魔法少女まどか☆マギカ~もうひとつの世界 星に祈りを~   作:あおいちご

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第21話 星の戦乙女

「お疲れさまでーす。」

 

 

「葵、今朝の仕事(タスク)は、終わりよ。次は、午後からよ。正門にいてね。」

 

 

「はい、分かりました。・・・あ、やだ、すみません。学校にいかなきゃ。送ってもらえます?」

 

 

「分かったわ。車の手配を。」

 

 

 

わたし、美咲葵は、働く中学生。現役アイドルとして、ハードな生活をしている。今、注目の若手アイドル・・・らしい。何で、わたしが働いているかというと、体が弱いお母さんのために、養っているから。後、わたしの幼馴染みを、養うため。わたしは、そこそこかわいい・・・らしいから、アイドル業で、稼いでる。そして、ここ、星ノ瀬町の魔法少女でもある。魔法少女になって、二年の新米魔法少女?らしい。セナさん曰く。もちろん、セナさんは、魔法少女歴七年の大ベテラン。二年じゃ、まだまだ、甘いらしい。

 

 

 

 

「葵、車が来たわ。急いで乗って。」

 

 

 

「はい、ただいま!」

 

 

 

急がないと。ただでさえ、欠席がちなのに。行ける日は、行かないと。

 

 

 

 

 

 

今日は、スイスから、転校生が、来る日なんだもの!絶対、いいことがあるよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あおちゃん!おはようっ!」

 

 

声を掛けてきたのは、わたしの大親友のえりりんこと、叶慧理(かなええり)

 

 

「うん!おはよー!えりりん!」

 

 

 

元気の良さがわたしの美点だと自他公認のアイドルであるなら、元気よく返さなきゃ。空色と、毛先が桃色の髪を揺らし、営業スマイルを、浮かべる。アイドル業界は、いかにファンを虜にするかで、その後の道筋が、変わってくる。プライベートでも、言い方は悪いが、《よいこちゃん》で、貫いた方が、良く売れるし、何より、ギャラが稼げる。わたしの収入で、学校の集金やら、水道代やら、生活に必要な費用を払えるかどうかが、変わってくるんだから、こんなゲスくなっても、仕方ないことだ。・・・たぶん。

 

 

 

 

「よぉ、葵。今日も忙しそうだな。」

 

 

「あはっ、紅葉じゃん。何日ぶり?」

 

「婆さんか、おまえ?一昨日会ったじゃねーか。」

 

 

「うんうん、大丈夫!ちゃんと覚えてるって。」

 

 

 

「あの・・・おはよう・・・。美咲さん。」

 

 

「んっ!おはよう!ほののん!」

 

 

この二人は、紗羅紅葉と、鈴美ほのか。紅葉は、わたしの幼馴染みで、幼稚園からの付き合い。ほののんは、中学生になってからの友達。この他に、もう一人、わたしの先輩に、友音セナさん、通称セナみん、がいるけど、学年が違うから、今はここにいない。

 

 

 

「今日って、転校生が来るんでしょ?」

 

 

「その筈だよ。確か、スイスからだよね?」

 

 

「でも、その転校生、一年にいるらしいぞ?」

 

 

「えっ?そうなの?」

 

 

「紅葉・・・。どっから、その情報仕入れてくんのさ・・・。」

 

 

「いや、一年棟に行ってきたってヤツがいて、ソイツに聞いたら、一年だって言ってたのさ。」

 

 

「はいはーい!私、このあとのHR 終わったら、見に行こうと思うんだけど、行く人!」

 

 

「賛成!レッツ・ゴー!」

 

 

「・・・やれやれね。付き合います。」

 

 

「あ、アタシも!」

 

 

 

 

 

こうして、一年の転校生を、眺めに行くことが、決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわー、スゴい美人。」

 

 

「うん。なんか・・・お姫様みたいな、雰囲気・・・。」

 

 

「・・・。」

 

 

 

 

見に行った少女は、とても整った顔立ちで、正直、義妹にしたいなって、思ったくらい。も、もちろん、アイドルとして、だよ・・・?・・・誰に言い訳してるんだろ?とにかく、その子は、とってもキレイで、お姫様みたいに、キラキラとしてて、わたしの義妹にしたいくらい、魅力的な少女だったんだ。

 

 

 

「あら、皆揃って何してるの?」

 

 

「あ、セナみん!おはよう!」

 

 

「・・・美咲さん。その呼び方、いい加減変えて頂戴。恥ずかしいわ。」

 

 

「あ、私も!えりりんって呼び方変えて!」

 

 

「あの・・・私も・・・ほののんは止めてほしい・・・。」

 

 

 

「えー、かわいいのにー。ねぇ、紅葉。」

 

 

「まぁ、いいんじゃねーの?」

 

 

「はい、紅葉も、同じ意見でーす。」

 

 

「紅葉(さん)(ちゃん)(紗羅さん)だけ、ずるい(です)(よ)(わ)!」

 

 

「いや、アタシに言われても困るんだけど。」

 

 

「それより、一時間目始まるよ?」

 

 

「あ、ホントだ。急げー。」

 

 

「じゃあ、夕方、七時に公園で!じゃあね!」

 

 

「ええ。」

 

 

 

 

クラスがバラバラなわたしたちは、二学年棟に、走って戻る。魔法少女の脚力プラス、アイドルとして踊りまくっている、健全な脚力は、一般人は、敵わない。それが、魔法少女であっても。

 

 

 

「ちょっと、葵!速い!」

 

 

「ええ・・・。魔法少女なら、これくらいいけるっしょ?」

 

 

「いやいや、無理だって。」

 

 

「じゃあ、練習不足。もっと走って、動かなきゃ。」

 

 

「あおちゃん・・・速すぎ・・・。」

 

 

 

階段ダッシュは、きついみたい。仕方ないか。

 

 

 

「後で、髪の毛いじりしていいから、頑張って!」

 

 

「うん!頑張る‼」

 

 

現金な子。えりりんが頑張ると、ほののんが頑張る。紅葉は、空気が読めるから、もっとスピードを、上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《四時間目》

 

 

 

 

「それじゃあ、美咲。Aの問題を、解いてくれ。」

 

 

「はーい。」

 

 

指定された問題を、解きに立ち上がり、黒板の前に移動しようとした。

 

 

「きゃ!」

 

 

何かにつまずいて、転んでしまった。

 

 

「あーら、ごめんなさーい?」

 

 

 

 

クスクス

 

 

 

 

・・・こういう仕事だと、多かれ少なかれ、女子に恨みを買う。だけどね、わたしに対して、こういう行動は、自滅することになる。

 

 

 

 

「どういうつもり?」

 

 

 

 

 

「何?その目。アイドルだとは、思えない目付きの悪さ。」

 

 

 

クスクス

 

 

 

つまらぬ嘲笑が、教室に響く。

 

 

 

 

 

「大丈夫か?葵。」

 

 

「うん。へーき。それよりも、ちょっと指導したいことがあるんだけど。」

 

 

ボキボキと手を鳴らし、わたしより、背が高い、わたしを転ばした女生徒のセーラー服の胸ぐらを、つかみあげた。

 

 

「オススメメニュー、全力暴力(フルボッコ)をご所望、ということで、いいんだよね?」

 

 

 

「やれるもんなら、やってみなよ。」

 

 

 

「ということなので、先生。30秒で、けりをつけますので、少々時間を。後、ギャラリーは、百円ね?」

 

 

 

金よこせのサインを、見せつけ、とりあえず、顔面を殴った。もちろん、手加減して。

 

 

 

「はい、おしまい☆」

 

 

 

気絶した、女生徒を放って置いて、問題を解いた。ちなみに、紅葉は、やれやれって感じで、わたしを見ていた。

 

 

 

「・・・美咲、後で、職員室に来い。」

 

 

「あ、このあと、仕事でした。ごめんなさいね、先生。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。

 

 

 

 

 

ちょうど良く、チャイムが鳴り響いた。

 

 

 

「それじゃあ、皆、また、来週!」

 

 

 

 

 

正門の前に、いないと。仕事は12時半からだから、急がないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうだ。夕方七時に、魔女退治だった。間に合う・・・かな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《夜の公園》

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせ!ちょっと、時間かかっちゃって。」

 

 

 

 

 

ズサァ

 

 

 

 

リズミカルに弾んでいた、水色のシューズを止めた。

 

 

 

 

「よし、全員揃ったわね。行きましょう。」

 

 

 

シュルルル・・・

 

 

 

グリーフシードで、魔力を回復した。二日ぶりの魔女退治。準備万端にしておいて、間違いはない。

 

 

 

 

「オッケー。いつでも行けるよ。」

 

 

 

 

「よし、それじゃあ、魔女の元へ行きましょう。《転移(テレポート)》」

 

 

 

パカッ

 

 

 

空間に揺らぐ魔法の門が開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔女の結界は、不気味だ。

 

 

 

「凍える女の大・進・撃☆」

 

 

 

正式名称《星空の月(ステラ・シエロ・セレーネー)》と言う、わたしの武器、バトンをクルクルと廻し、使い魔を一瞬で、氷付けにする。

 

 

「いつもいってるけど、何なの、それー。」

 

 

呆れたように、えりりんが呟いた。

 

 

 

 

その時、悲鳴が聞こえた。

 

 

 

 

助けてと呼ぶ声が。

 

 

 

 

 

「皆!一般人がいる‼急ごう‼」

 

 

 

 

 

わたしの絶対音感と、地獄耳は、確かに、聞き取った。1オクターブ上のドの音の調べが。

 

 

 

 

 

声がしたのが本当なら、急がないといけない。

 

 

 

 

「《紅の風(アネモス・スカーレット)》」

 

 

 

 

紅に染まった風が、使い魔を、一気に凪ぎ払う。

 

 

 

 

 

「だ、誰か、助けて!」

 

 

 

蜘蛛みたいな使い魔が、少女に張り付いていた。

 

 

「《突風の一撃(ラフィカ・コルポ)》」

 

 

 

少女に当たらないように、細心の注意を払って、強力な一撃になる風属性の魔力を、使い魔に放った。

 

 

 

「あ、危なかった・・・。」

 

 

 

わたしってそんなに危なかっしい?

 

 

 

 

 

「大丈夫だった?あなた、怪我はない?」

 

 

 

「えっ、あ、はい。」

 

 

 

「間一髪、ってところね。」

 

 

 

「もう、大丈夫。私達にまかせて。」

 

 

 

 

あれ?なんか見たことあるような・・・。

 

 

 

 

「まさか、巻き込まれるとは、不運だね。」

 

 

 

「意外なことでは、ない・・・。」

 

 

 

元不良娘と、元不登校娘が、遠くで、ぼやいてる。

 

 

 

 

「わ、(わたくし)は、星伽あかりです。貴女方は・・・?」

 

 

 

ほんのわずかに、イントネーションが異なる。わたしは確信した。彼女が、スイスからの転校生だということを。

 

 

 

 

「わたし、美咲葵!よろしくね!」

 

 

 

「私は、友音セナ。この中だと、最年長ね。」

 

 

 

「叶慧理だよ。よろしく。」

 

 

 

「アタシは、紗羅紅葉だ。よろしくな。」

 

 

 

「鈴美ほのか・・・。」

 

 

 

「わたしたちは、《魔法少女》。星ノ瀬町の魔法少女グループ《星の戦乙女(ヴァリキリー・エトワール)》」

 

 

 

 

外人の顔立ちだけど、黒髪が、良く似合う少女の、水色と銀色の瞳が、見開かれる。

 

 

 

 

 

 

一瞬で、感じた。彼女が、魔法少女としての素質があることを。

 

 

 

 

 

 

 

だから、と言うわけでもないけど、魔法少女になるなら、一度どういうものか、見てもらった方が、いいと思った。彼女は、絶対契約する。何も知らないまま、戦うのは危険だから。彼女を義妹にする正当な理由をあれこれ考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたも、わたしたちのグループ《星の戦乙女(ヴァリキリー・エトワール)》の義妹にならない?」

 

 

 

 

 

 

 

あれこれ理由を考えたけど、結局は、必要なことだったんだって感じた。だから、最高の笑顔で、そう宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




夏休みって、意外と忙しかったです・・・。

・美咲葵
星伽あかりを義妹にした張本人。中学生としては、かなり小柄で、空色と桃色のツートンカラーの髪の持ち主。星の戦乙女のリーダー的存在。ソウルジェムの形は、六芒星で、空色。変身すると、胸元に装着する。また、アイドルとして、活躍している。


・友音セナ
葵の一つ歳上で、魔法少女歴は七年の大ベテラン。ソウルジェムの色は、白色で、変身するとクローバーの形になり、頭に装着する。

・叶慧理
葵の親友。とても長いポニーテールの持ち主。桜色のソウルジェムで、変身すると、ハート型となって首元に装着する。


・紗羅紅葉
葵の幼馴染み。緋色のサイドテールの持ち主。ソウルジェムの形は、逆三角形で、緋色をしている。変身すると、右腕に装着する。元不良娘らしい。現在は、葵の家に居候している。



・鈴美ほのか
葵の友達。菫色のミディアムボブの持ち主。ソウルジェムの形は、蝶の形で、変身すると、左腕に装着する。人見知りをする。元不登校娘らしい。

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