東方月兎騙   作:水代

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あけおめです、ってもう遅いか。
メガテンに行き詰ってるので、久々にこっち書きます。

前回のあとがきでも言いましたが、原作改変キャラがいっぱいでます。
嫌な人は素直にブラウザバックしましょう。


第十八話 ウサギ食卓で戦争する 後編

 

 

 さて、ここから語るのは後日談である。

 第一回すき焼き鍋バトルの勝者が誰なのかはさておき、すき焼きで大いに食卓の賑わった、その翌日の話。

 

 かーん、かーん、かーん、と金槌を振るう音。

 

「師匠、どんな感じですかー?」

「それくらいでいいわよ、降りてきなさい」

 傍らに置いた工具箱の蓋を閉め、屋根から飛び下りる。

 本来なら師匠の薬の調合を手伝うはずだった今日だったが、何故朝から大工仕事をしているのか。

 簡単に言えば、昨日のすき焼きのせいである。

「テンション上がりすぎて自分の家を壊すって…………勘弁してくださいよ」

「悪かったわよ…………反省してるわ」

 残念ながら私はその時にはすでにノックダウンしていたので見ていたわけではないが、師匠と姫の頂上決戦により、現在永遠亭の居間の屋根はぽっかりと穴が開いている。

「こっちの細々とした穴は塞げますけど、居間の大穴はさすがに本職の人を呼ばないと無理ですよ?」

「そう…………仕方ないわね、ならてゐを遣いに行かせましょう」

「私も一緒に行きましょうか?」

 てゐ一人だと不安だ、と言う本音を暗に示してみるが、師匠が首を振る。

「ウドンゲ、あなたには別のことを頼みたいのよ」

「別のこと、ですか?」

「ええ…………ちょっと買ってきて欲しいものがあるのよ」

 

 * * *

 

 魔法の森。

 森全体のいたるところに茸が生え、中には妖怪茸などと言うわけの分からないものまでいる全体に胞子の舞う森だ。

 魔法の森に舞う胞子は強い幻覚作用を持ち、並の人間が入れば一瞬で頭が狂う超危険地帯だが、妖怪や耐性のある人間にとっては多少視界が悪い程度のものでしかなく、魔法使いと呼ばれる人種にとっては魔力を高める作用を持つらしい。私自身にも魔力と言うものはあるが、あくまで月の魔力であり、この森に漂うのは地上の魔力。同じ魔力でも波長が違うので私にはあまり関係が無い。

 

 そう今現在、私は魔法の森に来ていた。

 

 師匠に頼まれたお使い、だが求めるものが少々特殊で里には無かったのだ。

 里の人間曰く、もしあるとすれば…………。

 

「霧雨魔法店…………ねえ」

 

 霧雨、と言う名前の店は里にもある。里でも大きな道具屋だ。

 だが道具屋の人間曰く、そんな名前の店出した覚えない、とのこと。

 霧雨、なんて珍しい名前の人間がこの狭い幻想郷で他にいると思えないのだが、関係ないらしい、とのことで一体店主は何者なのか、と里でも噂になっていた。

 

 曰く、金髪の女性らしい。

 曰く、魔法使いと言う種族の妖怪らしい。

 曰く、そこには里では見たことも無いような珍しいものがたくさん置いてあるらしい。

 

 今回は最後の噂を頼りに向かうわけだが。

「デマ…………じゃないわね、これは」

 魔法の森を進んでしばらく。

 そこに目的の店…………霧雨魔法店はあった。

 森の中に建つ苔むした古びた家。掲げられた看板には霧雨魔法店の文字。

 珍しい、そう思った。

 幻想郷は土地柄と言うか時代柄と言うべきか基本的に和風建築しかない。永遠亭も和風のお屋敷と言った感じだ。

 だがこの家は、開き戸の扉型の玄関、硝子がはめ込まれた窓、そして二階建てと洋風建築だった。

 今の幻想郷にこんな洋風建築は他に無い。どうやらただの騙り、とも言えなくなってきた。

 扉の前に立ってノックする。

 しばしの沈黙、それから。

 

『誰だ? まあいいや、入れよ』

 

 声が聞こえた。

 どこから? そう思うものの、音の発信源らしきものは見えない。

 やや不信感を抱きながらも、言われたとおり玄関の扉を開け中へと入る。

 そして家の中に並べられたものを見て、やはり違う、と思う。

 テーブル机、チェストボックス、クローゼット…………どう見ても幻想郷には無いはずのものばかり並ぶ洋装。

 

 とんがり帽子に黒と白のエプロンドレス、傍らに立てかけられているのは人一人がまたがれる程度に大きな箒。

 

 五、六十年後の人間が魔女と言うものを想像したらこうなりました、みたいな服装をして椅子に座っている金髪の少女は。

 

「いらっしゃい…………と言っておくぜ。私は霧雨魔法店の店主、霧雨魔理沙だ」

 

 よろしく、そう言って帽子を傾けた。

 

 * * *

 

「また来いよ」

 そう言ってやると、ぺこり、と頭を下げて客が玄関を出て行く。

 と、同時に私は息を吐く。

 人の身を捨てて、些細なことで動揺することは無くなったがそれでも今回ばかりはかなり驚かされた。

「………………まさか、鈴仙が来るなんてな」

 あのブレザー姿に兎耳、見間違えようも無い。だが同時に疑問も残る。

「あいつが永遠亭から出てくるのは()()()()()()のはずだろ?」

 知らない間にもうそんなに時間が経ったのか? 否である、自身の知る限りそんな事実は無い。

「私がここにいることもそうだし、アイツのこともそうだが、ところどころ()()()()()()()()()と違ってきてるな」

 なんて、誰にも分からない独り言。

「…………アイツのところにでもいくか」

 呟き、傍らに立てかけた箒を手に取り、歩き出す。

 箒に跨り…………止める。

「未練、だな…………(コイツ)を使うのは」

 とん、と地を蹴るとふわりと体が浮き上がる。

 風で飛びそうになる帽子を押さえながらそのまま(くう)を飛ぶ。

 同じ魔法の森内だ。そんなに時間はかからない。

「おっと、見えたぜ」

 目的地を見つけ、降下する。帽子と、今度はスカートも抑えながら地に降り立つ。

 そこにあったのは洋館。自身の家とは違い、蔦も苔も無い、まるで今建てられたばかりのような綺麗な館。

 扉をノックし、返事があるよりも先に入る。

 

「邪魔するぜ、()()()

 

「ノックしたのなら返事を待ちなさい、全く」

 

 返って来た声に館の主人がいることを確かめ、相変わらずの不機嫌そうな声に苦笑する。

 とて、とて、とてと可愛らしい足音で自身を出迎えたのは。

 

 年の頃十歳ほどの人形のような少女だった。

 

 喪服にも見える黒いゴシック服、傍らに抱えたぬいぐるみ。

 自身よりもさらに小さいこの少女の名をアリスと言う。

 齢千年以上を生きる魔女であり。

 彼女のことを知る者はみな彼女をこう呼ぶ。

 

 曰く、幻想郷最強の妖怪。

 曰く、幻想郷の頂点。

 

 女王アリス、と。

 

 * * *

 

「師匠、買って来ましたよ?」

「随分遅かったわね」

 包みを解き、買ってきた品を渡すと、師匠が数秒それを眺め頷く。

「里には売ってなかったので、魔法の森まで行ってたんですよ」

「魔法の森? あんなところにどうして?」

 師匠は滅多に永遠亭から出かけないので魔法の森にある店については知らないようだった。

「森の中に店がありまして、里の人がそこでなら売ってるかもしれないって言うので行ってきたんです」

「へえ、あんなところにお店があったのね」

 心底意外、と言った様子だったがまあ無理もないだろう。

 私だって初めて聞いた時は同じ感想だった。

 あんな危険な森の中で店を開いても来る客など限られてしまう。

 それとも、だからこそあの場所なのだろうか?

「なんだか珍しいものがいっぱいありましたよ…………幻想郷でも見たことの無い建物でしたし」

 そんな雑談をしながら師匠と共に廊下を進み。

 

 ズドォォォォオ

 

 爆音。

「またですか…………まだ昼なんですけど」

「また、よ…………全く、どっちも良く飽きないわね」

 窓の外を見れば遠くのほうに炎が見える。

 いつもの二人がいつも通りに喧嘩(命掛けで)しているのだ。

 基本的に夜に始まることが多いのだが、今日は珍しく昼間からやっているらしい。

「あの…………まだ居間直ってないんですけど。これ以上仕事増やされるのは」

 そんな私の泣き言に、けれど師匠は首を振り。

「てゐももう先に戻って始めているから…………あなたも頑張りなさい」

 無情にもそう告げた。

 師匠にそんなことを言われれば逆らえるはずも無く。

 

「はい…………」

 

 そう言って首をうな垂れた。

 

 




ついにロリス出せたぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。

原作改変キャラいっぱい。
一人目、霧雨魔理沙。
魔理沙は割りとそのままです。詳しい設定はそのうち出しますが、あんまり変わってません、性格は。

二人目、アリス。
ロリス可愛いよロリスうううううううううううううううううううう。
と言うわけでロリスを幻想郷最強にしてみました。
イメージ的に人形作らずそのまま究極の魔法を追求した原作アリスって感じで。
依姫様とどっちが強いか、と思う程度には最強です。
あと人形は作ってませんが、ぬいぐるみは集めてます。可愛いよロリス、ロリスううううううううう。

因みにまだまだ改変キャラ出てくるので注意。

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