兵装実験軽巡夕張【艦core】   作:逆流系男子

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センスある会話が難しいぜ!!メルツェエエエエエル!!!


製油所地帯沿岸:兵装実験3

『あっはは!!見てたわよ夕張ちゃん!!』

 

 

無線より、称賛の言葉が送られる。

 

『どう?気分は』

「レーダーも火器も使いやすいわねぇ!特に見てた?あの弾幕!」

 

夕張は構えを取りながら、興奮した口調で先程の戦闘を振り返っていた。

『攻撃は全て避け、その隙に回避不能の弾幕を叩き込む』。極単純な戦略ではあるが、

機動力が低く、攻撃の命中精度もあまり良くない

深海棲艦共には、先ほどの戦闘のように予想以上の脅威なのだ。

 

「これはあれでしょう?『当たらなければどうということはない』!ってやつ?」

『【火力だけでは何も出来ん】、とも言えるわねぇ』

 

 

「なんだあれ……あんなの船の動きじゃねぇだろ。大丈夫なのか?」

「確かに心配。摩耶がやったら衣類が吹き飛びそう」

「気にする所はそこか!てかおめーじゃ無くてなんであたしなんだよ!?」

 

 

待機していた二人が夕張と合流し、

陣形を組み直した後、目的地に向けて引き続き進行する。

 

 

『夕張ちゃん?あなたの装備は、この先の艦隊戦を大きく覆す力を持っているけど…

良い事だけでも無いわ。まず、あなたの装甲は下手な駆逐艦より薄っぺらい事…』

 

夕張は元々、そのカスタマイズ性の代償として

装甲も回避も軽巡としては最低クラスの部類である。

今回の改造により回避力は格段に上昇したが、回避力を極限まで高めた結果

装甲面は目も当てられない状態になってしまった。

 

 

『多分軽巡クラスの砲撃でも、当たれば致命傷になりかねないわ。そこだけ注意しといて』

「慢心するなってことで良いかしら?」

『そゆこと。舞い上がって油断して沈んだら、笑い話にもなりゃしないわ』

 

工廠内にてデータをまとめながら、装甲面以外にも、軽巡クラスであるが故に

一撃必殺を誇る兵装が積載量の関係で積めなかった事による決定打不足など、

夕張が抱えている欠点を幾つか伝える。

 

『夕張ちゃんの性能は、さっきの戦闘で大体わかったわ。

多分この先には【戦艦クラス】の敵がいる。でもこの海域の

戦艦共はそこまで強くは無いはず。戦い方のコツをうまく掴んで…』

「わりいピスキー、話の途中で悪い。敵艦隊を発見したんだがよ…

本当にここは『製油所地帯沿岸』か?」

『…えぇ。その筈だけど』

 

 

 

「にしては随分と豪華な面子だな」

『…解析データ回して』

 

 

前方からゆっくりと向かってくる敵影。戦艦クラスである

『ル級』を旗艦とする艦隊というのは海域データ通りであったが…

 

『…何故この海域に【強化型】が?旗艦なんて【flagship級】じゃない』

 

 

金色のオーラを纏うル級、それに続く敵艦も赤色のオーラを身に纏っている。

【強化型】。艦種は同じでもその性能、練度は桁違いであり、

同じように掛かると絶大な被害を被る強敵である。

 

 

『…ここは無理をする必要もない。一度撤退を…』

「なんだピスキー。随分と弱腰じゃんか」

 

 

ピスケスからの通信を遮る摩耶。

 

「どうせ、二度三度通る道だろ?それにあたし達は、強化型と交戦経験が無いわけじゃない」

『真正面からの撃ち合い、機動性の都合上、戦力の数はそのまま勝敗に直結するわ。危険過ぎる』

「それを打ち破るための『あいつ』だろうが。それにあたし達も遊んでいた訳じゃない」

「そうよ提督。『奴ら』に勝つため、討ち滅ぼすため。その為に私達は生まれ変わった」

 

既に摩耶も、雲龍も臨戦態勢であり、止まる気配はない。

 

 

『……あんた達は強いわね。あたしは今も、失った物を引きずってばかり』

「あたし達は、生まれた頃から根っこは兵器なんだ。その辺は割り切れるみたいらしい」

 

 

 

「だから、指示(オーダー)をくれよピスキー。いつもどおりに」

『……好きにしなさい。かっこつけて死ぬんじゃないわよ』

 

 

 

【出撃続行】。それと同時に通信は切られた。

通信が終わると同時に、ピスケスは小さい丸椅子に座り、大きくため息をつく

 

「馬鹿みたいじゃない。あんな娘達に気を遣われてさ」

 

顔を手で覆い、弱音を吐くピスケスに、今は声を掛ける者はいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「色々と事情があるみたいですね…」

「…あぁ、すまねぇな。これから大仕事があるってのに」

 

さっきまで会話に入る余地が無かった夕張に、摩耶は話を続ける。

 

 

「あいつは誰よりも優しい奴だった。だけど『とある作戦』で

あたし達は仲間を、これまで積み上げてきた物を殆ど失っちまった。

…あいつは狂気に染まってまで、残ったあたし達を守れる力を欲している…

まったく。過保護にも程が有るよな」

「私達は提督を救いたい。提督がああなったのは、あの時私が弱かった事もあるから…

この戦力差で奴らを完膚無きまでに叩き潰せる事が証明できれば、

少しは提督の不安を取り除けるかもしれない。だから…」

「力を貸してくれ夕張。もう負けたくはねぇんだ。何にも、誰にも…!」

 

 

摩耶も雲龍も恐れていた。ピスケスが、本当の意味で『心を捨ててしまう』事を。

ピスケスにとっても彼女らにとっても、

戦況を覆せるかもしれない夕張の存在は希望そのものであった。

 

 

《…ねぇキューブ。ポッと出の私達は、彼女達の期待に答えられるのかな…?》

《夕張は、そうなれると思いますか》

《わからない…確かにこの力は凄いけど、全ての期待に答えられるかどうかは…》

《それなら深く受け止めない方が賢明です。夕張、私達は神様ではありませんよ》

《で、でもそれじゃみんなの期待を裏切る事に…》

『摩耶、雲龍』

「!?」

「…て、ちょっとぉ!?」

 

急に聞き慣れない男性の声に驚く二人。

どうやったかは知らないが、無線への干渉に成功したらしい。

『可能な限り善処しましょう。その為の我々です。ですが、

貴女方が足手まといのままでは、彼の根本的な不安は戦場に出る以上、

何時まで経っても拭えませんよ』

「あ、あしでまとっ…!」

「ぎゃー!ぎゃー!!!ちょっとキューブ!!!」

 

こ、これは違うんです!と言いたげな様子で腕をワタワタ振り回す夕張。

 

「あ、当たり前だろ!!言ったろ!あたし達だってあいつが提督業止めても、

積極的に戦場に赴いて鍛え上げてきたんだ!!」

「そうよ、私達だってもう、その気になればあんな奴ら…!」

『だったら要らない重圧掛けないでください。貴女方の過去など、夕張には関係ありません』

「あっ…」

「そこまで言わなくても…!」

 

CUBEの指摘に、摩耶は自らの失態に気づく。夕張は来たばかりだし、

確かにそんな事を今言われても、萎縮してしまうだけなのは明白であった。

 

「す、済まねぇ夕張。何か重く言い過ぎちまったみたいだ」

「え!?え、まぁ…うん」

「あ、摩耶、夕張。敵も気づいて動き出し始めてるわ」

「ああ!マジじゃねぇか!えっと、えっと…」

 

 

 

「と、とにかく悪かった夕張!取り敢えず今は協力して奴らをぶっ飛ばそうぜ!!」

「締まらないわね」

「あ、あはは…うん、とにかくやってみましょう!」

 

 

艦隊、中程度の速力で前進しつつ、雲龍は艤装を展開。発艦準備を行う。

夕張はスキャンモードにて敵艦隊を索敵。摩耶は夕張の傍らで指示を待つ。

 

 

《ひ、ひやひやしたわ。何を言い出すかと思えば…》

《先程よりも強固で練度も高い艦隊。

そんな相手に邪念抱えたまま突っ込むなど、貴女は自殺願望者ですか》

《でもあれで更に空気悪くなったらどうしてくれたのよー!》

《この状況下、あの程度の煽りで逆上し、判断力が落ちるようなら

今まで生き残れるものではありません。結果的には、言って正解だったと思いますが?》

《…まぁ、そうだけど》

《良い傾向です》

《まったくもう》

 

釈然とはしないが、少し気は楽になっていた。重苦しい空気は性に合わない。

今はこの魅力的な兵装群で彼女達をサポートしつつ、戦闘を『楽しみたい』。

 

 

《…ありがとうね。キューブ》

《当然の事をしたまでです。貴女は私のパートナーですから》

 

 

 

雲龍の艦載機が発艦されると同時に、敵艦隊も動きを見せ始めた。

3対6。初の新艤装での共同戦線。夕張の一つの正念場が今、幕を開ける。




摩耶様は改二、雲龍は改相当です。
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