甘くて甘い飴   作:たびP

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第一話

私、双葉杏は甘い日々を送ってきた。両親から、周りの人達から甘やかされて甘やかされて甘やかされて来た。

昔は、ただただ嬉しかったはずだけど、いつの間にかつまらないと思うようになってた。

 

他にも色々思う事があって考えるのが面倒くさくなっちゃった。だから、家でだらだらと引き籠る事にした。

こんな杏の事も両親は甘やかしてくれたから、何にも考えないで甘えてた。

 

正直、家は裕福だったし、もうずっと甘えてようかなって、そう思ってたんだけど

杏の両親は流石に不味いと思ったみたいで、家を出て一人暮らしするように杏に言ってきた。

いや極端過ぎるでしょ。

 

まぁ、せっかく貰った機会な訳だし、いっそのこと自分の事を誰も知らない場所にしようと思って

東京の学校に通いたいって言ったら、都内のマンション買ってくれた。

だから極端過ぎるって。

 

 

という訳で杏は今、東京でひとり引き籠りライフを満喫しているのだった!!

……学校は、たまーに行ってるから大丈夫だし。

 

 

 

 

 

                      ****

 

 

 

 

「うう~、お、重い」

 

すっかり東京の暮らしにも慣れた私は、だらだら引き籠る為に

食料調達に出かけていたんだけど……。

 

「完ッ全に買い過ぎだよ~。一歩も外に出ないようにする為とは言え、こんなに買い込むんじゃなかった……。」

 

失敗した。面倒くさいからって、何でもいっぺんに済まそうとしちゃ駄目だね。うん。

すごく今更だけど……。ていうか重た過ぎて転びそうなんだけど。

 

「誰か手伝ってくれたらいいのに………って、いないか……。あうっ!」

 

危ない危ない。つまずくところだった……。

もう、本当に手伝ってくれる優しい人は居ないかな……って、

……何だろあの人、杏の事じっと見てる。もしかして手伝ってくれるのかな。

男の人だけど、見た感じ悪い人じゃ無いっぽいし、手伝ってもらおう。甘えるのは得意分野だし

 

「……チラッ。誰か、優しい人、手伝ってくれないかなー……。チラッチラッ。」

 

「……あの大丈夫ですか。……もし、宜しければお荷物を運ぶのをお手伝いさせて下さい。」

 

我ながら少々、あからさま過ぎたと思ったんだけど、どうやら上手く行ったみたいだ。

 

「手伝ってくれるの?……なんて、いい人なんだ!ありがと~♪じゃあ、そこのマンションのエレベーターまで、よろしく~♪」

 

早速、私はそのいい人に手に持っていた買い物袋を渡してやった。

おお、身体が軽い。今なら華麗なステップも出来そうだ……。面倒だから絶対しないけど。

 

「……失礼ですが、どうして、この量の荷物をお一人で運んでいたのですか?」

 

「ああ、この荷物?家でだらだら引き籠る為の食料だよ!一週間分ね!」

 

しまった。あまりにも軽やかな気持ちになったものだから、正直に答えちゃったよ。

案の定、引き籠り発言で固まっちゃったし、この人……。変に心配されても面倒だし……。

適当に話の流れでも変えて、誤魔化せないかな~……。

 

「……ところで、あんた、この近くの人?……見ず知らずの人を手伝うなんて、お人好しだね。あ、お礼とかできないから期待しないでね。」

 

これで、ごまかせたかな?って私が、この人の顔色を窺っていたら、

突然、荷物を片手だけで持って、空いた方の手で着ているスーツの内側を探り始めた。

……どうしたんだろ、誤魔化せなかったのかな。通報とか補導されたら面倒くさいんだよな~。

なんて、色んな事考えてたら、この人は私に小さな紙を差し出して来た。

 

「……なにこれ名刺?……えっと芸能プロダクション アイドル部門プロデューサー 『明星』……あんた、プロデューサーなんだ。」

 

「はい。実はアナタを一目見た時、あまりの可愛さにピンときてしまって、思わず声をかけてしまった訳なんです。

どうですか。アイドルになってみませんか。アナタのその可愛さは天性のモノです!このまま埋もれさせてしまっては惜しいほどに!」

 

な、何なんだこの人?アイドルならないかって?ならないよ!だって、それ働くって事じゃん!嫌だよメンドイよ!!

通報されると思ったから、誤魔化そうとしたけど、私を働かせようって言うんなら、話は別だよ!

 

「またまた~。調子のいいこと言って~。 杏はあんたが手伝ってくれそうないい人に見えたから、甘えてみただけだよ。

アイドルなんて、ムリムリ。働くなんて、ありえないから!」

 

そう言って私は、Tシャツに書いてある、座右の銘でもある『働いたら負け』の文字を堂々と自称プロデューサーに見せつけてやった。

私は絶対に働かないぞ!ドヤッ!

 

「……もし、オーディションに来ていただければ、そこで契約と『印税』の話をしようと思います。」

 

いや、だから働きたくないって……ん?契約と印税の話をする?……『印税』?

 

「……!!……アイドルになって歌が大ヒットすれば、『印税』が入ります。

それに、トップアイドルになれれば、その『印税』の額はもの凄い事になります!それは、もう一生遊んで暮らせるほどに!」

 

……『印税』……『一生遊んで暮らせる』……夢の『不労所得』!!

働くのは面倒くさいけど、あの件のこともあるし、……今のうちにちょっこと頑張ってお金を稼ぐのは全然アリだよ!

…………それに、私が変われる最後のチャンスかもしれないし。

 

「プロデューサー!……………く、詳しい話を聞かせてもらおうじゃないか!」

 

 

こうして、私、双葉杏はアイドルの世界へと飛び込んで行くのだった……。

早まってないよね?私……。

 

 

 

『AwakeNeet'sZeal』

 




プロデューサーに名前を付けえるかどうか迷ったんですが、区別できた方が便利だと思い、
付けました。
名前は「スターライトステージ」からもじって、「明星」

初投稿作品、読んでくださってありがとうございます。
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