感想でいっくんと箒ちゃんのことについて聞かれましたが、彼女たちは一般ピーポー枠です。
そして、魔戒の花の映画回で再確認。魔戒騎士をホラー映画の世界にぶち込んだら、基本、無双になると……。
放課後、すべての授業が終わり教室には一夏とユウキだけが残っていた。
「ハァ、やってしまった」
「(お前の悪い癖だ、ユウキ。
「(そんなこと分かってる!分かってはいるんだ……だが、父さんのことを馬鹿にされると……)」
「(もう少し冷静になれ。そんなんじゃ、ホラーに足元をすくわれる時が来るぞ?)」
「(……ああ、今度から気を付ける)」
「(その言葉を何度聞けばいいのやら……それで、どうするんだ。あの嬢ちゃんとの戦いは? 掟を破るのか?)」
ユウキの言葉に呆れた様子で言うザルバだったが、すぐにセシリアとの決闘の話に変える。
ザルバが先程から言っている魔戒騎士の掟。それは、文字通り魔戒騎士が守らねばならぬルールであり、古の時代から存在している掟である。様々なルールがあるが、その中には魔戒騎士の力を人に振るってはいけない――正確には人間社会の問題には干渉してはならないだが――とある。そして、掟を破れば寿命を削られたり、抹殺されたりすることがある。ザルバが心配しているのはそれであり、今回の件でユウキがセシリアに力を振るい、罰せられるのを危惧しているのだ。
「(それなら、武器を振るわなければ良いだろう?)」
「(武器を使わずにどう戦うんだ? ISで格闘戦でもするのか?)」
「(そうだが)」
ユウキの言葉にザルバは溜息を吐く。魔戒騎士とはいえ相手は代表候補生。ISの扱いには慣れていて、こっちはISに不慣れである。何か考えがあってそう言っているのかもしれないが、それでもザルバは呆れるしかなかった。
「なあ、ちょっと良いか?」
「……なんだ?」
念話でセシリアとの決闘をどうするか会話をしていると、一夏が話しかけてきたので二人は念話を止め、ユウキは仏頂面で一夏に視線を向け、ユウキの仏頂面に一夏は一瞬だけだが、体をビクつかせる。
「い、いや、放課とか色々あって挨拶できなかったから。俺は織斑一夏。一夏って呼んでくれ」
「……ユウキだ」
握手を交わす為かユウキに手を差し伸べながら自己紹介をする一夏だが、ユウキは差し伸べられた手を無視して自己紹介と同じように名前だけを告げる。ユウキの対応に若干寂しそうにしながら一夏は手を引っ込める。
「その、さ、さっき放課中に箒と話してたんだけど、ユウキってあの時一緒だったユウキだよな? あ、勘違いだったら悪い……その雰囲気は違うんだけど、面影があるというか……」
「……気のせいだ」
遠慮がちに聞く一夏の問いに冷たく返し、ユウキは荷物を持ち教室から出て行った。
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教室から出て行ったユウキは学園内の人通りがない場所にあるベンチで一人座っていた。
「冷たいな、ユウキ。嬢ちゃんの時はすぐ認めたのに、あの坊主には否定か」
「千冬さんの時にすぐ認めたのは彼女が教師で年長者だからだ。別に俺は仲良しこよしをする為に此処に来たわけじゃない。それにあの一夏だ。大好きなお姉ちゃんにでも聞くだろうしな」
「そうか。まあ、一度否定してるから印象は悪くなるもしれないな」
「それがどうした。むしろ好都合だろう? 俺に関わらなければ危険な事に合わないだろ」
「それもそうだな……それで、今夜の宿はどうするんだ?」
「当然、野宿だ」
そう言いながら、ユウキはカバンを枕代わりにしてベンチに横になる。そんなユウキの行動に呆れたよう様子でザルバが溜息を吐くと……。
「アハハ、野宿って凄いなぁ」
「当然って、もしかして昨日も?」
「流誠さんにルルヴァ?」
先日とは違い、ロングコートではなく用務員の服を着た流誠とルルヴァが横になっているユウキの顔を覗き込むように立っており、ユウキは二人の姿を認識するとすぐに起き上がる。
「流誠さん、その恰好は……」
「ああ、これかい? 見ての通り用務員の制服だよ。流石に魔法衣で用務員はやれないからね。これを着て、日々用務員活動さ」
「まあ、用務員活動という名のエレメント浄化だけどね」
流誠と補足するように言うルルヴァの言葉にユウキは納得する。確かに魔法衣で用務員作業をしているのは怪しい絵面になるし、用務員の服を着ていれば大抵は怪しまれない。だが、魔法衣と違い魔戒剣を仕舞えないのではと考え、ユウキは不思議そうな表情になり、それに気が付いた流誠は笑みを浮かべながら説明する。
「フフフ、この服のポケットはね魔法衣と同じで魔界に繋がってる特別製だよ。ユウキの制服のポケットも同じだろ? まあ、魔法衣と違って防御力はないからそこは注意してね」
「なるほど……それで、流誠さんは何の用事で?」
そう言われ、自分のポケットに魔戒剣を入れていたのを思い出すと同時に、忘れていたことに自身の意識の低さを責めるが、すぐに流誠は自分に用事があったのでは思い出し、話をそちらに変える。
「あ、ユウキの住む場所……と言うか、寮の部屋が決まったから呼びに来たんだよ」
「どういうことですか? 俺は寮とは別の場所に住むはずでしたが?」
ユウキは流誠の言葉に首を傾ける。最初の話ではユウキは生徒たちが住むことになる寮とは別の場所に住む手筈になっていたからだ。ユウキが主に活動するのは夜、ホラーが活発になる時間帯。その為、一般人である生徒と共には住めない。まあ、大半が女子生徒と言うのも理由の一つだが……。
「いや、男性操縦者の織斑君がいるだろ? 彼が今日から寮住まいなのに、キミが別の場所なのは可笑しいと織斑先生が言ってきたんだよ。それで、表ではただの用務員でしかない僕たちは従うしかなかったんだ」
「……余計なことを」
「まあまあ、彼女はこちら側の事は知らない一般人だからしょうがない。それに、彼女の行動はキミを思っての行動だろう。そこまで険悪しなくてもいいんじゃないかな?」
苦々しい表情で呟いたユウキに流誠は諭すように話し、ユウキは溜息を吐くが千冬の行動に納得する。彼女はこちら側の事情を知らない一般人。彼女は何の後ろ盾もない男性操縦者――偽りの操縦者だが――である自分を守るために行動したんだと、自分に言い聞かせる。
「まあ、そう考え込むなユウキ。野宿からはおさらばできるぜ」
「野宿には慣れてるだろ、ザルバ……それで、俺の部屋の番号は?」
「あー、それなんだけど……その……」
ザルバの軽口に仏頂面で返し、さっそく寮に移動するために流誠に部屋の番号を聞くが、ユウキの問いに突然言いよどみ始めた流誠を訝しむ。
「何か問題が?」
「いや、あの……」
「もう、普通に言えばいいじゃない、流誠! ねえ、ユウキ。魔戒騎士嫌いの魔戒法師か、こちら側の世界が苦手な女の子、どっちがいい?」
「……どういうことだ?」
ユウキは突然のルルヴァの質問に疑問符を浮かべる。当然だ。突然、魔戒騎士嫌いの魔戒法師か、こちら側の世界が苦手な女の子どっちが良いかなんて聞かれても訳が分からないだろう。
「あ、ごめんね。ユウキは寮住まいになっちゃうでしょ。 そこで、一般人の生徒と一緒に生活ってなってもユウキが困るから私達側の事を知っている人たちが同じ部屋の方が良いでしょ」
「まあ、そうだが……。それで、さっきの質問か?」
「うん、そうそう。それで、どっちがいい?」
「こちら側の世界が苦手な女の子だ」
ルルヴァの再度の質問にユウキは即答する。魔戒騎士嫌いの魔戒法師と同室になれば、確実に衝突する。なら、こちら側の事が苦手な女子の方が衝突もなく、苦手と言うだけでありこちら側の事は知っているから都合がいい。だから、ユウキは苦手な女子の方を選んだ。
「うん、分かったよ。部屋は1026号室だから。あ、それとキミ同室になる子は――」
「早く行った方がいいよ、ユウキ!さあ、れっつごー!」
「おい、ルルヴァ! って、そんなことより、ユウキ! ハァ、もういないし……」
ユウキに何かを告げようとした流誠の言葉をワザと遮るように言ったルルヴァに文句を言おうとするが、流誠は自分がまだユウキにあることを告げていないことを思い出し、彼がいた方向へ視線を向けるが既に彼は消えており、流誠は溜息を吐き、ガクッと肩を落とす。
「もう! そこまで気を落とすことないじゃない、流誠」
「いや、でも、ユウキも男だから……簪ちゃんが……」
「あの噂の絶倫騎士じゃないんだから、平気よ! それにザルバから聞いたけど、ユウキは女に興味はないんだって」
「な、それも問題だ! あー、もしもユウキがそっち方面だったら、風牙と
「もう、魔戒法師にボコボコにされる清流騎士なんて洒落にならないわよ。それよりそろそろ時間よ!早く着替えましょう」
ルルヴァの何気なく発した問題発言に顔を真っ青にし頭を抱えながら流誠しゃがみ込む。そんな流誠にルルヴァは溜息を吐くのだった。
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~~~~~~
「ここのようだな」
「(そのようだな)」
扉の上についている部屋番号を確認し、ユウキは扉をノックする。
「……はい」
「すまない、失礼する」
部屋に人がいることを確認し、ユウキは扉を開け部屋に入る。
部屋の中には水色の髪で眼鏡を掛けた赤い瞳の少女が、感情を見せない表情でユウキの方に視線を向けていた。
「貴方は?」
「話を聞いてないのか? 俺はユウキ。キミが苦手としている世界の人間だ……そして、こっちが」
「ザルバだ。よろしくな嬢ちゃん」
ザルバを簪に見せるようにして、二人は自己紹介をする。二人の自己紹介に一瞬驚いたような表情を見せるが、すぐに元の表情に戻り簪も自己紹介を始める。
「私は……
「更識?もしかして、流誠さんの娘さんか?」
「う、うん」
ユウキの更識と言う言葉に一瞬、顔が強張るが、流誠の名前を聞いた瞬間少しだけ安堵の表情に変わる。
「そうか……それで更識――」
「あ、あの……更識ってあんまり呼んで欲しくない……」
「……分かった。それじゃあ、簪……お前も知っての通り、俺たちは夜活動する。迷惑をかけるかもしれないがよろしく頼む」
言葉を遮るように言った簪にユウキは彼女から何かあるのを感じ、了承する。ユウキは簪に対して滅多にしない名前呼びをし、迷惑をかけると頭を下げる。
「え、あ、あ、うん。よろしく……」
急に頭を下げたユウキに簪は慌てるが、すぐさま元の姿勢に戻ったユウキと共にシャワーの使用時間など、共に生活するためのルール決めをし、ユウキは荷解きをして、着替えてから、部屋の窓から外に出るのだった。
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~~~~~~
「ヒック、ヒック……どうして私がこんな目に……」
時刻は夜。人の気配も明かりもない場所でIS学園の制服を着た金髪の少女が一人泣いていた。
彼女はこの学園の2年生である。そんな彼女が泣いている理由としては、単純である。
「どうして……私が……」
彼女はいじめを受けていた。彼女は周りと比べて才能がなかった。いや、このIS学園に入学できているから才能はあるにはあるのだが、それは此処に入学できている人物全員そうであり、彼女はそんな才女たちと比べるとかなり劣っていた。
だが、才能がないからといっていじめは起きない。彼女のいじめの原因は、彼女の人とは比べ物にならない程の嫉妬心だった。自分とは違い、才能がある生徒たち全員に嫉妬し、その嫉妬から来る行動、視線が生徒達から反感を買い、いじめに発展したのだ。
「憎い……憎い……憎い! 私以外の全員が憎い、私をいじめる奴ら全員憎い、憎い、憎い!」
先ほど泣いていた姿はなく、嫉妬からくる憎しみで瞳を鋭くしていく。そして少女は、休みの日にお守りとしてアンティークショップから購入した手鏡をカバンから取り出し、鏡に自身の姿を映す。
「憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い!!」
嫉妬心を爆発させ、鏡に向かって周りに対する憎しみを吐き続ける。そして……。
《復讐したいか?》
「きゃ?! え、何?!」
突如聞こえてきた声に驚き女子生徒は手鏡を落とすが、謎の声は少女の戸惑いを無視し問いかけ続ける。
《力が欲しいか?》
「え?」
《誰にも負けない、見下されない力が欲しいか?》
最初こそ少女は戸惑っていたものの、徐々に謎の声に魅かれていく。
《どうする? 力はいらないのか?》
「……しい……欲しい。力が欲しい!誰にも見下されない、力が欲しい!!」
少女は力強く声の問いかけに答える……答えて、しまった。
《なら、力をくれてやる。代償は貴様の魂だ!》
「え? キャァァァァ!!」
直後、彼女の落した手鏡から人ならざる者――素体ホラーが出現し、肉体を魔戒文字へと変え、彼女の耳、口から体内に侵入する。
そして、すべての文字が体内に入りきり、彼女が閉じていた瞼を開けると、彼女の瞳は一瞬白く濁り、人としてはありえないスピードでその場から去っていった。
~~~~~~
~~~~~~
「ユウキ、ホラーの気配だ」
「なに? ザルバ、どっちだ?」
「あっちの方角からだな」
「分かった!」
夜、IS学園内のホラーが出現するゲートに成りそうな物を浄化していた、ユウキとザルバはホラーの気配を感じ、その場所へと駆けていく。
ユウキは魔法衣を翻し、ザルバの示す方角へ疾走する。そして、目的の場所に着くと、すでにその場所には魔法衣を着た流誠が立っていた。
「……遅かったか。流誠さん」
「……まだ近くにいる可能性がある。二手に分かれよう」
「ああ」
二人は互いに頷くと、ホラーを捜索する為、それぞれ別の方角に向かって走って行く。
二人が後にした場所には、一つの女性物の服だけが残っていた……。
この作品のヒロインは解りますかな?笑
次回はなるべく早く更新したいと思います。
よろしくお願いします
あ、主人公はホモじゃないですよ