Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉 作:アマゾンズ
義兄との戦いに迷う
シャルロットのルート
以上
※注意書き
時間系列はスパロボJの20話の戦闘後から37話ですが並行世界的な路線になります。
敵はほとんどがデータ世界でのフューリーです。
宇宙ステージはある方の発明で出撃可能になります。
扉を叩くような音と共にシャルロットは目を覚ました。どこかの一室のようで個室のような感じだ。自分の愛機であるIS、ベルゼルート・リヴァイヴは待機状態でペンダントのままになっている。
「ここ・・何処だろう?個室みたいだけど」
「シャル!早く来てくれ!カルヴィナとカティア達が揉めてるんだ!」
「(え?義姉さん達が?)うん、わかった!先に行ってて!」
シャルロットが声をかけた瞬間、呼びに来た女性らしき相手は走り去っていった。知らず知らずのうちに待機状態のベルゼルート・リヴァイヴに触れ、自分が来た世界の情勢、人物の名前などの知識が頭の中へと入ってきた。
「ああ・・・そうなんだ、此処は。ああっと!いけない、呼ばれてたんだ!」
シャルロットは急いで騒ぎが聞こえる格納庫へと走っていった。到着した場所ではカルヴィナがカティア、メルア、テニアの三人を鬼のような顔で追い込んでいた。
「お前達が知っている事全てを話せ!事と次第によってはアンタ達でも容赦しない!」
「ごめんなさい、私達は本当に何も知らないの!」
「何度も言ってるじゃない!本当に何も知らないよ!本当だよ!」
「やめて、やめてください!」
カルヴィナは周りの事すら視界に入っていない様子で三人に詰め寄っている。それをシャルロットが止めようと割って入った。
「止めてよ!こんなの義姉さんらしくないよ!」
「なんだお前は!?それに私はお前の義姉なんかじゃない!」
「っ・・!」
自分の世界で最も信頼している人物から完全な否定の言葉を受けたシャルロットはショックを受けたが、サイトロンから受けた知識で自分と出会った事のない義姉だという事を認識し、持ち直した。
「それにまだそいつらには聞くことがある!退け!」
「退かないよ、どうしてもというなら力ずくでボクを退かしてみなよ」
「いいだろう、後悔するな!」
「おい、止めろ!」
「止めないで、カガリさん」
カガリと呼ばれた少女に声をかけたシャルロットを見て、隙だと確信したカルヴィナは怒りに任せたパンチをシャルロットに放つがシャルロットはそれを見切り、手で受け止め押し返した。
「う!?ぐうううう!」
「どうしたの?僕が知ってるカルヴィナ義姉さんなら、ここから左パンチで攻撃して来たよ?」
退役しているとはいえ、この世界でのカルヴィナは軍属だった経験がある、怒りに任せている状態であってもシャルロットのような少女が止められるはずがない。しかし、今のシャルロットは本来の自分の世界で曲がりなりにもシャッフル同盟や獣戦機隊、義兄であるアル=ヴァン、そしてカルヴィナに鍛え上げられた身である。怒りに任せた乱雑な攻撃を見切れて当然の事だ。
「やあっ!」
「ぐっ・・あ!?」
手加減をしながらもシャルロットのパンチは腹部を的確に捉え、それをに受けたカルヴィナは蹲り、シャルロットを下から睨んでいる。その目には邪魔をされた事に対する怒りしか宿っていない。
「義姉さん。いや・・・カルヴィナさん、この三人が何も知らないのは本当だと思うよ?そうじゃなきゃこんなに必死にならないよ。でも、暴れたいならボクが相手になってあげる」
「ヒュウッ」
「過激だねえ、シャルロットちゃん」
「すごい体捌きじゃないの、マーシャルアーツか何かやってるのかしら?あの子」
二人の様子を格納庫にいたブレンパワードのパイロットであるラッセ・ルンベルクと獣戦機隊の一人である式部雅人、そしてミスリル所属のメリッサ・マオがシャルロットの格闘技術に驚いていた。
「うる・・さい!みんな・・守れなかったんだ!みんな死んでしまった!誰も守れなかったんだ!」
「それなら話してみて、自分の中に溜め込んでおくよりも話したほうが気が楽になるかもしれないから・・」
カルヴィナから明かされた事実は酷いものだった。この世界は自分の知っている世界とは全てが異なっていて、アシュアリー・クロイツェル社は消滅しておりフューリーは地球への侵略行為をしている事を断片的に聞くことが出来た。
「(ボクが知ってる事と全部違ってる、カルヴィナ義姉さんがいるって事はアル=ヴァン義兄さんもいるって事だよね?それならやっぱり・・戦う事になるのかな)」
「だから私は・・っ!?」
「もういいよ・・・もう、無理に話さなくて大丈夫だから」
誰も居なくなったのを見計らいシャルロットはカルヴィナを抱きしめていた。かつて実の母や自分の知っているカルヴィナが自分にしてくれたように。
「なんなのよ・・・どうしてこんなにも落ち着くのよ!うあああ・・!」
「・・・・ボクも全部は受け止められないけど、泣くための胸を貸す事位は出来るから」
シャルロットに抱きしめられたカルヴィナは混乱しながら涙を流し、その抱擁を受けていた。
「年上なのにみっともないところ、見せたわね?」
「ううん、僕がやりたくてやったことだから・・・」
抱擁から離れたカルヴィナは少しだけ晴れ晴れとした表情になっていた。その様子を見たシャルロットは笑みをカルヴィナに見せている。
「(なんなのかしら?この子・・明らかに年下のはずなのに、それに見合わない抱擁力や強さがあるわ)」
「カルヴィナさん、僕も手伝うよ。もちろん邪魔をしない範囲で」
「貴女、まるで私が追っている相手を知ってるような口ぶりね?」
「知っているけどカルヴィナさんが欲しがる情報は持ってないよ?カルヴィナさんが既に知った事と全く同じだからね」
「そう・・・」
シャルロットの真っ直ぐすぎる眼差しに思わず目を逸らしたカルヴィナだが、初対面であるはずなのに、どこかで自分がほんの少し、この少女を頼りにし始めている感じがあった。
「(この世界の義姉さんは『復讐者』なんだ・・・僕に復讐を止める事なんて出来ないけど義兄さんを殺させるにはいかないよ。だって、義姉さんにとっては全てだからね)」
シャルロットはカルヴィナの中にある愛憎に気づいていた。だが、今は憎しみが強く現れており、それが誰に向けられているのかもサイトロンを通じて分かってしまっている。
「正直、気味が悪いわね。全てを見抜かれてるみたいで、アンタの目を見る事が出来ないわ」
「見抜いてるなんて大げさだよ。僕はただ向き合って逃げないようにしてるだけ、それを助けてくれた恩人や友達から教わったんだ」
「・・・向き合う、か」
「そろそろ、行こう?いつまでも格納庫に居たら迷惑になっちゃうから」
「ええ」
二人は格納庫から食堂へと移ると二人は交流を深めるために席に座った。その後。格納庫でカルヴィナと揉めていた三人が現れた。
「あ、貴女は!」
「カルヴィナさんを止めてくれた人ですよね!?」
「探してたんだよ!?お礼を言いたくてさ!」
三人のいきなりの言葉の流れにシャルロットは苦笑しながら、三人を窘めた。
「あははは・・・お礼は有難いけど本人の前で言うべきじゃないと思うよ?」
「あ・・・」
「貴女達、後でオ・ハ・ナ・シしましょうか?」
「ひえっ・・・!」
「ご、ごめんなさい!」
シャルロットが苦笑しながら注意したが時すでに遅く、カルヴィナは笑っていて明らかに黒いオーラが出ており、三人は恐怖で冷や汗をかいている。
「あ、そういえば自己紹介してなかったね?ボクはシャルロット・デュノア、よろしくね」
「カティア・グリニャールです、よろしくお願いしますね」
「アタシはフェステニア・ミューズ、よろしく!」
「メルア・メルナ・メイアといいます、改めてよろしくお願いしますね?シャルロットさん」
「うん、ボクの名前は長いからシャルって呼んでもいいよ」
自己紹介を終えると同時に三人も座り、雑談を始めた。難しい話は何もしておらず、主にシャルロットに関することばかりだ。
「シャルロットはさ、なんで自分の事を『ボク』っていうの?」
「あ、やっぱり気になっちゃう?実はね、男装カフェとかでお手伝いしてたからクセになっちゃってるんだ」
「男装ですか?確かにシャルさんは中性的な感じですから違和感がありませんね」
「一度見てみたいです、シャルロットさんの男装」
「あはは、機会があればね?」
「苦労してたのね、シャルロット」
誤魔化す為の言葉だったが、本気にされてしまいカルヴィナからは同情の目が向けられ、カティアとメルアからは興味深い視線を浴びる事になってしまい、シャルロットは苦笑するしかなかった。
◇
雑談を終え、シャルロットは自室に戻り状況整理をしていた。自分が知っている人物は居るが全く異なった世界である今の世界、データの世界とは言えどシャルロットは混乱していた。
「(この世界でやるべきことはまだわからないけど・・・きっと戦う事には変わりはないだろうね。リヴァイヴ、一緒に戦ってくれるかな?)」
ISであり自分の相方であるリヴァイヴは応えない。しかし、共に戦うことは当然と言わんばかりにリヴァイヴは輝いた。
「・・・今は休もう」
きっとこの世界は自分がいる世界以上に戦いが厳しいはず、シャルロットはそれを思いながら身体を休める事に専念した。
はい、シャルのルート開始です。
初っ端から修羅場に巻き込まれてますが、本来の世界で鍛えこまれたシャルならば平気でしょう。
ひょっとしたらデータ世界のミスリルやネルガルなどに目をつけられるかも。
区別を付けるため、このルートでのカルヴィナはシャルの事を愛称で呼ばずに呼び捨てにします。
ハーフ・フューリー三人娘の呼び方ですが補足すると。
カティア→シャルさん
テニア→シャルロット
メルア→シャルロットさん
となります。
次回はフューリーが攻撃を仕掛け、その中で無名の準騎士がシャルに目を付けます。