・王国はどうも闇が深くてスルーすることにしたのですが、やっぱり上げることにしました
年が明け、季節はますます厳しい寒さの様相を呈していく頃、寒さに比例するようにリ・エスティーゼ王国の各地では貴族や王族に不満を持つ民衆による暴動が頻発していた。
その最中、リ・エスティーゼ王国の宮廷内ではある新興の派閥が猛威を奮っていた。
派閥を率いる者の名はフィリップ。無名の下級貴族だ。先の戦争で大貴族たちが命を落としたとはいえ、そのような者が派閥のトップに立つことはまずあり得ない。
勿論、それには裏がある。
フィリップの派閥に属すれば魔導国の支援を受けられたのだ。食糧問題はどの貴族も頭を抱える難題であり、これに飛びつく貴族も少なくなかった。特にエ・ランテルから王都へのルートに領地を持つ貴族は積極的に参加した。魔導国が王国へ侵攻してきた際に領地への被害を考慮してくれることを期待して。他にも王国が滅びた後の事を考えて参加する者もいた。
その派閥は王派閥と対立する貴族派閥に分類されるのだが、敢えてこのように呼ばれた――「魔導国派」、と。
一方、魔導国派を快く思わない貴族もいる。その大半がうますぎる話に危険を感じて距離を置く従来の貴族派閥であり、残りが忠誠心を持った王派閥である。
王派閥は魔導国派を王国貴族の誇りを持たない恥知らずと罵るが、表立って非難するような愚かな真似はしない。今や魔導国は帝国、竜王国を従える大国であり、魔導王の不興を買えば王国に未来は無いことを十分理解していたからだ。
それは、王族も同様だった。
渦中のフィリップはというと、第三王女のラナーを娶りたいと王に申し入れていた。この時、王は苦悩しながらも即答を避け、フィリップも強く迫らずに大人しく引き下がったのだが……両者の表情を見れば宮廷内の力関係は誰の目にも明白であった。
だが、転機は突然訪れた。
その日、王の使者から連絡を受けて貴族たちが謁見の間に召集され、フィリップは先日の提案の返事を期待して派閥の貴族たちと共に意気揚々と乗り込んだ。
実のところフィリップには金が無いのだ。確かに派閥トップとして発言力は大きいが実利は無いに等しく、また派閥の貴族たちは魔導国の名の下に集まっているだけで部下では無い。勿論、派閥の貴族に頼めば融通してくれるだろうが、出来れば貸しを作りたくない。
そこでラナー王女との婚姻である。
(王族と婚姻関係を結べば新たな地位と領土を得られるだろう……その後、国王を魔導国の属国に下るよう説得すれば、魔導国内での俺の価値は計り知れないものになる。ゆくゆくはアルベド様との婚姻関係を結び、魔導国内で俺の地位を確立する――我ながら完璧な計画だ)
そう考えると己の未来を思い浮かべて笑いをこらえるのに必死だった。
妄想に浸っている間にも次々と貴族が集まってくる。最後に第二王子ザナックと国王ランポッサⅢ世が入室し、王が玉座に座ると貴族たちは形式的な礼の姿勢をとる。
このような場では王の挨拶から始まるのが通例だ。しかし、意外にも言葉を発したのはザナックであった。
そして――ザナックは誰もが驚愕する口上を述べた。
「そこにいるフィリップを捕らえよ。罪状は王家への不敬罪だ」
突然フィリップへの捕縛命令を出したのだ。周囲は水を打ったように静まり返った。王は黙して語らず、表情すら変えずに事態を眺めている。呆然と立ち尽くしていたフィリップは周囲の兵士に捕縛されザナックの前に跪かされた。
「……ザナック殿下、理由をお聞かせください」
フィリップは未だ事態を飲み込めていないが、冷静な素振りを装ってザナックに尋ねた。だが、ザナックから返されたのは素っ気ない言葉だった。
「いま言った通りだが?」
フィリップの鼓動は早鐘を打ちならし顔色が紅潮していく。
――こいつはバカか?
魔導国の支援を受ける自分にこのような仕打ちをすることは魔導国に唾を吐くに等しい行為だ。そんな事も理解できなくなったか?
噴き上がる怒りに身を任せてザナックを睨みつける。
「正気ですか!? 私の後ろには彼の国が付いているのですよ!?」
ザナックはうんざりした表情を隠そうともせず蔑むような目を向けてくる。
「分を弁えろ。お前が間に入らなくとも魔導国との交渉は私がやっていく。それに……ここに魔導国からの書状が届いている」
ザナックは傍付きの貴族から羊皮紙を受け取ると、その内容を掻い摘んで読み上げた。
「貴国の貴族より、領民を助ける名目で救援を請われたため物資を支援したのは事実。しかし、本国とはそれ以上の関係はない……との事だ。今のお前、いや、お前たちには何の価値もないことが理解できたか? 今までの宮廷における貴族とは思えぬ無礼の数々……全くもって許し難い。故に貴族位を剥奪の上、投獄する。不敬を行った他の者も同罪だ」
広間が一気にざわついた。貴族たちは隣り合う者と囁きあい、事の始終を見守っていた――フィリップに与していた――貴族たちは身の危険を察知しその場を離れようと動き出していた。
「――お待ちください! アルベド様に、アルベド様に連絡してください! このような事をあの方が許すはずがありません!」
「これは国家間の公式文書だ。そして、アルベド殿は魔導国の宰相位にあたる方。……言っている意味は分かるな?――衛兵たちよ、この屑を牢獄に放り込め!」
そうして、フィリップは投獄された。
「あんな馬鹿に魔導国との交渉を任せればこの国は滅びるぞ。この国を救えるのは俺しかいないんだ、それがなぜ分からない……ああ、この国には馬鹿しかいないからか……」
投獄されて間もない頃はザナックに対する侮蔑の言葉を吐き続け、看守に自分の不当な境遇を改善するよう訴えていたが耳を貸す者はいない。
凍える牢獄の寒さは徐々にフィリップの体力と思考力を奪っていった。
(まさか、俺は……このまま死ぬのか?)
死を身近に感じたとき、フィリップは初めて自分が地に堕ちたことを自覚した。魔導国の後ろ盾を失い、貴族位を奪われた自分には何も残されていない事に。
絶望が心を蝕み、生きる気力すら奪っていく。絶望を受け入れれば、緩やかに死を迎えられただろう。
だがフィリップは抗った。生きるため、彼に唯一残されたものに縋る。
フィリップに残された唯一のもの、それは"憎悪"だった。
(このまま死んでたまるか! このような目に合わせたあいつに……思い知らせてやるまでは)
それからは幾通りもの復讐の手段を考えては妄想の中でそれを実行し、暗い喜びを生きる糧とする日々が続いた。
ある日、変化が訪れた。
最初は幻聴だと思った。しかし、耳を澄ませばどこからか囁くような声が聞こえてくる。
きょろきょろと周りを見渡してみる……が、誰もいない。再び妄想の世界に戻ろうと項垂れたとき、それは足元に拡がる己の影からはっきりと聞こえてきた。
――『憎いか』、と。
一月後。
リ・エスティーゼ王国の王城にある謁見の間には主だった貴族が参集され、第二王子ザナックの戴冠式が執り行われていた。
通常であれば事前に周辺国家へ使者を送り国賓を迎えるのだが、このような情勢ではそれもできず式は慎ましいものであった。
この状況下で王位継承を行う理由は、フィリップの件が切っ掛けでザナックの下に派閥が統合されたことが大きい。この機を逃せば派閥は必ず分裂するだろう。それゆえ強引に推し進められたのだ。
「――囚人ども、ラナー王女に感謝しろよ。釈放だ。めでたい日とはいえ、お前たちを釈放するのは反対意見も多かったそうだ。ラナー王女の御力でお前たちにも特別な恩赦が与えられたんだからな」
「…………」
牢が開かれフィリップは牢獄を出る。彼の派閥に属していた者たちも姿を見せたが、もはや視線を交わすことも無く無言のままだった。
ここを出たところで領土も貴族位も剥奪されているのだ。生きていくことさえ困難だろう。恩赦と言われても感謝の気持ちなど微塵も沸いてこない。何よりも、今はある目的の事で頭がいっぱいだった。
(外に出たら……次は宮殿だったな)
影からの声に従い行動を開始する。
あの声が何者なのかはどうでも良いことだ。自分の目的に協力する者ならば、神だろうが悪魔だろうが利用するだけだ。
王城内の物々しい警備を眺めながらふらふらとした足取りで歩いていくと、やがてヴァランシア宮殿が見えてくる。
宮殿前から王城の城門へ続く通路には兵士――元戦士長配下の精鋭が、その両脇には万を超えるほどの民衆がひしめき合い、新しい王が姿を見せるのを待ち侘びている。
フィリップは周囲の民衆を見渡しながら声を殺して嘲笑った。
(愚か者どもめ、俺に任せていれば幸せに生きていられたものを……もう、遅いがな)
民衆の事を考えたのも一瞬の事。即座に思考の隅へと追いやると、恐怖に慄くザナックの姿を想像して悦に浸る。
その時、宮殿の入り口付近から歓声が沸きあがった。フィリップの位置からは見えないがザナックが姿を現わしたのだろう。
――突然、足を掴まれてびくっと身体を竦ませる。咄嗟に足下を見ると、そこには禍々しい造形をした像が落ちていた。
注意深く見回しながら、誰も見ていないことを確認して像を拾い上げると民衆を押し分けて前列に進んでいった。
間もなくザナックが目の前を通る。こちらには全く気が付いていないようだ。
ザナックの前に飛び出そうかとも考えたが、事を済ます前に取り押さえられては意味が無い。この場で実行することを決意する。
影の声に教えられた通りにゆっくりと像を天に掲げ、大声を張り上げる。
「――出でよ異界の者共!」
その声に反応して民衆の視線が集まるが、意に介さずにもう一度復唱する。
――何も起きない。
「な、なぜだ!? い、出でよ異界の者共!」
もう一度繰り返したが……やはり、何も起きない。
不信な行動をとるフィリップに兵士が近づいてくるのが見えた。不安に駆られて全身から汗が吹き出し、顔が青ざめ始めたとき、ようやく通路の中空に異変が顕れた。
フィリップは身体の力が抜け、緊張感の欠片も無い安堵の溜息を吐いた。
ザナックは突如前方に出現した――地に、中空に計六つの――黒い穴を見て歩みを止めると、傍の兵士に「何事か」と問いかけた。
兵士も事態を把握していない様で返答に困っている。
もしもこの時、脇目も振らずに逃げていれば、ザナックは直後の悪意からは逃れられただろう。
だが、そうはならなかった。
「戴冠おめでとうございます、ザナック王……良い夢は見れましたか?」
聞き覚えのある、悪意が籠められた声に反応してそちらへ振り向くと、禍々しい像を掲げるフィリップの姿が視界に入った。
すぐにフィリップの持つ像に気づくと驚愕に顔を歪めた。
――馬鹿な! 有り得ない!
あれは宝物庫で厳重に管理されていたはずだ。だが、今はそれどころではない。
頭に浮かび上がる疑問を振り払い、ザナックは喉が裂けんばかりに絶叫する。
「衛兵!! 早く、早くあいつからあの像を取り上げろ!!」
「もう遅い! くくっ……くはははははっ!」
ザナックが叫び、フィリップが狂ったような笑い声を挙げると同時に穴からおびただしい数の悪魔が飛び出す。
悪魔は取り囲んでいた衛兵たち――そしてフィリップに襲い掛かった。
犬のような悪魔――
「オオオォオォォォォオオオオン!」
三メートルにも及ぶ巨体に山羊の頭蓋骨を頭部に持つ悪魔――
「ザナック王! お下がりください!」
戦士長配下の兵士たちが悪魔の群れを押しとどめようとザナックの前に壁を作るが、スケイル・デーモンがその手に持つ巨大な
生暖かい血飛沫がザナックに降りかかり、周囲の音が小さくなっていく。眼前の光景はある意味幻想的で、現実感を希薄なものへと変えていく……ザナックは現実逃避に陥っていた。
父とは違う強い王を目指し、王国に蔓延る膿を取り除き、この国をより良きものに変える……それは届かないと思っていた『夢』だった。兄には力で劣り、妹には知恵で劣る、小賢しく根回しするだけの非才な自分に巡って来た千載一遇の機会。全てはこれからだった。
それなのに――
「あっ、あんなカスに!! こんなところで!!」
気付けばザナックは惨状に背を向けて、宮殿の入り口目指して必死に走っていた。幾人もの兵士がザナックの身を守ろうと悪魔の前に身を投げ出すが、次々に現れるスケイル・デーモンの群れに薙ぎ払われ、叩き潰されていく。
それでもザナックは息を切らしながら走り続けた。生涯これ程必死に走ったことは無いだろう。
宮殿までの僅かな距離が異常な程遠く感じる。鈍重な小太りの身体が恨めしいが、日頃の不摂生を悔やむ余裕など無い。
後、四十メートル……三十メートル――
(もう少しだ!)
ふと、宮殿のバルコニーに立つ人影が視界に入る。そこには澱んだ眼でこちらを見下ろすラナーがいた。
視線を交わした刹那――ラナーは僅かに微笑んだ。
ザナックは理解した。
「お、お前が――」
だが、そこまでだった。
空から降って来たスケイル・デーモンの一体に踏み潰されて、ザナックの生涯は幕を閉じた。
フィリップが掲げた六つの宝石が付いた禍々しい悪魔の像――それはヤルダバオトが同族である悪魔が封じられていると言っていたものだ。
千切れた右手には未だその像が握られていた。六つの宝石それぞれに第十位階魔法<
(――なるほど、一度使うと消えてしまうのね)
この時のためにラナーは手製の模造品――あまり似ていなかったのだが――を準備していたのだ。フィリップに渡した像はその模造品であり、本物は先ほどラナーの手から消え失せた。
ここまでは計画通りだ。後は模造品をシャドウ・デーモンに回収させ、自分はこの場を生き延びれば良い。
手持ちの鞄の中にある小箱をそっと確認する。封印は未だ解除されておらず、ラナーは溜息を吐いた。
(……まだ足りないようね。もっと頑張ってもらわないと)
ラナーは眼下に拡がる光景を一望する。雲霞の如く押し寄せる悪魔たちは個々の力も強く、武装した兵士でさえ貴族や民衆と同様になす術もなく喰らわれ、引き裂かれている。地面は血の海と化し、地獄絵図という言葉が相応しい情景であったが、ラナーの心には何の痛痒も齎さなかった。
そろそろここも危ないだろう。何しろ悪魔たちは召喚したラナーにも制御できないのだから。
(お兄様、今までありがとうございました。それと……こちらは『お疲れ様』かしら)
心の中で呟くと、ラナーは蹲る父親に向き直る。
「お父様、ここも危険です。早く逃げましょう」
父――前国王ランポッサⅢ世の顔色は死人のように白く、眼は虚ろでぶつぶつと意味を成さない言葉を呟いている。恐らく心が壊れたのだろう。長く苦しい時代を耐え抜き、ようやく訪れた息子の晴れ舞台から一転、地獄に叩き落されたのだから。
前王の様子に気づいた戦士長配下の兵士たちがラナーに声を掛ける。
「ラナー様、陛下は我々がお連れしますので先に御逃げください」
「……分かりました。申し訳ありませんが、父の事を宜しくお願いします」
既に役割を終えた父に用は無い。生きていれば使い道はあるが、今は足手まといでしかない。
父を兵士たちに押し付けると、連れの者たち――クライムとブレイン、そして武器も持たないドレス姿のラキュース――に告げる。
「皆さん、王族専用の脱出路が宮殿内にありますので、そこから王城の外に出ましょう」
「畏まりました、ラナー様。命に代えてもお守り致します」
クライムの言葉にブレインとラキュースは厳しい表情で頷くと、ラナーに続いて部屋を後にした。
その頃、イビルアイとガガーランは拠点である宿で寛いでいた。
「何がめでてぇんだか。そこいらのしけた顔みりゃ分かりそうなもんだがなぁ……このご時世にパレードなんて頭おかしいんじゃねぇか?」
「儀式だからな。だが危険を覚悟で決行するザナックという者はなかなか豪胆な王になるかもしれんぞ」
イビルアイの物言いにガガーランは憮然とした顔で口を開く。
「……まぁな。宮廷内の派閥をまとめたみてぇだし、少しは骨のある奴なんだろうよ。だが、国政が良くなるとは思えねぇ。結局、派閥割れして前国王の時と同じになるんじゃねぇか? それどころか、意地張って魔導国の援助を打ち切ったりしたら目も当てらんねぇぞ」
「それは考えているだろう。今まで通りの民衆を苦しめるやり方では、民衆を救っている魔導国に喧嘩を売るようなものだ。同盟を組むのも属国に下るのも、まずは支配者として優秀であることを示さねばな。帝国と竜王国の支配者は変わらずだったが、王国がそうなるとは限らんしな」
いつもと違ってガガーランをイビルアイが宥める形だ。ガガーランは弱い者に肩入れすることが多く、国内の事情を重く考えているのだろう。
と、そこへティナが扉を蹴破る勢いで中に入って来た。
「緊急。王城に悪魔が現れた」
「なんだと! ヤルダバオトか!?」
ティナとイビルアイの言葉に周囲にいた冒険者たちも反応する。
「いや、宝物庫に保管されていたアレが使われたかもしれない。……城壁の上から見てたから遠目で確定ではないけど、使ったのは人間。そして真っ先に襲われて死んだ」
あれは厳重に保管されていたのではなかったのか。王国の余りにもずさんな危機管理に怒りが込み上げる。
「それで、ラキュース達は無事なのか?」
「今のところは多分無事。新しい方の国王は殺されたけれど、ラキュース達は宮殿内にいたから王族の抜け道で脱出しているところだと思う。そっちはティアが向かってる」
「そうか……ならばどうするか。悪魔どもはここら辺りまで押し寄せてきそうか?」
表情が変わらないティナが珍しく重い表情を浮かべる。
「来る。数は千以上。群れを纏めるボスのような存在がいない分、ヤルダバオトの時よりやばいかも……」
イビルアイは戦慄する。ヤルダバオト程の存在はいないだろうが、メイドと同程度が複数いる可能性は否定できない。
「ラキュースの装備はここにあるから脱出後はここに来るはずだ。我々は出来る限りここを守ろう。ティナ、今のうちに冒険者組合と連絡をとってくれ。それと……ガガーラン、平民たちの避難は後回しだ」
ガガーランが苦い表情を浮かべ渋々頷くと、ティナが意見する。
「イビルアイ、我々だけでは対応できない可能性が高い。モモンさんに現状を伝えて助けを求めるべき」
この緊急事態にできる限りの手を打つのは当然のことだ。恐らくこの場にいる者は同じ想いを抱いただろう。そして、今モモンに救援を求められるのは自分しかいないのだ。
「ああ、そうだな。モモンに伝えたらすぐに戻る……と、言いたいところだが、転移の魔法は多くの魔力を消費するので戻るのに少し時間が掛かるぞ。それまで持たせてくれ」
「任せとけ。それと、お前たちも今回は無理しねぇで生き延びることを優先しな」
ガガーランが周りの冒険者たちを見回すと、彼らは一斉に動き出した。
■今回のまとめ
ラナーはレベルが上がった!
ラナーはレベルが上がった!
ラナーはレベルが上がった!
・嘘です。まだ上がってません。ユグドラシルも一定の経験点を貯めた後、レベルに振ったのではないでしょうか
・原作のフラグをいろいろ無視してラナーの目的を優先しました。
・ザナックは悪魔出現時にロックオンされていたので追われました。離れてればターゲットにされなかったでしょう。