反省会の翌日、ノームとターロスに手伝ってもらい土の聖霊皇は土の神殿に啓示を送るためにその文章を考えていた。
「ここはこうでどうだ?」
「いやこれでは威厳が少ないですじゃ、聖霊皇様は偉大なお方なのですじゃからもっと上から物を言うべきですじゃ」
「いやしかしそれではな…」
「聖霊皇様、私もノームの意見が正しいと思います」
「そ、そうかならばそうするか。では次のこれはどうだ?さすがに"愚民共"は言い過ぎだろうターロスよ」
「そうじゃな、それはちと過激すぎじゃターロスよ」
「…わかりました、撤回致しましょう。ではそこは"暗愚なる人間族共"でどうでしょう?」
「悪化しとるわい!何故そうなった!ここは"我を信ずる民達"がいいじゃろう!」
「まてノームよ、それも流石に言い過ぎ…」
「それはいい考えですノーム殿!ならばこの一節は"土の神たる我の元に集え"と変えてはいかがでしょう?」
「ほぉ!それはええのぉ、流石のワシもそれは考えつかんかったわい!」
主にノームとターロスの白熱する議論を後に、土の聖霊皇は疲れきった顔で自室へと向かう。
自室に入ると広い空間の入り口側の壁の方に小さな花畑が出来ていて、そこにはノーミードが寝ていた。
「なんだ、我が戻るまで待っていたのか。悪いことをしてしまったな、ノーミード」
どうやらノーミードは土の聖霊皇が戻ってから一緒に寝ようと思っていたのか先に部屋で待っていたのだが疲れて寝てしまったようであった。
土の聖霊皇はノーミードを起こさぬようにその巨体で足音がならぬように部屋の床の土を柔らかくふかふかな土へと変えてゆっくりと寝床へつく。
「すまんなノーミードよ、おやすみこの埋め合わせは明日するとしよう」
そう言うと土の聖霊皇は眠りについた。
未だに議論の白熱するノームとターロスを放って…
翌日、土の聖霊皇が起きるとノーミードは自身の作り出した花畑ではなく土の聖霊皇の上で寝ていた、『ノーミードに似た知らない少女と共に』。
土の聖霊皇は数秒ほど何が起こっているのか分からず思考が停止してしまうもののとりあえずと思い2人を起こす。
「…ふ、2人とも、朝だぞ起きるが良い」
「んんっ…ふぁあ〜。おはよ〜ぱぱ〜」
「んゆっ…おはようございます、"お父さま"」
土の聖霊皇本日2回目の思考停止である。
しかしすぐさま我に返って2人に返事を返す。
「あ、ああおはよう。所でノーミードよ隣の娘は誰だ?」
「えっ?ぱぱわかんないの?」
「えっ…お父さま…えっ?えっ?」
困惑した顔のノーミードと絶望のあまり何を言われたか分かっていない女の子…
恐ろしい罪悪感に苛まれる土の聖霊皇にノーミードが言う。
「ぱぱ、ほんとーにわかんないの?きのうもおとといもいっしょにいたのに?」
「ぐっ…す、すまない…我には其方が誰だか見当もつかん…」
「そ…そんな?お父さま!私ですお父さま!」
ぽろぽろと大粒の涙を零しながら自分を父と呼ぶ女の子に土の聖霊皇は尋常じゃない罪悪感を覚えつつもノーミードに聞く
「して、ノーミードよ。この子は誰なのだ?」
「"こあちゃん"だよ!ぱぱ!こあちゃん!ずっとこのまえぱぱがつくってからぱぱとずっといっしょにいたのに!」
土の聖霊皇は「こあちゃん」という言葉に殆ど覚えのないものの冷静にノーミードの言葉から「こあちゃん」の正体を紐解く。そして彫られた答えは土の聖霊皇の信じられないものだった。
「まさか其方は…"ダンジョンのコア"…なのか?」
そう言うと絶望に打ちひしがれ大粒の涙を滝のように零していた少女は顔を上げると嬉し涙と鼻水の混じった涙目の笑顔で土の聖霊皇に飛びつく
「お父ざまぁ〜!!こあは、こあは嬉しゅうございまず〜!!」
そう言うと、"ダンジョンのコア"こと"こあ"は土の聖霊皇に抱きつく。
土の聖霊皇はその後本日3回目の思考停止に陥りノームとターロスが呼びに来るまで、こあとこあに便乗して抱きついてきたノーミードに抱きつかれたまま硬直していたそうな…
土の聖霊皇硬直より数時間後、ついに土の神殿へと啓示を下す時がきた…
土の聖霊皇は緊張こそ無いものの、半ばの諦めと威風堂々としていようという気持ちのせめぎ合いからか無表情に近い表情でその時を迎えていた。
「それでは聖霊皇様、お願いいたしますじゃ」
ノームがそう言うと、土の聖霊皇は自身の普段抑えていた力を解放し神々しいオーラを纏いながら遠い神殿へと啓示をとばす。
【我を信じ我に従い我にこうべを垂れる民達よ、土の神たる我が天啓を下す。遥か南西に大いなる土の試練出でたる、これを制す者我に招かれ我の眷属とならん。これを遮らん者大地の怒りに触れる。これを邪なる瞳で挑みし者、大いなる力の前に消え去る。汝らこれを守りこれを信じこれに従え】
そう言うと土の聖霊皇は込めた力を徐々に抜きフェードアウトしていくように音を切る。
「聖霊皇様、ありがとうございますじゃ」
「聖霊皇様、大変素晴らしい御啓示にございました。このターロスめ、感動に胸が打ち震えております」
「ぱぱぁー!かっこよかったよー!」
「お父さま、とてもかっこよかったです」
眷属2人と娘2人に褒め称えられて少し気恥ずかしくなった土の聖霊皇は
「よせ、それ程の事でも無い」
そう言うと急ぎ足で自室へと帰った、それが功を奏してか緩んだ顔を眷属の誰1人にも見られずに済んだ。
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