成田空港に到着した俺は、空港を出る。
「久しぶりの日本だな…。」
俺、白銀光は外の空気を吸って呟く。俺は元々ニューヨーク武偵高校に通っていたが、“上”からの命令で日本の東京武偵高校へ転校することになった。
武偵とは“武装探偵”の略で、近年増加している凶悪犯罪に対抗するために新設された国家資格のことだ。武装を許可され、逮捕権も有する限りなく警察に近い存在だ。違うところは、金をもらうことで武偵法の許す範囲ならどんな狂った依頼でも引き受ける…所謂何でも屋だ。
もちろん俺も武装はちゃんとしてある。防弾仕様の制服のホルスターにはH&K USP、SOBホルスターにはバックアップ用のグロック26が入っており、ポケットにはそれぞれのマガジンが入っている。両手には特注の黒いオープンフィンガーグローブをはめている。そして制服の背中には“例のもの”を仕込んでいる。
俺はそろそろ東京武偵高校へ向かおうと駐車場へ向かう。荷物に関しては宅配便で自分が入る寮の部屋へ送ってもらった。そして自分のサイドカーも“上”の人にこの駐車場に置いておくよう頼んでもらった。
「えーと、確かここらへんに……あった!」
俺はようやく自分のサイドカーを見つけた。全体的に青がベースカラーで、勿論防弾仕様だ。俺はサイドカーに乗り、助手席側に鞄を置き、ヘルメットを被る。そしてポケットから鍵を取り出し、サイドカーの挿入口に挿し込んで回し、エンジンを起動させた。
「さて、行くか。」
俺はサイドカーを発進させると、東京武偵高校へ向かう。
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東京武偵高校…レインボーブリッジ南方に浮かぶ人工浮島に設立された武偵を育成する場所だ。俺はサイドカーを運転しながら武偵高校を確認する。そういや長官から聞いたけど、最近“武偵殺し”なる事件が相次いでいるらしい。犯人は捕まったらしいが、あれは模倣犯らしい。真犯人は別にいる………ん?
「…何だ?」
俺は別の道で一人の青年が必死に自転車を漕いでいるのが見えた。制服を見るかぎり、俺と同じく武偵高校の生徒らしい。何であんなに必死に漕いでいるんだ…?バスに遅れたからか?
俺はそんな事を思っていたが、その考えはすぐに変わった。
「っ!?」
その青年を無人のセグウェイが追跡していた。セグウェイにはカメラとメガホン、そしてIMI UZIが装備されている。何者かが遠隔操作で追跡しているのか…?まさか、“武偵殺し”か!?…なら善は急げだ!俺はあの青年を助けに行こうとするが、突然俺の周りに別の無人セグウェイが8台も現れた。当然あのセグウェイと同じくUZIで武装している。何処からか見られてるのか…?
「囲まれたな…。」
俺はサイドカーを止めると、その上に立ちながら呟く。俺は対策を考えるが、そんな暇を与えるはずもなく、無人セグウェイ達から9mmパラベラム弾が発射された…………仕方ない、日本来て早々だけど、やるか…!
「蒸着!」
俺はポーズを取りながら叫んだ。銃弾が俺に命中する直前、俺の身体を光の粒子が覆った。そして無人セグウェイから放たれた銃弾が命中し、その影響で煙が舞う。
「…。」
煙が晴れたと同時に、姿を変えた俺がセグウェイのカメラに映った。黒いスーツに銀色の装甲、そして胸部に備えられたカラフルなコントローラーに頭部のセンサーといういかにもメカメカしい姿。そう、俺は最新鋭の戦闘用強化鎧【コンバットスーツ】・ギャバンtype.Gを纏ったのだ。どうして銃弾が当たる直前で蒸着が完了したのか?何故ならば、蒸着の時間は0.05秒に過ぎないからだ。では、その蒸着プロセスをもう一度見てみよう。
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「蒸着!」
まず、“蒸着”という言葉はギャバンを装着するためのコードだ。このコードが発せられると、人工衛星ドルギランからコンバットスーツ・ギャバンが粒子の状態で電送される。その粒子が俺の身体に付着すると、それらがコンバットスーツを構成していき、蒸着が完了する。
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「宇宙刑事…ギャバン!」
蒸着を完了した俺は名乗りを挙げた。俺も当初は何で“宇宙刑事”が付くのか分からないが、長官曰く『宇宙から採取されたレアメタルで構成された鎧を纏った刑事』とのことらしい。まぁ別のもので例えるなら…『宇宙キター!』と言えば、分かるだろう…。
そうしている間にも、無人セグウェイは再び射撃を再開した。だが、そんな程度じゃこのスーツに傷一つつかないぜ。
俺はUSPを取り出すと、1台目の無人セグウェイに向けて構え、引き金を引く。USPから放たれた9mmパラベラム弾は無人セグウェイに向かって真っ直ぐ飛んでいき、無人セグウェイに装備されたUSIの銃口へ進入した。すると、USIが内部から破壊された。セグウェイ自体を壊さなくても、武装を無力化すればいい。
俺はこの調子で一台ずつ無力化していき、そして全てのセグウェイの武装は破壊した。丸腰になったセグウェイ達はそのまま何処かへ逃走していった。ふぅ…これで全部片付いたかな?
俺は蒸着を解除すると、USPをホルスターに仕舞う。そして再びサイドカーを発進させて武偵高へ向かう。そういえば、あの青年は大丈夫かな?