久々のマシュマシュタイムでなんか、感じが掴めなかった……
さて、マイルス • ペドラさんのリクエストですな。
正義の味方……一体誰なんだ…っ!?
「さて、ヘッドホンは……っと、ありましたありました」
スチャっと装着される愛用のヘッドホン。
ゲストを迎え入れるために、机と椅子を濡れタオルで綺麗にしていく。
今回招かれるゲストは、マシュがこのカルデアで尊敬しているサーヴァントの一人。
だからこそ、失礼の無いよう……不快な気持ちにさせないよう心を込めてお出迎えをする。
「では、始めましょうか」
館内放送のスイッチを入れると、ザッ……ザザザッ……と聞き慣れたノイズが響く。
今日のゲストが誰かを知っている6騎のサーヴァント達は、あの朴念仁がどういう受け答えをするのか…とニヤニヤしながらスピーカーに耳を傾けた。
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『はーーーい!やってきましたマシュマシュタイム!
みなさん今日も〜〜……マシュマシューーー!!みんなを癒やすお耳の恋人、マシュ • キリエライトでぇーーーす!!
さてさて、今日のゲストはまさかのあの方!
今まで幾度オファーしても受けてくれなかったのですが、イリヤさんに協力してもらったら一撃OKを出してくれたロリコンさんです!どうぞーーー!!』
『待ちたまえ、私はロリコンじゃないぞ!?
………ふぅ、今までのゲストは毎回こういう気持ちで来ていたのだろうな…』
『…………………』
『あぁ、そうだったな。マシュマシュー、アーチャーのサーヴァント、エミヤだ。
今日はよろしく頼むよ……で、良かったかな?』
『はい、おっけーです!!』
相変わらず挨拶をしない限り、一言も話そうとしないマシュ。
『と、ここでぐだぐだしてても仕方ないので、とりあえず最近で一番嬉しかった出来事をプリーズ!!』
『ふむ……特にという訳ではないが、やはりカルデアの者全てが私の作った食事を、喜んで食べてくれている顔を見るのが一番嬉しいな』
『なるほど!ーーーーありきたりでツマラナイですね!』
『…………なんでさ』
あまりにもあまりな言い方に、エミヤは普段なら絶対にしないような情けない声を出してしまった。
聞く者が聞けば、思わず反応してしまうその声のトーンは………在りし日の青年を彷彿とさせた。
『そういえばエミヤ先輩のフルネームってあまり聞いた事がないんですが、なんてお名前なんですか?』
『私の名前……か、正直あまり答えたくないのだがね』
『何かあったとかですか?』
理由を知らないからこそ出来る質問。
『それでは一つ、昔話をしようか……』
一人の少年がいた。
彼は正義の味方に憧れた。
だから、正義の味方になろうと努力をした。
才能なんて無いし、出来ることも少なかった。
ーーーそんな彼は運命の出会いをする。
彼女は綺麗だった。
彼女の理想に焦がれた。
彼女の全てに惹かれていった。
幾多の戦いを共に生き抜き、最後に見た彼女は、とても綺麗に笑って去っていった。
戦い方を教えてくれ、強くしてくれた彼女に感謝していた。
だからこそ……いや、彼の道は既に決まっていた。
目の前で傷付いている者がいれば、目に映る全ての者を助ける、そんなーーー正義の味方に。
正義の味方を貫き、貫き、貫ききれず……99を救うために1を切り捨てる選択肢を選び、それでも多くの人を救いたいと願いーーーー救ってきた人に裏切られてしまった男がいた。
ーーー例えこの心が偽善でも、信じた物の美しさは真実だ……それは偽れず、それだけは胸を張れるーーー
青年は願った、そしてーーー絶望した。
戦いの果てに、彼の記憶は、理想は…摩耗していった、それでも正義の味方に焦がれた。
だから青年は選択したーーーー世界との契約を交わし、守護者となる事で救える人がまだ、いるのなら……と。
そして、その青年は世界から姿を消した。
『………どうかな?面白い話ではないだろう』
普段は騒々しいカルデア内が静寂に包まれる。
彼がどれだけ辛く、どれだけ摩耗してきたのか……このカルデアにいるサーヴァント達も非業の死を遂げてきた者も少なくは無い。
だが、エミヤの話を笑う者は一人もいなかった。
ーーーこの、MCを除いては。
『ちゅ、厨二病ですか?』
『さすがの私も、堪忍袋というものがあってだな…』
『だって、それが理由で名前が答えられないっておかしいじゃないですか?
エミヤ先輩……その青年さんは何も悪くないじゃないですか、私にはそこまでの辛い経験なんてないですから分からないですけどーーーその理想は、とても素敵な夢だと思います!!
だから胸を張ってください!その青年のように!!』
マシュは笑顔で、その青年を肯定した。
ーーーその理想は、とても素敵な夢ーーー
裏切られ続けてきたエミヤにとって、その言葉は何よりも嬉しいものだった。
目頭が熱くなるのを感じながらも、先輩と慕ってくれているマシュの前で涙を流すわけにはいかない。
込み上げてくるものを必死で抑えながらエミヤは真っ直ぐにマシュを見据えた。
『………ありがーーー』
『まぁ、厨二病っぽいのは確定ですけどね!』
『マシュ、君は空気を読む能力を何処かに置いてきたのかね?』
『はい!!』
『威張れる事ではないぞ!?』
自信満々に、満面の笑みで答えるマシュには軽い殺意を覚えた。
『はぁ……君やマスターといると退屈しないよ』
『いえいえ、それほどでも!
では次のコーナーに参りましょう!
あだ名を付けよう!!のコーナーでぇーーーす!!』
『だが、既に君からはエミヤ先輩と呼ばれているのだが?』
『そうですね、では万人受けするマルチなあだ名を付けていきましょうか。
エミヤ先輩はどんなのがいいですか?』
『ふむ……コレと言った要望はないが、どうせなら皆が呼びやすいもので頼もうかな』
つまりはお任せ。
エミヤはまだ分かっていない……今のマシュに対して使う選択肢では無い事を。
『赤い人で』
『適当過ぎやしないか!?』
『じゃあ、朴念仁Aで』
『私の過去を知っているだろう!?』
『はっはっはっ!何を仰るのやら!』
スピーカー越しに聞いている全ての者がイラッとした。
『では朴念仁Aさん!次のコーナーです!!
好きな物や嫌いな物をドンドン言ってくださいな!』
『だからそのあだ名はやめてくれないか!?」
『ぷぎゃー』
『
『へい、キャメロット!』
投影した武器を投げ付けようとしたら、ノータイムで宝具を展開される……その防御力は折り紙付き、生半可な投影武装では傷さえ付けられないのは分かっている。
『……で?好きな物と嫌いな物は?』
『はぁ………好きな物は料理、嫌いな物はジャンクフードだ』
『完全に料理好きな主夫ですね、あだ名はおかーさんに変えましょう』
『性別を凌駕しているのだが?』
『否定出来ます?』
エミヤは思考を巡らせた。
ーーーー否定できる要素が一つもない。
『……認めよう』
『はい!元から拒否権なんてありません!!
では次のコーナーに参りましょう! お手紙コーナーに参りましょう!』
『私宛に手紙か……少し楽しみではあるな』
『さぁ!楽しみにしているエミヤ先輩に嬉しい一枚目!ポンコツじゃない、騎士王だ!!さんからですね…『なぜカルデアで再会してからはマトモに会話をしてくれないのですかシロウ、戦友として少し悲しい気持ちになる私の気持ちを少しは考えてください』ですね、どうなんですかシロウ先輩!』
空気を読めなかった某騎士王。
スピーカー越しにいる当の本人は、ほけぇ〜とした顔で聞いている。
『それに関しては……なんというか、な…気恥ずかしさというか、この変わり果てた私が今更どの様な顔をして会えばいいのか分からなくてね。
そして、士郎と言われるのは勘弁して欲しい』
『数年間海外に行っていた幼馴染が突然帰ってきて、俺……変わっただろう?とか言うのに実は勇気がいる、みたいな感覚ですか?
あと、シロウ先輩に関しては深い闇がありそうなのでやめておきます』
『そんな少女漫画のような感じではないのだがね……まぁ、似たような感じである事は否定しないよ』
『エミヤ先輩って主人公属性高そうですからねぇ〜……っと、では次のお手紙参りましょう!!可愛い服が着たい蛇子さんからです!『また、魔力供給お願いしますね?ふふふっ……夢で会いましょう?』です!不潔ですね、エミヤ先輩!』
何故かエロい感じで読み上げたマシュに、ドキッとした者は少なくない。
マスターに至っては、今回のゲストが男だと聞いていた分、その口撃はとても良かったらしい。
『何故だろう、過去の私がゴリゴリ責められている気がするのだが……そしてメドゥーサよ、今のマスターなら魔力供給を受ける必要もなく現界出来るだろう、故に断らせてもらうよ』
『あ、あまり私を見ないで下さいね?妊娠させられても困ります!』
『君は私をなんだと思っているのかね!?』
『え?エロゲーの主人公じゃないんですか?
ではツッコミが入る前に次のお手紙行きましょう!!
全世界シールダー代表さんからのお手紙です!』
一瞬で誰か分かる内容なだけに、エミヤは少し半腰になりながらマシュの発言を待つ事にする。
今のマシュからマトモな発言が出るわけがないからだ。
『え〜、こほん……『本日はお日柄も良く、絶好のお洗濯日和ですね。さて、さっそく本題に入らせてもらう訳ですが……エミヤ先輩、いつも私や先輩を見守っていてくれてありがとうございます。
本番では私がこのお手紙を読むので、少し気恥ずかしいのですが、私と先輩は貴女の後ろにどんな闇があろうとエミヤ先輩を信じています。
こらからも、時には兄のように優しく、時には師匠のように厳しく、私達を見守って下さい。
以上になりますが最後に一つだけ、繰り返しになってしまいますが……いつも、ありがとうございます』…………です』
その手紙には嘘偽りのないリスナーからの気持ちが込められていた。
エミヤの前に座っている少女が顔を真っ赤にしているので、誰が投稿したのかが丸わかりだった。
どんな罵詈雑言が飛んでくるのかと構えていた自分が馬鹿らしい……なんの事はないーーー
『私からも言わせてもらうよ、こんな私の助言を聞き入れてくれて……ありがとう』
『や、や〜、誰なんでしょうね?アヴェンジャーである私には誰の事か全く想像出来ませんね!
『いつ霊基を弄ったのかは分からないが、差出人についての言及はしないでおこう』
『で、では!今回のなんでも答えるマシュマシュタイム!これにて終了でござーーい!マシュマシューーー!!』
『私もやるのだったな。では、マシュマシュー』
ザ……ザザザッ…………
「ふぅ……なんだか申し訳ありませんでした、エミヤ先輩」
「いや、構わないよ。今回の放送、確かに君のキャラクターには驚かされたが、それ以上の喜びがあったからな」
「………私は、エミヤ先輩の事を本気で尊敬しています。普段は少しニヒルな感じですが、何かがあれば正義の味方として助けに来てくれる。
そんなエミヤ先輩が、エミヤ先輩の人生が間違いだったなんて私には信じられません」
マシュの一言一言が胸に刺さる。
それは嫌な感じではなく、純粋に嬉しかったから……人に感謝されたくてこんな事をしてきたわけではない。
人に見返りを求めてこんな事をしてきたわけではない。
ーーーあぁ、久しく忘れていた………この瞬間を私は、俺は求めていたんだ。
「やれやれ……困ったものだな」
「えっ……何か失礼な事でも言ってしまいましたか?」
「いや………」
日頃見せている不敵な笑み。
だが、今見せた笑顔はーーーーー
「ありがとう、俺はまだ頑張れそうだよ」
ーーーーあの頃の青年のようだったーーーー
さて、どうでしたかね?久々のマシュマシュタイム。
今回はマシュの暴走少なめになっちゃったのが申し訳ないところ。
だって、エミヤって結構悲惨な人生じゃない!少しは救ってあげたいじゃないの!!
では、次回はリクを書くかオリを書くか悩んでいる作者ですが、とりあえずは寝ます!!
マシュマシュ〜( ゚Д゚)ノシ