Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉 作:アマゾンズ
ワンオフアビリティー解禁
以上
八つ当たりに近い感情のままグ=ランドンに敗れ、望まぬ戦いを強いられ完敗した二人は己自身の未熟さを自覚し、二人は精神的休養を取るために地下の街をそれぞれ散策していた。
クド=ラの言葉によれば。
『アンタ達は自分で自分を追い込み過ぎてるわ、しばらく修行も鍛錬も禁止!まずは身体と心を休めなさいな』
との事だ。
「とはいっても、何をすればいいのか分からないのが正直な所だし、それなら静かな場所に行きたいな」
政征は静かな場所を求めて歩き出し、街の中へと消えていった。
「参ったな、鍛錬を取られると何もすることがない。よし、それなら街の甘味処でも巡るか!お金は・・・あった」
雄輔も街の中へと消えて行き、甘味処を探し始めた。
◇
政征は地下の街の教会のような建物を訪れていた。信仰は持ち合わせてはいないが静かな場所の一つであり、中ではパイプオルガンの演奏が流れている。
「あ・・・ちょっとお邪魔してみよう」
中に入ると丁度演奏会のようなイベントが開かれているようで、教会に来た人達は静かに聞き入っているようだ。
長椅子に座り、パイプオルガンの演奏を聴き始める。ゆったりと流れる曲調に政征は瞳を閉じて聞き入る。
「(こんなに安らぐなんて、初めてだな)」
[主よ、人の望みの喜びよ]から始まり、クラシック曲が次々と演奏される。政征自身クラシックは嫌いではないが詳しいわけではない。ほとんどがピアノ主体の曲ばかりで、ショパンやベートベンなど有名な物しか聞いていないだけである。
パイプオルガンの音色に身を任せ、政征は少しずつ凝り固まっていた自分自身の内側を癒していた。
◇
「甘味処を探してたとはいえ、こんなに沢山あるなんてな。迷うな」
雄輔は甘味処を探すという名目で街を歩いていたが、ちょっとした通りに甘味メインの場所にたどり着いてしまったのだ。
「洋菓子に和菓子、はたまた中華系の甘味まであるのか・・・うーん」
迷いに迷った結果、雄輔は和の甘味処のお店の暖簾を潜った。
「いらっしゃいませ」
何故か和装した店員さんがおり、席に案内され簡易なお品書きを目に通す。
「すみません、この小豆アイスを」
「あ、申し訳ありません。小豆アイスは売り切れてしまっていて」
「ガーン!まじかぁ・・」
小豆は雄輔にとって大好物であり、それが売り切れてしまっていると聞いて効果音を口にするくらいのショックを受けていた。
「うーん、小豆アイスがないなら何がいいかな?お?これがいい!すみません、豆かんを下さい」
「豆かんですね?かしこまりました。豆かん一つでーす!」
提供されたお茶を啜りながら豆かんが来るのをじっと待っている。何を隠そう雄輔は大の甘いもの好きであり、それを隠していたのだ。
「お待たせしました。豆かんです」
提供された豆かんは涼しげなガラスの器に目分量でたっぷりと入っており、そこに黒蜜が流されている。
「これは、美味そうだな。頂きます」
スプーンで黒蜜と共に豆と寒天を掬い、口の中に入れる。モグモグと口を動かせば下の上で黒蜜の甘味と豆の柔らかさ、寒天の感触が広がる。
「美味い!しばらく食べてなかったから忘れてたな・・・甘いものってこんなに美味かったんだって事を」
当たり前の事を当たり前のように感じることが出来る。慣れてしまえば自覚せずに忘れてしまう事であるがそれを雄輔は豆かんを通じ、改めて噛み締めていた。
当たり前である事、それは自分を追い詰める要因にもなり得る。出来て当たり前、出来ないのは恥だ。それが精神的な圧力となって自分を圧迫してしまう。
「この豆かんを味わいながらゆっくりと落ち着くことにしよう」
雄輔自身も政征とは違った方法で凝り固まっていた気持ちを解きほぐそうと豆かんを堪能した。
甘味を堪能する雄輔、ゆったりとした場所で音楽を聴く政征。お互いが同じ事をする必要はない。それぞれが心を癒すことの出来る行動でゆったりと休んだ。
◇
しばらく休んだ後に今いる世界の体感時間にして、半年が経ちレジスタンスが等々決起する事となった。
機体はリュンピーを始めとする機動兵器群だ。機体があるだけでもありがたいという状態なのが伝わってくる。
「この日の為にクド=ラ隊長の機体も修理、改修も完全に出来た」
クド=ラ自身の機体も出来上がっていると報告してくる。政征と雄輔はクド=ラに視線を向ける。
「クド=ラの機体って一体何だ?」
「確かに、気になる所ではあるな」
「・・・兄さんの形見でもある機体、紅色のラフトクランズよ。リミッターも解除してファイナル・モードも使用可能な状態にしてあるわ」
ラフトクランズと聞いて二人が驚愕する。しかも、形見の機体であると口にしていた。
「兄さんは致命傷で助からなかったけど。機体の方は中破状態で修理が不可能じゃなかったの、だから私も出撃する」
「なるほど」
「本当の大決戦だな」
短い会話を済ませると政征達二人も自分のラフトクランズの調整に入った。自分達の身勝手な考えと行動で、相棒である機体を悲しませ負担をかけてしまった事を謝るために。
「リベラ、済まない・・・」
「モエニア、改めて一緒に戦ってくれるか?」
待機状態の二機のラフトクランズは応えない。今はまだ二人の謝罪が本物のかを疑っているのだろう。
それでも整備だけはしようと作業を始める。一度失った信頼を取り戻すのは容易なことではない、今回の件で相棒の信頼を失ってしまったのは完全な自業自得だ。
「今一度、力を貸してくれ。この世界の[自由]を勝ち取るために」
「俺からも頼む、戦士達を守りきれる[城壁]とならんがために」
二人の若輩の騎士は改めて本物の騎士となる為の誓いを自分の機体に込めた。
別世界とはいえど大切な人を救い出したい、もしかすれば命を奪ってしまうかもしれない。
命を奪ってしまったのならばその咎を背負い続けよう。救い出せたのならば誇りとしよう。
そんな思いと共に二人は地上への出撃時間を待った。
◇
出撃の時間となり紺瑠璃、暗青、紅の三機のラフトクランズが先行し、レジスタンスの機動兵器部隊は本拠地となっている場所へと向かっていた。
本来、月の内部にある戦艦ガ=ウラがフューリーの本拠地ではあるが、この世界では地球侵攻がほぼ完了しつつある為に地上に前線基地を作り、主力戦力部隊は移住していたのだ。
「見えてきたわ、あれがグ=ランドンがいる最大規模の基地よ!」
「あの基地にいるのか」
「借りは必ず返す」
「全機!戦闘開始!!」
クド=ラの掛け声によって基地の防衛部隊とレジスタンスの機動兵器部隊の戦闘が開始された。
「娘を強引に奪われた悲しみを今ここで晴らしてやる!」
「目の前で父を殺された恨み、思い知れ!」
レジスタンスのメンバー達は各々の恨みや怒りなどで戦っている者が多かった。
「帝国主義の政策を変えるために!」
「地球人とだって上手くやっていけたはずなのに!」
中には政策を変えようとする者、共存を望む者なども居て戦う理由は一人一人違っていた。
「レジスタンス共が!!」
「撃て!撃て!!我ら正規軍の前ではレジスタンスなど恐るに足りん!」
やはり正規の訓練を受けている軍人相手にレジスタンス達は追い込まれてしまう。元従士や謀士などは居るが、ほとんどが機体を教わった通りに動かす事なのが精一杯だった。
それでも、正規軍の機体に対し複数機による連携を駆使して戦えているのは政征と雄輔が提案した事であった。
正規軍の機体一機に対し、レジスタンス側は三機のチームで戦うように進言していた。
相手は正規軍、実戦も経験しているパイロットもいるかもしれない。それならば複数で戦いをしかけ各個撃破していくという方法を指導した。
無論、これには元従士のメンバーから卑怯な行いだと反論も出た。しかし、一対一で相手に勝てたとしても連戦で勝ち続けられる保証はない、それならばチームで戦う方が一人一人の負担も少なくし、勝利が近づくと戦略面で説明する事で納得させた。
「!巨大熱源反応!これは・・・あの機体だわ!」
「来るか、ズィー=ガディン!」
「グ=ランドン・・・!」
たった一機現れただけで戦局を変えてしまうような雰囲気を持つフューリーの巨大人型兵器、皇帝機ズィー=ガディンが自ら姿を現したのだ。
[推奨BGM 『Doomsday』スパロボOG ムーンデュエラーズ・アレンジ]
「ほう?三機のラフトクランズ、近衛隊長であったあの三人の反逆を思い出す」
「っ!」
グ=ランドンの言葉にクド=ラは唇を噛み締める。自身の兄はこの相手によって屠られたのだから。
「二機の蒼きラフトクランズよ、今一度この絶望を味わうか?」
己の物と言わんばかりに再び生体ユニットと化しているシャナ=ミアとフー=ルーを政征と雄輔に見せつける。
それを視界に入れたと同時にサイトロンの影響か、二人に声が聞こえてきた。
「別・・・世界の・・・騎士達・・」
「私達を・・・開放・・して・・・」
それはズィー=ガディンの生体ユニットと化している女性二人が僅かに残った意思を使ったメッセージであった。
「・・・・」
「・・・・」
「二人共、どうしたの?」
政征は深呼吸し、雄輔は柏手を一回だけするとズィー=ガディンへと視線を向ける。
「何だ、その目は・・・貴様達!」
「俺達はもう迷わない」
「助けようとして自己犠牲はしない、例え、この世界の大切な存在を殺す事になろうともそれを受け入れる」
自由と城壁の騎士はソードライフルの鋒を同時にズィー=ガディンへと向ける。
「「オルゴン・マテリアライゼーション!」」
ソードモードに切り替え、政征と雄輔は同時に突撃していく。その後ろからクド=ラが駆る紅色のラフトクランズがオルゴンライフルをズィー=ガディンへ放ち、援護する。
「ほう?なかなかの攻撃力だ」
ズィー=ガディンのオルゴン・クラウドSはラフトクランズを基に出力を僅かに上げており、更には機体自身の装甲も相まってかなりの防御力を誇っている。
その防御力の前に単発のオルゴンライフルでは装甲に傷一つ付いていない。
「でやあああ!」
「うおおおお!」
だが、ISとなっている二機のラフトクランズによる斬撃がズィー=ガディンの装甲に傷を付けた。
「ぬう!?やはり貴様等が脅威となるか!」
「俺達は殺す覚悟で戦っている!」
「それが例え、愛する人と全く同じ姿をしてる人が一緒だろうとな!」
二人は容赦なくズィー=ガディンに攻撃を仕掛ける。しかし、僅かな傷を負わせるだけで決定的な一撃にはなっていない。
「フハハハハ、魂に絶望を刻むがいい!」
グ=ランドンはエネルギーをチャージし、周囲一帯を殲滅する武装であるオルゴンウェイブキャノンを発動させ、三機のラフトクランズを吹き飛ばし、ダメージを与えた。
「きゃああああ!」
「うわああああ!?」
「ぐああああ!?」
三機のラフトクランズは地に倒れるがソードライフルを支えに立ち上がり、ズィー=ガディンに向き合う。
「ほう?まだ戦意を失わぬか。ならばズィー=ガディンの出力を最大にする。モード、ガ=ウラ!」
「きゃああああああ!」
「くあああああああ!」
生体ユニットと化している二人が突如、苦しみだしズィー=ガディンの出力が上がっていく。
その様子を見ていたクド=ラは持ち前の観察力でその出力の出処を推察していた。
「ま、まさか!?ズィー=ガディンはシャナ=ミア皇女とフー=ルー近衛隊長の生体エネルギーを機体に使用してるの!?」
「なんだと!?」
「モード、ガ=ウラと言っていたのはそういう事か!」
スーパーロボット大戦Jの知識が強い政征が叫んだ。最終局面でグ=ランドンはステイシスベッドの動力と繋がるガ=ウラの中心とズィー=ガディンを接続し暴走した。
その動力をシャナ=ミアとフー=ルーの生体エネルギーを利用することでガ=ウラと同等のエネルギーを得た。
「我が剣の舞いを見るがいい!」
「!気をつけろ!雄輔!クド=ラ!!オルゴン・マテリアルゲイザーが来るぞ!」
政征の言葉に二人はシールドクローを構えようとするが、防御の体制を取るのが間に合わない状態だ。
「仲間を、これ以上傷つけさせるか!」
シールドクローを掲げ、攻撃目標を己自身に向くよう誘導し政征はオルゴン・クラウドを全開にする。
「己の身を盾とするか!むうん!」
大剣の一撃を受け、リベラは吹き飛ばされるがズィー=ガディンの追撃を止める事はない。
「でえい!オルゴン・コーティング!我が敵を切り刻めい!!」
ズィー=ガディンの大剣が六つに分離し、打突式のビットのようにリベラを追撃し続ける。
分離したパーツが元の大剣の姿に戻り、リベラへと突き立てられる。
「我が元に戻れ!」
リベラに刃を突き立てたまま、ズィー=ガディンの下へと戻り大剣の柄を掴んだ。
「断ち切る!」
「がああああああ!?」
抉る様に切り払われたリベラはモエニアと紅のラフトクランズの横隣りへと吹き飛ばされた。
「政征!」
「しっかりして!」
「ぐ・・う、オルゴン・マテリアルゲイザーの威力がこれ程とは」
シールドクローを犠牲にした事で政征自身は戦闘不能には至っていない。しかし、これで防御手段を失ってしまった事も事実である。
「ほう?耐えたか」
グ=ランドンは自らの一撃に耐えた
「雄輔、やるぞ。俺達の連携を」
「!ああ、分かった」
「クド=ラ、俺達が連携攻撃した後にバスカー・モードを使って一撃を与えてくれ」
「了解よ!」
リベラとモエニア、二機の騎士機がライフルモードに切り替えたソードライフルを手にズィー=ガディンへと向かっていく。
「まずはこちらだ!」
「行けえ!」
政征はズィーガディンの背後に転移し、雄輔は正面からガンスピンを交えたオルゴンライフルを単発ではなくビーム状でタイミングを合わせ放った。
「何!?何だ、この連携は!?」
「余所見している暇があるのか!?」
「てやあああ!」
ライフルモードからソードモードに切り替え、オルゴンソードによる二つの斬撃がズィー=ガディンに襲いかかる。
「き、貴様達!シャナ=ミアとフー=ルーの両者を失っても良いというのか!?」
「言ったはずだ!俺達は失ってでも先に進む覚悟をしてきたと!」
「グ=ランドン!お前はこの世界のシャナさんを手篭めにし、フー=ルーの気持ちすら利用した!許すことは出来ないんだよ!」
「「バスカー・モード!起動!!」」
間合いを開き、二人は同時に全力を出す宣言した。
「エクストラクター・マキシマム!!」
「伸びろ!オルゴナイトの刃!」
二つのソードライフルが左右に展開し、巨大なオルゴナイトの刃が現れ、形作る。
前方と後方からズィー=ガディンへと突撃し、二つの大剣が捉える。
「ぬおおおおお!?」
「オルゴナイト!!」
「バスカー!!」
「「クロォォォス!!」」
ズィー=ガディンに二つのバスカーソードが大ダメージを与え、その瞬間を狙ったかのように紅のラフトクランズがシールドクローを展開しズィー=ガディンを捉え、上空へ投げ飛ばした。
「兄さんの得意とした技よ!クロー展開!ファイナル・モード!」
クド=ラの駆る紅色のラフトクランズがオルゴナイトの分身を出現させ、ズィー=ガディンの四肢を掴み、結晶内部に閉じ込める。
「兄さんの無念!その身で味わいなさい!オルゴン・マテリアライぜーション!だぁあああ!」
オルゴナイトの巨大な爪を出現させ、地上から上空へ向けて飛び上がりその爪で結晶を切り砕いた。
「嫌あああああああああ!」
「来ないでえええええええええええ!!」
ズィー=ガディンに取り込まれた生体ユニットの二人が叫びを上げ、ズィー=ガディンの持つ大剣を振り回し三人を吹き飛ばした。
「うあああああ!」
「がああああああ!?」
「きゃああ!」
ズィー=ガディンが体制を整え、ゆっくりと向かってくる。
「流石は我が皇女と次妻だ。我を守ろうと動いてくれたわ」
「く・・」
「おのれ・・・」
「まだ、だ」
三人はフラフラになりながらも戦意を失っていない。立ち上がってすぐにそれぞれが得意とする武装を構える。
「雄輔、シールドクローを貸してくれ。ソードじゃ無理だ」
「良いぞ、その代わりソードライフルを俺に」
「ああ」
雄輔はソードライフルの二刀流を展開し、政征はシールドクローを構える。クド=ラも兄が得意としていたクローを構える。
「私は・・・殺す覚悟も助ける気持ちにも偽りはない!だから、力を・・・俺に力を貸してくれえええ!リベラァァァ!」
リベラから蒼い光が溢れ、その光が雄輔とクド=ラの機体を包み、外で戦っているレジスタンス達の機体にも向かって行く。
「な、なんだ?機体のパワーが上がっていく!?」
「それだけじゃないわ!スピード、反応速度、基本能力まで!?」
雄輔とクド=ラは驚きを隠せず、政征が
「ズィー=ガディンのパワーが下がっている!?何故!?」
これこそが、封印されていた政征の
味方には高揚と力を、敵には戦慄と弱体を与えるという能力だ。王権の名を持つ能力ゆえに指揮する力を得たのだろう。
「政征、俺も同じ覚悟を持っている。負けず劣らずのな!改めて力を貸してくれ!モエニアァァァ!」
雄輔自身も
その能力は機体の防御力を上昇させ、エネルギーと装甲を常時回復させ続けていくというものだ。
神聖を意味する力という意味では回復という名の光を分け与えるという力を得たのだろう。
彼の機体は城壁の名を冠している。
城壁は敵からすれば打ち壊さなければならない、しかし城壁が強固な物であればあるほど籠城され兵を回復されてしまう。
それが能力となって体現し、味方に光を与える存在となったのだ。
「エネルギーとダメージが回復していく?使っても無くならないのか!?」
「この二人の力・・・すごい!」
◇
「貴様等はやはり危険だ!やはり貴様等を殺さねばならん!」
「それはこちらも同じこと!」
「行くぞ!」
グ=ランドンは
無理もないだろう。己は弱体化させられ相手は能力値が上昇しており、機体ダメージとエネルギーが常時回復しているのだ。
「「「バスカー・モード!起動!」」」
「性懲りもなくバスカーモードか!」
「フー=ルー、俺に力を貸してくれ!ツイン!オルゴナイトミラージュ!」
雄輔は二つのライフルモードに切り替えたソードライフルを左右の手に持ち、転移しながら交互にオルゴンのエネルギー弾を放つ。
「な、なんだ?このバスカー・モードは!?」
オルゴン・クラウドの転移を使い、全方位からオルゴンライフルを放っていく。ズィー=ガディンをオルゴナイトの結晶へと閉じ込めていく。
「まだだ!これが俺の最大の一撃だ!」
オルゴンライフルを上へと投げ、胸部の砲口に接続し発射体制に入った。同時に政征もシールドクローを展開し、オルゴナイトの巨大な爪を展開していた。
「シャナ=ミア!」
「フー=ルー!!」
「「許してくれ!!」」
二人は涙を流し、政征はオルゴナイトの爪で結晶に閉じ込められたズィー=ガディンを引き裂き、雄輔は最大の砲撃を放った。
それを受けたズィー=ガディンのコクピットは中破し、生体ユニットが取り込まれていた部分が壊れていた。
「あの二人・・・本気で取り込まれていた二人を殺すつもり!?ダメよ!」
クド=ラはオルゴンクラウドの転移を無意識に使っていた。
『ありがとう、別世界の騎士達よ』
『これで私達は・・・解放されました』
生体ユニットと化していた二人の声はオルゴンの光の中へと消えていった。
二人は全身を震えていた。別世界とはいえど己の愛しい相手をその手にかけてしまったのだと思っている。
「う、うおおおおおお!シャナァァァ!!」
「く、うああああああ!フー=ルーゥゥゥ!!」
命の重みを理解する事は出来た。しかし、サイトロンの試練は二人にとってとても辛いものになってしまった。
二人はそれでもズィー=ガディンと対峙する。泣きながらも先へと進む事を止めないという意思を見せるかのように。
「よくも、よくも私の妻達をおおおおおお!」
「その言葉を」
「口に」
「「するなあああああああ!」」
雄輔は手にしていた政征のソードライフルを投げ渡し、二人は全力を出すという言葉を発する。
「「バスカー・モードォォォ!起動ぉぉぉぉ!!」」
二人は剣撃を仕掛けず、溢れ出るオルゴンエネルギーが自由と城壁のパワーを表している。
「オルゴナイトの刃よ!伸びろ!私はあの人の口上をやらせてもらう!」
「貴様如きが我を倒せるとおもうてか!?」
「黙れッ!」
「何!?」
「そして聞け!!」
[推奨BGM 『悪を断つ剣』スパロボOGより]
政征はバスカーソードをまるで剣術のある流派のように構え、相手を見据えた。
「我が名はマサ=ユキ!マサ=ユキ・フォルティトゥードー!!」
「我こそは!フューラの剣なり!!うおおおおおお!」
そのままスラスターを全開にし、飛び上がり落下速度を利用して刃を振り下ろした。
「一刀!!両断!!」
「ぐおおおおお!?」
「我が剣に断てぬものなしッ!!」
その刃は防御に使った大剣を断ち切り、ズィー=ガディンの片腕を奪っていた。
「まだ終わらない!見ろ!グ=ランドン、そして政征!この俺の最大最高の剣を!!」
そう宣言した雄輔のオルゴナイトの刃はエネルギー状になっていく。
[推奨BGM『THE GATE OF MAGUS』スパロボOGより]
「我はユウ=スケ!ユウ=スケ・ダーブルス!!ガ=ウラの剣なり!!うおおおおおお!」
政征とは違い、地上からスラスターを全開にしエネルギー状になったオルゴナイトの刃を発生させたまま突撃する。
「伸びよ!オルゴナイトの刃よ!!」
地表を崩しながらエネルギー状の刃はズィー=ガディンへと向かって行く。それを危険と判断した政征はすぐにオルゴンクラウドの転移を使い、雄輔の背後へと避難した。
「薙ぎ払え!月ごと奴を!!」
「ぬぐあああああああ!!」
「我が剣に断てぬものなし!」
二つのバスカーソードの斬撃を受けたズィー=ガディンとグ=ランドンは完全に消滅した。
「はぁ・・はぁ・・フー=ルー」
「シャナ・・・」
二人は目的の敵を倒したが勝利に喜べなかった。何故なら別世界といえど自らの愛している人物と同一の存在を手にかけてしまったのだから。
「二人共、勝ったのに暗い顔してるんじゃないわよ」
「クド=ラ?」
「でも、俺達は」
「全く、いい加減に・・・って!アンタ達、身体が!?」
政征と雄輔の二人は光の粒子に包まれていた。それはこの世界に留まる事を許されなくなったという意味でもあった。
「急に来て、急に帰るだなんてアンタ達らしいわね」
「異邦人だったからな、私達は」
「そうだな、ん?」
二人は僅かに手にかけてしまった二人の人影のようなものを見かけたつもりだったが、気のせいだと解釈した。
「それじゃ、クド=ラ」
「また、会えたら」
「ええ、またね」
政征と雄輔の二人は光の粒子の中へと消えていった。それを見届けたクド=ラは背後に声をかける。
「よかったのですか?あの二人に声をかけなくて」
「良いのです。あの方達の事は私達にとっては恩人というだけですので」
「フー=ルーの言う通り、あの方達には私達がヴォーダに還ったと思っていただければ、それで」
現れたのはこの世界のフー=ルーとシャナ=ミアであった。クド=ラは転移を利用して二人を救出し、安全な場所に移していたのだ。
「これからが大変よ、アンタ達も勝ちなさい。ヴァウーラとの戦いに」
◇
本来の世界で二人は束の研究室にあるカプセルの蓋が開くと同時に目を覚まし、身体を起こした。
「戻って、これたのか?」
「みたい、だな」
管理していた束がものすごい音と共に現れ、代表候補生達も同時に飛び込んできた。
「あ”あ”~よがっだ~!これで全員揃ったよ!」
「お帰りなさいませ、政征さん、雄輔さん!」
「遅かったじゃないのよ!」
「でも良かった、二人が無事に帰ってきて」
「兄様、師匠!」
それぞれが声をかけている中、扉が開きその人物に全員が驚いていた。
そこにはシャナ=ミアとフー=ルーが立っていたのだから。シャナ=ミアは政征の胸元に飛び込み、フー=ルーは雄輔の頭を撫でた。
「よかった、政征・・・本当に!!」
「束博士から報告を聞いて心配しましたのよ?」
「シャナ、ごめん」
「フー=ルーさん、すみません」
シャナは泣いており、フー=ルーは優しく頭を撫で続けている。
「相変わらずラブラブですのね、シャナさん達は」
「見せつけられてる身にもなってよね!」
「鈴の言うとおりだよ」
「?仲が良いのは良い事ではないのか?」
代表候補生達は見せつけられて苦笑していた。しかし、そこでシャルロットが素っ頓狂な声を上げた。
「あ!夏休みの宿題が!!」
「「「「ああーーーーーーーー!!」」」」」
半分しか終わっていなかった宿題を思い出したフー=ルー以外の全員はフー=ルーの指導の下、宿題に取り掛かることになった。
これで、個人ルート全て終了です。
次回は文化祭になるのかとおもいます。
戦いの前の平和なインターミッションのアレですね。
例の姉妹も出すかと思います。