兵装実験軽巡夕張【艦core】   作:逆流系男子

18 / 20
前回の話から、1ヶ月程経過したお話です。


プラン4、所謂前段作戦ですね。
楽しいお茶会をしようじゃないか


西方海域!私、夕張は今艦隊のみんなと共に絶賛敵と交戦中です。

既に敵艦隊の前哨部隊は全滅。残るは強化型のタ級のみ。

 

「摩耶さん!雲龍さん!そのまま後方より支援をお願いします!

これから私達三人、全速力で突撃しますので!」

「了解!残り一体とはいえ油断すんなよな!」

「朝霜ちゃん!磯風ちゃん!タービンぶん回して付いてきて!」

「いよっしゃあ!任せとけぇ!」

「心得た」

 

システム、スキャンモード。

高速で接近しつつ、目標のタ級の進行方向、狙い、速度等の情報を瞬時に解析。

『怯えてるね、あの子』

『…そんなことまでわかるんですか』

『んー、最近心拍数とか体温とかもこの機能で見れることに気づいて、

今までの出撃のデータと、相手の行動パターンを照らし合わせてたら

何となーくそんなのがわかるようになっちゃってさ』

 

元々深海棲艦にも、感情らしきものはあるように思えた。

それがこの機能を使えるようになって、こっそり今までのデータと

敵の行動パターンを照らし合わせてたら、やっぱりその仮説は合ってたみたい。

 

かといって慈悲を与える気などもとより無いけどね。深海棲艦相手にさ。

 

システムを戦闘モードに切り替える。それに合わせ、

艤装にあるチェーンガンから狂ったように弾がばら撒かれる。

 

これは相手を倒すための弾幕ではない。タ級の、その恐怖心を煽る為。

 

「二人共そのまま直進して!ある程度進んだら、ぶっといのお見舞いしちゃいなさい!」

 

私はブースターを使い、左方へと急転進し、引き続き弾幕を形成し続ける。

 

タ級は砲撃準備を止め、装甲面にて弾幕を受ける事に徹している。

…これでいい。こうしていれば奴はもう攻めることが出来ない。それなら…

 

「しゃあ!魚雷発射!!」

 

タ級へと更に接近した二人から、酸素魚雷が放たれる。

魚雷に気づいたが、もう遅い。

 

瞬間、タ級の体が爆散。スキャンモードの情報から、彼女のバイタルサインが消える。

 

呆気ない。戦闘が終わって最初に思ったのがそれだった。

 

この艦隊に加わって大分経った。私もこの艤装での戦闘も既に物にしたと思ってるし、

課題だった摩耶たちとの連携も、現状の戦果を見ればクリアしたと言えると思う。

 

それに、朝霜ちゃんや磯風ちゃん。妖精との連携もうまくいってきて、

今ではすっかり頼れる存在になった。

 

十分だ。十分でしょう?…でも、どうして

 

 

この満たされない気持ちは、なんなんだろうなぁ

 

 

脳裏にチラつくのは、あの最初の戦闘。

理不尽なまでの戦力差。単騎で敵陣に突っ込んだ時の、あの感覚。

あの高揚感を欲している自分がいる。

私は…そんなんじゃなかった気がするんだけど。

 

元々はちょっとデータとアニメと機械いじりが大好きな、

至って普通…普通?の艦娘だったのに。

一々命削って、快感得るような変態じゃなかった気がするのになぁ。

 

というより、もっと前の…元々の私って、なんだっけ?

 

『お疲れ様でした夕張』

『…うん、CUBEもお疲れ様!』

 

今は一先ず、生還出来たことを喜ぼう。深く考えてもしょうがない。

 

「見たかよ磯風!あたいの魚雷だぜ!まっ、あたいにかかればこんなもんさ!」

「いいとこ取りしただけで騒ぐな。みっともないぞ」

「あぁ!?」

「なんだ、潰すぞ」

 

うーん、この二人は相変わらずだ…でもまぁ、何だかんだで一緒にいること多いし、

仲は悪くないはずなんだよねぇ…多分。

 

「やったなぁ!デカしたぜお前ら!」

「みんなお疲れ様」

「お疲れ様です!摩耶さん!雲龍さん!」

 

遅れて摩耶さん、雲龍さんも合流する。

 

思ったことだけど、本当にみんな頼もしくて、戦いやすい。

戦艦クラスの砲撃火力は足りてないけど、司令塔の私、

航空火力の雲龍さん、対空支援、砲撃火力のある摩耶さん、そして速力的に私に

ついていきやすくて、魚雷での必殺火力のある朝霜ちゃんと磯風ちゃん。

すっごいバランスのとれた艦隊だと思う。うん。

 

『みんなお疲れ様。まぁいつものごとく何だけど

目標地点に到達後、とれるだけ資材持ち帰って来てちょうだい』

 

遅れてピスケスさんから通信が入る。

 

『ああそれと…帰艦後、摩耶と夕張。ちょっと外出するからさ、

出撃終わって疲れてるの申し訳ないんだけど、支度しておいてくれない?』

「あぁ?何処行くんだよ?」

「お茶会」

「ん?…あー、あれか…」

 

…お茶会ってなんだろう?でも何か楽しく優雅にお茶を飲み行くって

雰囲気でも無さそうだなぁ…摩耶さんの顔見ると。

 

「それにしても、なんで私も?」

『上層部があんたも来いってさ。あぁ、CUBEも一緒に来いっつってたわね』

『私もですか』

 

上層部、お茶会…なんだか良くわからないけど、会議みたいなものなのかな。

それになんだろう。妙な胸騒ぎもする…

 

 

これが私の、ちょっと満たされない気持ちも吹き飛ばしてくれたら良いな。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「あぁ!楽しみだ!楽しみで仕方ない!!」

 

柄でもなく、僕は歓喜にキャラを忘れて喜びに打ち震えていた。

あの大敗から何時ぶりだろうか!こんなに大規模な戦争は!

大敗の苦渋を飲まされて、以降は国の維持のためだけの物資の確保。

繰り返されてきた、あっても無くても別に両者に深い傷を残すわけでもない

ちっぽけな茶番。まるでつまらない!動きがないではないか!

 

それが、ようやく動きを見せるというのだ。これで喜ばずにいられるか。

 

「精鋭達の選別は決まったかい?」

「既に手配済みだ。時期ここに集まるだろう」

 

書類に記載されている提督の名前は8名。

 

国家直属、傭兵部隊『ゾディアック』より4名、

レオ、アクアリウス、ピスケス、リブラ。

 

大本営管理下における提督より4名、

元帥、ジャック・O。

大将、フランシス・バッティ・カーチス。

少佐、ポール・オブライエン。

新米提督であるレイ・ドミネイト。

 

「貴様の言われたとおりの手配だが、一つ聞きたい。

ゾディアックとフランはわかる。だが残りの二人を選んだ理由は?」

 

ま、そう思うのも無理は無いよねぇ。ゾディアックの面々と元帥、大将は

先の大戦をも経験している精鋭達だ。だが、残る二人は完全に新顔。

主に輸送任務をこなしてきた彼らの採用を、元帥は知りたがるのは当然だ。

 

「少佐の元に視察に行ったんだけどねぇ、彼の下の艦娘…主に潜水艦何だけど、

あれは中々に鍛え上げられているよ。今作戦には十分、戦力として迎え入れられる。

それで彼、新米のRDも中々面白い素質を持っているらしくてねぇ?」

 

RDの下にいる艦娘は、完全なる水雷戦隊だ。

彼は面白い。あの臆病な性格がそのままに滲み出てるのか、

目前にある危機を事前に察知できるらしい。

その素質を使って数々の鼠輸送を成功させてきたそうだ。

 

「しかし、今作戦で必要なのは純粋な戦闘力だ。それだけではあるまい」

「勿論。彼の下にも、僕の興味を失わせない娘がいてねぇ」

 

RDの指揮する水雷戦隊の旗艦を務める、軽巡洋艦川内。

 

彼女も元々の提督を失い、特定の提督に属さない艦娘の1人であった。

彼女はイカれた戦闘狂だ。本当に珍しい。あそこまで気が狂った艦娘もいただろうか。

表面上は、夜戦が大好きな馬鹿ってキャラを通してるみたいだけどね。

 

そのまま傭兵として好きに戦場へ赴いていたのが、

どういうわけか今はRDの下に居着いているというじゃないか。

 

「彼女は恐ろしく強い。夕張とは違って特別な能力を持っているわけじゃないけどね。

凄まじい強さの旗艦を持つ、最低限の練度を保った水雷戦隊。

特異な程に正確な危機感知能力を持つ提督。採用理由としては良いと思うけどねぇ」

「…ふん、良いだろう。どれ程のものかはこの目で見せてもらおう」

 

…表には出せないけど、多分このことを伝えれば、

彼の艦娘への価値観も変わるかもしれないねぇ。

川内は元々の提督を不慮の事故で失った。そういう事になっているが、少し違う。

 

彼女自身の手で、元々の提督を殺したのだ。いかなる環境下においても従順な、

犬にも勝る下僕とする艦娘が、人間に牙を向けた。これは表沙汰にしたら大事件だ。

 

こいつを大々的に公表すれば、それはそれで面白いことになるだろう。

だが、それはまだ時期ではない。今は深海棲艦という邪魔な存在を消すことが最優先だ。

 

「元帥、今度のお茶会はきっと楽しいものになるよ」

「…」

 

夕張とCUBEからなるネクスト艦娘、イレギュラーと言える艦娘。そして最強の敗残兵集団。

駒は揃っている。こいつで、海にのさばる深海棲艦共を叩き潰し、

タワーを牛耳っているだろう『管理者』共を、この戦場にへと引きずり降ろそう。

 

 

さぁ、一緒に滅茶苦茶にしようじゃないか!!




大本営の心境は、普段の艦これを作業感覚で行ってて、
後にあるイベントを今か今かと待ちわびているような心境と似てる気がする。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。