俺らはあの日、聖霊皇になった。   作:すぺありぶ

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これからも「俺らはあの日、聖霊皇になった。」をよろしくお願いします。




閑話 未知の洞窟

重い鉄の扉を開きハウンド達が踏み込んだ洞窟は見た目とは裏腹に明るかった。

 

「これは一体?なぜ明るい?」

「これを見よハウンド、ヒカリゴケやゲッコウタケが生えておる。おそらくはこれらの影響じゃろう…しかし異様だ」

「ええ、そうですね。ヒカリゴケもゲッコウタケも高い濃度の土と木の魔力がある所にしか生えません。つまりこの洞窟は土と木の魔力が充満している…といったところでしょう」

「しかしその割には何処にも魔結晶が転がっとらんしな…」

 

魔力が充満している所には小さくとも必ず魔結晶がある、しかしこの洞窟には魔結晶欠片も見当たらないのだ。ドワーフやエルフは土や木の魔力を感知するのに長けている為に、この光景は異常としか思えなかった。

他の冒険者達もこの光景の意味を理解したようで首を傾げていた。

 

「2人とも、気をつけながら行くぞ。ここはやはり何かある」

「おう、しかしこれだけ土の魔力があれば魔法の苦手なワシでも"ノームの拳"いや、"ターロスの一撃"が使えそうじゃわい」

「私もです、これほどの魔力があれば"フェアリーの召喚"どころか"ペガサスの召喚"さえ出来そうです」

 

人間やドワーフ、エルフ達の魔法は、聖霊皇達のものと大きく違い、各聖霊皇眷属達から型にはまった魔法を伝授してもらい用いる。

その際の魔法にはやはりクラス別がしてあり、最上級の魔法には各聖霊皇眷属の名前がついており、その聖霊皇眷属の代表的な技が込められている。

 

気をつけつつも進む「白い闇」の3人は大人2〜3人分程の広さの通路を進んでいく。すると開けた場所にでる。そこには"中級魔物"とされる「鬼火」が6匹の群れを作って待ち構えていた。

 

「何ッ!鬼火だと!しかも6匹も!」

「私が"水の妖精の召喚"をします!それまで時間を作って下さい!」

「よし来た!いくぞぉ!」

 

そう言うとゴルドは手に持つ斧鎚を鬼火めがけ振り下ろす、遅れてハウンドも近くの鬼火に向け剣を薙ぐ。

しかし、鬼火はやられる様子もなく一瞬搔き消えるとすぐまた別の場所からフッと現れる。

 

〈我は希う、ここに清らかなる水を!来れ水の妖精!〉

 

エルフのアルスは水の妖精を召喚し、ハウンドとゴルドの武器に水の魔力を付与する。

 

「よし!ハウンド、一気に片付けるぞ!」

「おう!いくぞゴルド!」

「オゥラァァア!!」

「ハァァッ!!」

 

声を掛け合うと2人は一気に鬼火達に駆ける。群れる鬼火にゴルドは斧鎚を横薙ぎにし、ハウンドは目にも留まらぬ剣さばきで鬼火達を始末していく。

 

「ふぅ、やったな。にしても鬼火が6匹も…」

「いや、それ以上におかしい事があるわい」

「そうですね、これはおかしい。これだけ土と木の魔力が充満している所にも関わらず鬼火が存在している」

「ここは、本当に一体何なのじゃろうな」

 

そうして進むうちにゴルドがある事に気づく。

 

「…これは、もしや。いやならば何故…」

「どうしたんだゴルド?」

「ハウンド、アルスよこれを見てみろ」

「これは装飾が施されてるな」

「これはワシらドワーフ達の中でも限られたものしか知らん刻印じゃ」

「何ッ、ここはドワーフの作った所だとでも言う気か?」

「ああ、それもタダのドワーフじゃねぇ。ワシの爺様、つまり神代のドワーフ達くらいしか知らん刻印、"ノームの紋章"じゃ」

「ノームの紋章!?これは土の眷属の遺跡だということですか!」

「いや、遺跡と言うには刻印が新しい。古く見せかけるための装飾が施されてるな。こんな手の込んだ事を…」

 

結局紋章や刻印のある理由がわからぬままハウンド達は先へ進む事にした。

進む中で「ゴブリン」や「魔獣」の群れに遭遇したりなどがあったが、遂に大きな鉄扉のある部屋の前まで来た。

 

「こ、これは!間違いない!」

「どうした、ゴルド」

「土の神様の紋様じゃ…」

「土の神…つまり聖霊皇の聖域…ということなのですか?」

「わからん…わからんが、これは間違いなく土の神様の紋様じゃ…」

「…いくぞ、この先に答えがあるはずだ」

 

そうして3人は鉄扉の中へと進む。

そこには「青い炎を頭にともした鎧型のストーンゴーレム」が佇んでいた。その手には背の丈を超える赤い鋼の長剣を持ち、奥の階段を守護しているように見える。

 

「チッ…俺らがたどり着いたのはまだまだ序の口だったってことかよ…」

「ハウンド、アルスよ気をつけろ。あの剣の素材は赤鋼。強い土の魔力を感じるわい、斬られればただではすまんじゃろう」

「魔剣…といったところでしょうかね。いいでしょう、大魔法でやってやります」

 

戦いの火蓋が切って落とされた。

 

武器を構えた3人を敵と認めたのかゴーレムは赤鋼の長剣を八相に構えると3人めがけて突っ込んでくる。

 

一閃、二閃と流れるように長剣を振るうゴーレムにハウンドもゴルドも近づいていくことができない。

しかし、その後ろからアルスが魔法で援護を飛ばす。

再度水の妖精を召喚し、2人の武器に水の魔力を付与すると自らも水の玉を飛ばし頭の青い灯火を狙う。

それを察知したのかゴーレムは大きく一薙すると後ろに跳びのく。

 

「ハァッ!」「セイッ!」

 

ハウンドとゴルドの2人はそれを好機と見てゴーレムへと斬りかかる。

ゴルドの斧鎚は避けられたもののハウンドの剣がゴーレムの左腕を落とす。

片腕を落とされたゴーレムはバランスが取れず少しふらつくがすぐに体勢を整えて3人へと向き直る。

するとハウンドとアルスが剣と魔法で両サイドからの攻撃を加える。

 

〈我希うは我らが父にして我らの祖偉大なる賢老ノームの怒りにして偉大なる拳、ノームの拳!〉

 

ハウンドとアルスの攻撃をなんとか回避したばかりのゴーレムはゴルドの魔法の直撃を食らう。周囲の土が強い魔力を帯び硬質化し正しく"ノームの拳"が如き一撃がゴーレムを襲う。

 

「ハァ…ハァ…やったか?」

「まだ気を抜くんじゃないわい!」

「わかってますよ!」

 

土煙の先にいたのは左肩から背中の一部の破損したゴーレムだった。

 

「なんと、あれを寸前で避けよったか!」

 

ゴルドが感嘆の声を上げた次の瞬間、ゴルドの体には長い赤鋼の剣が突き刺さっていた。ゴーレムが剣を投げたのだ。とっさに身を守ったと思われる斧鎚も赤鋼の剣によって真っ二つに切り裂かれている。

 

「ゴルドォ!」

「いけません!ハウンド!」

 

ゴルドに気を取られたハウンドを見てゴーレムはこれ好機とばかりにその石の拳で殴りかかる。それを阻止せんとアルスがハウンドをかばい殴られる。

 

「カハァッ…!」

 

ドゴッグシャという音とともにアルスは吹き飛ばされる。

 

「アルス!この野郎!」

 

拳を振り切った体勢のゴーレムに体当たりをする形でハウンドは頭に剣を突き刺す。するとゴーレムの青い炎が消え崩れ去る。

と同時にハウンドも倒れた、ゴーレムが死に際にハウンドの胴へ拳を放っていたのだった。

 

「ち…く、しょ…う…」

 

ハウンドの意識は闇へと沈んでいった。




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