兵装実験軽巡夕張【艦core】   作:逆流系男子

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side:○○の場合、
地の文が○○の一人称っぽくなってたりなってなかったりします


プラン3、所謂小話ですね
機械仕掛けの黒い鳥 side:CUBE


『昔話をしてあげる。最初に深海棲艦が現れた時、目の前に現れて…

傭兵(AC乗り)では刃が立たなかったそいつらを、全て焼き尽くした艦娘の話』

 

誰だったか、あなたは

 

施設にいた頃、一度だけ施設を訪れた女性。

施設内でアーマードコアについての書物を読んでいた時に、そんな話をしてきた。

 

『その少女も無傷では済まなかった。でも四肢から血を流し、艤装が火を噴き始め、

左目が焼け爛れても…その艦娘は止まること無く、全ての敵を蹂躙した』

 

本や映像記録では、どうもパッとしない艦娘のイメージ。

しかしその女性の話す艦娘の話は、とても興味深い物であった。

 

『少女は一度だけ私の方を見ると、優しく微笑んで…

名前を聴く暇も無く、炎に包まれた瓦礫の街に姿を消した』

 

その話をされてからだ。私が、艦娘という存在に興味を持ち始めたのは。

 

『…ハッキリ覚えているのは、巨大な艤装に刻まれた黒い羽のエンブレムと、

力強く金色に輝く左目…まるで機械仕掛けの、黒い鳥のような少女…』

 

 

…見てみたい。そのような力を持つ、艦娘というものを。

そうすれば、私の満たされない感情が、満たされるような気がするから…

 

 

 

 

 

 

「なんだ、思ったより目が覚めるのが早いものだな」

 

気がつけば、私はベッドの上に寝かされていた。

辺りは機械だらけ、そして私の様子を窺いながら、

資料に目配せしあっている数人の研究員がいた。

 

(夢、でしたか。私らしくもないですね)

 

…記憶を整理しよう。深海棲艦との二回目の交戦。状況を打開するために

夕張は無理を承知な作戦を立案。私はそれを受け、夕張の思うままに兵装を操作し…

 

…それ以降はうまく思い出せない。夕張は勝ったのだろうか?あの艦隊に

 

「呆けている所悪いが、君について話をさせていただこう」

 

研究員の中の1人がそう言う。…私は、この男に見覚えがあった。

私が最初に此処に連れてこられた時、ピスケスの傍らに立ち、実験に立ち会っていた男。

 

「AMS動作テスト。一先ずこれは我々の期待に大きく応える結果となった。

妖精が兵装を操作していると感じさせないほど、艦娘が自分の意のままに扱っているように、

夕張もスムーズにあの兵装を使いこなしていた」

 

実に面白い、とその男は一言添える。

 

「しかし、改善するべき点も見つかった。夕張が戦況を切り開く為に使ったあの機動。

レーダーによる敵弾道の計算。敵の攻撃を避けつつ、

急接近する為に必要だったブースターの精密な動作。これらを同時に行った…

それらはどうやら、君の脳に大きな負担を与える結果となった」

 

手元にある資料を一瞥、男は私に問いかけた

 

「何か、そういった負担に対する症状等に、心当たりはないかね?」

「…確かにあの時、強い吐き気と頭痛を覚えました。それと結局、あの後の夕張の安否等、

あれ以降何がどうなったのか良く思い出せませんね」

 

特に隠す必要も無い。私は思い当たる事を包み隠さず話した。

 

「ふむ、なるほど…簡単に言ってしまおう。皆無事に帰投している。

ただし夕張に関しては入渠とは別に、すぐ怪我の治療に入ったがね」

「怪我したのですか」

「心配無い。艦娘の怪我の治りは早いからな。あの程度の骨折ならもう治っている頃だろう」

 

フと、壁にかかっていた時計に目をやる。時刻は2000(フタマルマルマル)を過ぎていた。

出撃開始から約11時間経っているということは…

帰ってきた時刻にもよりますが、私は結構長い間眠ってしまっていたようですね。

 

「君と、夕張からなる『次世代艦娘(ネクスト)』の戦闘には、まだまだ改善点が多い。

あまり無茶はしないことだ。君らは非常に優秀な『素材』なのだからな」

 

 

 

 

後は自由にしてもいい、との事で、今私は目的も無く機関内を彷徨いている。

話しによれば夕張は、既に大体の治療は済んでおり、部屋に戻っているらしい。

 

「……」

 

戻ったら夕張に何と話そうか?彼女は私が、

あの動作の負担について行けていない事を知っているのだろうか?

そう考えだすと、まっすぐに部屋へと戻ることが出来ない。

 

中々考えがまとまらない私は、施設内の職員に許可を得て外へと出る事にした。

ただし、機関からある程度離れる事は禁ずると。まぁ、問題ではありませんが。

少しだけでも良い、今は無駄に清潔な空気より、外の空気が吸いたいだけなので。

 

艦娘を扱う関係上、何かと都合が良いからと、海の近くに機関は存在する。

なので外に出ると、すぐそこから海が見渡せた。…良い光景です。

 

あの戦闘が嘘のように静まり返った、気持ちのいい風が吹く夜の海。

海風に浸りながら、気を失う少し前の事を思い返す。

 

 

敵の後ろに回り込んで戦況を変えたあの瞬間。消え入りそうな意識の中で、

レーダーを通じて戦場を駆る夕張の姿を、私は視た。

 

 

可能性があるのなら、躊躇いもなく命を差し出し、戦場を駆けるその姿。

艤装は傷つき、流血しながらも、少女は心底楽しそうに眼前の敵を撃ち続ける。

 

 

 

差異はあるが、あの時の夕張のイメージは

『機械仕掛けの黒い鳥』の話に出てくる艦娘と重なった。

 

 

 

夕張は強い。しかし、私がそれに現状、ついて行けていない…

…もしかしたら、『妖精』が夕張から離れた理由も、

彼女をうまく制御する事が出来なかったからなのかもしれない。

 

…私は夕張の邪魔はしたくない。その力を、他の要因に邪魔されずに、

思うままに振りかざして欲しい…妖精の変わりに、

私が無理を通せるようにしなければ。

 

結果として、私が負荷に耐え切れず、死ぬことになったとしても構わない。

この心が、あの刺激によって満たされるというのなら。

 

 

私が夕張と繋がった時、私は夕張の『付属品』で良い。代わりに私は強く願う。

本の中ではなく、私の目で、伝承の中の黒い鳥を見せ続けて欲しいと。

 

 

 

 

 

 

「あっ!キューブ!中々タイミング良いところで戻ってきわ!!」

 

私には似合わない決意と思考を巡らせる中、戻って早々明るい声が響く。

 

「この香り…カレー、ですか」

「その通り!この夕張特性のカレー蕎麦を

振る舞ってあげるんだから!ちょっとまってて蕎麦茹でちゃう」

 

鼻歌を歌いながら、黄色いエプロンと小さなポニーテールを揺らし、

追加の蕎麦を茹で始める夕張。

 

あの様子だ。多分私の欠陥(症状)については何も聞かされていないらしい。

その方が都合が良い。私の器量など知ってしまったら

この先の戦いの大きな枷となってしまうだろう。それだけは避けたい…何としても

 

 

「じゃーん!さぁ召し上がれ!今日は特別にエビ天もついてるわ!!」

「いただきます」

 

一口、啜ってみる。…思えば、誰かに食事を作って貰ったのは何時ぶりだろうか。

 

「ど、どう?」

「…美味しい、ですね。意外でした」

「一言余計なのよ!…でも良かったぁ~気に入ってくれて」

 

後は黙々と、二人でその味をゆっくり堪能する。

 

今まで食べてきたものの中で、一番『温かいもの』であったが、

それでも私の心は、表情は…冷えきったままである現状に、少し嫌気がさした。

 

 

満たされないのとは別に、何かを切っ掛けに変わりたいのかもしれませんね。私は…




伏線の回収はしたりしなかったりするぞ(屑)

ちなみに最初期の深海棲艦は地上侵攻に適していたって設定で、
最初の黒い鳥の話では艦娘は地上で戦ってるぞ。
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