「……」
「……」
夕張とCUBEは、ちゃぶ台を境に向き合って座っている。
方や、赤い顔で、ぎこちなく。
方や、無表情で、動じず。
どうしてこうなったのか、少し遡る。
「単刀直入に言っちゃいましょう。実はこの娘妖精に見限られてるのよ」
「はぁ」
「……///」
実に奇妙な絵面だった。
白を基調とした部屋には、下着やお菓子が散乱し、
その中心にちゃぶ台が置かれ、それを囲うように夕張とCUBEが
向い合って正座。その横に大男があぐらをかきながら、
先ほど淹れてきた緑茶を飲みつつ、そう言っている。
夕張は「艦娘としての正装」に着替えてはいるが、
先程の失態を、外見的には同い年くらいの初対面の男性に
見られたせいで、顔を真っ赤にして縮こまってしまっている。
CUBEはそんな夕張を尻目に、大男の言葉に気の抜けきった返事をした。
「艦娘は、艤装を接続することで
身体能力の大幅な向上が確認されているわ。
だけど、艤装に装備された兵器を扱うのは妖精なの。
つまるところ、この娘に艤装を接続しても妖精が乗らないんじゃあ……」
「ただの水に浮く鉄の塊にしかならない、という事ですか」
「まぁそ~いう事。一応肉壁には利用できなくもないけど、
そんな非効率的な運用はしたくないわよねぇ」
男はお茶を一飲し、言葉を続ける。
「ハッキリ言って、艤装自体の研究は妖精が邪魔をしてきて、
良いデータが取れなかったのよ。
そんな中、妖精を寄せ付けない彼女の艤装は、
素晴らしいデータを得るのに十分な逸物だったわ。
そして、その中で生まれた一つの可能性が……」
男はゴツゴツした、大きな腕でCUBEを囲い込む。
「妖精の変わりに、人間の脳を直接つなげて操作する…!」
「そ、そんなことが可能なんですか…!?」
割り込んできたのは、さっきまで黙っていた夕張だった。
「艤装から発せられる凄まじい情報量を、脳でうまく処理出来ればの話で、
大半の人は『うまくいかなかった』けど……」
「キューちゃん。貴方にはそれが『出来た』。これはとても素晴らしい事なのよ!」
「……」
男はCUBEを乱暴に揺らすが、彼は無表情でされるがままである。
「すぐにでも実用試験と行きたいところだけど!貴重なサンプ…
人材は大切にしなきゃねぇ!じゃ、キューちゃん今日からここが貴方の部屋だから」
「えっ」
夕張は目をパチクリさせながら、男の方を見る
「そ、それってどういう……」
「あら夕張ちゃん。この子はね、もしかしたらこの先戦う時の
『相棒』になるかもしれないんだからぁ、仲良くなるために同居は必要でしょう?」
「へ…へ!?で、でもピスケスさん!?そういう物事には順序ってものが……」
「じゃあお二人ちゃん、そ~いうことだから
明日までゆっくりしててね~!愛してるわよ~!(研究材料として)」
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それで、冒頭に至るわけである。
「あ、あの…」
「なんでしょう」
「…取り敢えず、自己紹介しない?」
「良いでしょう」
先に口を開いたのは、夕張だった。
「私は……一応軽巡クラスの艦娘、夕張。
まぁピスケスさんが言ってたとおり、今は戦えない身なの」
「あの人、ピスケスって名前だったんですか」
「知らなかったんだ……」
「別に尋ねなかったので」
「そ、そっか…」
それから2人は、軽く身の上の事を話した。
夕張は元々、普通の艦娘と同じように戦っていたという。
だが、ある日を境に妖精が乗り込まなくなってしまったらしい。
良く覚えてはいないが、解体寸前、この施設に研究用として保護されたそうだ。
CUBEに関しては、とある施設で生活していたのだが、
偶々その施設と機関に繋がりがあって、
偶々彼が被験体に選ばれ、機関に移されたらしい。
施設での生活は「退屈だった」の一点張りで、詳しくは教えてもらえなかったようだ。
「ですが、施設で一つだけ、楽しみがありました」
「どんな?」
「艦娘の話です」
「!へ、へぇ~!」
「施設では、食料などの物資が少なくなる等の影響はありましたが、
直接的な戦火が迫ることはありませんでした。それ故、艦娘との接触とは無縁。
その存在は、情報媒体で大げさに、神様のような書かれ方がされていたものですが……」
「うんうん…!」
「実際会ってみれば、意外と大したこと無いですね」
ズコー!と、どこからか聞こえそうな勢いで
夕張は横に滑った。
「ひどっ!!折角の生艦娘だよ!?生艦娘!もっとこう…」
「あんな姿見たあとに敬うってのも無理があるでしょう」
「うっ…あ、あれはねぇ!!
ピスケスさんが訪ねてくる時間は
今の時間
「時間ギリギリまで課題を残しておくのは失敗の元ですよ」
「……うぅ~、誰かぁ、この人がいじめてくるよぅ」
淡々と自身の失態を指摘されて半べそになる夕張。
「ですが、安心しました」
「……何がぁ?」
「CUBEは無作法な態度が自然と出てしまいます。
もし貴女が伝承のように高潔な存在であったならば、
共に戦うとなるにしても、相性的に無理があったでしょう」
「……」
ポカンとした顔で、CUBEを見つめる夕張。
しばし呆気にとられた後、笑いながら背をウンと伸ばす。
「あっはっは!……何だか変に、恥ずかしがってたのが馬鹿らしくなっちゃった」
「良い傾向です」
「……ま、とにかくよろしく。キューブ」
「よろしくお願いします」
人物について
①CUBE
元ネタはACfaのフラジールのパイロット。
AMSの負荷であんな物言いになってるとは思うけど、
だからといってまだ負荷かかってないやんという理由であの機械的な口調を辞めたら
ヨクワカラナクなりそうだから細かいことは気にしないことにした。
外見は17~18歳くらい。細身。
服装はあまり飾り気の無い物。
そこら辺のテンプレ男主人公みたいな感じで良いんじゃない(適当)
②ピスケス
元ネタはACVのゾディアック、No.3。
マッドサイエンティストの気質が強くなっている。
実験の為に人や艦娘が死ぬのは、科学の発展として良しと割り切っているが、
必要のない暴力、虐待、それらによる死は嫌っており、
価値のある研究対象の待遇はできるだけ良くするように心掛けている。
服装は一般的な白衣のイメージで大丈夫です
外見は50台程の、筋肉質なおっさん。
「ワン○ンマン」の「ぷりぷ○プリ○ナー」みたいな感じ
③夕張
基本的に皆の想像する容姿だが、
艤装は研究の過程により、人が弄りやすいよう
改造が施されており、外見が全く異なる。(少なくとも、『船』の面影が全く無い)
16~17歳くらい。