ナザリックと共に   作:ファン・ジーター

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遅れてすみません(>_<)


カルネ村

 走る走る走る走る走る走る

 後ろを振り返る

 鎧を着た2人の男が追ってきている

 走る走る

 

 エンリはかつてない速さで走っていた。

 吟遊詩人が歌う、メロスよりも速かった。

 しかし、男たちとの距離は次第に縮まっている。

 エンリは思った。

 何故だ、と。

 メロスよりも速く走っているのに何故追い付かれるのだと。

 エンリはすぐにその答えを悟った。

 メロスが実は全力で走っていなかったという、あの説は本当だったのだと。

 

 本当はメロスよりも速かったのは一瞬であった。

 エンリは気付かなかった。

 生にしがみつくことに必死で、自分が肩で息をしていることに。ただの町娘なのだから当然である。

 エンリは気付かなかった。

 いくら自分が力を振り絞っても、無意識のうちに速度を緩めていることに。妹のネムを連れているのだから当然である。

 

 

 エンリは先に追い付いた男を殴り、再び走る。

 

 

 このままでは間に合わない。

 なんとかネムだけでも助けなくては。

 

 しかし、ネムが速さに付いてこれずこけた。

 

 限界だった。

 エンリはその時悟った。

 自分はメロスではなかったのだと。

 

 

 男が剣を振りかぶる。

 

 そして、またも悟った。

 自分は死ぬのだと。

 目の前の男の手によって。

 たった16年の人生を終えるのだと。

 

 

 ネムを抱き寄せ、まるくなる。

 死の瞬間を待った。

 

 

 しかし、それは訪れなかった。

 

 

 恐る恐る男を見ると、呆然と固まっていた。

 

 男の視線の先に目を向ける。

 

 

 

 そこには絶望の闇から現れた、神々しい者たちの姿があった。

 

 

 

  .........................................................

 

 

 

 モモンガ達は様々な実験を行っていた。

 

 遠隔視の鏡<ミラー・オブ・リモート・ビューイング>

 

 ユグドラシルでは買い物をするときに混雑しているかどうかを確認する程度のアイテムでしかなかった。

 しかし、転移してからその用途は大きく変化している。

 外の様子を容易に確認することができるのだ。

 

 映っているのは草原だけ。

 操作を始めて3時間になるが知的生物は見つかっていない。

 俯瞰の高さの調節の仕方が分からないためだ。

 

 モモンガは煮詰まりながらも手を上下左右前後に動かしながら操作方法を探る。

 

 すると、急に高さが変わった。

 どうやら方法を会得したらしい。

 

 黙ってその様子を見守っていたつるぴかの面々も歓声をあげた。

 

 そのまま動かすこと数分、人間の村のようなものを発見した。

 そこにいる者は皆、慌ただしく動いていた。

 

 「祭りかな」

 

 ザ・マッスルが問いかける。

 

 モモンガはそのまま高度を下げていく。

 

 そこでは殺しが行われていた。

 村人に抵抗の余地などない一方的なものであった。

 

 横からウッという声が聞こえ、視線を向けると魔女ととんずらが口元を押さえていた。

 

 そこでモモンガは気づいた。

 リアルならこんな映像を見たら、すぐに卒倒したはずである。

 しかし、現在そんな症状は一切ない。

 これは精神までアンデット化している明確な証拠と言えた。

 

 その話はあとでしようと頭の片隅に追いやり、行動方針を確認する。

 

 「どうしますか?」

 

 その問いに真っ先に答えたのは魔女であった。

 

 「助けるに決まってるでしょう!」

 

 明らかに怒っているように発言する魔女に対して、レジェンド・スターの冷徹な声が響く。

 

 「何か理由があるかもしれない。ここで動かなかくても現地人の反感を買うことはないが、動いた場合反感を買う恐れがある」

 

 冷静な判断であった。

 しかし、感情、特に生死に関わることをそう簡単に割りきることはできない。

 今、冷静でいられているのは人間の心を失った異形種と幾人もの死を見続けてきた軍人だけなのだ。

 

 何とか助ける方法はないかと必死で考えていた魔女から声が上がる。

 

 「いずれは現地人と接触して情報を得ないといけないんだから助けて恩を売った方がいいでしょう」

 

 説得力のある意見であった。

 見ず知らずの人に情報をくれと言われると躊躇するが、恩人がそれを言ってきたのであれば不審に思っても素直に応じるだろう。

 どちらも貴重な意見である。

 

 モモンガはある提案をする。

 

 「アインズ・ウール・ゴウンでは行動に関して、多数決が重んじられてきました。ここは多数決でいきませんか?」

 

 これに皆同意した。

 

 

 結果は無視する-2票、助ける-3票であった。

 

 モモンガは助けるに一票を入れた。

 元々は無視する予定であったが、横で控えていたセバスを見て考えが変わったのだ。

 

 セバスを創ったのは「たっち・みー」である。

 昔、モモンガが異形種狩りの被害にあっていたときに助けてくれた恩人であり、彼がいなければユグドラシルにはまることなく途中でやめていた、そう思うほど尊敬していた人物である。

 

 セバスを見たとき、背後にたっち・みーの姿が見えたような気がしたのである。

 

 彼がいつも言っていたことがある。

 「誰かが困っていたら助けるのは当たり前」

 モモンガは彼の信念に乗っとることにしたのだ。

 

 

 多数決で行動方針が決まったのだ。文句を言うのは筋違いである。

 全員すぐに準備に取りかかる。

 

 モモンガはアルベドに至急、全身鎧を着てくるように伝える。

 モモンガ達は不測の事態に備えて、最高の装備をする。

 

 そうこうしている間にアルベドが到着する。

 

 遠隔視の鏡には逃げまどう姉妹が映っている。

 

 ゲート《異界門》

 

 彼らは例の姉妹の場所に転移した。




(追記) 次話投稿が遅くなります。申し訳ありません(>_<)
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