスの割合はおよそ半々程度だった。結局どっちでもよかったんじゃない。叢雲は他の艦娘たちを見ながらそう思った。

 そして叢雲は会場の一角で若い提督と話している、ブラウンの髪をツインテールに束ねたセーラー服の少女のもとに向かうと、ボンド相手の時とは全く調子の違う優しい声をかけた。

 

 「久しぶりね、白雪。元気してた?」

 「あっ、叢雲ちゃん!……司令官さん、紹介します。私の姉妹艦の叢雲です」

 

 白雪は、一緒に話していた提督に叢雲を紹介した。提督は叢雲に敬礼した。叢雲も答礼。

 

 「そういえば叢雲ちゃん……あれから転属になったんだってね」

 「……うん、そうよ」

 「あっ、ごめんなさい、言わない方が……」

 「いいのよ。もう気にしてないわ」

 「本当にごめんね。それで、えっと……新しい司令官さんは?」

 「あそこでかっこつけてるイギリス人よ」

 

 白雪は背伸びをして、叢雲の指さした先を見た。その先では、ボンドが堂本と陸奥を相手に談笑している。またくだらない冗談でもかましているんだろうと、叢雲は呆れながら思った。

 

 「なんていうか……素敵な雰囲気の司令官さんね」

 「ふぅん、だったらあんたにあげようか?」

 「いやいや……」

 

 白雪は苦笑した。

 

 

 

 

 「そういえば堂本さん、ギャンブルが好きだとお聞きしておりましたが……」

 

 ボンドは堂本の人となりを資料で把握していた。そのボンドの問いかけに、堂本の目がどこか爬虫類的な、不気味な輝きを見せた。

 

 「いえいえ。正確には……『ギャンブルを持ちかける』のが好きでしてね。僕にそう聞いたところをみると、ミスター・ボンドは……?」

 「まあ、たしなむ程度には」

 「なら良かった。世の中には自分の金のみならず、手をつけてはいけない金を全部ギャンブルにつぎこむような間抜けもいますからねえ。もしよければ早速……いかかですか?」

 「ええ。ギャンブルの内容は私が決めても?」

 「どうぞ。何でも準備しますよ。カードでも、花札でも、チェスでも……コイントスでも。フフッ」

 

 堂本はニンマリと口元に笑みを浮かべた。流石に気持ちが悪いと思ったボンドだったが、そんな素振りを見せないようにして言った。

 

 「もっとシンプルなのがいいな。……そうだ」

 

 ボンドは自分のマティーニのグラスを堂本に見せるように高く掲げた。

 

 「お互いの飲んでいるマティーニとバーボン……この二つのグラスをトレイに乗せてテーブルを回らせ、先に取られた方が勝ち、というのはどうだろうか」

 

 ボンドの提案に、堂本はマティーニのグラスをビシッと指さした。

 

 「乗った。いいでしょう。那智、マティーニと氷なしのバーボンを」

 

 那智が慣れた手つきで準備を始めると、堂本はボンドに向き直る。

 

 「それで、賭け金はおいくら?」

 「んー、五万円、でどうだろう」

 「マティーニ一杯にかける値段にしては、ちょっと高めですね」

 「これは絶対勝つという自信にかけた値段だよ。なんならもっと払ってもいいけど」

 「まあまあ、そのへんにしときましょう」

 

 そんな会話をしているうちに、那智は二人分のグラスを準備してしまっていた。

 

 「お待たせしました」

 「ありがとう。ちょっと失礼」

 

 トレイに乗ったマティーニとバーボンのグラスをボンドは手に取って見た。縁や底に目を配り、どこにもイカサマがないことを確認すると、そのまま陸奥に渡した。

 

 「じゃあ陸奥、頼んだよ」

 「ええ。勝負は公平に、ね」

 

 そう言うと陸奥はトレイを両手で持ち、テーブルの方へと歩いて行った。

 ここまでのうちに、堂本が合図をするような素振りをボンドは確認できなかった。それ以後もボンドは、グラスを確認しながら堂本の様子を伺っていた。しかし。

 

 「ミスター・ボンド、私よりもグラスをちゃんと見ててくださいよ」

 

 その言葉に思わずボンドがグラスに目をやったその時。

 陸奥の持っていたトレイに人ごみの中から手が伸び、片方のグラスを取っていった。

 残ったのは……

 

 マティーニのグラスだった。

 

 ボンドが渋い顔で自分のマティーニを飲み干した横で、堂本は嬉しそうに言った。

 

 「おや、残念。僕の勝ちですね」

 「たまにはそんな時もあるさ。長い人生だからね」

 

 ボンドはそう言いながら小切手をとりだして記入すると、堂本に渡した。

 

 「きっちり五万円だ。君の艦娘たちへのプレゼントの足しにでもしてくれ」

 「では確かに。今夜はありがとうございました。あともしご興味があるのであれば……今度僕が経営しているカジノにお越しください」

 

 堂本は小切手をしまったその手で名刺を取り出すと、ボンドに渡した。その名刺にはネットカジノのものと思しき、海外ドメインのURLが書かれていた。ボンドはギャンブルは好きであったが、この手のものには興味は持てなかった。場の雰囲気にひたりながら、相手の顔をじかに見て勝負をすることがギャンブルの醍醐味と考えていたからだ。

 

 「この五万円は僕のカジノであなたが取り返すその時まで、こちらでお預かりしておきますよ」

 「金は天下の回りもの、だね。それではまた」

 「それでは、ミスター・ボンド。明日になったら一緒に、モーターボートでも走らせましょう」

 

 テーブル側へと歩いていくボンドに、トレイを手にした陸奥はすれ違いざまに声をかけた。

 

 「残念だったわね、ジェームズ。景気づけに、はい」

 

 陸奥はボンドにマティーニのグラスを渡そうとした。そんな陸奥に、ボンドは流し目を送る。

 

 「いや、それは君のマティーニだ。君に私のお気に入りを飲んでもらえるのなら、負けて損なしだよ」

 

 ボンドはそう言って陸奥に微笑みかけると、人ごみの中に消えていった。そんなボンドに、陸奥の顔も思わずほころんだ。

 

 「あらあら……」

 

 

 

 人ごみの中のボンドは、バーボンのグラスを取った女を探していた。あの人ごみの中から伸びた腕の細さは明らかに女のものだった。きっと見つけ出して……その後どうしてやろうか。

 

 バーボンのグラスが取られたあたりのテーブルにボンドはたどり着いた。さて、どこにいるか……と思った矢先。

 

 「残念だったわね、ボンド」

 

 その声にボンドが振り向くと、テーブルのそばに叢雲が立っていた。バーボンの入ったグラスを手にして。

 

 「そう言われるのは君で三度目だ。聞き飽きたよ」

 

 叢雲はボンドに背を向けると、前かがみになりテーブルに肘をついた。

 

 「戦艦相手に色目ばかり使ってるからこうなるのよ」

 「……まったく、君も小粋なことをするようになったな」

 「損した分だけど、経費じゃ落ちないわよ。ま、授業料と思うのね」

 「あの程度は痛くもかゆくもないさ。経費でギャンブルしてあんな目に遭った時に比べれば」

 「えっ?」

 

 振り向いた叢雲を気にも留めず、ボンドは続けた。

 

 「さあおしゃべりはおしまい、ここからは仕事の話だ。何かわかったことは?」

 「ふん、報告はアンタが先よ」

 「それじゃあ……戦艦相手に色目使った結果、堂本氏のもう一つの顔が分かりましたよ」

 

 そう言ってボンドは手品のように堂本の名刺を取り出すと、叢雲に渡した。

 

 「このパーティの目的はカジノの宣伝、その開催資金の出処もカジノの上がり、ってところかな」

 「ふぅん、なかなかのやり手、ってわけね。じゃあ次は私。その堂本って男、とんだ一杯食わせ者でもあるわ。あの男を見て」

 

  叢雲は視線を右にやった。ボンドもそれに続く。二人の視線の先には、ガードマンとして立っている、ガタイのいい五分刈りの男がいた。その男の左耳の後ろには、ハッキリと十円ハゲができている。

 

 「あの円形脱毛症の男。陸奥がこっちに来た時、その後ろをずっと追いかけてたわ。あの耳のBluetoothの受信機が堂本側の盗聴器から続いていて、それを聞いてマティーニが取られるよりも先にバーボンを取る気だったのね。まあ、きっとどんなギャンブルをしたとしても、向こうは同じようにイカサマを仕掛けたと思う」

 「なるほど。でもどうしてそんなことが分かった」

 「Qに頼んで、電探に無線の盗聴機能をつけてもらったの。おかげでアンタにも一杯喰わせてやれたわ」

 

 叢雲はどこかいたずらっぽく、兎の耳のような形をした頭の電探を触った。そんな叢雲に、ボンドは不機嫌そうに続けた。

 

 「まあ、あいつがいかさま師と分かったところでどうにも……」

 

 その時、ボンドは目の前にいた提督の一人がテーブルの上のコースターを拾って持って行くのを見た。しかもその様子は、どこかコソコソしているようにも見えた。なぜコースターを持って行く?それも後ろめたそうに。

 

 「どうしたのボンド?」

 

 自分の立っているそばのテーブルを見つめるボンドに叢雲は言った。しかしボンドは、そこにコースターがないことを知ると、そのまま離れていった。しばらく歩き回り、ボンドはテーブルの一角にあるコースターをさりげなく手にした。そのコースターをじっと見つめるボンドに、突然ほったらかしにされた叢雲は不満げに近づいた。

 

 「一体なんなのよ!?」

 

 そんな叢雲に、ボンドはコースターの表面を爪でこすりながら言う。

 

 「コースターの表面に黒い点みたいなものが……叢雲、部屋に戻ろう」

 「ええ?」

 

 一時はボンドを出し抜いたものの、結局ボンドに振り回されてしまった叢雲は不満と若干の興味を胸に、ボンドと共にパーティ会場を後にした。


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