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では、本編をどうぞ!
ユウキが指令を受けてから翌日。ユウキは番犬所からの指示のもとIS学園前の駅で待っていた。
「おいおい、案内人の奴は一体いつまで待たせるんだ?」
「少しは黙っていろ、ザルバ。まだ、人がいる」
長時間待っているからか、ザルバは呆れた様子で喋り出すが、ユウキはそれを注意する。喋る指輪など、摩訶不思議な物でしかない。ただでさえ、ほとんど女しかいない場所に黒いロングコートを着た男がいるのだ。目立ってしょうがない。
「そいつは悪いな。しかし、奴らもめんどくさい指示をしてきたな。直接向かった方が早いだろうに」
「それには同意だな」
ザルバの意見に同意すると、二人は沈黙する。
それから一時間。表情、姿勢を変えずに仁王立ちで待っていると……。
「うん?来たようだな……」
「そうだな……おい、あの人は……」
遠目にだが、ユウキ達の視界に黒いスーツを着た女性が入る。そして、女性の顔がはっきりわかるとユウキ仏頂面だった表情を少しだけ驚愕に染める。
「すまない。仕事で遅れてしまった。この学園の教師の
「お久しぶりです。織斑さ……いえ、織斑教諭。俺はユウキです。今は訳あって姓は名乗れませんが、よろしくお願いします」
「そうか……積もる話もあるが……それでは学園長室まで案内しよう」
綺麗に礼をするユウキに懐かしそうな表情をする千冬だが、すぐにいつものキリッとした表情に戻し、ユウキを連れ学園長室まで案内する。
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千冬に案内され、ユウキは学園長室の前に来ていた。
道中、部活動に励んでいた女子生徒たちがざわついていたりしていたが、千冬の威圧感によってすぐさま部活動に戻って行った為、あまり騒ぎにならず此処まで来れた。
「何の用事か分からないが用事が終わったら教えてくれ、帰り道を案内する。私は職員室に戻らせてもらう」
「案内、ありがとうございます」
職員室に戻る千冬に礼をし、ユウキは学園長室の前に立つ。
「失礼します」
学園長室の扉を開け入ると、そこには用務員の服を着た白髪で歳相応の皺が刻まれている穏やかな顔をした初老の男性が立っていた。
「初めまして、普段は用務員をしていますが、一応この学園の運営している
「そして、代々この地を管理する魔戒法師の一族……
「ええ、その通り」
にっこりと笑いながら十蔵は肯定すると、自身の背後にある本棚に視線を向ける。
「あそこがこの地の番犬所の入り口となる。詳しい説明は番犬所の神官達がするでしょう」
「分かりました……失礼する」
そう一礼し、ユウキは本棚の方へ歩を進めザルバを本棚へ翳す。すると、重々しい音と共に本棚がアーチに変わり、ユウキはその中へと消えていった。
そしてユウキが消えると、再び音を立てて元の本棚に戻った。
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「オイオイ、誰もいないぞ?」
ザルバの言う通り、ユウキが着いた番犬所には誰一人いない。あるのは、剣を浄化するための石像と、巨大な椅子が三つ。神官もそれに代わる人物もいなかった。
「どういうことだ?」
「さあな?」
訝みながらザルバと会話し、辺りを見渡していると……。
「おや、遅刻してしまったかな?」
「いいえ、まだ彼しかいないようよ」
背後から男と少女の声が聞こえ、ユウキが振り返ると黒と水色の二色で出来たコートを着て、水色の髪に椿と少女の横顔が合わさったような銀色の髪飾りを付けたアイスブルーの瞳の男が歩いてきていた。
「貴方は……」
「今日はよく知り合いと再会する日だな」
歩を進める男の顔を見たユウキは、千冬と再会した時のように顔を驚愕に染め、ザルバは面白そうな声色で喋る。
「久しぶり……いや、騎士となったキミとは初めて会うからこう言った方がいいかな? 初めまして、俺は
そう言いながら、首を動かし髪飾りが付いている側をユウキに向ける。
「アタシは流誠の相棒、ルルヴァよ。よろしくね!けど、本当にあの頃より大きくなったね。ユウキ」
「ああ、ルルヴァの言う通り大きくなった……目付きが若い頃のキミのお父さんに似ている……」
「ワァ、ホントだぁ。この目付きの悪さは若い頃にそっくり!」
何気に悪口を嬉しそうに言っている二人のテンションにユウキは困惑するが、すぐに表情を戻してから、一礼する。
「あの、ここの神官は……」
「あ、ああ。ここの神官は今日から変わるらしい。そろそろ来る頃だと思うけど……」
「ニャニャニャ、そやつの言う通りじゃ。今来たのじゃ!」
声が聞こえた場所に二人が視線を向けると、いつの間にか開いていた三つの椅子には神官が座っており、神官の顔を見た瞬間、ユウキの表情が険悪に染まる……。
「うん? ユウキの知り合い?」
「こいつらは此処に来る前のユウキが所属していた管轄の神官だ。気を付けろよ、流誠にルルヴァ。こいつらは、性悪若作りババアだ」
「ニャニャニャ、ザルバ、口が過ぎるぞ!」
「そうです、口を慎みなさい!」
「我らを稲荷ちゃん達と同じにするなー」
「おっと、こいつは失礼」
ザルバの発言に気分を悪くしたのか、普段の猫又達ではありえない程の感情的に発言し、その様子にザルバは軽く謝罪する。
「おい、猫又!お前らの『白の番犬所』はどうなってる?!」
「ニャニャニャ、『白の番犬所』か? あそこは我らの友であるガルムちゃんに任せてきたのじゃ!」
ユウキの問いに猫又(中)は楽しそうに答え、ユウキは溜息を吐く。猫又(中)の言う神官ガルム、ユウキも関わったことのある人物だが彼にはその人物に対してのいい記憶がない……目の前にいる猫又達にも言えることだが……。
「とりあえず猫又殿達、この度の指令について彼に詳しい説明を……」
流誠の言葉にやれやれといった感じでかぶりを振りながら答え、説明をし始める。
「ニャニャニャ、よいじゃろう。ユウキよ、先日どのような指令かは説明したの?」
「ああ、この地に封印されていた12体のホラーを狩り、ガディンの復活を阻止しろという指令だろ?」
「その通りです。ガディンはホラーの守護神と呼ばれる存在。その昔、まだ騎士達が存在していない時代に猛威を振るった魔獣です。ガディンは陰我がよく発生する土地に、その時代の名のある法師たちが命を懸け12体のホラーに聖なる星の力を融合させることで、陰と陽の巨大な力を発生させ封印したのです」
「だが、封印は何者かに解かれ、12体のホラーは復活し、ガディンの復活も時間の問題だー」
「だから、俺たち魔戒騎士はこの地に呼ばれたと言うことですね」
「ニャニャニャ、その通りじゃ」
流誠の言葉に猫又達は肯定し、ユウキも話を理解した為頷く。
「しかし、この地で指令を受けるのはいいが……俺らの立場はどうなる? この地に男は不自然だろ」
「ユウキの言う通りだ……ちなみに、俺はエレメントを浄化、封印をしつつお義父さんと同じように用務員として活動しているよ」
「では、俺も用務員として活動するのか?」
「ニャニャニャ、いやお主には此処の生徒として活動してもらうぞ」
猫又の言葉に二人は訝しむ。
此処の生徒……つまりIS学園の生徒になるにはISを動かせなければならない。だが、ISは女性にしか動かせない欠陥品……猫又達の言っていることは不可能なことのだ。
「ニャニャニャ、ユウキこれを受け取るのじゃ」
二人の反応に笑みを浮かべながら猫又はユウキに何かを投げる。それを受け取り確認すると黒と金二色で作られた狼の顔を模したブローチだった。
「これは?」
「それはISの製作者
「まあ、正確に言えば、魔戒騎士に反応して動くISらしいけどなー」
「そうか……」
猫又達の言葉に軽く受け流し、ユウキはブローチを黒のロングコートの胸の辺りに着ける。
「それで、話はそれだけか?」
「ニャニャニャ、冷たい反応じゃな。世界で『二番目』の男になれるんじゃぞ?こう、もっと驚いたりして欲しいモノじゃな」
「興味がないな。俺がすることはホラーを狩ることだけだ」
冷たい声色で答え、ユウキはコートを翻し番犬所から出て行った。
「ありゃりゃ、帰っちゃたね」
「普通の男の子は喜んだりするんだけどね……まあ、彼は魔戒騎士だからね……では、猫又殿失礼する」
去っていくユウキの背中を嬉しさと寂しさを合わせたような、何とも言えない表情で見ながらルルヴァと会話し、流誠も神官に一礼してから番犬所を後にした。
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「なるほど……そうなりましたか……織斑先生ですか? すぐに学園長室に来てもらってもいいですか?」
番犬所から戻ってきた後、神官との会話を轡木十蔵に説明すると、轡木十蔵は内線を使い織斑千冬に連絡を入れる。数分後、学園長室に織斑千冬が入ってくる。
「失礼します。学園長どうしましたか?」
「いえ、彼がこの学園へ入学することが決まりましたので、貴方のクラスに彼を入れようと思いまして」
「彼の入学ですか?しかし、彼は男で……まさか?!」
「ええ、貴方の想像通りですよ。彼、ユウキ君は『二番目』です」
「……織斑教諭。これからよろしくお願いします」
ユウキはゆっくりと移動し千冬の前に立つと綺麗に一礼した。
今回登場のルルヴァのCVイメージはそらまるさんです
さて、他のキャラのCVイメージは誰かな……
――次回予告――
女という生き物程怖いものはない。
奴らは己の感情に任せて、他者を害することに躊躇いがない。
ユウキ、お前も女という生き物に気を付けろよ!
次回、嫉妬。
漆黒の牙が、闇を断ち切る!