ナザリック地下大墳墓。それはかつて1500人からなる討伐隊を組みながら倒すことができず、チートさらには運営が用意したラスボスとまで言われた伝説のギルドの拠点である。ギルド「つるぴか」もその討伐隊の一角を担い、最終第八階層までギルドメンバーが誰一人として欠けることのなく進んだギルドである。ギルド順位は全盛期で31位であり、15名という比較的少数のギルドにしては破格の強さと言えた。彼らは倒すと決めた相手に対しては確実に勝利をおさめてきた。そう先の伝説のギルド『アインズ・ウール・ゴウン』を除いて。
ユグドラシルのサービス最終日。ギルド「つるぴか」のうち集まったのはわずか4名。
戦士の"ザ・マッスル"
魔法使いの"魔女"
レンジャーの"とんざる"
ギルド長でありギルド唯一の異業種"レジェンド・スター"
この4名である。
彼らは今ナザリック地下大墳墓第一階層にいた。目的は勿論、唯一倒せなかった相手を最後に倒すことである。否、たった4名で倒せるなどと本気で思っている者はここにはいない。ただ、ユグドラシルのサーバーが落ちる瞬間を自分たちが唯一倒せなかった地で迎えたいだけだ。事実、すでにサービス終了まで15分しかないというのに、未だに第一階層で手こずっているのだから。4名しかいないということを考えれば当然の結果ではあるのだが…
「たった4人なのに、まだ誰も死んでないって俺たちすごくねーか?」
比較的安全な場所に来たからか、いかにも頑丈そうな真っ赤な鎧を装備している男が気が抜けたように言った。
「確かにね。でも油断は禁物だよ。マッスル、君の悪い癖だね。」
純白のローブを身に纏った魔法使いがそう注意すると、見るからに忍者と分かる風貌の者もそのとおりだという風に首を縦に振る。
「もう時間もないし、最後の時間はここで迎えようか。」
ギルド長であり、頭の上には神秘的な輪が、腰の辺りからは真っ白な羽が生えている天使がそう提案すると、他のメンバーもこれに同意した。
サービス終了間際。
天使は無限の背負い袋からあるワールドアイテムを取り出す。その名も
『永劫の蛇の腕輪《ウロボロス》』
運営へ仕様変更をお願いでき、これが使われるたびに運営狂ったかというコメントでネットが炎上するチートアイテムである。
23:59:35、36、37……
そして彼らは願う。
最後のお遊びのような軽い気持ちで。
23:59:44、45、46……
「------------までは終われない」と。
※捏造設定:『永劫の蛇の腕輪』について
ユグドラシル時代において、原作では「提示された選択肢の中から選ぶ」でしたが、本作では「転移後と同様に、どんな願いでも(法律の範囲内であれば)叶えられる」としています。
※7/8 脱字があったので修正しました。
Aria,Rainさん、ありがとうございます。