Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉 作:アマゾンズ
ある少女の初恋が終わる。
以上
特訓中のアリーナでの出来事をフー=ルー先生、立ち合いのもと織斑先生にも報告した。
「そうか、そんな事が」
「織斑先生、今回は彼らが止めてくれましたが彼のやったことは許されませんわ」
「戦闘としては正しい事をしているが、人としては許せんな」
フー=ルー自身も皇女が危険な目にあったと聞けば守ろうと動くだろう。
それだけ今回の出来事は重大だったという事だ。
「政征には反省文15枚だ、あの馬鹿には反省文40枚と厳重注意をしておく」
そう言うと額に手を置いて千冬は去っていってしまった。
「今回の件、会社にも私から報告しておきます。貴方達は教室へ戻りなさい」
「分かりました」
「失礼します」
「それでは、失礼します」
職員室を出て三人は教室へと向って行き、その途中で誰かが待っていた。それは鈴とセシリアだった。
二人は申し訳なさそうな顔で頭を下げた。
「ご、ごめん!私、気付いたのに助けに行けなくて!!」
「わたくしもです!本当に申し訳ありません!!」
必死な二人に政征達は顔を上げてくれと伝えた。
「何もしなかった訳じゃないなら、反省して次に活かせばいいんだよ」
「今回は俺達だけしか対応できなかったからな」
「お二人が気に病む事はありません」
政征は二人が反省していること、雄輔は状況を冷静に考え、シャナは二人に対して許していた。
「う・・ありがとう」
「ありがとう・・ございます」
二人は許してはくれないだろうと思っていたのだろう、目が涙目だった。
「鈴さん、セシリアさん、改めて友人となって下さい」
「もちろんよ!あんなのを見せられたら、アンタの代わりにアイツをもっとぶん殴ってやるから!!」
「シャナさん、わたくしも貴女とは良き友人になりたいですわ」
五人は雑談しながら教室へと戻っていった。
◇
「さて、一夏。私がここへ呼んだ理由が分かるか?」
千冬と一夏は今、生徒指導室にいた。一夏は姉からの呼び出しに疑問を持っていたが素直に着いて来たのだ。
「千冬姉、俺が何をしたっていうんだ!?」
「織斑先生だ。聞いた話によれば、お前は模擬戦中にフューラに対してふしだらな事をしようとしたそうだな?」
「あ、あれは捕まった場合を想定して!」
パンッ!と乾いた音が響く。千冬は一夏の頬を引っぱたいた音だ。
「大馬鹿者!!捕まったのを理由に異性に対してふしだらな行為に及ぶのがお前の想定か!?」
「っ・・・」
千冬はいつになく怒っていた。模擬戦で相手を組み伏せるのは構わない。だが、動けない女性に対して欲望をぶつけるとなれば話は別だと訴えている。
「お前には反省文40枚と臨海学校が終わるまでフューラに近づくことを禁止する!!」
「なっ!?」
「わかったな?早く教室へ戻れ。もし、違反すれば更にペナルティがあるのを忘れるな」
要件を伝えると千冬は指導室から出て行った。一夏は与えられた罰に納得がいかなかった。
「・・・くっ!」
歯を噛み締めると自分も指導室から出ていき、自分のクラスへと戻っていった。
◇
教室内では政征、雄輔、セシリア、シャナの四人が雑談をしていた。
途中でのほほんさんも加わり、笑い合っている。
一夏が戻ってくるとシャナ以外の4人がシャナを守るように囲んだ。
女性の噂話は早いもので、一夏がシャナに対し何かをしようとしていたという噂が立ったのだ。
内容は具体的では無かった為に噂は噂程度にしか認識されていない。
4人の中で一夏は政征だけを一瞬だけ睨んだ。お前がいなければという意志が感じられるには充分だ。
政征からすればそんな睨みは意に介していなかった。守るべきものを守れず、感情のまま暴走してしまった思いだけが後悔として渦巻いていた。
「チャイムが鳴ったぞ!席に付け!!」
◇
日数が過ぎていき、クラス代表トーナメントの日がやってきた。
一夏の初戦の相手は鈴だ。その目には何が何でも殴らないと気が済まないという意志が見て取れる。
「一夏・・本気でぶん殴るから覚悟しなさい!!」
「なんでだ!?鈴が怒るような事をしたか?」
「アンタ・・自分で何をしようとしていたのか解ってないの!?そこまで最低だったなんて、もういい!問答無用よ!!」
自分の初恋がここで終わったと鈴は改めて自覚した。シャナが悪い訳ではない、自分の欲望を彼女に押し付けようとした目の前の
試合開始のブザーが鳴り、鈴は二本の青龍刀を手に斬りかかる。
「っく!?攻撃が重い!」
「許せないのよ・・今のアンタはね!大サービスよ!これを持って行きなさい!!」
剣の押し合いをしている中、鈴のISの両肩のアーマーがスライドし最大出力で何かを放った。
「ぐあああああ!?」
その威力で吹き飛ばされた一夏はアリーナの壁に激突し、そのまま崩れ落ちそうになるのを堪える。
「左のがイカレちゃったか・・まぁ、少しは気が晴れたわ」
「う・・・ぐ、何だよ、今のは?」
◇
アリーナの入口付近でセシリア、シャナ、政征、雄輔の四人は戦いを見ていた。
このような場所で見ているのには理由がある。
大会の二日目前に千冬が謝罪を兼ねて頭を下げに来たのだ。
その過程で。千冬は一夏にシャナを近づけないよう頼み込み、騎士の二人を護衛として、セシリアは友人としてこの場に来ている。
「今のは・・・一体」
「あれは衝撃砲というものですわ。空間に圧力をかけ、砲身を生成しその際に発生する衝撃を砲弾として撃ちだしたのです」
「セシリアさんはすごいですね、説明が分かりやすかったです」
セシリアの説明にシャナは驚き、笑みを見せた。
「いえいえ、いつか戦う相手となるのですから、情報をしっかり集めていただけですわ」
◇
試合も白熱し、盛り上がりを見せ始める。
「負けるかよ!俺は・・・千冬姉の名前だけでも守る!」
「今のアンタがそんな言葉を口にするな!口にした言葉の重みを少しは理解しなさいよ!!」
鈴の攻撃は二刀の青龍刀を左右に持ち、一夏の斬撃を流しながら反撃し続けている。
一夏の斬撃も精度が上がっているようで、鈴だからこそ簡単にさばいているように見えるのだ。
「っ!サービスしすぎたわね!(衝撃砲じゃなく直接拳が使えれば状況は変わるのに!)」
「どうした?焦ってるように見えるぜ?」
「冗談でしょ?アンタなんかに負ける理由がないわよ」
一夏の指摘を軽口で返すが鈴は内心、焦っていた。
愛機である甲龍に無茶をさせ、龍砲を一つ修理不可能な状態にしてしまったからだ。
一夏が鈴へ追撃しようとした瞬間、アリーナ全体が揺れた。
アリーナのシールドが破壊され、そこから三機のISらしき機体が侵入してきた。
「おい、あれって・・!!」
「ああ、間違いない!真っ黒に塗装されてISになってるがリュンピーとドナ・リュンピー、それにガンジャールだ!」
「嘘だろ!?あれはアシュアリー・クロイツェル社にしか無いはずだ!」
政征と雄輔は侵入してきた機体の特徴を見ただけで判断し名前を口にした。
「っ、どうする!?」
「政征、お前はシャナさんを連れてフー=ルー先生の所へ行け!」
「わかった!セシリアさん!!生徒みんなの避難誘導を頼む!!」
「ええ!お任せ下さい!!」
それぞれが行動を開始し、走り出した。
◇
「フー=ルー先生!!」
「分かっていますわ、皇女は私が守ります。早く友人のもとへ行きなさい!」
「政征、気をつけてくださいね」
「ああ、行ってくる!」
廊下でフー=ルーと合流した政征はシャナを彼女に託し、来た道を戻っていった。
◇
アリーナでは鈴と一夏が三機相手に時間を稼いでいた。
「もう!あの砲台みたいな奴!厄介だわ!」
「(シャナ=ミアさんは避難したみたいだな)」
一時的に協力してガンジャールは撃破したが、ドナ・リュンピーとリュンピーの連携に苦戦している。
リュンピーが接近戦で足止めし、ドナ・リュンピーが砲撃で強力な一撃を放つ。
戦術の基本だが、接近戦が主である鈴と一夏に対しては効果的な連携となっていた。
◇
政征は避難誘導を行っていた雄輔と合流した。
「すまない、待たせた!」
「シャナさんは大丈夫みたいだな、行くぞ!」
リベラとモエニア、自由と城壁の名を冠する
鈴と一夏のISのエネルギーは枯渇寸前であり、回避がやっとの状態だった。
「っ!もう、持たない!」
「鈴!!」
一夏の声に鈴は前を向くとリュンピーがエネルギーソードで切りかかろうとしていた。
「あ・・・」
鈴は死を覚悟し、目を瞑ったが攻撃が来ないことに違和感を覚え目を開いた。
「間に合ったか」
「え?政征!?」
目を開くと鈴の前に立ち、リュンピーの斬撃をクローシールドで防御しながら押し返している政征の姿があった。
「援護する。オルゴン・マテリアライゼーション!」
ソードライフルをソードモードに変更し、リュンピーの右腕を攻撃する。
「あ、あんた!何て事してるのよ!?あのISには人が!」
「よく見ろ、攻撃した部分を」
鈴が咎めようとしたが政征に言われた通りに視線を移すと、攻撃された部分からは火花が走り、配線のような物が飛び出ていた。
「まさか、あれって」
「どうやら、無人機のようだ」
「そうか、なら!遠慮なく倒せるって事だな!」
一夏は雪片を支えに起き上がった。それと同時にアリーナ全体に響くような声がした
「一夏ぁっ!!」
声の正体は箒だった。アリーナの放送室に侵入し、マイクで叫んでいる。
「男なら・・・男ならそのくらいの敵に勝てなくてなんとする!!お前の剣はそんなにも脆いのか!?」
一夏に激を飛ばしているようだが戦場になっているアリーナでは何の意味もなさない。
死地に無防備のまま飛び込んできて拡声器を使い、声を出しているようなものだ。
「何やってんのよ!?アイツは!!」
「バカな!何をしているのだ!?死にたいのか!」
「!!まずい!」
ドナ・リュンピーが放送室に狙いを定め、足を固定していた。
「間に合え!!」
それに気づいた雄輔が放送室がある窓の前に突撃する。
ロングレンジキャノンが三発発射され、雄輔のラフトクランズ・モエニアがクローシールドを使い防ぐ。
「ぐっ!があああああ!?」
二発までは防ぐことが出来たが、三発目の衝撃でクローシールドを掲げていた左腕が裂傷する。
「雄輔!」
「構う・・な!オルゴンキャノンで殲滅する!」
「わかった!鈴、接近戦が出来る機体の方を誘導できるか?」
「任せなさい!それくらいなら出来るわ!」
鈴が誘導する前に向かっていく影があった。それは白式を纏った一夏である。
「一夏!?バカ!何やってるのよ!!」
「誘導くらいなら俺だって出来る!お前達だけに良い格好させるかよ!うおおお!!」
雪片で弱っていたリュンピーをドナ・リュンピーの近くへと一夏は押し出す。
その一瞬を逃さず、チャージが完了していたオルゴンキャノンを展開し政征と雄輔が同時に照準を合わせた。
「「チャージ完了!!オルゴンキャノン!広域モード!」」
「ヴォーダの深淵を垣間見よ!」
「ヴォーダの闇へと還るがいい!」
上と横から発射されたオルゴンキャノンによって侵入した二体は破壊され、動く事が無くなった。
「ッ・・痛ぅ」
「ちょっと!大丈夫!?」
負傷した雄輔を心配し、鈴が駆けつける。雄輔の腕からは血が流れているが重傷ではないようだ。
「流石に衝撃までは逃がせなかった」
「手当しないといけないわね、付き添うわ」
「すまない」
「政征!一夏も!処理は教員部隊に任せて行くわよ!」
鈴の声に政征は地に降りると同時にISを解除し、一夏もそれに倣って解除した。
「ああ、今行く」
「(見ててくれたはずだよな)待ってくれ!」
政征達は雄輔を保健室へ連れて行くためにアリーナを後にした。
その後、破壊された機体は回収され解析もされたが無人機であること以外全てが不明という結果に終わった。
◇
「無人機のテストとしては上々だねー!ふふん!」
研究施設のような場所で一人の女性が戦闘が起きていたアリーナの映像を見ていた。
「量産機としては合格だね!これでゴーレムの代わりにもなるし、問題は」
「あの機体だよ・・ラフトクランズだっけ?気に入らないね、この私が知らない機体だなんて」
「いずれ解析してみたいなぁ・・・騎士の機体を」
女性は舌なめずりするように、並び立った二機のラフトクランズの映像をずっと見続けていた。
マップ兵器を連続で撃つのはマジで勘弁してください。
皆様の中には分かる方がいらっしゃると思いますが、鈴がある機体に対してフラグを立てました。
スパロボの隠し機体のような感じです。
それと、アンケートを明日の1時にて締め切ろうと思います。
乗り換えあったら・・・どうしようかな?というのが正直な心境です。