Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉   作:アマゾンズ

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アルゴとの戦い。

鈴が見取り稽古の成果で最終奥義を習得。


以上


さて、皆さん。

いよいよ、シャッフル同盟との戦いも大詰めとなりました。

今回の相手はネオロシアのボルトガンダム、ファイターは元・宇宙海賊のアルゴ・ガルスキー。

彼女、凰 鈴音にとっては最も苦しい戦いとなりそうです。

それでは!ガンダムファイト!レディーーー!ゴーー!!


我が心 明鏡止水[VSボルトガンダム戦](鈴ルート6)

ドラゴンガンダムとの一戦から数日が経ち、鈴は料理修行に打ち込んでいた。最も鍛錬ばかりでは自分が参ってしまう為に変化をつけるためのもので、サボっているわけではない。

 

「よし、今日はここまで。オイラ、試合あるからさ」

 

「そう、わかったわ。じゃあまた!」

 

「おう!」

 

サイ・サイシーと共に後片付けを済ませた後、鈴も自室へと戻り次の対戦相手であるボルトガンダムの映像を観始める。映像でも理解がついたが、かなりのパワーファイターであり機体も強い装甲のようだ。

 

「掴まれたらまずいわね、力任せに引きちぎられて戦闘不能になるわ」

 

パワーファイターというものはその名の通りパワーで押し切る戦法を得意としている。相手が速さや技術に自信があろうと強引に押し切ってしまうのだ。

 

その為に戦法で直線的になる場合が多いが、今回の相手はそうはいかない。冷静な判断力を持つパワーファイター程に厄介な相手はいないのだ。

 

「パワーで私は圧倒的に負けてる・・・それなら絡め手を使わないと」

 

パワー重視でも必ずどこかに付け入る隙があるはずと鈴は考え、身体が睡眠で休まるギリギリまで映像を視聴し続けた。

 

「残るは二人、私は越えてみせる!」

 

右手に浮かび上がった紋章の一つであるブラック・ジョーカーに視線を移した後、鈴は試合に備え休む事にした。

 

 

 

 

 

鈴が休んだ後の時刻、アルゴは監視者のナスターシャと共にいた。ナスターシャ自身は次の対戦相手である鈴に不満を隠せない。

 

「まさか、あんな小娘が対戦相手とはな。アルゴ、まさか手加減などしまいな?」

 

「手加減など必要ないのはお前は一番分かっていると思うが?」

 

「ふん、そうだな。試合当日は容赦なく叩き潰せ」

 

「言われるまでもない・・・!」

 

返事をナスターシャに返すがアルゴの内では引っかかる事があった。鈴自身が言っていた鍛えたのは自分達だという点だ、シャッフル同盟の仲間も自分にも一切覚えがない。

 

だが、試合を見た限りシャッフル同盟のメンバー達のクセを知り尽くしているような様子をアルゴは見逃してはいなかった。海賊時代に培った洞察力は伊達ではなく、鈴自身に対する自分達を越えようとする意志にも危うさがある事も見抜いている。

 

「俺は手加減しない、それが最大の礼儀になるならな」

 

鉄仮面のようで表情の変化のない顔の内に熱い感情を燃え上がらせながら、試合の日を持ちきれないのを堪えるかのように拳を強く握っていた。

 

 

 

試合当日、会場はある島の断崖などがある場所でのファイトとなり、鈴は機体に搭乗はせず岩の一つに立っていた。そこへボルトガンダムが歩いて試合会場に現れた。

 

「待たせたな、凰 鈴音。今日のファイト、手加減はしない」

 

「手加減は無用です、アルゴさん。来て!ジャオロォォォン!」

 

鈴の指鳴らしと共に地中からジャオロンガンダムが姿を現し、コクピットが開き乗り込む。

 

服が量子化し、モビルトレースシステムが起動すると同時にリングが回転しながら鈴にファイティングスーツを装着させていく。

 

「ぐ、んううううう!あああっ!」

 

張り付きが完了した両腕のスーツ素材を引きちぎり、鈴の胸元、太腿、足へと張り付いていく。

 

「うあああああ!」

 

全身にファイティングスーツの張り付きが完了し、起動と同時に軽い演武を披露するとボルトガンダムに向き合う。

 

「お待たせしました、アルゴさん」

 

「問題ない、行くぞ!ガンダムファイト!」

 

「レディー!」

 

「ゴーーー!」

 

ジャオロンガンダムとボルトガンダムが組み合い、押し合いを始める。互角のように見えるが、やはりパワーファイターであるアルゴと十代の少女である鈴とでは筋力の差がありすぎて押され始めている。

 

「ぐ・・・ぐううううう!!」

 

「軽いぞ・・・!その程度の力では俺には通じん!」

 

組み合いを外され、左腕を掴まれてしまった。鈴にとっては決して陥ってはならない状況に立たされてしまったのだ。

 

「ぬううううう!」

 

「あ・・ぐ!っああああ!!」

 

ボルトガンダムはそのパワーに任せ、ジャオロンガンダムの左腕を破壊しようとしている。抵抗するかのように蹴り技や右腕で反撃するがボルトガンダムの強固な装甲には一切通用しない。

 

「うおあああああ!」

 

「きゃあああああああああああ!」

 

アルゴの気合と共にジャオロンガンダムの左腕を引きちぎると同時に、ショルダータックルで押し飛ばした。

 

「ぐ・・く・・たかが、左腕一本!まだ戦えるわ!」

 

「まだ、戦意を失わないとはな。なら一気に止めを刺してやる!」

 

ジャオロンガンダムが岩壁から立ち上がるとボルトガンダムは肩から鉄球が射出し、鎖の形をしたビームが鉄球を捉えそれを振り回す。

 

「グラビトンハンマァァァ!」

 

それは純粋な質量の塊そのもので、それだけに直撃を受ければ、間違いなく今のジャオロンガンダムは戦闘不能になってしまう、それだけの威力を持った鉄球が迫る。

 

「えええい!」

 

「何ぃ!?」

 

鈴は残った右腕で青竜刀を持ち、迫り来るグラビトンハンマーのビーム鎖を断ち切った。それには流石のアルゴも驚きを隠せない。

 

「見取り技!無影脚ゥゥゥ!ハイハイハイハイハイハィー!」

 

鈴がボルトガンダムへと放った蹴り技はサイ・サイシーと戦った自分の試合の映像を見返し、見取り稽古から見様見真似したものだ。

 

「ぐおおおお!」

 

奇襲にも近い鈴の蹴り技を受けたアルゴは地面に叩きつけられ、初めてダウンを奪われるがすぐに立ち上がり構えを取る。

 

「はぁ・・はぁ・・」

 

「・・・」

 

機体損傷と体力は鈴の方が圧倒的に不利となっている。だが、鈴の目からは闘志が衰えておらず、勝利をもぎ取る意志が感じられる。

 

「アルゴさん、貴方に一騎打ちを挑みます!」

 

「望む所だ!来い!」

 

アルゴは両手の拳をぶつけ合い、精神を更に高揚させ全身を金色に輝かせた。それは全力で鈴を迎え撃つという事にほかならない。

 

「私の全力をこの一撃に込める!」

 

[単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)『真・明鏡止水』発動]

 

鈴は智拳印を結ぶと同時にショルダーパーツをパージし、それがジャオロンガンダムの右腕に装着される。

 

「私のこの手が輝き唸る!」

 

「勝利を掴めと轟き叫ぶ・・・!」

 

二人の気迫が最高潮に達し、それが一騎打ちの合図となってぶつかりあった。

 

「爆光!オォォルゴン!フィンガァァァ!」

 

「炸裂!ガイア!クラッシャァァァ!」

 

ボルトガンダムが地面に拳を撃ち込み、その衝撃で地から何本も槍のような突起が現れ、鈴の突撃を阻もうとする。

 

「こんな、ものでえええええ!」

 

鈴はオルゴナイトの結晶に覆われた腕を突き出し、突起を破壊しながら真っ直ぐにボルトガンダムへと向かっていく。

 

「来い!凰 鈴音!」

 

「いやあああああああ!」

 

オルゴンフィンガーはボルトガンダムの胸部を捉え、オルゴナイトの爪を思いっきり喰い込ませていく。

 

「ぐうあああ!」

 

「私の勝ちよ!」

 

「いや!これからがガイアクラッシャーの真骨頂だァァァ!」

 

アルゴは接近したジャオロンガンダムの頭部に両腕を撃ち込み、ガイアクラッシャーを再び発動させた。零距離で撃ち込まれたガイアクラッシャーの威力は地面への衝撃伝達時よりも遥かに威力が高い。

 

「あ、がああああ!?ア・・アルゴさん!捨て身で!?」

 

「そうだ!たとえ相打ちになろうとも負ける訳にはいかんのだ!うおおおお!」

 

ガイアクラッシャーをその身に受けた鈴はその威力に意識が飛びそうになる。しかしここで負ければ越える事はおろか恩を返せずに終わってしまう。

 

「アルゴさん、流・・・石です!でも、私も!私も負ける訳にはいかないの・・・!貴方達を越えるために!」

 

しかし、今のボルトガンダムに隙は見当たらずジャオロンガンダムの頭部を破壊しようとしている。

 

「あ・・があああ!ま、負けるも・・んか!はっ!?」

 

鈴はボルトガンダムの脚部に負荷が掛かっているのを見つけ出した。しかし、見つけたところで零距離でのガイアクラッシャーによって動きを止められているために動くことができない。

 

「それなら!オルゴン・マテリア・・・ライゼーション!噛み・・・砕け!ジャオロォォン!」

 

ボルトガンダムを掴んでいるオルゴンフィンガーはオルゴンエネルギーでブロークン・アームを覆い、相手に突き立てる事でそのエネルギーを送り込み、結晶化させ爆発させる技だ。鈴は機転を利かせ、ブロークン・アームを覆っていたエネルギーを結晶化させる事で握り潰そうとしている。

 

「ぐあああああ!な・・・!何ぃ!?」

 

「ブラキ・・・ウム・ブローッ!」

 

そのままボルトガンダムの胸部装甲を握り潰し、ガイアクラッシャーから解放され鈴はマウントを取るとブロークン・アームで追撃しボルトガンダムの頭部を掴んだ。

 

「ま・・負けるのか!?」

 

マウントを取られると同時に二人の金色のオーラが消え、それと同時に鈴はネオロシアのスタッフに通信を繋げた。

 

「ジャオロンガンダムの凰 鈴音です。この勝負、そちらの機体がもう戦闘続行不可能です」

 

「何!?はっ・・!?」

 

通信を受けたナスターシャはボルトガンダムの機体状態をチェックをする。鈴の指摘通り、ボルトガンダムの左脚部の関節が爆発したのを確認した。これではファイターが無事でも戦闘は不可能となる。

 

「このような結果に不満は残りますが、戦闘不可能では戦う意味がありません」

 

「・・・貴殿の寛大な判断に感謝する」

 

鈴の指摘をナスターシャは受け入れ、ギブアップの信号を送った。

 

機体の不備によって試合が終わってしまったが、鈴はすぐにアルゴへと通信を繋いだ。

 

「アルゴさん、こんな形で勝負が終わってしまったのが残念です・・・」

 

「仕方あるまい、結果的にはお前の勝利だ」

 

「・・・・正直、不満です」

 

「お互いにな、お前とはもっと戦いたかったぞ」

 

鈴にとっては勝利よりも真正面から相手を越えることが出来なかった不満の方が大きかった。自分はこの世界の人間ではない、今回だけが戦えるチャンスだったのを機体のトラブルという形で終わってしまった事に腹が立っていた。

 

それでも試合結果は鈴の勝利だ。結果などは周りが騒げばいい、切り替えた鈴の眼中にあるのはシャッフル同盟のリーダーであるキング・オブ・ハート、ドモン・カッシュとの対戦だ。

 

相手は最初に自分を鍛えてくれた恩人、それでも勝利は自分が掴むという決意を固めながら島を後にした。

 

 

 

 

 

鈴は試合後の夜、ネオホンコンの港で佇んでいた。残る試合も後一戦、しかも相手は自分を一から鍛えてくれた大恩人であり、現キング・オブ・ハートであるドモン・カッシュ。

 

「必ず・・・勝ってみせる」

 

そうつぶやいた瞬間に誰かの笑い声が響き渡った。それはこの世界で出会った最強の格闘家の声だった。

 

「貴方は!?」

 

「いかにも、東方不敗・マスターアジアよ!喝ッ!応えよ凰 鈴音!流派!東方不敗は!」

 

マスターアジアはいきなり掛け声をかけてきたが、その掛け声に鈴は覚えがあった。

 

「(えっと、確か!)王者の風よ!」

 

「全新!」

 

「系列!」

 

「「天破!侠乱!」」

 

着いていくだけで精一杯だが、鈴はマスターアジアの拳を捌き続けている。それはシャッフル同盟との戦いによって鈴自身が成長してきている事を表していた。

 

「「見よ!東方は紅く燃えている!!」」

 

鈴は掌底でマスターアジアの拳を受け止めており、鈴自身はこの人物について行けた事が信じられなかった。

 

「って、こんな事の為に私に話しかけたんじゃありませんよね?マスターアジアさん!」

 

「無論だ、着いてくるがいい!」

 

「え!?ちょっと!ああ、もう!」

 

拳のぶつかり合いを解くと同時にマスターアジアは先に走っていってしまい、鈴は普通に走って追いかけた。鈴自身は本来はガンダムファイターではなく、ISの操縦者だが何故か追いつくことが出来ていた。

 

「こ、此処は・・・」

 

後に着いて行き、たどり着いた場所は見渡す限りの廃墟で人もおらず建物は全て倒壊している。華やかさとは真逆の破壊し尽くされた黄昏の場所である。

 

「凰 鈴音、お主はこの廃墟を見て何を思う?」

 

「え?華やかさの裏ですか?繁栄の裏にある犠牲じゃないんですか?」

 

「その通りよ、確かな答えだ。それよりも貴様はドモンと戦うのであろう?戦いを見ていたが流派東方不敗を身に付けているようだな」

 

流派東方不敗と聞いて鈴は素直に浮かんだ疑問をマスターアジアへと投げかけた。それは鈴がこの世界に来た時から抱いていた疑問だ。

 

「あの、もしかして・・・貴方は私を鍛えてくれたドモンさんの師匠なのですか?」

 

「はははっ!あの未熟者が貴様を鍛えたとはな!面白いものよ」

 

マスターアジアは嬉しそうに笑っていたが、どこかに寂しさを含んだ目をしており何かを悟っているかのようだ。

 

「凰 鈴音よ、貴様に流派東方不敗最終奥義を見せてやる」

 

「え!?貴方の下で修行した訳じゃないのに!?どうして!」

 

鈴の驚きと戸惑いは当然の事だろう、弟子になった訳でもない自分にいきなり最終奥義を見せると言われたのだから。

 

「それはだな、ぐ・・ゲホッ!ゲホッ!」

 

マスターアジアは突然、咳こみ僅かながら吐血した。それを見た鈴は自分に最終奥義を見せるといった理由を察した。

 

自分自身がもう長くはなく、自分の流派を学んだ相手には次世代の人間にそれを伝えていって欲しいという思いもあるからだろう。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「心配するな。良いか、よく目に焼き付けておけ!はああああ!流派東方不敗が最終奥義!石破天驚拳!」

 

マスターアジアが構えを取ると手から光が溢れ、それを倒壊している最も大きなビルに向かって放った。ビルには大きな手形のような跡が残り、ビルは更に倒壊し崩れていった。

 

「す、すごい・・!」

 

「確かに見せたぞ、石破天驚拳!技を見た今の貴様ならば出来るはず、撃ってみせい!」

 

「わ、私が!?」

 

鈴は自分が最終奥義を放つ事が出来ると言われたが信じる事が出来なかった。マスターアジアは鈴が見取り稽古によって技を習得している事を見抜いていたからこそ最終奥義を見せたのだろう。

 

「やってみせるわ!はぁあああ!流派東方不敗・・・!最終奥義、石破!天驚拳!」

 

鈴が放った石破天驚拳は目の前の先にあった廃墟のビルを倒壊させていた。マスターアジアに及ばないものの確かに放つことが出来ていた。

 

「で、出来た・・!私が!?」

 

「凰 鈴音よ。流派東方不敗最終奥義、石破天驚拳。確かに伝えたぞ」

 

「マスターアジアさん・・・」

 

「その技あればドモンに遅れは取るまい。よいか!この人類の黄昏を目に焼き付け、貴様の世界の破滅と戦うのだ!」

 

「!?どうしてその言葉を!」

 

「さらばだ!」

 

「待って!マスターアジアさん!」

 

鈴はマスターアジアを引きとめようとしたがそれは叶わず、一人だけ廃墟に残された。

 

「人類の黄昏・・・」

 

鈴は再び廃墟を見渡し始めた。あの人は一体、自分に何を伝えようとしていたのか?再び出てきた破滅という言葉、自分の世界に何が迫っているのだろうか。右手に浮かび上がったキング・オブ・ハートの紋章が次の戦いへの導きを示し、鈴は自室へと帰って行った。

 

 

 

 

その頃、ドモンは宿代わりにさせてもらっている船の船尾で次の対戦相手である鈴の事を考えていた。鈴と戦ったシャッフルの仲間達から、彼女は自分達を越えるつもりで戦いを挑んでくると全員に言われた。

 

「凰 鈴音、噂では俺達が鍛えたファイターとも言われている。確かにアイツの格闘センスは並みのファイターではない、だがそれでも俺は全力で迎え撃つ!」

 

夜空に浮かぶ月に向かってドモンはファイターとしての最大の敬意を戦いで示す事を新たに誓った。




よ、ようやくドモン戦にまで行けそうです。シャッフルの戦闘後はデビルガンダムとの一戦。

鈴ルートが現状で一番長くなっていて読者の皆様が飽きててるのではと不安になります。


次回はドモン戦とデビルガンダムとの戦いとなります。

鈴にとっては成長と同時に大きな悲しみを背負うことになります。

このデビルガンダムとの戦いによってです。
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