Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉   作:アマゾンズ

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王の意思が消失。

亡国機業が交渉。



以上


創世の王 座への帰還

シャナの一言から始まった戦闘はラウラが一番槍と言わんばかりに飛び出し、テックランサーを連結させ斬りかかった。

 

「!冷静な受けだ。それでも!兄様を返してもらう!」

 

『黒雨の騎士よ。貴卿は純粋なる者の擬似的な存在として生まれたか』

 

「そうだ!私は確かに人工的に生まれた。だが、今は違う!!シャナ=ミア姉様も政征兄様もいて、頼れる仲間達もいる!だから私はこの仮面を着けた!涙を拭えなくても戦おうと決めた故に!」

 

『悲しみを背負って戦うか、それすら我は断ち切ろう』

 

王として振るわれるリベラのオルゴンソードの一振り一振りが重く、痺れる一撃を繰り出してくる。

 

テッカマンレーゲンとして戦っていても纏っているのは十代の少女、重さがある一撃を受け続けてはいられない。均衡が崩れ、ラウラは横薙ぎの一撃で吹き飛ばされた。

 

「ぐあああああ!」

 

『行け、我が守護者たる下僕達よ。黒雨の騎士を封じろ』

 

オルゴンガーディアンを射出し、レーゲンの四肢に枷を嵌めるかの如く動きを封じてしまった。

 

「ぐっ!くそっ!動けん!!」

 

アリーナの壁に磔にされたラウラ、テッカマンレーゲンは枷を外そうと藻掻くが全くの徒労であった。

 

「行きなさい!ブルー・ティアーズ!アーマー・ビット!!」

 

『障壁、展開。この天より水の子が滴るような攻撃は蒼き雫か』

 

セシリアが放ったビット攻撃をリベラはシールドクローを掲げ、オルゴンクラウドによって防いだ。

 

シールドエネルギーは僅かに減ってはいるが雀の涙ほどでしかなく、セシリアは唇を噛み締めた。

 

「いい加減に政征さんを返しなさい!彼はわたくし達の仲間なのです!」

 

『先にも言ったはずだ。この肉体は我の者だと』

 

「ならば、このセシリア・オルコット!戦士として参りますわ!」

 

ビットを展開した状態でオルゴンを主なエネルギーとする事になったスターライトmkIIIを構える。実体弾からオルゴンというエネルギーになった事で、効率を考えにばならなくなったが、セシリアはビームを放つ時の出力を抑え、留めることで非実体の接近戦用の武器として使用できる事を自らの力で発見していた。

 

また、鈴との特訓でオルゴンエクストラクターを搭載されたブルー・ティアーズはオルゴンを結晶化させる事も可能だと見つけ出している。

 

『むう!?剣だと?蒼き雫にそのような事が出来るはずが』

 

「わたくしは常に先を目指しているのです!過去を振り返っても戻っては来ない、それならば先を目指し変わって行く事を選んだのですわ!」

 

『人の内にある優しき気と先を目指す野生、相反する二つの力を扱うとは・・・その力、我が砕く!』

 

シールドクローを展開し、出力を最大にしている状態に等しいリベラは容赦なく、その爪でブルー・ティアーズを掴む。

 

「あがっ!」

 

『砕けよ』

 

そのまま地に叩きつけ、引きずり始める。それはセシリアが初めてラフトクランズと戦った時と酷似していた。

 

「あああああああっ!」

 

そのまま遠心力を利用し空中へと投げ飛ばされ、リベラはオルゴンクラウドの転移を使用し一瞬で背後に回った。

 

『もう一撃だ』

 

「させないよ、オルゴンライフル!ダブルシュート!」

 

『何っ!?ぬうう!』

 

セシリアに一撃を加えようとした瞬間、実体と非実体の弾幕がリベラに向かって放たれた。セシリアを救出した弾幕を展開を放ったのはシャルロットが駆るベルゼルート・リヴァイヴだ。

 

弾幕をまともに受けたリベラはダメージが入るが、シールドエネルギーは僅かに削ったに過ぎない。

 

「これは一対一の決闘じゃないよ?ボク達もいるって事、忘れないでよね?」

 

シャルは鈴の傍からセシリアの傍に来ていた。それに加え高度な技術が要求される精密な弾幕展開を二丁のライフルでこなしたのだ。これには同じく射撃を主体としているセシリアも驚きを隠せない。

 

『銃撃士、蒼き雫・・・そうか、なるほど貴卿らは遠き混血か。長き年月によって血は薄れてはいるが、貴卿らの世代で目覚めたのだな』

 

「何をおっしゃっていますの!?」

 

「ボク達がフューリーだって言いたいのかな?今は関係ないよ!行くよ、セシリア!合わせて!」

 

「ええ!」

 

「オルゴンライフル!N・B!ダブルシュート!!」

 

「オルゴンレーザー!LB・RB!同時発射!」

 

シャルが誘導し、セシリアが追尾レーザーを発射する。リベラは回避しようとするが、シャルの豪雨のような弾幕と滝の如く流れ追尾するセシリアのレーザーがそれを許さない。

 

『ぐおおおおおおお!!』

 

リベラはシールドクローを爪として展開していたが為に盾は間に合わず、直撃する。蒼き雫は流れるよう光の雨を降らし、銃撃士は山猫の如く弾幕を爪とし、その身に食い込ませる牙として放ち続ける。

 

「どうですか!?」

 

「これで終わりな訳が!」

 

『砲塔展開。総てを飲み込め、破壊の愛されざる光よ!』

 

傷を付けられた報復なのか、リベラはオルゴンキャノンを二人に向けて放つ。その出力の大きさは政征が放っているもの以上に範囲が広い。

 

雄輔が駆るモエニアのオルゴンキャノンでは相殺できない規模だ。

 

「きゃあああああ!」

 

「うわああああああああ!」

 

二人はオルゴンキャノンに飲み込まれ、鈴と雄輔、シャナの目の前へと吹き飛ばされた。絶対防御としてオルゴンクラウドSが二人を守ったが機体は大きなダメージを受けてしまっていた。

 

「セシリア!シャルロット!!」

 

「そんな・・・!」

 

雄輔は二人に向かって叫び、シャナは信じられないといった表情を顕わにしている。セシリアとシャルはメンバーの中で最も中核を成す存在だ。

 

その二人がリベラに一撃を与え、たった一撃だけの反撃で、すぐには立ち上がれない程のダメージを受けてしまっている。

 

 

 

 

王としての意志に乗っ取られたリベラは政征の顔で表情を作った。その顔は笑みに満ちている。相手を嘲るようでも、何かを楽しんでいるようでもない。

 

高らかに笑い声を上げ始める。それは嬉しさのあまり抑えきれないといった様子だ。

 

『ははは、はははははははは―――!!ああ、そうだ・・・これだ、これが欲しかったのだ。戦いでも何でもよかった』

 

それは生きているもの全てが至極、当たり前のように感じている事。いつか終わりがあろうとも今ここに存在しているという実感。

 

『我は今――生きているッ!!』

 

そう叫んだリベラは再び笑う。生の実感、存在の味がリベラを歓喜に震わせていく。

 

王としての意志はあれど器が無かった。肉の体でも機械の体でも構わず、己の存在を、この世界を感じたかった。

 

幼子のような稚拙な願い、それを叶えるのは闘争だ。故に王権の力を持ったこの者(政征)を選んだ。

 

闘争の相手として立ち塞がったのは、別の宇宙において破滅と戦った者の血統の一族達。

 

己が作り上げた種族と交わった者、年月を経て再び交わった純血の者、魂と記憶の輪廻を経て自身が純血として目覚めた者。

 

ああ、だが何故だ。敵対しているはずなのに愛しく感じてしまう。宴にも似たこの戦いを終わらせたくない、終わってくれるなと願ってしまう。

 

我は座という別世界において一つの神格に近いもの。摂め、導き、護る者だった。戦友すら己の身に宿して。

 

 

 

 

「次は俺達か」

 

「参りましょう、ユウ=スケ!」

 

『玉座の妃、城壁の騎士・・・ああ、この刹那も愛しきものに変わっていく。我という存在を我と戦う貴卿らに刻みたい!』

 

もう一機のラフトクランズであるモエニアと、玉座機たるグランティードがそれぞれ剣と槍を構え、リベラへ突撃する。

 

舞踏と化したアリーナは誰もが息を飲んで見守っている。たった一言、声援を送ることすら許されない。

 

しかし、目が離せないほど美しく栄える。瞬きすらしたくない、この光景を焼き付けておきたいと伝えられるのならば未来永劫伝えていきたいと思える程に。

 

「オルゴン・マテリアライゼーション!!」

 

「参ります!」

 

剣と槍、全く性質の違う武器。それすらも受け返しリベラは笑いながら刃を振るう。

 

倒れたくない、そして倒れてくれるな愛しき好敵手達。我を押し返すのは貴卿らでなければならない。

 

上から目線だが王として、更には別世界の神格としてあるが故に、この在り方は変える事は出来ない。

 

リベラは嬉しすぎて笑っていたが、一人の存在を忘れていた。そう、もう一人の純血の存在を。

 

「オルゴン・シャドウ!ブラキウム・ショット!」

 

不意に突かれた一撃に直撃したリベラはその方向へと視線を向ける。それは牽制で放たれた拳の形をしたオルゴンの結晶であった。

 

「今のは、龍の爪・・・!貴卿は!?」

 

「鈴さん!」

 

「ゴメン、みんな・・・!もう平気よ!」

 

シャドウが消え、改めて自分を持ち直した鈴はその場で拳を打ち込んだ姿勢のままだが、手の甲には戦いを経て育んだ誓いの証であるキング・オブ・ハートの紋章が浮かび上がっている。

 

「ショックは大きかったけど、合点がいったわ。この機体を・・・鍛えてもらったとはいえ軽々と扱えた理由も!」

 

鈴は己の真実を受け入れている目をしていた。己自身に纏わる謎も発見できた。

 

「例え、私がフューリーであっても私は私!地球産まれの凰鈴音!!それだけよ!」

 

「鈴・・・」

 

鈴の言葉に戦っているメンバー全員が驚きを隠せなかった。先程まで戦意喪失していたはずの鈴が、自分の力で立ち上がってきたからだ。

 

 

 

 

 

 

[推奨BGM【Duet】スパロボOG アレンジ]

 

「たあああああ!」

 

スラスターを吹かしながら、鈴はオルゴナイトを爪龍の拳に纏わせ結晶化させ、リベラに拳の連打を叩き込む。

 

「ブラキウム・レイド!まだまだ!!」

 

『ぬぐう!ごあああ!』

 

「さっきのはジャブ!ここからよ!無影脚ゥ!!ハイハイハイハイ――!」

 

拳に纏ったオルゴナイトが砕け、追撃の蹴りを撃ち込む。訓練とデータ世界での経験からか蹴りの正確さが上がっており、急所が分かっているかのように連撃を止めない。

 

『真実を受け入れた事で迷いを断ち切ったか、うおおお!?』

 

「吹き飛べ!」

 

左右から繰り出される蹴りの連撃から繋げた廻し蹴りを受けたリベラは、アリーナの壁に叩きつけられた。

 

代表候補生メンバーでラフトクランズを省いた中、最大の攻撃力を有しているのが鈴だ。

 

フューリーの純血として自覚はしたが、それでも自分が生まれ歩んできた生は否定させない。

 

王が何だ?別宇宙の人間としての血統が何だ?目の前の相手は王であり神であるとでも言いたいのか?

 

だとしたら私、凰鈴音は神すらも噛み砕く龍となって牙を突き立てよう。

 

「この程度の攻撃で倒れるわけがないでしょ?さっさと立ち上がってきなさいよ!」

 

砂煙が上がり、壁に叩きつけられたリベラへ毒を吐きながら鈴は仲間の一人のもとへと向かった。

 

磔にされているラウラの近くへ行くと、鈴は青龍刀を拡張領域から取り出し、四肢の枷となっているオルゴナイトの結晶を砕いた。

 

「すまない、助かったぞ。鈴」

 

「礼は後でいいわ。その前にアイツを何とかするほうが先よ!」

 

『ふふふふふふ・・・ああ、身が震える。これが歓喜か、貴卿らに最大の感謝という感情を贈りたい。何物にも替え難い刹那という輝きを私に感じさせてくれ!』

 

王の意志、リベラの影は此処で初めて自らの望みを口にしていた。政征の肉体を使ってでも誰かに伝えたかった望み。

 

肉体を利用されている政征以外の全ての人間が王の思いを心に感じた。

 

アリーナにいる皆が感じた思いは『切望』

 

一つの存在、別世界では神として崇められた戦士の幻影。

 

仲間と呼ばれた存在がいた、愛した存在がいた、導いてくれた存在がいた、全てを失っていたが残滓として自分は生き残った。

 

力は無い、感情は忘れた、器すらも砕かれていた。まつろわぬ霊として、その王に取り込まれかけた時、王権の力に引き寄せられ、そこには自由を重んじる騎士が居た。そしてそれに追従する王の資格を持った意思だけの存在が玉座(にくたい)に座っていた。

 

王は我一人、王の資質たる者の存在は許さない。ならば影としての存在であろうが、鏡の虚像のように似て異なる者として奪おうとした。

 

だが、この世界の人間は神格に迫る程の力を有していた。

 

懐かしく、憤怒し、また悲しくも嬉しくもあった。戦士として駆け抜けた、一人として愛した者もいた、共に戦った戦友がいた。

 

一人一人が神格に至る前、共にあった存在達と重なる。唯の一度だけ剣を交えた戦友達、自分が神格に至っても肉体という器を失い、魂となっても傍らにいた者達。

 

しかし、その者達もまつろわぬ霊となってしまい、破滅に力を貸す一翼を担ってしまった。

 

取り戻したい、打ち勝ちたい、自由を与えたい。それだけを望み、自由という意思がリベラと同調し影の存在として再生したのだろう。

 

 

 

 

悲しき思いを持った存在、王に同情する者も居た。

 

それでも、政征の肉体を使って見えている目の前の騎士達は同情はしない。

 

彼女達が取り戻そうとしているのは王である自分ではなく、一介の騎士である肉体の持ち主だ。

 

「そこだ!」

 

「今です!オルゴン・スレイブ!」

 

雄輔とシャナが単発のオルゴンライフルとオルゴンスレイブを追撃するために放った。それをリベラは盾で防御する。

 

『ああ、そうだ。この感覚を久しく忘れていた。我の剣を抜かねばなるまい』

 

リベラはソードライフルを振るって土煙を払い、構えを直すと同時にソードライフルの左右を展開する。

 

それを見た雄輔は大声で動けるメンバー達に叫んだ。

 

「気をつけろ!バスカーモードが来るぞ!!」

 

バスカーモードと聞いて全員が警戒を強める。その威力は特訓や初の実戦であった副音との戦いでも全員が見たことがある。

 

『制御開放、オルゴンよ全てを断ち切る王の剣となれ』

 

刀身が形成され結晶化し王の剣が鞘走る。更に余剰エネルギーが結晶を輝かせていた。それはラフトクランズ・モエニアがたった一度だけ見せた奇跡、月すら薙ぎ払うと公言した刃と酷似していた。

 

しかし、その刀身を振り下ろさせまいと一つの影が素早くリベラへ突撃した。

 

「させないわよ!ショルダー・アーマー、パージ!ブロークン・アーム!コネクト!オルゴン・マテリアライゼーション!!」

 

『なんだと!?』

 

刀身を掴んだのは鈴が駆る爪龍だ。最大出力を必要とするブロークン・アームを装備した状態でだ。

 

「アンタなんかに私達の仲間を消させはしない!リミッター解除!ブラキウム・ブローッ!!」

 

爪龍から最大出力を現すオルゴンの奔流がアリーナを満し、鈴の意志を汲んだ龍の爪は王の剣を握り砕いた。

 

「バスカーソードを・・・砕いた!?」

 

「きゃあああああ!」

 

その反動で鈴は吹き飛び、セシリア達と同じ場所に投げ出された。驚きのあまり雄輔はその場で固まってしまっている。

 

「その隙は逃がさん!ボルテッカァァァー!」

 

『うおおおおおお!?』

 

追撃といわんばかりにレーゲンから放たれたボルテッカはリベラを捉え、シールドエネルギーを初めて大幅に削った。

 

「っ!目を覚ませ!親友!!」

 

「政征ーー!テンペスト・ランサー!!」

 

シャナが突き立てたテンペスト・ランサーを現実に戻った雄輔が連携しオルゴンソードで押し込み、オルゴンクラウドを突き抜け、機体にダメージを与えた。

 

『王たる・・・この我が一介の騎士達に敗れるなどと・・・』

 

「王の意志、自由の騎士の影よ!この世界はあなたの愛した世界では無いのです。然るべき場所に還りなさい!」

 

『そう・・・か、我は・・・座に還る・・・おお、皆が我を』

 

王の意志が政征の肉体から消失し、リベラは解除され本人はその場で倒れ込んでしまった。それをグランティードを纏ったままシャナが抱きとめる。

 

「政征!」

 

「シャナさん。大丈夫、気を失っているだけだ」

 

「そうですか、良かったです・・・」

 

シャナは安堵したように大きく息を吐き、雄輔はそれを見て笑みを浮かべた後にISガールズ達のもとへ向かった。

 

「大丈夫か?みんな」

 

「少し、無茶をし過ぎましたわ。今、景色が回って見えてます」

 

「僕も両腕がすごく痛い、アハハ・・・」

 

「また爪龍に無茶させちゃった、今は右腕の感覚が無いわ」

 

「はぁ・・はぁ・・やはり、単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)を発動していない状態でのボルテッカは応える」

 

機体も、それを纏っていた本人達もこの戦いでボロボロになっている。重傷ではないにしろ怪我には変わりはない。

 

シャナと雄輔も武器を使った利き腕を軽く負傷してしまっていた。

 

イベントどころではなくなってしまったために急遽、バトルに参加していた全員が医務室へと送られてしまった。

 

 

 

医務室で全員が手当てを受けたが、政征だけはベッドの上で意識を取り戻してはいない。リベラも待機状態で展開出来ない状態になっている。

 

 

「政征・・・」

 

シャナは政征の手に自分の手を重ねていた。カーテンで仕切られている為に外からは覗けない状態であるが、手を重ねる以上の事はしていない。

 

「早く目を覚ましてくださいね」

 

「シャナ、行くわよー?」

 

鈴の声に返事を返し、シャナは鈴達と共に医務室から出て行った。政征は夢を見ている時と似た状態でリベラの意識の中にいた。

 

「俺は・・・何で此処にいるんだ?」

 

「私が貴公に謝罪せねばならないからだ」

 

「リベラ?」

 

リベラは申し訳なさそうに膝をつき、騎士の礼節の取った。表情からは、ただただ申し訳ないという思いしかない。

 

「私は・・・貴公を騎士として守る事が出来なかった。あまつさえ肉体を私自身の影に乗っ取らせるという事まで」

 

悔しさと申し訳なさからリベラは初めて涙を流している。守るという誓いを立てた身であるからこそ、その誓いを果たせなかった事がリベラを追い詰めているのだろう。

 

「もはや、私は・・・」

 

「リベラ!」

 

「!!」

 

政征は珍しく大声を張り上げた。その目は澄んでおり嘘を付くことはしないと訴えかけている。

 

「お前は俺の相棒であり、力の象徴だ。お前がいなければ俺は騎士になれなかったんだよ」

 

「・・・」

 

「だからこそ、居てくれなきゃ困る。イレギュラーな事態だったが、破滅と戦う前の試練だったんだろうさ」

 

「っ・・」

 

リベラは顔を上げ、政征を見る。騎士として新たな誓いを示すために剣を差し出す。

 

「誓いを・・・再び此処に」

 

政征は誓いを受けるかのように剣を手にし構え、顔を上げ礼節の構えを取っているリベラの近くへ趣き、右肩から左肩へと一回ずつ剣の腹で軽く触れた。

 

それは忠誠の儀であり、政征は改めてリベラを騎士であり、ただ一つの剣と認めた事を意味する。

 

「俺は王じゃない、お前と同じ騎士の一人だ。忠誠と愛を捧げているのは唯一人のみ」

 

「ならば私はそれを支える騎士となろう、改めて貴公の力とならん!」

 

 

互いに誓いを交わし、政征は目覚めた時間にして3時間は経過しており、学園祭も一日目が終了間近になっている。

 

「あちゃあ・・・どやされるの覚悟しとくかな」

 

苦笑しながら待機状態になっているリベラを眺めた後、眠りについた。

 

 

 

政征が眠りにつくと同時に亡国機業、正確には元・亡国機業の幹部である三人が、IS学園の本来の学園長である轡木 十蔵と通信装置を使って接触していた。

 

「こちらに戦意はありません、話し合いの場を設けていただきたく連絡しました」

 

「ふむ、テロ行為は行わないと解釈してよろしいですかな?」

 

「はい、今の我々は戦力と呼べるものはありません。出来れば此方にいる男性操縦者との話し合いが我々の要求です」

 

スコールの言葉に嘘偽りは無い事を感じ取り、要求が比較的受け入れやすいものである事に安堵する。

 

「では、こちらの要求も飲んでいただけますかな?」

 

「そちらの要求とは?」

 

十蔵はほんの僅かに、通信装置越しでも分からない程度に含んだ笑みをした後に要件を切り出した。

 

「簡単ですよ。貴方達のISをアシュアリー・クロイツェル社に預けて欲しいのです」

 

「っ!それは・・・」

 

スコールは僅かに声のトーンが下がった。世界的に有名とは言えど、自分達の機体を息のかかっていない会社に預ける事など、相手に塩を送るようなものだ。

 

「ならば私から機体に手出ししないよう伝えておきましょう。もしも、改修などが必要な場合は貴女達を必ず立ち合わせます。無論タダというのは難しく、機体データなどは取られると思いますが」

 

「それでしたら、構いません」

 

駆け引きでは負けないと思っていたスコールだったが、十蔵の方が一枚も二枚も上手であった。伊達にIS学園の学園長をしている訳ではなく交渉の駆け引きというものを知り尽くしている。

 

「(都合良く武器を取り上げられたわね。仕方ないわ、話し合いの経費だと考えましょう)」

 

「では、よろしいですかな?こちらは受け入れる方向ですが」

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

通信を切ると同時にスコールは悔しさを表情に出していた。駆け引きにおいて自分が負けるなどと思いもしなかったのだ。

 

「スコール、どうしたんだよ?」

 

スコールの様子を見に来たオータムが声をかけた。オータムの顔を見て少しは落ち着いた様子を見せる。

 

「ええ、ちょっとね」

 

「そうか、とりあえず交渉は上手くいったのか?」

 

「完璧とは言えないわ」

 

IS学園との交渉は成功したが、こちらの武装を完全に放棄した上での話し合いになるという旨を伝える。

 

それを聞いたオータムは少し感情的になるが、相手が話し合いの席を設けてくれただけでもありがたい状況というのを思い返し大人しくなった。

 

「ひとまず、IS学園へ向かいましょう。破滅の軍勢との共同戦線を張れるように」

 

「ああ」

 

二人が話している間、コードネームMこと織斑マドカが思考にふけっていた。

 

「遺伝子学的に家族には会えるが複雑だな」

 

今更、家族になどなれない。お互いに顔など知らないし、ましては自分はクローン体。顔もよく似ているため鏡合わせのように映るだろう。

 

「でも、今は関係ない。破滅の軍勢を必ず!」

 

報復という感情がマドカを支配しながらも、IS学園に向かう準備を進めようと行動を開始した。




次回は裏側。

鈴は母から

セシリアは実家に遺されていた曾祖母の日誌から

シャルロットはカルヴィナから渡された実母の遺品から

自分達が血統である真実を知る事になります。
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