CUBEは、ソファーに腰を掛けているCUBEの姿を捉えていた。
…ナニカガオカシイ気がするが、事実である。
冷静に、自身の状況を把握しようと試みる。
<<……不思議な感覚ですね>>
「ぴゃあい!?」
夕張は、急に頭の中で響いた声にビックリして、変な声を上げる。
「夕張ちゃん、どうしたの?」
「え、えぇ…あの…」
<<夕張、どうやら使用中の艤装に『リンク』すると言う事は、こういう事らしいです>>
「こ、こういう事って…どういうことなの…?」
<<慣れるしか無いでしょう>>
「キューちゃん?生きてる??」
<<CUBEはあそこにいますが、どうやらこちらに集中してる時は、向こうで口が訊けないみたいですね>>
「そーなんだ…あ、ピスケスさーん!大丈夫みたいですー!」
「あ?あぁ、そうなの!メモしなきゃ……じゃあ次!どんどんテストしていくわよ!」
次は艤装に武器を積み、問題なく動かせるかのテストだ。
「両腕に『ヒートマシンガン』、両肩に『チェーンマシンガン』。
あと後部に『ブースター』、『サブコンピュータ』載せてみたけど…」
「はぁ~…どんどん、載せて!いぃ気持ちぃ~…」
恍惚な表情を浮かべる夕張。重さも特に問題ないようだ。
<<兵装のチェック、完了しました。問題なく使用できると思います>>
「ほんとぉ?え、えへへ……私ったら、かっこいいかも…!!」
「じゃ、早速出撃してもらおうかしら」
「って、いきなり実戦ですか!!?」
かっこいいポーズをとったままそう叫んだ夕張。
ピスケスは、勿論といった風に大きく頷く。
「演習用の弾まだ無いもの。でもまー安心しなさい。頼れる同志を呼んであるから」
そう言いながら、工廠の出口に向けて手招きをする。
それを合図に、奥から2人の女性が入ってきた。
「よっ!あたし、摩耶ってんだ!よろしくな!」
1人はミディアムヘアの、見るからに血気盛んな重巡クラスの艦娘、摩耶。
「航空母艦、雲龍です」
もう1人は癖の強い銀髪をした、どこか不思議な雰囲気のある空母クラスの艦娘、雲龍。
「今回の出撃で、あなた達の補佐を担当するよう頼んであるわ」
「ゆ、夕張です!よろしくお願いします!」
「…ふーん?奇っ怪なもんだな?本当に妖精の気配を感じねぇ」
「それに、艤装も普通とは変わってるわ」
「おめぇもあまり人の事言えないだろ…」
「空母はみんな個性的」
「あ、あはは…」
<<……しかし、艦娘を海域に出撃させるとなると、『提督』が必要なのでは?>>
「あ、言われてみれば……」
艦娘単体でも、戦闘自体は可能である。しかし海域へと出撃するためには、
提督のみが認知し、『ある程度』操れるという『羅針盤妖精』を介さなければならない。
これを介さないで特定海域へと出撃した艦娘は、
二度と鎮守府には戻ってこれなくなると言われている。
「ピスケスさん。提督無しで海域に出撃するつもりですか?
CUBEさんは提督ではありませんよね?」
「あ~ら?夕張ちゃん、思ってはいたけど、やっぱ相当な『にぶちん』ねぇ?」
ピスケスは懐から、『白い帽子』を取り出し、それを頭に深く被り…
「さぁあなた達!!出撃準備よ!!目標は『コード1-3:製油所地帯沿岸』!!
存分に沈め、データと資材をかっさらってきなさいな!!」
工廠全体が、大きく動き出す。
巨大な歯車は音と振動と共に回り始め、
水路の先、外界と機関を隔てる
艦娘と提督には、この巨大なギミックを動かす存在が見える。
慌ただしく動く、無数の妖精。全ては彼女たちによって行われている。
重厚な機械群の奏でる轟音、それにはとても似合わない、踊るようにギミックを操作する妖精。
その様は、歴戦の艦娘達の出撃を盛大に送り出す、激励のようだった。
「ピスケスさん、提督だったんだ…」
<<これを全て妖精がやっているのですか。凄いですね>>
「……CUBE、今は妖精が見える?」
<<いえ、全く。艦娘と感覚を共有してるであろう今なら、見えると思ったんですが>>
「そっか……多分、私のせいなのかな」
夕張は思い返していた。前に鎮守府から出撃する時、この間に自身を奮い立たせていた時を。
彼女の隣に立つ『■■』や、ずっと支えてくれていた『■■』の事を。
「私も今は、『妖精が見えない』から……」
「おう、お話中?悪いけどさ!そろそろ行くぜ?」
「新入りさん、敵への警戒は怠らないでね」
「あ、ごめんごめん!よぉし……」
完全に門が開かれた。奇妙なことに、門の先は『機関のすぐ外』では無かった。
妖精の力なのか、門の先は、遙か遠くの『別の海域』なのだ。
「重巡!!摩耶!!抜錨だ!!」
「雲龍、抜錨する」
「さぁ……新しいこの兵装のデータ、しっかり取らせてもらうわよ!!」
別海域に飛んだら、夕張の艤装とCUBE本体が相当離れることになるとして、
それで操作大丈夫なのかってのは何も考えてなかっので
各自フロム脳で補おう。(暴論)