Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉 作:アマゾンズ
以上
※注意書き
この話は個人ルートになります。
IN MY DREAM(セシリア編)
セシリアが目を覚ますと同時に何処かの甲板にいた。
「う・・どういう事ですの?どうしてこんな所に?」
「セシリアさん、大丈夫?」
小声で突然話しかけられる、その女性に自分は見覚えがない。だが、なぜかその女性の名前を知っていた。
「大丈夫ですわ、比瑪さん。今、どういう状況ですの?」
「ノヴィス・ノアにリクレイマーが侵入しちゃったのよ、早く助けないと」
どうやら侵入者らしく、迂闊に動けない状態のようだ。それでもセシリアは自分を冷静にさせ現状を確認した。
「(ブルー・ティアーズは・・・ありますわね。迂闊に展開すれば気づかれてしまいますわ)」
それならと、周りを確認できるハイパー・センサーと同時にオルゴンエクストラクターを起動する。
「比瑪さん、先に行ってきますわね」
「セシリアさん?」
特訓のおかげか、大抵の事では動じなくなっていたセシリアはノヴィス・ノアの中へと向かっていった。
「セシリア?どうして!?」
「勇さん、わたくしも手伝います」
「そうだな、セシリアは強いもんな」
途中で出会った彼の名は伊佐未勇、なぜか彼の名前も突然、頭の中に浮かんできたのだ。
「(篠ノ之博士が組み入れたサイトロンのおかげでしょうか?)」
「行くぞ」
「ええ!」
勇に促され、その後に着いていく。その先の通路を走っていくと侵入者に出くわした。そこには金髪の男性が幼子の男の子を肩車するような形で背負っている。
「もうこれ以上、上には上がれないぞ!ジョナサン!!」
「その子を離しなさい!」
「悪いな、今はお前達に構っている暇は無い!」
振り返るとそこには指揮官でありこの船の艦長らしき女性が拳銃を男性に向けている。
「いい加減にクマゾー君を離して投降なさい、そうすれば悪いようにはしません!」
「嘘をつけ!悪いようにしないなんてずっと言ってきたじゃないか!だけど、いつもいつも裏切ってきたのがママンだ!」
それは男性が母親らしき艦長の女性に裏切られた思いをにぶつけているようにも見える。セシリアはそれを見て胸が締め付けられた感覚が走った。
「そんなことありません!!」
「八歳と九歳と十歳の時と、十二歳と十三歳の時も僕はずっと!待ってた!」
「な、何を・・?」
「クリスマスプレゼントだろ!!」
「ああっ・・・!?」
子供が親を待っている、二人を見ているセシリアも同じ経験があった。両親、特に母親は経営者の才があった為パーティーなどに出席せねばならず、家にいなかった。父は父でまるで道化になっているような姿に嫌気をさし自分から関わろうとしなくなっていた。
「カードもだ!ママンのクリスマス休暇だって待ってた!あんたはクリスマスプレゼントの代わりにそのピストルの弾を息子にくれるのか!?」
「そんなに忘れてるっ・・・?」
女性の言葉にセシリアは思わず声を上げた。その目には怒りと羨望が同時に溢れていた。
「忘れているならどうして改めて向き合わないんですの!?」
「セシリア!?」
セシリアの行動に勇は驚いていた、なぜこんなにも普通の子が激情を表しているのか。
「貴女は子供が親に居て欲しい時に見放してたのでしょう!?」
「わ、私はそんな事!」
「ない、とは言わせません!貴女の勝手な思い込みが自分の子供を追い込んだのですわ!」
「あ、ああ・・・」
「セシリア、もういい。ジョナサンを追うぞ」
「ええ」
勇の言葉に冷静さを取り戻したセシリアは勇と共にジョナサンと呼ばれている金髪の男性を追った。だが、エレベーターは動いてしまい扉は開かない。
「くそ!」
「勇さん、こちらです!こちらが外に通じてますわ!」
外に通じた場所から、二人はクマゾーを抱えたジョナサンに声をかける。
「クマゾーを離せ!」
「その通りですわ!」
その時、一つの光が甲板を揺らし、ジョナサンとクマゾーが落下していってしまう。
「落ちるなぁ!踏ん張れ!」
「ジョナサン!」
「男なら踏ん張ってみせろ!」
「お前なら出来る!」
クマゾーも踏ん張りを利かせるが結局は落下してしまう。それを見ていたセシリアがブルー・ティアーズ展開して向かっていく。
「クマゾー!」
「クマゾーさん!」
「勇、セシリアー!」
勇は海に落下し、セシリアが手を伸ばすが速度が速すぎてクマゾーを追い越してしまう。落下から助けたのは意外にも茶色のグランチャーと呼ばれるものだった。
ジョナサンとグランチャーに助けられたクマゾーは対峙するような形で互いを見ている。
「君は立派だったよ、尊敬に値する坊やだ。オルファンに来ればグランチャーをくれてやる。一緒に来るか?」
「い、行かないも!」
「残念だな。おい、そこの女!今から坊やを引き渡すが条件として何もするな!」
「分かりましたわ」
クマゾーを受け取ると同時にジョナサンはグランチャーと共に去っていった。
セシリアは甲板に降りるとクマゾーを縛っていた縄を解いた。
「セシリア、ありがとうだも!」
「え、ええ」
クマゾーはセシリアにお礼の言葉を言った後、走っていってしまった。セシリアはISを解除し自分の置かれた状況を整理しようと考え始めた。
「(わたくしは篠ノ之博士が作った訓練装置が作動した後、意識を失って・・・それに何故、この方達の名前が分かるんですの?)」
自分が今いる世界はデータで出来た世界、しかし何故このような状況になってしまったのだろうか。
此処には自分しかいない、他のメンバーはどこへ行ったのだろう?それだけが気がかりだ。
「(きっと、皆さん。無事ですわよね)」
これが訓練ならば倒すべき相手を倒せば戻れるはず、そう考え空を見上げると同時に今はいない他のメンバーの安全を願った。
◇
「え?あら?」
景色が切り替わり、いつの間にかセシリアは雪原にいた。何もなくただ一面に雪が広がっている。
「ひどく不安定ですのね、このままではいけませんわ」
ブルー・ティアーズを再び展開するとハイパー・センサーによって見覚えのある顔を見つけた。
「勇さん?」
「セシリア?お前も飛ばされていたのか!」
「え?は、はい」
話を合わせるためにセシリアは肯定する返事を返した。その中でセシリアは違和感も感じていた。
「勇さん、勇さんのブレン酷いケガですわ・・・」
「ああ、無茶をさせてしまった。本当に済まない」
そう、ユウブレンが大怪我をしていたのだ。セシリアはブルー・ティアーズの手で優しく触れる、その優しさに反応を返した。
「セシリアって、優しいんだな?」
「え?」
「ブレンが喜んでるよ、俺にはよくわからないけど」
「勇敢ですのね、勇さんのブレンは。でも、勇敢な方ほど優しくされたいと思うのですよ」
セシリアは自分が感じた事、考えた事を素直に勇へと伝えた。
「そうなのか?ブレン」
「・・・・(ヤサシクサレルノスキダヨ)」
しかし、二人の会話を邪魔する何かが現れた、それは白い何かだった。その姿はグランチャーと酷似しているが凶悪性を感じ取れるほどに凶暴だ。
それを真っ先に感じ取ったのがセシリアのISであるブルー・ティアーズだった。
「ブルー・ティアーズが最大警戒!?ということは・・」
セシリアはこの訓練機の中で自分が倒さねばならない相手を見つけ出した。
「勇さん、ブレンと一緒に後退してください」
「何!?」
「わたくしがあのアンチボディと戦います!」
「無茶言うな!お前の機体じゃ!」
「わたくしはわたくしのために戦うのです。仲間のために」
セシリアの言葉に勇は目を見開いた。仲間のために戦う、それが彼にとっては衝撃的な事だったのだろう。
「行きますわよ!」
「ハァーハッハハハ!アンチボディでもない奴が!」
「その声、あの時の殿方ですわね!?」
「あの女か!死ねよやー!」
相手が刃とした肩の部分を展開し、セシリアの戦いが始まった。
はい、訓練の総仕上げ始まりました。
メンバー達は倒さなければならない相手の関連した世界に飛ばされています。
場面がコロコロ変わるのは、すぐに戦わせるための訓練機の意地悪です。
倒し終えると本来の世界で目を覚まします。