日が暮れるまでに森から出る事が出来なかった俺とエヴァンジェリンは森の中の川辺にあった洞窟で一夜を明かすことになった。
「ほら、焼けたぞ」
エヴァンジェリン……長いからエヴァでいいや、エヴァがいい具合に焼けた魚を差し出してくる。
恥ずかしながら野宿の経験なんて皆無な俺は食料の調達から寝床の準備までエヴァに任せることになった。
「ああ、なんか、悪いな。力になれなくて」
「気にするな、今朝の礼だ」
そう言うと自らも魚をかじり始めるエヴァ。
俺も食うかな……うん、美味い。
「それで?貴様は一体何者なんだ?」
そう質問してくるエヴァ、まあ、気になるよな。
そう言えば俺の名前、どうしようか……行きてた頃の名前を使うか?
「俺は咲良ショウ。んー、そうだなあ。まず第1に、俺はこの世界の人間じゃない。違う世界から来た」
「ん?なんだ、ショウは『魔法世界』出身か?」
「魔法世界?なんだそりゃ?」
俺が逆に聞き返すとエヴァが訝しげに眉を顰めながら説明してくれる。
どうやらこのパラレルワールドにあるもう1つの世界らしい。
おそらく俺の元いた世界の現実と幻想の様な物なのだろう。
なんでも、そっちでは魔法が科学になり代わり繁栄しているらしい。
それともう1つ、今いる世界の話なんだが。
どうやらここも地球らしい、ただ、魔法があるなど前とは少し違う世界の様だ。
まあ当たり前なんだが。
それに時代も全然違った、何となく中世のヨーロッパ辺りを思い描いていたのだが、本当にここは中世のヨーロッパだったらしい……うーん、信じられん。
「にわかには信じられないな……こことは違う世界か」
「んー、それは信じてもらうしかないよな。つーか魔法をポンポン使う様な奴に信じられんとか言われたくねぇ」
「む、それもそうか。だがショウも魔法を使っただろう?あれは何なんだ?」
「まだ俺も完全には理解していないんだがな?星とリンクする事でその星に存在する物質や現象を操ることが出来る能力、らしい。因みにさっきはこの星にある物質の中から闇や影を使った」
そういえば闇って物質なのか?なんて思ったが使えるもんは使えるんだから気にしないでいいか。
「な、な、なんだその無茶苦茶な力はっ!!」
「こらっ、声が響くだろうが。俺だって強すぎると思ったんだがな?もう返し様もないしな」
これについてはもうしょうがないし、力の使い方を覚えていくしかないだろう。
「で?ショウはこれからどうする気だ?もし行く当てがないのなら、わ、私に着いて来てもいいぞ?力の使い方もある程度までは教えてやろう」
「ん?いいのか?」
「あ、ああ、ショウが来たいと言うなら仕方がないしな、うん、仕方がないんだ!」
なんかブツブツ呟きガッツポーズをしているエヴァ。
「そう言えばエヴァは何であいつらに追われてたんだ?なんかあいつらエヴァの事魔女とか言ってたけど」
つーかあいつ等も魔法使ってなかったか?
だが、その話題を口にした瞬間エヴァが動きを止めた。
……しまった、地雷だったか?
「あー、言いたくないんならいいんだ」
「いや、これからは行動を共にするんだ。知っておいてもらいたい」
そう言うとエヴァは自身の事をポツポツと話し出す。
領主の城に預けられ、何不自由ない少女時代を過ごした事。
十歳の誕生日、目が覚めた自分が真祖の吸血鬼になっていた事。
神を呪い、自分をこんな姿にした男に復讐を果たし、城を出た事。
それからずっと1人で生き続けて来た事。
「どうだ?失望しただろ?私は本物の化け物なんだ」
そう言うとエヴァは自虐の笑いを見せる。
「……はっ、何が真祖だ。言っとくけどな、まだためした事はないが俺は星からのバックアップがあればほとんどなんだって出来る。お前には出来んのかよ?」
「……何が言いたい?」
「だから、生命体云々じゃなくて、能力値的に言えば俺はお前よりも化け物だって事!真祖如きでグチグチ言ってんじゃねーよって言ってんの!」
ちょっと極論過ぎたかな?いや、こんくらいで十分だろ。
「な、お前は何を言って……ってな、何!?」
何か言ってるエヴァを無視して俺の膝の上に乗せ、後ろから抱き締める。
「あのなぁ、気づいてないんだろうけど、泣きながら 震えてる女の子が目の前にいたら大抵の男は無視出来ないと思うぞ?」
「え?……」
そう言って自分の手を見るエヴァ、その手は俺の言う通りに震えていた。
そして瞳からとめどなく溢れる涙が頬を濡らしている。
「寂しかったんだろ?……まあ、なんだ。これからは俺が側にいるからさ。だから、もう我慢とかしなくて良いんだぞ?」
そう耳元で囁いて頭を撫でると、抑えていた物が外れたのか声をあげて泣き出すエヴァ。
その日はエヴァを抱き締めたまま、寝たのだった。
と言うわけで第2話でした!……すいません、作者がエヴァといちゃいちゃしたかっただけです、はい。
ご意見、ご感想、ご要望等もお待ちしておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。
ではでは!また次回!