Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉 作:アマゾンズ
連戦の中で相手の技を見取る。
以上
さて、皆さん。
シャッフル同盟との戦いに燃える凰 鈴音(ファン リンイン)。彼女は決意を新たにし挑戦者として彼らに挑もうとしています。
一方のチボデー・クロケットは対戦相手である彼女に対し、何やら不満の様子。
一体この戦いはどんなドラマが待ち受けているのでしょうか?
それでは!
ガンダムファイト!レディーーー!ゴー!!
組み合わせが決まった翌日、チボデーは不満をトレーニングにぶつけていた。一つ二つとサンドバッグに穴が空き中に詰まっていた砂が床にこぼれ落ちる。
「はぁ、はぁ・・なんで俺があんなチャイナガールと戦うハメになるんだ?実力は確かにありそうだがよ」
チボデーの不満はますます膨れ上がり、残りのサンドバッグ全てに穴を開けてしまった。
「チボデー、いくら相手が年下の女の子でもファイターはファイターよ?」
彼を支えるクルーの一人、シャリーがタオルを手渡しながら油断しないように注意した。それに便乗するようにキャス、ジャネット、バニーの三人が近づいて来る。
「わかってるさ、どんな相手でも俺は勝つ!」
「そうよ、それでこそチボデーよ!」
「ええ!」
「あの子も全力で来るんだからそれに応えてあげなきゃ!」
クルー達の言葉にチボデーは自分がどれだけ大人気ないことを言っていたのかを反省した。自分よりも年下で首相推薦すら勝ち取るファイターが自分に挑戦してくる、それだけでも戦う相手に相応しいと考え、闘志が湧いてくるのを己の中で感じていた。
「いよいよ、今日の午後だ・・・その時にこそ全力で迎え撃つぜ、チャイナガール・・凰 鈴音」
もはやチボデーに油断も嘲りもない、ただ一人のファイターとして挑戦を受ける。それだけを考え、夢の体現者としての力強い目つきに変わっていた。
◇
それと時を同じくして、鈴は緊張のせいか何度も何度も演武を繰り返していた。
「はぁ・・はぁ・・こんなに緊張してるだなんて・・」
これ以上の演武は体力を失う事になり兼ねないと考えた鈴は自らを休める事にした。緊張を解す為の演武が逆に緊張を深めてしまい、焦りが出ている。
「はぁ、無理もないか。なにせ相手は私を鍛えてくれた恩人の一人だし」
鈴は自分の右手の甲に浮かび上がる紋章を見つめた。クイーン・ザ・スペード。シャッフル同盟の証の一つであり、コロニー格闘技五天王の称号でもある物だ。
他にもクラブ・エース、ジャック・イン・ダイヤ、ブラック・ジョーカー、キング・オブ・ハートの紋章が鈴の手の甲に順番で浮かび上がる。
「これって、この世界での最強の証よね?どうしてあの人達は私に全ての紋章を渡したのかな?」
鈴の疑問は最もだ。シャッフル同盟の証は次世代に継承すれば消えるものではない、継承される相手自身が内から現れるものなのだ。
「ひょっとしたら私の世界で誰かに渡ったりして、そんな訳無いか」
冗談を言いながら汗を流そうとシャワーを浴びる為にホテルの部屋へと戻り、浴室へと入る。
自分が許容できる温度に調節し、湯を浴びる。今はガンダムファイターになっているとはいえ十代の女の子、汗などは気になってしまう年頃だ。
「・・・・勝ってみせる、勝てないなんて決めつけた瞬間に勝てる試合も苦戦するんだから」
壁に手を着きながら湯を頭から被り続け、身体の熱を収めていく。自分は挑戦者、鍛えてもらった恩人ではなく、一人の格闘家として戦う覚悟を改めて決めた。
◇
そして、時間は午後18時。日が完全に落ちており夜での戦いになる。そんな中、サーフボードモードにしたシールドを使い、ガンダムマックスターが会場に現れる。
観客席となっている廃ビルにはネオアメリカの住民が代表であるチボデーを応援する為に駆けつけていた。会場にガンダムマックスターが現れたと同時にチボデーコールがより一層強くなる。
その数分後、挑戦者である鈴が現れマックスターを見上げる。その目には勝つのは自分だと言わんばかりの闘志に溢れた目をしていた。
「ヘイ、ガール!ガンダムに乗って来なかったのか?」
「呼ぶ方がしっくりくるんです。来て!ジャオロンガンダァァァム!」
チボデーの言葉を聞いた後、鈴は指を鳴らした。それを合図にジャオロンガンダムが上空から現れ、試合会場の地にゆっくりと着陸する。
鈴はすぐに乗り込み、機体を起動させた。起動と同時に衣服は全て量子化していき拡張領域へと収まるとモビルトレースシステムが起動する。
「んううううっ!ああああ!!」
頭がリングを通過すると同時に裸体となっている鈴にファイティングスーツの膜が張り付いていく。その苦痛に身体が慣れてきたのか以前ほど骨の軋みなどの負荷が少なく、手足の幕を引きちぎる。
「くぅあああああ!」
ファイティングスーツの着用が完了し、チボデーの正面に立ち構えを取る。二人の間には火花が走っており開始の合図を待ち構えていた。
「お前は俺達シャッフル同盟が鍛えたんだってな?俺達にそんな覚えはねえが」
「誰から聞いたんですか?私は誰にも話していないはずなのに」
「ただの噂だ、だがその口振りからすると噂は嘘じゃなさそうだな?」
「・・・」
鈴は無言になることで肯定の意志を示した。自分の口からシャッフル同盟に鍛えられたなどと口にすればこの世界では大問題になるからだ。
「さぁ!試合開始まで後三分です!」
実況の言葉に鈴は少しずつ緊張を解し始めていた。自分の持てる力をこの試合に集中すればいい。ただそれだけを考える。
「ヘイ、ガール!出身はネオチャイナだってな?だからチャイナガールと呼ばせてもらうぜ」
「どうぞ、好きなように呼んでください」
鈴はいつもの砕けた話し方ではなくずっと敬語を使い続けている。やはり、鍛えてくれた恩師だけあって下手な話し方は出来ないのだろう。
「さぁ、試合開始です!!」
「それではガンダムファイトォォ!」
「レディィィ!!」
「ゴォォォ!っ!?うあああ!」
ウォンの試合開始の合図と同時に鈴は突撃しようとしたがチボデーのパンチによって吹き飛ばされてしまう。
「チャイナガール!俺達に鍛えてもらったってんならそれを活かしてみろぉ!」
「うあああああ!」
鈴はすぐに受けの構えを取り、チボデーのラッシュを防御し続けるがパンチの一つ一つが重く素早い。
「ウラウラウラウラァ!!」
「こ、これがチボデーさんのパンチ!素早くて重い!こんなのずっと受けていられない!!」
「俺は必ず俺を支えてくれるクルーの為、ネオアメリカの為、それにも増してライバルの為!俺は勝つんだぁ!」
「あぐぅ!がはっ!ぐはぁっ!?」
ほんのわずかに出来た隙を突かれ鈴はチボデーのブローを顔面に受けてしまい、更には右アッパーが顎に直撃し、ノックダウンしてしまった。
「立て、リン!こんなんで終わる訳がねえ!俺達に鍛えられたというのなら、俺達全員を超えてみせろ!立て!立つんだ!!リーーン!!」
チボデーからの叱咤激励に鈴は思わず笑みを浮かべてしまった。まるで自分を奮い立たせ、燃え上がらそうとしている事に。
「うう・・ふふ!すごく嬉しくなって来て、ますます超えたくなるじゃないですか!チボデー・クロケットさぁぁぁん!!」
鈴は闘志に燃え、気力を膨れ上がらせていた。自分を超えてみせろという言葉に鈴は魂が燃え上がり立ち上がっていた。
「そう来なくっちゃな、リン!」
ある一室では首相のウォンとマスターアジアが観戦し、試合会場から少し離れた場所ではシュバルツと他のシャッフル同盟のメンバーも観戦していた。
「一方的な展開となっていたはずなのに」
「チボデーの闘志が鈴音の魂に火を着けたか」
「そして互いの死力を持って魂の拳を打ち放つ、悟ったようだな二人共」
「チボデーの攻撃を受けて立ち上がってくるとは」
「やるねぇ、ただの女の子じゃなかったって訳だよね」
「さぁ、貴方の叱咤激励で彼女は気力が膨れてしまいましたよ」
「どう出る?チボデー」
チボデーは全身を黄金色に輝かせ、自分を最も支えてくれる人達の名前を呼ぶ。
「さぁ!一緒に行こうぜ!シャリー、キャス、ジャネット、バニー!俺達の夢を、この一撃でコイツに見せてやるんだああああ!」
チボデーの気迫と共にガンダムマックスターの肩パーツがボクシンググローブのように装着され、機体も軽量化し構えを取った。
「チャイナガァァァル!」
「はい!」
「豪ォォ熱!マシンガァァァン!パァァァンチ!!」
放たれた技は鈴自身も自分の世界で一度だけ見た事があるチボデーの必殺技だ。それを見た鈴以外の人間全員が驚いていた。
「全力で放ったか!チボデー!」
「あれが!」
「さぁ、どう受け止める?鈴音」
「チボデーの熱き魂を!」
たった一発のパンチが十発分の衝撃となってが襲いかかってくる。一人では受けきれない、しかし爪龍と協力すれば受け止める事は不可能ではないと鈴は信じている。
「分かりますよ、チボデーさん!貴方の夢が!だから、それを越えてみせる!分身結晶!!オルゴン・シャドウ!!」
鈴は爪龍の姿を形どったオルゴン・シャドウを九体出現させ、受け止める構えを取った。
「何だと!?」
「くうううううう!!」
オルゴン・シャドウで作られたジャオロンガンダムと本体のジャオロンガンダムは放たれた全てのパンチを受け止めている。
「チボデーさん!貴方が一度に十発のパンチを放つなら私は十体の爪龍となってその全てを受け止めます!!」
「ドモンと同じ方法で俺の必殺技を・・受け止めた、だと・・?」
オルゴン・シャドウは砕け散っていき、本体のジャオロンガンダムだけが残ったが、衝撃だけは緩和できずにダメージは受けている様子だ。
「チボデーさん、貴方が強くなればなるほど私はそれを超えたくなるのよ!」
「そうか、それならば超えてみせろリン!さぁ来い!今度はお前の番だ!!」
鈴はその言葉に泣きそうになった。自分の世界でなくても叱咤激励と共に越えるべき壁で有り続けてくれる、それだけでも嬉しすぎることだからだ。
「ならば!勝負です!私のこの手が輝き唸る!!」
[
「勝利を掴めと轟き叫ぶぅ!!」
「爆光!オルゴン!フィンガァァァ!」
「でやああああああ!!」
双方の一撃が相打ちの形になっており、ブロークン・アームの爪がマックスターの胸部に突き立てられ、マックスターの拳は爪龍の顔面に寸分の狂いもなく完全に入っていた。
「チボデーさ・・ん!!」
「リ・・ン!ぐはっ・・・!」
「チボデー!!」
しばらくして均衡が崩れるように爆発が起こり、片方のガンダムが倒れる。倒れたのはガンダムマックスターでクルーが声を上げるがチボデーには審判の幻聴が聞こえテンカウントを数えている。
「うう・・・超えられちまったか」
「いいえ、今回の勝負は勝敗以上でした。だから何度でも戦いましょう?お互いが納得するまで!」
「そうだな、チャイナガール!お前の言う通りだ。夢は果てしなく続くものだから夢なんだ!それを諦めるか諦めないかで変わる!」
「ええ!!」
鈴がチボデーを支えて外へ出るとチボデーコールと鈴コールが交互に行われている。両者の試合を見た観客達は興奮と共に二人への応援をやめない。
「チャイナガールを認めてくれたようだな?故郷のみんなも」
「それなら、何か皆さんに一言をどうぞ?」
「そうだな! I'll never give up!」
チボデーの宣言に観客達は更なる盛り上がりを見せた。試合を見ていた新シャッフル同盟のメンバーは笑みを深くしていたが一人だけは鈴を見続けていた。
「次の貴女の相手はこのサンド家当主、ジョルジュ・ド・サンド。凰 鈴音、貴女とのファイト楽しみにしていますよ」
皆さんお待ちかねー!
はい、待遇の差が著しく出てきたと自覚し始めた作者です。
さっさと個人ルート終わらせて本編行けや!という声が聞こえてきそうです(震え声)
個人ルートはどうしてもやりたかったので。
鈴のファイティングスーツ着用シーン省こうかとも考えてます。もし、ダメなら「それをはぶくなんてとんでもない!」とおっしゃってください。
小説に集中するとイラストを描く時間がとれない・・・(泣)
あ、作者は原作ISガールズの中で鈴とラウラとセシリアが好きです(今更)
鈴の酢豚・・本気で食いたいです。白米と一緒に