ちょっと長くなりそうだったので、2話編成にしました。
例の如くウチのサーヴァント達は暴走気味(気味?)ですが、どうか見てやって下さい!
「ふふふ……ここまでやれば、あのアホなカルデアの連中も…あははははは!」
「吾の趣味では無いが、彼奴らの吠え面を拝めるなら……きゃっははははは!」
影が嗤う、数多の怨嗟と憤怒を孕んで……
『奴らを痛い目に合わせる!!』
ーーーーそう、決意を固めたーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
どうも、マシュ・キリエライトです。
緊急事態です。どうやらフランスに新たな特異点……っぽい物が出現したようです。
現時点では正確な観測が出来ず、いつも通りのぶっつけ本番になりますが、私とマスターはその特異点をなんとかするため、再びフランスにレイシフトをする事にしました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第?特異点 人理定礎値?
AD.1431 酩酊酒宴大会 オルレアン
可哀想な黒聖女と鬼さん
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「レイシフト完了です、先輩」
「おう」
と答えるマスターの体には、どこも変調をきたしていないようだ。
「またジャンヌ・オルタさんが犯人だったりして……」
ジャンヌ・オルタ……彼女は今までに2度、特異点を発生させている。
1度目はフランス、2度目は贋作英雄を作り出した………既に2回も大敗を喫しているのに、また特異点など発生させるのだろうか?
マスターもそれを思ってか、ないない、と首を横に振っていた。
「でも、だとしたら一体……」
そこでマシュは周りを見渡してみた。
何かを見つけるため、というよりも、ただなんとなくそうしただけであったのだが……本来なら、ここに存在してはいけない物を、風景を発見してしまった。
「せ、先輩? あそこに生えてる木なんですが……私の記憶によると…」
マシュが指差す方を見てみる。
かなり遠くではあったが、人間であるマスターでも視認する事ができ、なんでやねん……とツッコミを入れた。
「あれ……桜、ですよね?」
「桜……だな」
『マシュ、聞こえるかい? 無事にレイシフト出来たようだけど、変わった事はあるかい?』
音声通信からロマ二の声が聞こえる。
戦えない彼なりに、レイシフトしたマスターとマシュを必死に支えようとしてくれるので、割と助かることが多い。
だからこそ、聞いてみることにした。
「え〜と……フランスに桜が繁殖しているのなら、異常はないです」
『うん、異常だらけだよね、ソレ』
「でも、フランスでお花見! とかって割と有名だったはずじゃないか?
この時代からあった事には驚いたけど」
『うん、マスター君の言うことも尤もだね。
たしかに2015年現在、日本の象徴である桜はフランスでも大変人気の花で、公園などで自生している物もあるんだ』
では、何をもって異常だと思ったのだろう?
あまり外に出たことのないマシュにとっては、ロマ二が支離滅裂な事を言っているだけにしかきこえなかった。
「え、では何が異常なんですか? フランスでも自生していたのなら特に問題ない気がするのですが……」
『そうだね、そこが2015年ならなんの問題もないんだよ。
何が言いたいかというと、今現在君達が立っているフランスの地は1431年……桜が日本からフランスに伝来したのは、産業革命が起こった時代、1854年の事なんだよ』
なるほど…と、ロマ二の説明を聞いて、やっと何が言いたいのか合点がいった。
「つまり、今この地、この時代に桜があるのはおかしい……そういう事ですよね?」
『大正解。 1431年のフランスには恐らく、桜という存在自体知られてないんじゃないかな? それが生えているとなると、その桜が今回の特異点に関係しているのは間違いないだろうね』
「ちょっと近づいてみるか?」
「そうですね、1度近くで見てみない事には何もわかりません」
とりあえずの方針を決めた所で、桜に向かって歩き出す。
近づけば近づくほど、桜の木がかなり生えていた事に気付かされる。
一体誰が、何の目的で桜を生やしたのだろうか…もっとも、桜を生やす事に意味があるのかどうかは知らないが…
「さて、着きましたが……ドクター、見えますか?」
『うん、感度良好、それにしても素晴らしい光景だね。特異点と化している地でこんな事を言うのは不謹慎かもしれないけどね』
「ですが……確かに美しいです。 カルデアにいてはこんな光景を見る事なんて出来ませんからね」
「俺も、久々に桜を見た気がするよ」
『ーーーサーヴァント反応っ! 近いぞ!』
即座に周囲を見渡す二人。
ロマ二も必死で索敵をするが、中々掴めずにいた……しかし、そんは疑問は即座に解決した。
「あれ、マスターはんやあらへんの。 どないしたん? こんなとこで」
「しゅ、酒呑童子? 何やってんだ、こんなとこで」
「桜の木に酒好きの鬼と言ったら、一つしかあらへんよ」
マスター達の前に現れたのは、最近カルデアにやってた伝説の鬼神……酒呑童子その人だった。
本人は酒盛りの為……と言っているのだろうが、驚いたのはそれだけじゃない。
「な、なんで……ジャンヌ・オルタと茨木童子を引きずってるんだ?」
そう、顔を真っ赤にして目を回している二人を、片手でズルズルと引きずっていたのである。
「んー? いやなぁ、いい感じの酒盛りのスポットを見つけた思て、レイシフトしたのはえぇんやけど……なんや悪巧みしとるの見つけてもうてな? そんなんするなら、一緒に飲も? て誘ったんやけど……ちょーっと付き合わせただけでこの有様や」
『酒好きの鬼神と酒盛りって……人間だったらアルコール中毒になってもおかしくないよね…』
酒呑童子はその名前が冠するように、酒を呑む事が大好きらしく、カルデアで度々行われる酒宴では必ず最後まで生き残る事でも有名だった。
スカサハやカエサル、フェルグスなどの酔いそうにないメンバーすら泥酔しているにも関わらず、吐くか寝るまで飲ませ続けると恐れられている。
「えーと……その二人が今回の特異点を起こした犯人…なんでしょうか?」
「そうなん? それはわからへんけど、二人つるんで悪巧みしとったのは間違いあらへんよ」
「先輩はどう思いますか?」
「ん〜……本人に聞いてみない事には何とも…」
んー……と4人で考えていたのだが、その間にも二人が起きる気配はない。
何とか酒を抜く術があればいいのだが…そう考えていると、マシュが口を開いた。
「とりあえずサークルを設置してもいいですか? 他のサーヴァントを召喚すれば、何とか出来るかもしれませんし」
「そうだな……よし、そうしよう。
酒呑童子もいいか?」
「構へんよ? うちも、そろそろ手ぇがしんどなってきたしなぁ、どっかでほっこりしたなってきたさかい」
『うん、偶然霊脈も真下にあるみたいだし、サークルを設置するにはいい環境だと思うよ』
では……と言って、召喚サークルの触媒にする為、マシュの盾を設置してもらう。
これでサーヴァントの召喚やカルデアからの支援物資が充実するだろう。
とりあえずロマ二に頼みたいものは……
「酔い止めと水、頼むわ」
『あぁ……うん、そうだよね』
今まで何度も召喚サークルを設置してきたが、ここまでしょうもない物を送るのは初めてだろう。
だが、今の状況では必要なものなので文句を言わず送る事にする。
「ほら…飲めるか?」
「うぅ………もう…飲めな………」
頬をペチペチ叩いてみたが、どうやら聖女(黒)はダメらしい。
次は茨木童子を起こそうとしたところで、酒呑童子に全部取られた。
何をするのかと思って見ていると……
「はむ……んぐっ……」
「いや、お前が飲んでも意味ないだろ」
「んー、んー、んぐんぐ?」
「な、なんて言っているんでしょうか……?」
口の中に水を貯めているので、なんて言っているのか全くわからない。
余談だが、頬をパンパンにしてングング言っている酒呑童子は物凄く可愛かった。
「んぐ……」
茨木童子の顔をガシッと掴むと、ドンドン顔を近づけていき……
「はむ……ちゅ……」
「!?!?!?」
「さすが酒呑童子さん! 出来ればその役目代わってくれ!!」
酒呑童子は茨木童子の口を開け、自分の口に入っている薬と水を口移しで飲ませた。
突然の行動に顔が赤くなるマシュだったが、マスターの発言を聞いて冷静になれた。
茨木童子の喉が動いていたので、どうやら飲ませる事には成功したらしい。
「ん……んく…んく……ん? んん!? んーー!? んーー!?」
「んちゅ……ぷはぁ……おはようさん、茨木?」
「ほ、ほ、ほぁぁぁぁあ!! ほぁぁぁぁあ!!」
全力で後ずさりしながら奇声を発する茨木童子、羅生門で会ったときとは違って、威厳の欠片も存在していない姿は……ちょっと微笑ましかった。
「な、な、何をしている酒呑!? く、口付けなど……ほぁぁぁ………」
「んふふ…うちとの接吻はどうやったん?」
「酒呑童子さんのドSっぷりが全開になってますね」
「しゅ、酒呑童子! 俺も酔っちゃった! 酔い止め欲しいなぁーーー!!」
マシュはその場で寝転がったマスターの腹に『あ……』と言って、盾を落とした。
「よし、悪は滅しました」
「マシュはんもあんがい、無茶しはりますな〜」
「反省も後悔もありません」
冷たい目で、のたうち回るマスターを見やるマシュ……割とレアな光景だと思う。
「で、茨木? こんなとこで、何してはったん?」
「べ、別に何も……」
完全に目が泳いでいる。
とりあえずこの二人が何かをしていたないし、しようとしていたのは間違いないようだ。
「嘘吐くん? ほんなら、もう接吻してあげへんよ?」
茨木童子の前に座り込み、顔がくっつきそうな距離で話しかける。
茨木童子の唇に指を這わせると、同じ指で自分の唇を触っていた………非常にエロい。
「ジャンヌ・オルタと吾の力で、桜を呼び寄せました。 理由は、こうして桜を呼び寄せる事で時代に矛盾を起こす事で、ここを特異点にしカルデアの者共を呼び寄せてから復讐するためにやりました。 だからまた接吻して下さい」
見事な変わり身だった。
しかも口調まで変わっている……そこまで酒呑童子にキスしてもらいたかったのだろう。
「なるほどなぁ…その聖女はんも、一緒にやんちゃする気やったん?」
「はい、ジャンヌ・オルタから話を持ちかけられ、吾がそれに同意した形になります。
だからまた接吻して下さい」
「また今度……二人きりになれるところで可愛がってあげるさかい、楽しみにしとき?」
非常に………エロい。
「はぅぅ……酒呑〜」
茨木童子は完全に堕ちただろう。
いや、以前から堕ちていたので、更に堕ちたと言った方がいいのだろう。
「マスター、早く起きてサーヴァントを召喚してください」
とりあえず蹴りを入れるマシュ。
「痛い! 俺への対応辛すぎねぇか!? ……んまぁ、召喚するけどさぁ…」
「先輩が悪いです、早くしてください」
もう1発蹴りを入れておく。
「だから痛いって! マシュの筋力Cだろ!? もし本気でやられたら死ぬぞ俺!」
「だったら本気になる前に早くして下さい」
「ロマ二! 俺が蹴り殺される前にサーヴァントを頼む!」
『あ、あはは……誰がいいんだい?』
「あー……洗礼詠唱とか回復が使えるサーヴァントがいると良さそうだな…
ジャンヌ、スカサハ、アイリスフィールの3人だな」
『ん、分かったよ』
「先輩、ジャンヌさんとアイリスフィールさんは分かりますが…スカサハさんは何故?」
マシュに普通に話しかけられビクッとするマスター。 非常に情けない姿である……
「ス、スカサハはルーン魔術の使い手でもあるだろ? だから回復のルーンも使えるかな…と思ってさ」
「なるほど…巨乳を集めた訳ではないんですね?」
「チガウヨ……痛い!」
マシュのローキックが見事に突き刺さる。
太腿から響く激痛に耐えかね、地面を転げまわる。
そんな哀れな男を横目に、サーヴァントたちがドンドン召喚されてくる。
「ふむ……どういう状況なのだ? マスター」
「これは……判断し辛いですねぇ…」
「あ、黒い私がいます。 とりあえず
相変わらずウチのジャンヌはレベルが高い、色んな意味で。 とりあえずダメって言っといたマスターは正しいと思う。
「ほんで? 茨木はどうしたいん?」
「復讐は…したい……けど、酒呑はそいつのサーヴァントだから……」
「あぁ、うちはかまへんよ? もちろん、マスターを殺すのだけは堪忍してな?
マスターも、もし茨木の八つ当たりに付き合ってくれはるんなら………うちと、接吻させたろか?」
「かかってこい茨木童子、俺はサーヴァントの後ろに隠れるが、逃げはしない」
ノータイムでの返答だった。
マシュの蹴りが突き刺さった。
「そんなら、のたうち回っとるマスターの代わりに、うちが宣言しよかな……ほな。
今ここに、ジャンヌ・オルタ、茨木童子連盟対カルデアによる酒宴対決を宣言する!!」
未だかつてない戦いが、今……始まる。
さて、今回は茨木童子と邪ンヌをメインにしてくれ! との事なので、敵としてはこの二人を……カルデア側のメインをマシュと酒呑童子に担当してもらいます。
どうですかね?
と、まぁこんな感じで次回完結予定です。
では次回も…マシュマシュ〜( ´ ▽ ` )ノシ