Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉   作:アマゾンズ

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シャルロットのISがピンチ

一人の準騎士の解放

以上


憎むほどアナタを思っている(シャルロット編・その2)

休息した後、シャルロットはナデシコと呼ばれる戦艦に所属する事になった。その過程でプロスペクターと呼ばれる人物に呼び出されていた。

 

「では、これが契約書となりますのでサインをお願いしますよ」

 

「は、はぁ・・・(現実的だけど此処って僕の居る世界じゃないからなぁ)」

 

「シャルロット・デュノアさん。はい、これで契約はOKです。機体の方は」

 

「僕には専用機がありますから大丈夫です」

 

「?それに関しては見当たりませんが」

 

「(流石にISの事は言えないよね)戦闘時以外は見せたくないんです」

 

「分かりました、ですが機体データは提出してくださいね?」

 

「はい」

 

手続きを済ませたシャルロットは身体が少し鈍っているのを感じ、トレーニングルームに行くことにした。

 

「ん?シャルロットじゃない、貴女もトレーニング?」

 

「そうです、えっと・・・メリッサさんですか?」

 

「そうよ、マオって呼んでくれると有難いわね」

 

マオとの会話をしながらシャルロットは準備運動を始め、30分の時間をかけ身体を解すと自分のサイズにあったレンタルシューズを履き、ランニングマシンで走り始めた。

 

「へぇ・・・基本が出来てるわね」

 

マオはシャルロットの準備運動にかける時間や走り方のフォームなどを観察していた。素人目にはわからない体幹の動きなどから高度な鍛錬や特訓を受けてきた事をマオは見抜た。

 

「(軍属?いえ・・それなら私達の耳にも入るはず、あの子の事をテッサにでも調べて貰おうかしら)」

 

「はぁ、はぁ・・よし、身体が温まったね」

 

「ね?ちょっと組手してくれるかしら?」

 

「組手って格闘技のですか?」

 

「そ、カルヴィナを止めた時のアンタの動きが素人じゃなかったから興味がわいたのよ」

 

「良いですよ、身体を動かす意味でも」

 

「じゃ、遠慮無くいくわよ!」

 

マオからのハイキックが始まりの合図となり、シャルロットはそれを受け止め反撃の左パンチを放つ。

 

「っと!」

 

「やああ!」

 

二人の応酬は一時間ほど続き、どちらからでもなく動きを止めた。互いに息が上がっているが運動レベルに近いものだ。

 

「ありがと。いい訓練になったわ」

 

「こちらこそ、ありがとうございます」

 

礼を言い終わると同時にナデシコに警報が鳴り響く、それは敵が来た事を知らせる合図にほかならない。

 

「どうやら、敵さんみたいだね。行くよ」

 

「え?あ、はい!」

 

マオの後を着いて行き、出撃準備に入った。現在は地球の地上である為に出撃が可能だ。

 

「お知らせします、敵の反応は謎の勢力、指揮官機はいませんが気を付けてください」

 

ナデシコのオペレーターであるホシノ・ルリの放送により、艦内全体に緊張が走る。それほどまでに謎の勢力(フューリー)との戦闘は注意しなければならない。

 

「おい、お前さん。機体に乗らねえで何やってんだ?無いなら危ねえから下がってな」

 

「大丈夫、ボクも出撃出来ますから」

 

「はぁ?」

 

「リヴァイヴ!力を貸して!」

 

その言葉と共にベルゼルート・リヴァイヴが展開され、エアロックへと近づく。先程まで注意していたエンジニアが驚きの声を上げる。

 

「な、何だ!?新たなパワードスーツか!?」

 

「それじゃ、行きます!」

 

スラスターを吹かし、出撃していったメンバー達と合流する。そこのにはあのカルヴィナの姿もあった。

 

「?シャルロット?その機体、私のベルゼルートと似てるわね」

 

「参考に作られたから似てるだけですよ」

 

「そう、無駄話は後、アイツ等は雑魚といえど強いわよ」

 

敵はリュンピーが八機、ドナ・リュンピーが四機、そしてヴォルレントが一機だ。数は多いが統制が取れており、連携で追い込まれていく。

 

「そこよ!」

 

「ライフル、シュート!」

 

カルヴィナが駆るベルゼルートとシャルロットの操るベルゼルート・リヴァイヴの二機はヴォルレント以外の機体を翻弄していた。

 

二人の動きはまるで鏡合わせのように寸分も狂いが無く、従士の機体を行動不能にしていく。

 

「すごい・・・シャルロットってばカルヴィナに着いてきてる」

 

「・・・やはり、まだ此処には来ないということか!」

 

カルヴィナは謎の勢力に対してだけは容赦がない。それは信じていた相手に裏切られた事が起因しているのだろう。シャルロットが目覚める前にカルヴィナはアル=ヴァンと戦ったのだ、自分が愛していた相手が全ての黒幕だったと分かってしまったがゆえに憎しみを爆発させ今の状態になっている。

 

「カルヴィナさん、今は集中しないと!」

 

「分かっている!」

 

残りの銀色のヴォルレントだけが二人の連携をいなし、粘りを見せている。他のメンバーは突如現れたASの傭兵部隊の迎撃で援護には来てくれない。

 

「っ・・!あの銀色の機体!粘ってくるね!」

 

「いい加減に落ちろぉ!」

 

カルヴィナのベルゼルートから放たれたオルゴンライフルBがヴォルレントに直撃し、右腕が切り離された形となり爆発してしまう。

 

「っ!先頭続行不可能!撤退する!パワードスーツらしき機体は要注意だ」

 

「待てっ!逃げられちゃったか・・・でも、あの機体の動き、何処かで見たことあるような気がしたけど」

 

銀色のヴォルレントの動きがシャルロットの中で誰かと重なりかけていた。だが、今の自分にその相手は思い出すことが出来ない。

 

「戦闘終了。全機、帰投してください」

 

「帰るわよ、シャルロット」

 

「分かりました」

 

帰投と同時に技術エンジニアであるウリバタケ・セイヤがシャルロットに詰め寄ってきた。

 

「おおい!アンタ、シャルロットだっけか!?なんだそのパワードスーツみたいなのは!あんなの見せられたら黙っちゃいられねえ!早速見せてくれ!」

 

「あ、あの!そんなに詰め寄られると怖いですよ!?ちゃんと見せますから!!」

 

ウリバタケがいる限りリヴァイヴを待機状態に出来ないため、本人の気が済むまで見せていたがウリバタケが突然声を上げた。

 

「使用してるエネルギーはベルゼルートと同じだが、ディストーション・フィールドみたいなバリア機能まで着いてやがる。だが、地上戦闘用だな?今のままじゃ」

 

「すごい・・・」

 

シャルロットはウリバタケの見識に舌を巻いていた。一目でISの最終目標である宇宙での運用が出来ない事と地上でしか使えない事を見抜いたからだ。

 

「ベルゼルートのデータがあるから整備が出来るみてえだな、空間戦闘をできるようにしておかねえとコイツはダメだな。任せておきな」

 

「は、はぁ・・あまり変な事しないでくださいね?」

 

強引に改造されそうな雰囲気にシャルロットは思わず注意していたがウリバタケは笑ったままでリヴァイヴの改修プランを頭の中で勝手に立ち上げてしまっていた。

 

 

 

「申し訳ございませぬ、このような失態を。一命をもって!」

 

「構いません、それほどの実力者がいるのなら望むところです」

 

どこかの施設らしき場所で一人の青年が上司らしき女性に片膝を着いて頭を下げていた。

 

「準騎士たる貴方が追い込まれたのです。これからは二人で行動しなさい、そのための相方にあの者を使います」

 

「は?あの者とですか?今、あの者は投獄されているはずですが」

 

「ですが、準騎士としての実力は貴方と互角のはずでしたわね?」

 

「ええ、態度が騎士として相応しくないと、聖騎士団長の判決を受けて投獄されましたから」

 

女性は含み笑いを浮かべた後に準騎士たる青年を見つめ、その目には騎士の血が燃えているように見える。

 

「その者と共に戦いなさい、貴方の生真面目さは脆さにもなります。奔放に戦うあの者の姿を参考になさい」

 

「はっ!」

 

「フフフ、我が騎士団の準騎士を追い込んだ地球人・・・気になりますわね。次は私も出撃するとしましょう」

 

騎士としての血を滾らせてくる報告に女性は身体の震えが止まらずにいた。震えの正体は歓喜、今まで戦ってきたナデシコ以外の艦隊や機動兵器はまるで相手にならなかったからだ。

 

ラースエイレムを使用している事を抜かしても、並大抵の相手では騎士の血を燃え上がらせるには足りなかった。そこへ男性が一人歩いてきた。

 

「今度は君が出撃するのか」

 

「ええ、貴方の因縁もあるでしょうが今回ばかりは譲りませんわよ?」

 

「ああ、今回は私が出るべきではないからな」

 

「では、失礼しますわ」

 

女性が出て行くと同時に男性は何かを思い出すように目を閉じた。その思いが今は届くことはない。

 

「カリン・・・私は」

 

 

 

 

「出ろ」

 

「んだよ?謀反の可能性があるってだけで勝手に投獄して、この次は処刑か?」

 

「黙れ、第二騎士団長がお呼びだ」

 

「へえ、あの女性騎士様からお声かよ」

 

牢獄から出た青年の態度からはとても高潔さは感じられない。あるのは狂気と強者への渇望、そして奔放さだけだ。

 

「そのまま付いて来い、変な気を起こすなよ?」

 

「へいへい、起こそうにも、こんなクソ重い手枷嵌められてちゃ何も出来ねえっての」

 

番人二人に連れられ、悪態を吐き続ける青年は先ほどの女性のもとに連れてこられた。

 

「来ましたか」

 

「で、騎士団唯一の女士団長サマが俺になんのようだ?」

 

「貴方には我が隊の二人目の準騎士になっていただきたいのです」

 

「はぁ!?まさか、あのお固いお坊ちゃんみたいな奴とコンビを組めってのか!?ッハハハ、笑わせんなよ!」

 

「出来ませんか?曲がりなりにも騎士に近い貴方が」

 

「挑発か?ケッ!勝手に投獄されて勝手に使われんのはゴメンだな。俺は自由が好きなんでね」

 

相手が上の階級だろうとその野生の狼のような目の輝きは薄れておらず、今にも牙をくい込ませようとしているかのようだ。

 

「そうですか、ならば私の隊に所属させますわ。これなら貴方を監視している事になり、貴方は自由に戦えばいい」

 

「取引って訳か、いいぜ?アンタにならな」

 

「では、また後ほどに」

 

そういって女性は部屋を出ていった。一人残された青年はそのままおとなしく座っている。

 

「厄介なもん残してくれたぜ、貴族の家系のダーブルス(・・・・)家、俺の実家で武の家系のフォルティトゥードー(・・・・・・・・・)家の協定なんてよ」

 

青年のつぶやきは誰にも聞こえていない。それが相手にとって最大の驚きになるとも知らずに。




さて、次回はシャルロットが大ショックを受けます。

データとは言えど並行世界、これも全てサイトロンって奴の仕業なんだ!

戦闘描写まで行けるか、それとも次になるか。

もう、バレバレですよね(苦笑」)
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