兵装実験軽巡夕張【艦core】   作:逆流系男子

16 / 20
夕張要素がねぇ


大本営2

「もう、よろしいのですか?」

「必要以上に長居する気は無いよ」

 

機関の外で数人の護衛らしき男達と、一人の艦娘が大本営を迎えていた。

 

「外で待たせていたんだ。いつまでも寛いでいたら君達に悪い」

「お気遣い、感謝致します」

 

艦娘は、彼らの乗ってきたのであろう黒く塗装されたリムジンのドアを開ける。

軽く会釈しつつ、大本営はリムジンに乗り込んだ。

 

 

「遅かったじゃないか」

「…まったく、大淀と態度が正反対だねぇ?君は」

 

 

車内には、大本営より少々年を食った男が座っていた。

 

「そもそも君も同行してくれれば、あんなわらわらと外で待たせることも無かったんだ。

もう少し人の気持ちを考える事を覚えたらどうだい?」

「君に言われる筋合いは無い」

「僕は考えているよ?考えて煽ってる。反応が返ってこないとつまらないからねぇ?」

「…ふん」

 

男は艦娘…大淀に車を出すよう指示する。

指示を受け、大淀は手慣れた手つきで操作で車を発進させる。

 

「にしても、君はいつの間に運転できるようになったんだい?」

「はい。運転手さんに教えていただきまして」

「なるほどねぇ。ま、流石艦娘って言ったところか」

 

少し個体差はあるが、艦娘はこういった技術を物にするのが人間と比べると早く、

大淀の場合、このような特殊な大型車も4日程の試運転でほぼ完璧にマスターしていた。

こういった事から、艦娘は個々に持つ様々な特技を活用し、戦闘外でも

居酒屋や部品の整備などに精を出す者もいるらしい。

 

「それで、例のあれはどうだった」

「…直接見に行けばよかったのにねぇ。まぁいいや。

大体君の予想通りだよ。アレは旧時代の産物。僕らの発掘したACより、

もっと古く、強大で、イカれた殺戮兵器だったよ」

「タワーからの発掘物なのか」

「確証はないけど、タワーの発掘物だろうねぇ。僕らが当時解析出来なかった

極度の汚染地帯にあったタワーのものだろう」

 

 

『タワー』。その詳細は、今になっても良くわかっていない。

誰が、何のために建造したのかさえも。

記録として残った最古の記述から、既にその存在が把握しており、

複数あるタワーの一部を解析した事により、

人は高度な文明を、AC等の兵器を作り上げて言ったという。

 

技術を得た組織はやがて、

思想の違う様々な国家を形成するに至り、彼らは他の国家への優位性を求めた。

残るタワーを巡り合って、国々は水面下でACによる争いを

繰り広げる事になっていったのが、深海棲艦が現れる前の事である。

 

「ま、これだけタワーの技術とあいつら…深海棲艦の出没場所が被れば、

君の立てた仮説が否が応でも真実味を帯びてくる」

 

 

深海棲艦もACと同じ、タワーの技術による産物である、と。

 

 

「…だとするとわからない。では艦娘とは何だ?」

「さぁねぇ?人に敵対する技術者に対抗して、僕らに授けてくれた自衛の手段何じゃないかな?」

 

大本営は薄ら笑いを作ってはいるが、その声色は実に不愉快そうで、吐き捨てたものであった。

 

「まったくもって忌々しい。この戦いは僕らの介入を殆ど許していない。

勝手な思想の板挟みで、救われたり死んだりなんてたまったもんじゃないねぇ。

自身の命運は、自身の手によって左右されるべきだ。そうは思わないかい?」

「それには概ね賛同する。他の者に管理された兵器に何時迄もすがるなど、我慢ならん」

「あの…」

 

過熱し始めてる話題に、申し訳なさそうに横槍を入れる大淀。

 

「少なくとも私は…可能な限り、皆さんと共に乗り越えていきたいと…」

「すまないが、私は艦娘に心を開く気にはなれん」

 

好意を容赦なく言い捨てる男。

 

「個々によって物言いは様々だ。中には君とは違い、口調の厳しい者もいる。

だが、艦娘は本当の意味で人類に逆らうことをしない。やろうと思えば、

君達にとってか弱い人間など容易に制圧することも出来るだろう。

中には、人によって玩具にされるがままの艦娘もいると聞く。

そして君のように、戦いが恐ろしいと感じながらも、命令一つで戦場に赴く者もいる。

何故だ?君達にとって、それ程にまで人とは尊いものか?答えてみろ」

「それは……」

 

男の言う事に、大淀は何も返せない。

 

建造といったシステムにより、気がつけばこの場に立ち、

大淀はただひたすらに人類の為にと戦っていた。

 

彼女は戦闘を好まない。

傷つくのも、傷つけるのも出来れば避けたいと思っている。

その気になれば逃げ出す事も出来るだろう。なのに何故、私は二つ返事で出撃を…

 

『他の者に管理された兵器』

 

他の者の意志で、自らの意志とは関係なく、この身が動いているのだとしたら…

 

「…申し訳ありません」

 

何も返せなかった大淀は、静かにそう応えるしか無かった。

 

「君達長い付き合いなのに、天下の元帥殿は冷たいねぇ」

 

男…元帥は何も返さない。嫌味など耳に入っていないようだ。

大淀の返答に少しでも期待をしていたのか、

それともあのような物言いをした事に落ち度を感じているのか…

軍帽に遮られた表情は暗く、落ち込んでいた。

 

つまらなそうに元帥を一瞥した後、姿勢を伸ばして一息ついた大本営が言葉を続ける。

 

「まぁ艦娘がどうとかは大して問題じゃない。彼女らはとても献身的なんだ。

それに、この戦いに全く介入できてない現状は変わりつつある」

 

大本営は機関に居た夕張を、そしてCUBEを思い浮かべる。彼らこそ

この不愉快で、退屈な戦争を一変させる一つの切っ掛けだと確信していた。

 

「それを、証明してみせる」

 

手段は選ばない。次の作戦で、必ずやこの現状を打開して見せる。

 

 

全ては、その先にある理想の戦いの為に。

 

 

 




人物について



⑬大本営
文字通りの大本営の人間。別に大本営が彼だけで運用されてる訳ではないが、
何かと表に顔を出しまくるので「大本営の人間と言ったらこいつ」という認識で、
他人からは大本営呼びされている。本名で呼ばれることは滅多にない。
人を小馬鹿した態度に対して、艦娘にはそこまで嫌味を言わない。
曰く、「反応がつまらないから」らしい。


⑭元帥
提督の一人。地位とかはピスケスとか有象無象より高いんだと思う。
もとは腕利きのAC乗りで、人望も厚く、一つの組織をまとめ上げていたという。
艦娘の本質を見抜いており、彼なりに艦娘を信じようとはしているが、
気味悪いほどに献身的な彼女達に人間味を見出だせずにいる。


⑮大淀
所属:元帥
戦いはあまり好まず、主に雑務をこなす。
かと言って弱いわけではない。むしろ一番練度高い。
でも上記の理由により指輪は貰ってない。かわいそう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。