Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉 作:アマゾンズ
雄輔、焦りと共に政征に喝を入れ、修行の旅へ
カロ=ラン、動き出して拉致する
以上
追伸
玉置成実さんのCASTAWAYを聞きながら書きました。
でも、今回の話の主題歌はL'Arc-en-Cielの『Lost Heaven』です。
夏休みも二週間が経ち、政征はシャナと共にアリーナで訓練をしていた。
「そこです!」
「うぐあああ!?」
グランティードのテンペスト・ランサーを受け、政征は壁に激突すると同時にラフトクランズ・リベラが解除されてしまう。
「う・・ぐ・・・・ちくしょう・・」
リベラが解除された政征はアリーナの地を苛立ちと悔しさから拳で殴った。
「政征、これ以上は意味がありません、一度休息を」
「うるさい!俺はリベラを使いこなさないといけないんだ!!」
「政征・・・」
シャナは政征の焦りに気付いていた。彼は実力が下の自分にも勝てなくなっている、それは以前にはあった冷静さがかけているが故の敗北だった。
「あ・・ごめん、シャナ」
「よいのです、今は焦る時ではありません」
「・・・っ」
今の政征にとってシャナの優しさは逆に自分を追い詰める要因となっていた。機体を使いこなせない騎士は騎士と言えず、それが政征を焦らせることにもなっている。
恋人であるシャナの剣であると誓っておきながら、今の自分は機体さえ扱えないという状態に歯痒さだけが募っているのだ。
「(このままじゃ・・俺は)」
「(政征、貴方は今、殻を破ろうとしている状態。ですが、今の政征が聞き入れては)」
互いにすれ違いを起こし、二人の間には僅かながらに亀裂が走っていた。
力を使いこなそうと焦る政征、支えようと優しさを示すシャナ。お互いに想いすぎるがゆえに食い違いが起こり、それが二人の距離を離している。
再び訓練を再開しようとした矢先、アリーナの天井が爆発を起こした。
◇
時を同じくして雄輔は無心になろうと木刀を手に外で素振りをしている。
「999・・・1000!はぁ・・はっ」
汗を流しながら息を切らしているが、自分の中にある嫉妬の感情は消えなかった。
対等という言葉が雄輔の中でいかに脆いことなのかを噛み締めていたからだ。
親友が次のステージへ行った、自分はまだ至れていないという現実だけが雄輔を支配している。
「くそっ・・・!」
どんなに羨んでも嫉妬しても自分が至れないのは分かっていた。
二次移行に至るにはきっかけが必要であり、そのきっかけが来ない事に焦っているのだ。
「俺も政征の事を言えないな・・・」
自分へ向けた皮肉を口にし、部屋へ戻ろうとしたその時、爆発音が響く。
「!なんだ!?アリーナの方か?」
雄輔は爆発が起こったアリーナへと急いで走り出した。
その途中で爆発を聞きつけ慌てた様子のラウラと合流した。
「ラウラ!」
「雄輔師匠か!」
「話は後だ!急ぐぞ!!」
二人は走り出すとアリーナへと一直線に向かった。学園内では迂闊にISを展開できない為に走るしかない。
胸騒ぎと共に自分の足の遅さを呪いながらラウラと雄輔は走り続けた。
◇
[推奨BGM『Doomsday』スパロボOG MD]
爆発したアリーナの天井から現れたのは二つのシールドクローを持つラフトクランズに似たISだった。
「!!お前は・・・カロ=ランか!!」
「久しいな?だが、今回は目的があるのでな。シャナ=ミア、私と共に来てもらおう」
「!!」
カロ=ランの視線はシャナに向けられていた。政征は眼中に入っておらずISを纏ったままシャナへと近づいていく。
それに気づいた政征はリベラを展開し、シャナの前に立った。
「シャナ=ミアを引き渡してもらおう」
「素直に応じると思うか?カロ=ラン!」
「ならば力ずくで奪い取るまでよ!」
「させんぞ!」
カロ=ランの機体の肩から発射されるビームがリベラへと向かっていく。それをシールドクローで防御し、ソードライフルを構えた。
「来るがいい」
カロ=ランは余裕を崩さず、ビームを連射してくる。政征は機体に引っ張られ回避が上手くできない。
「っくそ!ガーディアン!!」
オルゴン・ガーディアンをシールドモードで展開し、自分とシャナを守るように操作する。
「ふん、今の機体に慣れきっていないようだな?薙ぎ払ってくれるわ!」
カロクアラが展開したのはオルゴンキャノンだった、その照準が向けられる。
チャージに制限が無いのかオルゴンキャノンを展開と同時に放ってくる。
「ぐっ、おおおおお!がああああ!」
政征は叫びながらシールドクローで防御するが直撃を避けられただけで、SEは大幅に削られていた。
「ほう?直撃を避けるとはな?だが!」
その隙を狙っていたかのようにカロ=ランは突撃するとクローを展開し、リベラを捉えた。
「しまっ!」
「オルゴン・クロー!足掻くがいい!!」
捉えられると同時にそのままアリーナの地へ叩きつけられ、遠心力をかけ上へと投げ飛ばすと同時にオルゴン・クラウドで転移し真下へと叩きつける。
「叩き落とす!」
「ぐああああ!!」
成す術もなくアリーナの地に叩きつけられ、政征は動けなかった。
「観念するのだな」
落下と同時に地に降りていたカロ=ランはゆっくりと近づき、リベラを足で踏みつけた。
「くくくく・・・圧壊せよ!」
シールドクローを突き刺し、展開させた。それと同時にリベラに火花が走る。
「うあああああああ!!!」
「政征!」
SEが切れる寸前までダメージを受け、先頭可能な状態ではない。シャナは思わず声を上げたが届くはずがなかった。
「さぁ・・来てもらうぞ」
「ま、待て・・・まだだ!オルゴンキャノン!広域モード!」
政征はオルゴンキャノンを展開し、直撃するはずだったその一撃を避けていた。
「な・・・何!?」
「騎士と違って私に戒めはないのでな?貴様を完全に倒すとしよう。バスカー・モード・・・!」
カロ=ランはラースエイレムを使い、僅かな間だけ時間を停止させオルゴンキャノンを避けていたのだ。
追撃と言わんばかりにバスカー・モードを起動する。それはこの機体が持つ全力を解放する言葉であると同時にカロ=ランの機体がオルゴンを使うラフトクランズと同型である事を示していた。
スラスターを全開にし、クローで軽く引き裂いた後に連射されるオルゴンキャノンの弾幕が政征を捉える。
「クロー展開!」
それと同時に両腕のシールドクローが展開される。リベラへと迫り、クローで機体を何回も引き裂いていく。
「抉り!削ぎ!剥ぎ取り!!全てを細断してくれるわ!!」
「がっ!?ぐあっ!ぐあああああ!?」
クローで掴むとアリーナの地にリベラを叩きつけ、クローがオルゴナイトに覆われると同時に斬撃を振り下ろすように撃ち放った。
「ヴォーダの闇が間近に迫っているぞ?オルゴン・マテリアライゼーション!」
オルゴナイトによって形成された巨大な爪を構え、オルゴン・クラウドで転移しリベラをその巨大な爪で地面ごと引き裂いた。
「断殺!」
「があああああああああ!!」
◇
雄輔とラウラがアリーナへたどり着くと同時に目に映ったのはラフトクランズ・リベラを纏った政征がオルゴナイトの爪で引き裂かれた瞬間だった。
「な・・!」
「政征、兄様・・!?」
アリーナの壁に叩きつけられ、リベラが解除されると同時に政征は倒れ動かなくなった。
「政征!!」
「貴様あああああああああああ!!!」
ラウラは怒りに任せ、シュヴァルツェア・レーゲンを展開しワイヤーブレードをカロ=ランへ向けて放つ。
「ふん、余計な邪魔が入ったか」
「許さん許さん許さん許さんぞォ―ー!!」
「ラウラさん!ダメです!!」
シャナの静止も聞こえるはずがなく、ラウラは攻撃を続ける。しかし、カロ=ランはそれを遊戯の相手をしているかのように避け続けている。
「影が運ぶは滅死の報せ、黒き雨は降り止むだろう」
隙を見つけたカロ=ランはラウラの懐へ潜り込み、シールドクローを腹部に突き刺す形で動きを止めた。
「がっ・・・!」
「急所を抉ってくれるわ!」
突き刺したシールドクローを展開し引き裂くように吹き飛ばした。その攻撃を受けたシュヴァルツェア・レーゲンは壁にまで吹き飛ばされ解除されてしまう。
「うああ!?が・・・あ・・」
「ラウラさん!」
たった一撃でラウラは戦闘不能に追い込まれ、倒れながらもカロ=ランを睨んでいた。
雄輔は待機状態のモエニアを握り締め、それを展開しカロ=ランの前へと立った。
「っく・・!させるか!」
「ほう?だが、貴様と遊んでいる暇はないのでな?」
カロ=ランは再びラースエイレムを起動させ、気絶させると同時にシャナをその腕に抱えていた。
「な、いつの間に!まさか!ラースエイレム!?」
「ではな、貴様とは再び合う事になるだろう」
「ぐ・・シャナ・・ミア・・・・姉・・・様!」
カロ=ランはそのまま破壊したアリーナの天井からシャナを連れて離脱していった。
「う・・うう・・」
連れ去られると同時に気絶していた政征は意識を取り戻した。周りを見渡すがシャナの姿はない。
「シャナ・・?シャナアアアアア!ぐ・・くそぉおおおお!カロ=ラァァァァン!!」
政征は慟哭の叫びを天井へ向けて上げていた。大切な恋人を守れずに連れ去られてしまった、その悔しさを表すかのようにアリーナの壁を殴り続けた。
「政征!やめろ!」
「離せ!雄輔!!俺は!」
「大馬鹿野郎!!」
「ぐあっ!?」
雄輔からの拳を受けた政征は軽く吹き飛ぶが、直ぐに起き上がった。その目には悔しさと怒りが入り混じり、雄輔を睨んでいる。
「お前はシャナさんを取り返そうとは思わないのか!そこまで落ちたのか!?」
「お、俺は・・・」
「今のお前は何も見えなくなっている、頭を冷やせ。何のために騎士になったかを思い出せ」
「騎士になった・・・理由」
「政征兄様、雄輔師匠・・・」
ラウラも目を覚まし、二人の様子を見ていた。
「俺は・・シャナを守る為に、くそっ!」
「シャナ=ミア姉様を取り戻す機会は必ず来ます。それまでは私が特訓相手を努めます」
「ラウラ・・・すまない」
「いえ、私が出来る事を精一杯やろうとしているだけです」
頭が冷えた政征は自分が自惚れていたのだろうと反省した。これでは何も変わっていない。シャナを守護する騎士を名乗っていながら大失態を起こしたのだから。
「政征、ラウラ・・俺はしばらく学園から離れる」
「え?」
「どうしてですか?」
「自分を見つめ直してくるだけだ。それまで頼む・・・フー=ルー先生にも伝えといてくれ」
「わかった」
「ありがとう」
そういって雄輔はアリーナから出て行った。政征とラウラもアリーナから出て行き、アリーナで起こった事を全て教員に報告した。
◇
その日の午後、政征は一人でフー=ルーの部屋を訪れていた。
「そうでしたか、雄輔さんとシャナ=ミア様が・・・」
「これは私の責任です」
「過ぎた事を悔やんでも仕方ありません、それよりも」
フー=ルーは真剣な目で政征を見ていた、ここから先は嘘は許さないと言わんばかりの威圧を放ちながら。
「あのカロ=ランが存在しているのは本当ですか?」
「はい、事実です。女性でしたが確かにカロ=ラン・ヴイと名乗りました」
「そうでしたか、次にユウ=スケ・ダーブルスに関してですが」
「彼は修行に出ると学園を出て行きました。フー=ルーさんにそう伝えて欲しいと」
「分かりました、ありがとうございます」
「では、失礼しますね」
政征が部屋から出ていくとフー=ルーはカロ=ランの行動を考察していた。
「恐らく、ユウ=スケを勧誘させようとするはず。ならば、ファウネアを取り戻さねば」
◇
[推奨BGM 『Forgotten Temple』スパロボOG]
カロ=ランはシャナを連れ去った後、機械がある部屋に拘束していた。
「うう・・・」
「お目覚めかな?シャナ=ミア様」
「!貴女は!?」
「そう、カロ=ラン・ヴイでございます。今は女の身でありますが」
シャナは目の前の現実が信じられなかった。この女性が謀士長のカロ=ラン・ヴイ
を名乗っている事に。
「私をどうするおつもりですか!?」
「ふ・・簡単な事。貴女には自由の騎士と戦ってもらうまで」
「!!!」
シャナに衝撃が走る。自由の騎士、それは自分の愛する男と戦わせられるという事に他ならない。
「では、受け入れるといい。破滅の意志をな!」
その瞬間、機械に電源が入りシャナに電流が走って行く。拷問ではなく、自分の意識を溶かされていく感覚、それが徐々にシャナを侵食していく。
「嫌!嫌ァアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
シャナの意識は眠らされ、仮の意識が覚醒する。その目に輝きは無くまるで人形のようにも見える。
「くくくく・・・フォルティトゥードーの名を持つ者よ。貴様に戦いへの絶望をくれてやる」
「破滅の意志の名の下に・・・リベラ・・破壊・・」
自意識を失っているシャナの手には赤黒くなった待機状態のグランティードが握られていた。
更新しました。
政征は二次移行しているものの何も出来ないままシャナを連れ去られてしまいました。
雄輔も政征と同じ場所に登ろうとかなり焦っています。
シャナは催眠を受け、グランティードと共に襲ってきます、特訓もしていたのでかなり強いです。
スパロボでいう説得が必要な敵ですね。
さて、次回は雄輔がメインとなります。
破滅への誘惑を断ち切り、大切な仲間、教官、フー=ルーへの愛を自覚した時モエニアが目覚めます。