Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉   作:アマゾンズ

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銀の福音との決着。

嫌な記憶復活

ラウラとセシリアの焦り

以上


別れる時って淋しさがあるよね

「LAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

 

一度倒れ、二次移行を果たした福音は広範囲にレーザーを放ち、六人を近づけさせない。

 

回避行動をし続けているがそれでもレーザーが掠っていく。

 

「くっ!なんなのよ!全く近寄れないじゃない!」

 

「広範囲の攻撃が更に強化されて、こちらが反撃する暇がない!」

 

「参ったね、このままじゃエネルギーが消耗していくだけだよ」

 

「この距離ではビットも使えませんわ!」

 

四人が騒いでいる中、政征と雄輔は回避行動をしながら福音を観察していた。

 

「やはり、何かあるな・・・」

 

「ああ、ここまで頑なに接近を許さないなんて」

 

「牽制する。雄輔、接近戦を頼む!」

 

「牽制って、この距離からか!?」

 

政征はソードライフルをライフルモードに切り替え、フー=ルーが行っていた狙撃の構えを取った。

 

「この距離じゃ挟み撃ちは無理か、ならば・・・!」

 

ビーム状のオルゴンライフルを二発放ち、福音の注意を向けさせると同時に雄輔が突撃する。

 

「オルゴン・マテリアライゼーション!」

 

雄輔がオルゴンソードを振り下ろすと同時に、反撃のタイミングを逃した福音は二次移行によって手にした剣を使い、パイロットを守るようにその剣を受け止めた。

 

「!?守ったのか?なぜ・・・」

 

「LA!Laaaa!!」

 

「ぐはっ!?」

 

剣によって押し込まれ、雄輔は斬撃を受けてしまいレーザーの一斉総射に晒される。

 

「ガーディアン!ぐっ・・・おおおおおお!?」

 

己が装備しているオルゴン・ガーディアンをシールドモードで展開し、シールドクローを構え防御するがSEを削られていく。

 

「雄輔師匠が!」

 

ラウラの視界に雄輔が集中砲火を受けているのが入るが、遠すぎて援護に向かえない。

 

「シャルロット!セシリア!援護してくれる?アイツの羽根・・・噛み砕いてやるから!」

 

鈴の言葉に二人は彼女の決意に驚きを隠せない、反撃の為にもう一度先行すると言っているのだから。

 

「大丈夫ですの?先ほどの連携での大技で鈴さんは・・・」

 

「心配しないで!新しくなった羽根を一枚でも砕くことが出来れば勝機はあるはずよ!」

 

「うん、わかった・・・タイミングは任せるよ!」

 

鈴は精神を落ち着かせ、自分の相方である爪龍に声をかけた。

 

「(もう少し、もう少しだけ付き合ってくれる?爪龍)」

 

ISである爪龍は答えない、それでも僅かばかり機体が軽くなったような感覚が鈴にはあった。

 

「ありがと、爪龍。行くわよ!ショルダー・アーマー!パージ!ブロークン・アームリンク、コネクト!」

 

鈴は再び龍の爪を思わせる装備を展開し、雄輔を狙い続けている福音へと迫っていった。

 

「オルゴン・マテリアライゼーション!お願い!二人共!たあああ!」

 

鈴からの合図を受けたセシリアとシャルロットの二人は得意とする距離から援護する。

 

「オルゴン・レーザー!LB!RB!同時発射!!」

 

「オルゴンライフルB!シュート!!」

 

脚部から放たれる光線の雨と銃撃による弾丸の嵐が福音に命中し、注意が雄輔から逸れる。

 

「La!?」

 

その隙を狙い、鈴はオルゴナイトの結晶に覆われた爪で四枚の羽根のうち一枚を握る事に成功した。

 

「これが・・・反撃の一歩よ!リミッター解除!ブラキウム・ブローッ!!」

 

爪龍からオルゴンが溢れ出し、その勢いを乗せた握力で福音の翼を握り砕いた。

 

「LA!?LAAAAAAAAAA!!!?」

 

翼を握り砕かれた福音は断末魔のような叫びを上げ、砕いた相手である鈴を剣で切り払った。

 

「あぐっ・・!!っ・・でも、これで反撃開始よ・・」

 

強力な斬撃を受け、SEを消費しながらも鈴は後退し、すぐ後ろでラウラがレールカノンを構えていた。

 

「全弾・・・くらうがいい!」

 

ラウラが放った六発の弾丸は福音のSEを削り、更には羽根の一枚を持っていった。

 

「LA・・・・LAA!」

 

「なっ!」

 

素早い相手に攻撃を命中させたという一瞬の油断が福音の反撃を許した。

 

レーザーの砲口を向けられ、その光をあびてしまう。

 

「ぐああああ!!・・・く、しまった」

 

SEを持って行かれながらも致命傷を避け、後退する技量は軍の訓練を続けてきた成果だろう。

 

「ラウラ!」

 

「雄輔師匠!」

 

「その呼び方はやめろと注意してるだろ。っとそんな場合じゃなかったな」

 

モエニアがダメージを受けたレーゲンを抱え、福音の射程範囲外から離脱し始める。

 

「ぐ・・・油断した結果がこれだ。申し訳ない」

 

「いや、これで推進力を二つ潰した。けど気になる事がある」

 

「気になること?」

 

「そうだ、福音は何故かパイロットを異様に守っている時がある」

 

「パイロットを?」

 

「もしかしたら福音は有人機の可能性が高い」

 

その言葉にラウラは目を見開いた。有人の可能性を考えず、無人だと決めつけて戦っていた自分とは違い、戦闘の中でわずかな違和感を見逃していなかった雄輔に驚愕していた。

 

「どうするのだ?師匠」

 

「だから、・・・まあいい、まだAICは使えるか?」

 

「長時間は持たないが使えるはずだ。一体何を?」

 

「福音の動きを止めてくれ、有人なら助けなきゃならない」

 

「了解だ」

 

 

 

 

福音は四枚のうち二枚の羽根を失い、推進力が低下させられていたが戦闘力は低下していなかった。

 

「おかしい、何故こんなにも福音は決め手を出さない?」

 

政征も福音との戦闘の中で雄輔と似た違和感を感じ始めていた。

 

「異様にパイロットを守り続けているな・・・まさか?いや・・そんなはずは」

 

「政征!」

 

「雄輔か?どうした?」

 

城壁と自由の騎士が立ち並び、互いに感じた違和感を口にする。

 

「戦って思ってたんだがあのIS・・・」

 

「私も同じ事を考えていた・・・恐らくは有人だろう」

 

「仮に有人だとして、どうやって助け出す?」

 

「お前と私で同時に仕掛けるしかないだろうな」

 

それを聞いた雄輔は今までにないほど真剣な顔付きになった。

 

同時攻撃などこの状況で行うなど正気の沙汰ではない故だ。

 

「俺と・・・お前が」

 

「それしか手はない!」

 

「いいだろう、その賭けに乗ってやる」

 

福音は広範囲レーザーを遠距離から放ち、二機のラフトクランズに迫る。

 

「LAAAAAAAAA!LA!?」

 

迫ろうとした矢先、福音は突然動きを止めた。

 

「頼まれた事は必ず、遂行するのが任務だ!」

 

そこにはAICを使い、必死に足止めをしているラウラの姿があった。しかし、相手は二次移行を果たした軍用ISであり持って後、数秒だろう。

 

ラウラのアシストを受けた二機のラフトクランズは散開し、そのままソードライフルを構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

[政征&雄輔 合体攻撃 推奨BGM 『Drumfire』スパロボOGアレンジ]

 

「行くぞ!雄輔!」

 

「ああ!!」

 

二機のラフトクランズは同時にソードライフルをライフルモードに切り替え、突撃した。

 

「牽制する」

 

「持っていけ!」

 

オルゴンライフルから放たれる六発のエネルギー弾が福音の行先を制限し、動きを鈍らせる。

 

「オルゴン・マテリアライゼーション!でやあああ!」

 

鈍った瞬間を雄輔は逃さず、ソードモードに切り替えたオルゴンソードで福音を乱れ切り、斬り上げた。

 

「LAAA!?」

 

「上げたぞ!」

 

「その隙は逃さん!捉えたぞ!!」

 

政征はオルゴン・クラウドによる転移を使い、展開したクローで福音を捉え回転しながら更に上へ投げ飛ばした。

 

「今だ!!!」

 

「オルゴナイト・ミラージュ!」

 

二機のラフトクランズは連続転移し、ライフルモードに切り替えたソードライフルでオルゴナイトを連射し結晶の中へ閉じ込める。

 

「「バスカー・モード!!起動!!」」

 

二機のツインアイは輝き、リベラの機体色に黒が交じり合う。

 

「「エクストラクターマキシマム!!」」

 

二つのソードライフルが左右へ開き、二本のバスカーソード展開されオルゴナイトの大剣が現れる。

 

「この双剣!!」

 

「避けられはせん!!」

 

二機の転移が一瞬で行われ、真っ先に唐竹割りの要領で福音に斬りかかったのは雄輔だ。

 

「オルゴナイト!!」

 

それと同時に政征も雄輔に繰り出された斬撃の後、横薙ぎの斬撃を福音へ繰り出す。

 

「バスカー!!」

 

「「クロォォォス!!!」」

 

この縦と横の斬撃によって福音はその動きを止めてしまい、二つの大剣は福音に戦闘不可のダメージを与えていた。

 

「光の後に、闇が来る」

 

雄輔のオルゴナイトの大剣はまるで輝きによって少しずつ砕け散っていき。

 

「闇が去り、光が昇る」

 

政征のオルゴナイトの大剣は一気に粉々に砕け、ソードライフルのパーツがカシュンと閉じる。

 

多大なダメージを受けた福音に抵抗の様子は無かった、むしろパイロットを助けて欲しいと哀願しているようにも見える。

 

 

 

 

 

 

 

 

「っと、なんとか倒しましたが・・・」

 

「どうして、暴走したのかな?」

 

セシリアとシャルロットが同時に停止した銀の福音を支えていたが、暴走した事に対して疑念が晴れなかった。

 

「やはり恐怖で動かした程度では時間稼ぎが限界か」

 

「!?」

 

声がした方向に全員が視線を向けるとそこには、ラフトクランズだけが持つはずのシールドクローを両腕に装備しているISがそこにいた。

 

「誰だ!?貴様!」

 

「まずいわね・・・援軍だなんて」

 

ラウラは鈴のとなりへ移動した後に警戒を強め、鈴は自分の機体状態を鑑みて戦闘は避けたいと考えていた。

 

「わたくし達はこのままだと・・・」

 

「間違いなく落とされるね・・今のこの状態じゃ」

 

セシリアとシャルロットは回収が可能な状態の福音を抱えており、戦闘は出来ない。

 

「っ・・・」

 

「なんだ・・・?」

 

政征と雄輔は突如現れた謎のISを見て軽い頭痛の症状が起きていた。

 

自分の中で何かが呼び起こされるかのように。

 

「・・・私を見て思い出しているのか?そうだろうな、私とお前達には因縁がある」

 

まるで自分達を知っており、ISを纏った女は楽しそうに言葉を紡いでいる。

 

「なんだと?」

 

「俺達とお前に因縁?」

 

女は一度ため息をつくと仕方ないといったように口を再び開いた。

 

「仕方あるまい、名を明かすとしよう。私はカロ=ラン、カロ=ラン・ヴイ」

 

カロ=ラン・ヴイと名乗った女は嘲るような笑みを二人に見せていた。

 

「カロ=ラン・ヴイ・・・だと?」

 

「カロ=ラン・・・ぐっ!?」

 

特典として望んだ二人のフューリーとしての記憶の中でカロ=ラン・ヴイという名前が合致する。

 

謀殺によって全て奪われ、何も出来ず無念のまま眠らされた忌まわしい記憶が蘇る。

 

「どうやら思い出したようだな?くくく・・・あの当時の貴様達は実に滑稽だった。卑怯卑怯と罵りながらヴォーダの闇に堕ちたのだからな」

 

「っ・・・」

 

「くそっ・・」

 

政征と雄輔、そしてカロ=ランと名乗った女の間で舌戦が行われているが他の代表候補生達は会話に置いていかれていた。

 

「あの女性と何かあるみたいですわね」

 

「一体、どういうことだ?」

 

「二人共怖い顔してる、おまけに怒りで震えててマズイよ」

 

「カロ=ランって名前に過剰に反応してるわね」

 

四人はそれぞれ集まりあって、フォローし合う事を忘れないようにしているが、福音を支えているため自由が利かない。

 

「では、今回は去るとしよう。既に此処に用はない」

 

「待て!カロ=ラン!!」

 

「いずれ会うことになろう、破滅の意志はこの世界にも現れるのだからな」

 

「破滅の意志だと!」

 

カロ=ランは去ってしまい、二人は追撃する事も出来なかった。ただ、破滅の意志という言葉だけが耳に残っている。

 

「・・・っくそ」

 

「(トーヤが言っていた。女性となり、破滅の王の欠片を持っている相手というのはカロ=ランの事だったのか)」

 

雄輔は毒づき、政征はその場で静止したままカロ=ランが去った場所を見続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

六人全員が銀の福音を抱えたまま、旅館へ戻ると同時に山田先生とフー=ルー先生が急いでやってきた。

 

「た、大変です!皆さん!」

 

「え?」

 

「代表候補生の皆さんは福音を運んでください、政征さんと雄輔さんの二人に今起きている事をお話しますので後ほど聞いてください」

 

「「「「は、はい!」」」」

 

代表候補生の四人は銀の福音をアシュアリー・クロイツェル社の研究部長である束に預け、操縦者の女性は救護室となっている部屋へ運んだ。

 

 

会議室となっている大広間ではフー=ルーが険しい顔で政征と雄輔を待っていた。

 

「今、この部屋を人払いしました。マサ=ユキ・フォルティトゥードー、ユウ=スケ・ダーブルス。よく来てくれました」

 

「「はっ!」」

 

フー=ルーが二人をフューリー名で呼ぶ時は真剣な場合と激怒した時のみだが、今回は真剣な目で二人を見ている。

 

「まずは、これを」

 

「来るな・・違う、私は・・そんな」

 

フー=ルーが見せたのは恐怖に震え続ける千冬の姿だった。自らを守るように抱き締め、周りの様子など視界に入っていない。

 

「お、織斑先生!?」

 

「これは・・一体」

 

二人がフー=ルーに視線を向けると彼女は悲しそうな目をしながら事実を告げた。

 

「おそらく、強烈な恐怖を与えられたのでしょう。織斑先生が屈するほどの」

 

「そんな、織斑先生が屈する恐怖だなんて」

 

「いや、ありえない話じゃない」

 

「何故です?」

 

政征の言葉に雄輔とフー=ルーは視線を向けて問いただした。

 

「破滅の王・・・」

 

「!」

 

その単語を聞いたフー=ルーは驚愕した。破滅の王というのはフューリーにとって恐怖の権化の名前だからだ。

 

「銀の福音と戦った後、その欠片を宿している者が接触してきました。織斑先生はきっとその者に」

 

「そうでしたか、居なくなった篠ノ之さんと織斑さんはその者に着いていった。という事ですわね」

 

「待ってください!篠ノ之と織斑が着いていったというのは一体!?」

 

雄輔の疑問にフー=ルーはすぐに答えた。

 

「貴方と代表候補生の皆様が出撃した後の事ですわ。没収していた白式が無くなり、篠ノ之さんと織斑さんは行方不明なのです」

 

「な・・・!」

 

「あの二人が!?」

 

雄輔と政征が驚愕すると同時に二人は怒りよりも驚きに打ちひしがれた。

 

間違いを己で自覚し正せると信じていた故に。

 

「今はその事において問題になっています。二人には戻ってきても無期限の停学処分が与えられるでしょう」

 

「更には未遂とはいえ一夏はシャナ=ミア様を手篭めにしようとしていた。これも罪状に加わる」

 

「何・・・一夏がシャナ=ミア様を!?」

 

「ああ・・・」

 

雄輔の言葉に政征は怒りが爆発しそうになったが今ここにその相手が居ない事が幸し、怒りを鎮めた。

 

「織斑先生は私が何とかして持ち直させます。二人は代表候補生の皆様に説明を」

 

「分かりました」

 

「・・・・」

 

雄輔は政征と共に代表候補生達が待つ部屋へと向かうため、大広間を出て行った。

 

 

 

 

 

代表候補生達は銀の福音を束に預けた後、全員で一つの部屋に待機していた。

 

誰一人、口を開かず沈黙だけが支配している。そんな中、ノックが聞こえ扉が開く。

 

「政征兄様」

 

「雄輔も来たのね」

 

ラウラと鈴が出迎え、政征と雄輔が部屋に入りセシリアとシャルロットも会釈で応えた。

 

「ああ、これから話す事は他のみんなには口外しないで欲しい」

 

「それだけ重要なことだからな」

 

それから二人は代表候補生全員に一夏と箒が行方不明になった事、千冬が恐怖に屈して錯乱状態になってしまったなどを全て説明した。

 

「まさか、教官が・・・」

 

「事実だ」

 

ラウラの驚きを筆頭に他の全員も驚きを隠せず声を出せずにいた。世界最強の称号を持つ織斑千冬が恐怖に屈したなど聞きたく無かっただろう。

 

「おまけに箒と一夏まで居なくなるなんて」

 

「カロ=ランに着いていったんだろうな・・・理由は分からないけど」

 

「あの、一体・・カロ=ランという人は何者なのでしょうか」

 

セシリアの疑問も最もだが、二人は答えようとしない。その疑問に口を開いたのは鈴だった。

 

「雰囲気からしてマトモな人間じゃないわよね」

 

「そうだな・・」

 

その後、誰一人として口を開かず部屋へと戻った。

 

 

 

 

それぞれが部屋に戻った後、雄輔自身も部屋に戻りカロ=ランが現れた事を思い返していた。

 

「カロ=ラン、俺の記憶にもある。だが・・記憶の上では男だったはず」

 

思い出した記憶を整理してもカロ=ランは男性であり、女性ではなかったはずだった。

 

しかし、自分達に接触してきた相手は確かに女性であった。

 

「・・・それに破滅の意志という言葉、もしかしたら政征の言う通り破滅の王が来るのか?」

 

あれには門が必要なはず、更にはこの世界にそれと同じものがあるのかも分からない。

 

「戻りました。どうしました?雄輔さん。深刻そうな顔をして」

 

「フー=ルー先生、俺は」

 

「接触してきた女や破滅の王、そして専用機所持者二人の離脱。混乱しているのは貴方だけではありません」

 

「ええ・・・分かっています」

 

「なら、休みなさい。誓いを果たす前に倒れてしまっては本末転倒でしてよ」

 

 

その言葉を聞いて自分の中で焦りがあったことを反省した。

 

やはり戦場の経験ではフー=ルーさんには叶わない。

 

今はカロ=ランの事を話すべきことじゃない、そう考えた俺は休むことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、フー=ルーの喝と決死のカウンセリングによって千冬は持ち直す事が出来た。

 

それでも、トラウマが残ったのか頭に触れられる事を極端に嫌い、弟である一夏が居なくなった事にショックを受けていた。

 

時間は過ぎて行き、臨海学校最終日となり、IS学園へと帰る日となった。

 

箒と一夏は事情により、学園へ戻る事が出来ないと生徒に伝えたが生徒達はざわつき、説明を求めたがフー=ルーの説明によって全員は渋々納得した。

 

生徒全員がバスに乗り込んだ後、各々が思考に耽っていた。

 

 

「(今の僕達じゃ無理・・みんなの事を義姉さんに頼まなきゃ、でも)」

 

シャルロットはカロ=ランと出会った時に実力の差を感じていた。

 

義姉であるカルヴィナから戦闘技術を教え込まれたことで実力差を感じ取れたのだろう。

 

今の自分達では力不足すぎる。そう思った彼女は他のメンバーを鍛える事を頼もうと考えている。

 

 

 

 

「(・・篠ノ之、お前は全てを捨ててまで力を求め続けるのか。もう一人も)」

 

雄輔は行方不明になった箒の事を考えていた。

 

力に魅せられた人間はその力を喜々として振るってしまう。しかし、逆を言えば力の抑制が出来れば素晴らしい競争相手になるということだ。

 

箒は闇雲に力を求めすぎている、それは一種の暴走だ。力に善悪は無い、ただ力なだけであり使う者次第で性質が変わる水のようなもの。

 

恐らく自分を狙ってくるだろう、その時こそ決着をつけると胸に誓った。

 

 

 

 

 

「(何とかあの時は強化アーマーを扱えましたが・・・今のわたくしのままでは、それに)」

 

セシリアは自分の中にある芯がブレていた。

 

束から渡された強化アーマーを無我夢中で扱っていたが、戦闘後に展開してみたものの思う様にいかず今の自分の力では扱えきれない事を痛感したのだ。

 

周りから置いていかれる焦燥感を感じてから焦りの傾向が強くなっていることに自分でも気づいていた。

 

自分には代表候補生として、訓練を重ねてきた自信があった。だがそれはガラス細工のように脆い物だと今回の実戦で改めて思い知らされてしまった。

 

今の己に出来る事は無いのか?という疑問を抱き、考えていた。

 

 

 

 

 

「(私は何も出来ていなかった・・私は・・・。だが、二人を)」

 

ラウラは今回の件で自分の無力さを呪っていた。連携とAICによる足止めしか出来ていなかった事に。

 

軍属とはいえ今回のような突発的に起こる実戦への出撃は少ない、自分も油断しているつもりは無かった。

 

だが、意識しないうちに政征や雄輔という強力な味方の力に頼っていたのだろう。

 

味方を頼る事は悪い事ではない、しかしそればかりで自分が何もしなくなるのは別の問題だ。

 

自分は一人ではない。しかし自分の戦う目的や役割とは何なのか?ラウラはそれを考えている。

 

 

 

 

 

「(どうしても戦いながらあの境地に至れない・・・もう一度鍛え直さないと。じゃないとアイツ等に)」

 

鈴は強くなった己に対し、反省していた。セルダが連れてきた5人の格闘家によって確かに強くなる事は出来た。

 

しかし、今回の実戦でまだ感情的になってしまう自分自身をコントロール出来ていなかった。

 

あの三週間の中で至れた境地、感情的になってしまう為その境地を自在に引き出せないでいる。

 

自分の力をコントロールし、感情的にならないようにするにはどうすれば良いのか?

 

鈴はそれを考えながら格闘家五人からの指導を思い返しながら別の事を考えていた。

 

 

 

 

「(リベラは進化を果たした・・・でも、俺はそれについて行けていない。このままじゃ二人を引き戻せない)」

 

政征は自分のISが二次移行を果たした事によって力に振り回されるのではないか?という恐怖を抱いていた。

 

ラフトクランズは強力な剣だ。それに見合うだけの訓練や鍛錬、そして知能は一通り身につけた。

 

ハプニングがあったとはいえ油断があったのだろう初の実戦の中で自分は撃墜され、戦闘不能になりかけた。

 

その中で、二次移行を果たした事によって自分は確かに高揚していた。だが、それは箒に対して自分が注意しようとしていた事だ。

 

シャナを守るという揺ぎ無い誓いがあったからこそ、自分は新たな力に飲まれずに済んだ。

 

政征は熱に動かされやすい己の心を鍛えなければならないと考えていた。

 

 

 

考えが異なっていても最後に思っていた事は全員共通していた。

 

「「「「「「「あの二人の目を必ず覚まさせ(ますわ)る」」」」」」

 

一夏と箒、居なくなった二人を思いながらもバスは無情にトンネルへと入っていく。

 

それはまるで、二つの道を別々に歩んでいく軌跡を表しているかのようであった。




長い・・ちょっとやりすぎた感が。

黒幕登場、それも私だ。

夏休みに甘さはあるのか・・。

一足先にワールド・パージに近いものを出してしまうか悩みどころです。
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