Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉   作:アマゾンズ

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決戦がいよいよ迫る。

スパロボではあまりない恋人同士のインターミッション

目撃してしまう二人の少女。

以上


※注意書き

セシリアのファンや鈴のファンの方には少し嫌悪感を持たれる描写があります。

それを踏まえた上でお読みください。


近づく破滅の日から救世主の生誕へ

亡国機業のメンバーが機体に慣れる為の訓練をしている中、ラウラ以外の代表候補生及び更識姉妹、布仏姉妹が揃っていた。その中には機業代表候補の男性二人もいる。

 

「アイスランドで確認されたわ。織斑君の機体が休火山の火口へ降りていく情報が」

 

「確定ですね。だとすれば乗り込んでゲートを停めるか、破壊しなければ破滅が来る」

 

「そうだな、間違いない」

 

楯無からの報告と男性二人の言葉に全員が頷く。破滅の軍勢の目的と学園を去った二人が根城にしている場所を突き止めた為だ。

 

「それともう一つバッドニュースよ。女性利権団体のタカ派が団体の全てを掌握したそうよ」

 

「なんですって!?」

 

「本当なのですか!?」

 

「裏が取れているわ。タカ派はクーデターを起こして、ハト派を完全に粛清。全員がアイスランドに集結してるそうよ」

 

「妙な話だね。それなら代表就任挨拶とかが世界的ニュースになるはずなのに」

 

「表向きに騒動を悟られないよう根回しされていたのよ。利権団体のタカ派は手を結んでいたそうだから」

 

「どこまで愚かなんだろう~・・・」

 

女性利権団体に対して全員毒付くが全てを否定することができなかった。特にセシリアは自分の立場に置き換えて考えていた。

 

自分も女尊男卑に染まっていた過去が有る。どんなに取り繕うとも覆すことの出来ない過去として自分の中で眠っており、それが自分を苦しめる。

 

それは誰の責任でもない。女尊男卑の世の中で男は弱く、女性は強いというのが家族の中で目の前で行われていた、其れが当たり前だと信じて疑う事もしなかった。

 

しかし、弱いと思っていた男性に敗北し、女尊男卑の考えを改めた時、セシリアは自分の父親に対してある考えが浮かんでいた。

 

女尊男卑の世の中で父は仮面を被っていたのではないのかと。ラウラのように悲しみを背負うためではなく、母を、そして自分を守るためにわざと仮面を被り道化を演じていたのではないかと。

 

そしてそれは、母と共に考え抜いた末の苦渋の選択ではなかったのかと。母が本当に父に対して愛想を尽かしていたのなら離婚などの出て行く手段は多くあったはずなのに。

 

今となっては聞く事は叶わない。聞けたとしても両親ははぐらかすであろう。そんな考えを持ちながらセシリアは報告を聞き続けた。

 

「ここからが本題よ。突撃強襲を仕掛けようと思うの。もちろんケリをつけるという意味合いになるわ」

 

楯無の言葉に全員に緊張が走る。あの破滅の軍勢を相手に、これだけの人数で戦うと宣言しているに等しいからだ。

 

「(戦いに勝ったとしても、恐らくクロスゲートに誰かが特攻しなきゃ破滅の王は追い返せない。その時は)」

 

「(政征の奴・・・命を捨てようと考えてやがるな。でも、それは架空の世界だけでしか通用しない精神だぞ)」

 

男性二人の思考を他所に話は進んでいく。そして決行の日は十二月二十五日のクリスマスということになった。

 

何故、クリスマスの日に乗り込むことが決まったのか。それは救世主が生誕した日に破滅によって救わんとする王を追い返す意味で皮肉ったものだそうだ。

 

話し合いが終わり、生徒会室から出て行くと訓練を終えたラウラとマドカが合流し、生徒会室で話し合った全てを伝えるために場所を移動していった。

 

 

 

 

スコールとオータムも機体のテストをしている中で映像通信で決行日を聞かされていた。通信の相手は無論、楯無である。

 

「という訳です。スコール先生、オータム先生」

 

「理解は出来たわ。クリスマスだなんて随分と皮肉が効いていて素敵じゃない」

 

「破滅の神を追い返す日が救世主の生誕とはな、コイツは面白くなりそうだぜ!」

 

二人の顔には殺意と歓喜が入り混じったような笑みで楯無を見ていた。その表情に楯無も恐怖を隠せない。

 

画面越しとは言えど二人は世界に暗躍していた亡国機業の幹部であり、自分以上に殺し合いや戦場に慣れている。

 

その経験の差を隠しきれないオーラが物語っているためだ。

 

 

「それじゃ、私達は明日、学園に戻る予定だからその時に詳しく話し合いをしましょう」

 

「ええ、お待ちしています」

 

「ありがとな?生徒会長さん」

 

通信が切れると同時に二人はようやくといった雰囲気で通信が切れた画面を見つめている。

 

「私は因果律の旅人になるのは構わない、せめて仲間の無念だけでも晴らしてあげたい」

 

「恨み辛みで戦う訳じゃねえが、ケジメだけは付けさせてもらうぜ、破滅の軍勢」

 

漆黒の祈りを捧げる堕天使と地の獄で掲げられる黒き十字架を継承した二人は決戦の日に備えてよりハードな訓練を組み入れつつ、学園での教師生活に戻る準備を始めた。

 

 

 

 

 

その日の夜、政征は一人で学園の道場に正座していた。織斑先生に許可をもらい、門限ギリギリまで使わせて欲しいと頼み込んだ。

 

虚勢を張っていても覚悟を持っていてもやはり戦いは怖い、臨海学校の時のように死ぬ寸前までいった事を思い出す度に震えが来る。

 

「・・・・クロスゲートへ追い返すには、でも」

 

目を閉じ、浮かぶのは自分が初めて心から愛した女性の顔。シャナ=ミアを置いて死ぬことなど騎士道不覚悟。

 

死にゆく覚悟はしても死ぬつもりはない、それに加えて奴との決着もつけなければならない。

 

「思い出せ、何の為に剣を振るうのか?何故、自分は騎士となったのかを」

 

自問自答を繰り返し、騎士としての己自身の意味を問いただす。そんな中で意識の奥底に到達した時、その根源たる思いを再確認する。

 

初めは護衛として接していた。接していくうちに隣にいるのが当たり前となっていった、当たり前などいずれ消えて行くのには瓦は当然の事なのにと思いを押し殺した。

 

彼女を強欲に欲した時があった。彼女を傷つけられることに憤怒もした。暴食の如く彼女を色欲に任せ貪りたいとも思った。彼女を守る自分に酔い、傲慢となった。

 

彼女の優しさに溺れ、怠惰した。彼女が決着をつけるべき相手に笑みを向けた時、嫉妬をした。

 

彼女を守る為にこれだけの罪を犯している。だが、その罪は人間が人間であるために必要なもの、それをも受け入れよう。

 

今の自分は彼女以外にも守る存在が居る。その為にも破滅を追い返さねばならない。自分の本来の世界は帰郷の思いもあった。

 

でも、今はこの世界の住人だ。帰りたいといえば迷いなくこちらを選んでしまうだろう。産んでくれた母は自分で選んだのなら迷いなく進めと教えてくれた。

 

ゆっくりと瞑想を解き、改めて決意を表す為に言葉を口にする。

 

「俺は仲間と、それ以上に大切な存在・・・シャナ=ミア・エテルナ・フューラを守りぬく!」

 

「政征?」

 

「どうわぁ!?シャ、シャナ!?どうして此処に?」

 

「なかなか帰って来ないので探していたんです。もう、寮に戻る時間ですよ」

 

「そ、そっか!」

 

まさか聞かれてないよな、さっきの独り言。聞かれていたらものすごく恥ずかしいよな。

 

「政征、貴方に想いを打ち明けた時もこのように二人きりでしたね」

 

「あ、ああ。場所は違うけどそうだったね」

 

あの時はシャナから告白してきて慌てちゃったんだよな、女の子から直接告白されたことって全然なかったから。

 

「政征・・・」

 

「シャナ?どうしたの?」

 

シャナは今にも泣きそうな表情で俺の目を見つめてくる。何かを感づいているように視線を逸らそうとはしない。

 

「お願いですから死ぬ事なんて考えないで、貴女が死んでしまったら私は・・・っ!」

 

まただ。また俺はシャナを悲しませてしまった。俺は何度、この愛しい存在を悲しませれば気が済むのだろうか?

 

一度目はクラス代表を決める戦いで、二度目は臨海学校時での実戦、そして今に至るまで。

 

「シャナ・・・」

 

「だから、だからもう!あっ!?」

 

行動で示す以外にないと俺はシャナを優しく抱きしめていた。あの時に抱きしめた以来の華奢な身体つきに加え、女性特有の胸元の膨らみの感触と暖かさが伝わってくる。

 

「ごめん、シャナ・・・そうだよね、シャナの言う通りだ。死ぬ事なんか考えてちゃダメだよな」

 

「・・・」

 

「シャナ、ル=クク・ヴォーデュを停止させるのを手伝ってくれないか?破滅の王を追い返すために。もしかしたら死ぬ事になるかもしれないけど」

 

「私は貴方と共にあると誓った身です。ル=クク・ヴォーデュを停止させる鍵となるのは玉座機、グランティードなのですから」

 

「怖くないの?死ぬのが」

 

「貴方とならどこまでも」

 

まいった。いつの間にかシャナに此処まで肝が据わっていたとは。まるで三国時代の女傑のように。俺もどこかシャナの事を戦えない皇女扱いしていたんだな。

 

「ありがとう、シャナ」

 

「ふふ、お礼は早いですよ」

 

シャナはより強く抱きついてきた。引き離さないと俺の理性がマズイのに、シャナは離してくれない。

 

「シャナ、必ず生きて戻ろう」

 

「はい、必ずや」

 

シャナの頬を両手で包むとシャナは目を閉じて僅かに背伸びしてきた。ああ、これと俺は察してシャナの唇に優しくキスをした。

 

「・・・ん」

 

しばらくして唇を離し、腕を組むようにして道場を後にし、鍵を返却して寮へと戻っていった。

 

 

 

 

 

「97・・・98・・・99・・・100!っはぁぁ!!」

 

政征が道場に居る間、雄輔はトレーニングルームで器具を使い、身体を鍛えていた。

 

「はぁ・・はぁ・・、くそっ!」

 

いつになく雄輔は苛立っていた。本来は冷静な彼だが決戦を前にして緊張が今まで以上に強くなり、悪いイメージばかりが浮かび上がっていた。

 

「精が出るのはよろしいですけど、自分の身体に八つ当たりしても意味がありませんわよ?」

 

「っ!フー=ルー・・・いや、フー=ルー先生」

 

「今は教師としての時間は終わっています。呼び捨てでも構いませんわ」

 

そう言いながらフー=ルーは手に持っていたペットボトル入りのスポーツ飲料を投げ渡し、雄輔は難無くキャッチしてキャップを取り、口をつけて飲み始めた。

 

「どうしました?普段の貴方からは考えられないほどのオーバーワークですよ?」

 

「怖いんだ・・・・」

 

「?」

 

「怖いんだ、どうしようもなく。臨海学校で親友を落とされた時のように、自分が真の死を迎えるのが怖いんだ!」

 

「雄輔」

 

彼の恐怖は無理もないだろう。大人びた体格、考えを持っていても若干17歳の青年。死地に向かうともなればこうなって当然なのだ。

 

「俺は政征のようにヴォーダの闇を垣間見た訳でもない!ただ騎士としての実力を備えただけ、俺は・・・!」

 

次の言葉を口にする前にフー=ルーは、雄輔を自分の胸へと、抱きしめていた。まるで恐怖を分かち合うかのように。

 

「フー・・・ルー?」

 

「その恐怖は当然の事、戦場に向かう者が恐怖を感じないなど本来はありえないのです。でも、貴方は弱さを持つ者でありながら強くあろうとする。その気概こそが」

 

その先は上手く聞こえなかった。より強くフー=ルーに抱きしめられていたからだ、その包容は安らぎと同時に俺の中の恐怖を和らげてくれていた。

 

「フー=ルー、もう・・大丈夫。少し苦しくなってきた・・・!」

 

「あらあら、それに汗まみれなのを忘れていましたわ」

 

包容を解かれると気恥ずかしくなってくる。未だこの人と本当に男女の関係になっているのが、夢じゃないかと疑ってしまう。だが、先程の包容の暖かさが現実だと教えてくれている。

 

「フー=ルー、俺の親友は皇女と共にル=クク・ヴォーデュへ突撃しようとするはずだ」

 

「その時は私達もお供せねばなりませんわね。それがフューリア聖騎士団の誓いでもありますので」

 

「共に来てくれるのか?」

 

「貴方とならヴォーグの闇の底まで共に」

 

フー=ルーに返され、雄輔は自分からフー=ルーを抱き寄せた。共に歩んでくれる愛しい女傑と共に、未来を歩みたいという想いを込めて。

 

「強引ですわね・・・いつから獣になったのかしら?」

 

「貴女に誓いを立てたその時から」

 

「ふふ・・・そうでしたか。いずれこの身を捧げる時が来るでしょう」

 

「それって・・・どういう」

 

「それを聞くのは野暮というもの。さぁ、戻りなさい決戦時には騎士の貴方を見たいのだから」

 

包容から離れ、フー=ルーは去っていき雄輔も寮へ戻るとシャワーで自分の身を湯に晒して休むことにした。

 

 

 

 

 

そんな中で鈴とセシリアは政征と雄輔がシャナ=ミアとフー=ルー、それぞれが逢引に近い事をしている現場を目撃してしまった。

 

鈴は雄輔、セシリアは政征の現場を目撃してしまった後、泣きながら自分の部屋へと戻っていった。

 

「雄輔・・・フー=ルー先生と・・・」

 

「政征さんが・・・シャナ=ミアさんと・・・」

 

初めて意識した異性と改めて恋した相手、想い方は違っていても元は変わらない。だが、二人の想いは届く事はなかった。

 

「あれ・・・?どうしてかな?アイツ意識しなくなった時より悲しいよ・・・」

 

「叶わなかったというのはこんなに悲しいものなのですか・・・」

 

二人の目からは涙が止まらない。傍に居たかった相手の隣は空席ではなかったのだから。

 

「うう・・あああっ・・・私ってば。いざとなったら恥ずかしくなって言わないままで・・・相手が出来てから気づいてる」

 

「ううう・・・あああ・・・お話ではいくらでも知っていたのに、自分がその立場になってしまうなって・・・」

 

誰もいないのに気づいた二人は、辛さを涙に変えて吐き出そうと思った。この想いを否定したくは無い、辛かったとしても見てしまったのだから。

 

「でも、泣き終えたら・・・想いだけは聞いてよ・・・ね・・・・うわああああああああああああん!!」

 

「わたくしの気持ちを知ってほしいのですから・・・ああっああああああああああああ!!」

 

報われることのなかった恋。それすらも大切な事だと自覚しながら二人の少女は泣いた。泣いて泣いて、この辛さを受け止めて前へ進もう。

 

そんな考えと共に二人は泣きつかれるまで一晩中泣き続けた。涙を流しきるかのように。




いよいよ、本拠地であるアイスランドへ乗り込みます。

この世界でのラウラとシャルロットはifではない限り二人を友人以上には思いません。

鈴とセシリアには異性としてみる要素がたんまりでした。

この二人がどちらかと結ばれていたらというifが見たいとあれば書くやもしれません。


本音を言うと泣かせるシーンって結構来るものがあるので・・・某SUMANAIさんみたくなりそうです。すまない・・・鈴、セシリア
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