不登校生の暗殺教室   作:ドロイデン

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挨拶の時間 後編

「とりあえず一言、……なんでここにお前が居る、浅野学秀」

 

 俺は多分二、三週間は会わないであろう人物に声を掛ける。

 

「なんで、か……その理由は一番君が知ってると思うんだが?」

 

「知らねぇし、つか質問に答えやがれ」

 

 浅野はいつも通りの余裕顔で返してはいるが、それなりにイラついてるのか目が怖くなってやがる。

 

「僕がここに居る理由、その半分は君のせいだよ浅」

 

「あぁ?」

 

「僕は理事長の息子だ。あの人は僕に絶対的な勝者になれといった。だが勉学では結局、テストで君に勝てることはなかった」

 

 そう言われてみると、確かに毎回毎回浅野親子に色々と絡まれてはきたが、どれもこれも軽く払い除けていた。

 

「結果、僕は父さんから敗者の烙印を押され、学年二位という実力でありながらここに落とされたというわけだ」

 

「つまりアレか、理事長である親父さんの理不尽で落とされた、と」

 

「そういうことだ。しかもあの人は毎日のように()()で君の事を散々と言ってくるから、心労も貯まったものじゃない」

 

 それは管轄外だと思いながらも受け流す。まぁ結局のところ、浅野も父親と色々と苦労しているようだ。知ったことではないが。

 

「ま、どうでもいいけどさ……とりあえず一年間よろしくな~」

 

『大分軽いなオイ!!』

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 そんなこんな授業を受けているわけだが、はっきりいって退屈極まりないことこの上なかった。ちなみに今は理科の化学だ。

 

「ニュヤ……では浅さん、炎色反応の色で次のうち仲間外れはどれでしょうか?」

 

 と、上の空で聞いていたのを刺されてしまい仕方なく黒板を確認する。書かれていたのはリン、ヒ素、インジウム、そしてアンチモンだ。

 

「…………インジウム。他の三つは彩度は若干違うがほぼ同色の淡い青の反応をするけど、インジウムは藍色だ」

 

「ニュヤ!!正解どころか解説までされたら先生の立場が!!」

 

「知るか、てか問題の内容が中三の内容じゃねぇだろ」

 

 実際これ解けるやつって、理科トップクラスの奥田さんを除いたらカルマと浅野と俺ぐらいしかねぇだろ。

 

「まともに授業内容を聞いてないですからね~というかノートすら取ってない、そんなものでテストで成績が採れるわけが」

 

「「「残念だけど俺(浅さん/コイツ)はこれが基本だから」」」

 

「ニュヤ!!なんでうちのクラスのトップ3が口揃えて言うんですか!!」

 

 殺せんせーは慌てているが、俺にとっては何が不思議なのかさっぱり分からない。

 

「だって教科書の内容とかほぼ全部覚えちゃってるから。覚えていれば大体のテストで点数は採れるし」

 

「ニュヤ…………でしたら聞きますが、三世一身の法が制定されたのは何年ですか?」

 

「723年。内容は耕した田畑を三世代まで所有できるって内容だ」

 

「profligate、動詞の意味は?」

 

「浪費する。確か結構難しい単語だったよな」

 

「だ、第二余弦定理の公式を!!」

 

「a2=b2+c2-2bccosA……てか、さっきから変に難しい内容ばかりなんだけど?」

 

「なんでそんな余分な範囲まで覚えちゃってるんですか!!」

 

「なんか、むしろ浅の方が教師に向いてる気がするよな……」

 

 杉野がそう言ってくるが、こっちにしてみれば普通だった。

 

「え、これ中二の夏にはもう覚えてたけど?なぁ浅野?」

 

「僕に同意を求めるな。僕も公式は分かるが解くのを間違えるやつだぞ」

 

 そうだっけ?と思いながらも俺は先生に笑い掛ける。

 

「そういうことだから、まぁ授業態度に関しては許してくれ」

 

「流石にそれはダメです!!授業は真面目に受けな「ビュン!!」ニュヤ!!なんで対せんせーナイフを投げるんですか!!」

 

「え、無防備だったし。それにこの程度軽く避けるか防ぐでしょ?」

 

 現に今投げたナイフも何処から取り出したのか、ハンカチで手を保護しながら受け止めてるし。

 

「ま、こういうのは今回だけだよ。それに今日はせんせーとのタイマンもあるし」

 

 俺はそう言った途端に授業終了の鐘がなり、俺は席から立ち上がる。

 

「そういうことだから、ちゃんと放課後によろしくね~」

 

 俺はそう言いながら教室から出ていく。さて、どこで昼寝と洒落込もうか…………。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

 視点 渚

 

「浅さん、やっぱり凄いよね……」

 

 僕は隣でジュースを飲んでるカルマくんに、そう一人ごちだ。

 

「確かにね~相変わらずの暗記力、俺にはあんなこと絶対できないね」

 

「……赤羽、そう言いながら冷や汗かいてたら説得力無いぞ」

 

 と、これまた隣でペットボトルのストレートティーを飲む浅野くんがそういう。というか、二人に挟まれてて結構プレッシャーが……

 

「ヌルフフフ、浅さんはそんなに凄いんですか」

 

「殺せんせー。まぁあの人は色んな意味で化け物だからね……」

 

「それに俺より小手先の技術は上かな~、はっきり言って騙し討ちなら俺より上手いだろうし」

 

「真正面の直接戦闘もそれなりに高い。恐らく烏間先生以外は相手にならないだろう」

 

 僕ら三人の言葉に殺せんせーはこれまた冷や汗をかいてる。

 

「しかし、そんな彼女がなぜ不登校になったのでしょうか?」

 

「浅の両親は数年前に蒸発してる。それのせいで生活費を稼がないといけないという事から、テストなど一部を除いて一時的に休学扱いになっていた。が、テスト日だけに登校し、かつ学年一位を取ってる事に周りから不満が集まり、結果として」

 

「E組になった……と。しかし、そうなると彼女が言ってた言葉の意味が分かりませんね……」

 

「へぇ……どうせ『一人称が《私》になったらなにが何でも周りから隔離しろ』……でしょ?」

 

 カルマくんは軽く言ってるが、僕と浅野くんは少し微妙な表情を浮かべてしまう

 

「さすがはカルマくんですね……しかし、その意味が三人には分かるのでしょうか?」

 

「もちろん♪ていうかそうなった場面を一回見てるしね」

 

「ニュヤ……ではその事を「殺せんせー!!」ニュヤ!!なんですか浅野くん」

 

「悪いが……その事は聞かないでくれ……」

 

「ですが、その事を知らないことには……」

 

「仕方ないよ、だって()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だからね。本人の目の前で言うわけにはいかないよ」

 

 カルマくん、そんなわざとらしく言わない方が良いと思うよ。だって浅野くんの顔が冷ややかに笑ってるから。

 

「赤羽、何を勝手に言ってる」

 

「ええ~だってホントのことじゃん」

 

「だからこそだ!!」

 

「ヌルフフフ……先生もその理由は知りたいですが、まぁここは聞かないことにしておきましょう。何より、本人の承諾なしに聞くのも憚られますし」

 

 そう言って殺せんせーは一瞬にして飛んでいってしまった。

 

「やれやれ……これはこれで面倒なことになってきたね」

 

「「カルマくん(お前が)言う台詞か!!」」

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