俺らはあの日、聖霊皇になった。   作:すぺありぶ

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おひさしぶりです。
ようやく投稿できました…そしておそらく今年最後…
なんだか月一ペースになりそうです。


人間側の解釈

「この一節はどう考えても我らに対する罰という意味だろう!傲慢な考えでは神も愛想を尽かしてしまう!」

「いや、この解釈で正しいはずだ!神は我らを見捨てるなどありえない!ゆえに我らの繁栄の為に与えてくださったのだ!」

「だからこの"我を信じる民"というのはウイドル教信者の事だと言ってるだろう!大体お前はルドア教信者じゃないか!ここで言っているのはこの試練は土の神を信じる我らウイドル教信者のみだと仰っておられるのだ!」

「いや、神を信じるすべての民だろう!神は我ら人間から使徒となるべきものを見定めるべく試練をお与えになったのだ!」

 

怒号飛びかう大会議室では大臣や神官、組合の長など国の中でも影響力の強い人物が集められ神からの啓示についてを延々と話し合っていた。

 

ハウンドは扉を大きく開けはなつ、会議室中が急にしんと静まり返り会議室にいた全員の視線がハウンド達に向く。

ハウンドはその様子を確認すると一歩踏み入り声を上げる。

 

「俺たちは南西の森から来る魔物の調査の依頼を受け今しがた帰ってきた冒険者達だ!至急ギルド長及び大臣様方にお伝えしたい旨があって来た!」

 

堂々たるハウンド達の様子に大臣達や神官達もあっけに取られたか呆然と眺めるばかりだ。そんな中ハウンド達の声に反応した人物がいた。

ヒゲを濃く生やしたその男は50代ほどに見えるが2mを超える大男で50代に見えないような筋肉質な男だった。

 

「おお!ハウンド達か!よくぞ帰ってきた!して、報告かあいわかった聴くとしようではないか。皆様、彼らは件の"土の試練"へと向かっていたと思われる者達です。彼らの報告を聴きましょう!正しい解釈がわかるやもしれません!」

 

彼はハウンド達が探していたギルド長だった。彼はあっけに取られた大臣達や神官達を見てここぞとばかりに調査の報告をさせる。

 

「ギルド長、ありがとうございます。それでは皆様。我々が見て、体験した事をご報告します」

 

そう言ってハウンドは仲間の冒険者達と共にダンジョンでの出来事を話す。

森にポツンと存在する鉄扉、装飾の施されたダンジョン内に蔓延る魔物の群れ、その装飾がどうやら土の神と関係すること、ダンジョンには広い部屋に強い個体の居る部屋があること、死んだ筈の自分達がダンジョンから出されて森に倒れていた事。体験した全てのことを細かく報告した。

 

冒険者達からの報告を聴いた大臣達や神官達は半信半疑な所はあったものの、「ランク7」の冒険者パーティであるハウンド達や、そのほかの冒険者達も「ランク5」以上の王国の精鋭並みの者達だった為に信用に値すると考えた。

 

そしてハウンドは最後に自らの剣を見せて全員に言う。

 

「これを見てください。俺らがやられ、森で起きた時に俺の元にあった剣です。ここを見てください、ここに書いてあるのは精霊文字です」

 

《精霊文字》その一言で全ての神官達ギョロリと音がしそうな程にハウンドを見ると一斉にハウンドの元へと駆け寄り剣をまじまじと睨むように舐め回すように見る。

 

「なんと…これは本当だ…」

「…こんなに魔力のこもった精霊文字は初めてじゃ…」

「そんな…まさか神官でも何でもないただの冒険者が…」

「何だと…!?神はこの冒険者を御認めになったというのか!」

 

神官達は口々に驚き、戸惑いそしてハウンド対する少しの妬み含みながら剣を見る。

遅れて大臣達も何事かと詰め寄り、神官達から何が起こってるかを聞くとやはり驚き戸惑いそして妬みの目でハウンドを見る。

 

そんな中、1人の白い髭を伸ばした老齢の男が全員に大きく声をかけた。

 

「皆の者、これでわかったじゃろう。これを見てもなお啓示の本来の意味を理解できぬ愚か者はここにはおらんと信じておる。そしてハウンド殿、冒険者達よその命を賭けてまで我らにその情報を届けてくれたこと、感謝する。報酬は後程ギルド経由で渡されるだろう。さて、皆よ。王へと此度の啓示の正しき解釈を伝えに参るぞ!」

 

その男の一言に誰も反論できず大臣、神官達は男の後に続いて王の元へと啓示の正き解釈を伝えるために向かう。

 

「白い闇の3人よ、ついてきてはくれぬか?此度の調査で最も先へと進めたのはお主ら白い闇だけだ。故に最も詳しく現場を知っていると判断した。それに、その剣は今回の話の中心となるであろうからな」

 

ギルド長はハウンド達に駆け寄るとそう言い共に謁見の間へと向かう。

 

 

謁見の間では王が貴族達の対応に追われていた。

王は入ってくる大臣や神官達を見るなりすぐさま説明を求める。

 

「大臣!此度の啓示の正き解釈は出来たのであろうな!」

「はい、国王様。今しがた調査より戻ってきた冒険者達の報告もあり幸いな事に正き解釈が出来たと思われます」

「本当か!はよう聞かせい!」

「はっ、畏まりまして」

 

大臣の1人がそう言うと先程の老齢の男が国王の前へ出て膝をつき話し出す。

 

「国王様、此度の啓示の正き解釈をこのじぃめよりお話いたします。此度の啓示、土の神のものとみて間違いはございませぬ。啓示もでしたが、何より調査に出した冒険者達の中にいたドワーフの話では間違いなく土の神の紋章であったとの事です。

次に、土の試練ですがこれはどうやら土の神は新たなる眷属をお求めと思われます。見込みのあるものを眷属に迎え入れるおつもりかと。それが証拠にこの冒険者ハウンドは土の神より剣を賜っております。もしこれが叶えば神の眷属発の人間族が我が国よりでる大変名誉な事となります。

そして最後の一節ですが、これは神の偉大なる選定故に邪魔をするものを神は容赦なく殺すという事で間違い無いと思われます。事実冒険者達の一部は死体が跡形も残ってはおりませぬ。じぃめからはここまででございます」

 

じぃと称した男がそう言うとその場にいた皆が閉口し、王は少し考え込むようなそぶりを見せると口を開く。

 

「そうか、じぃよその解釈しかと聞き届けた。して、ハウンドとやら、神からの剣を余にも1つみせてはくれんか?」

「はっ、畏まりました陛下」

 

ハウンドはそう言うとやはりきがひけているのか少し戸惑いながら、ゆっくりと国王陛下の前まで行くと臣下の礼をし、剣を渡す。

 

「ほう…これが土の神の剣か。騎士団長、枢機卿。お主らならばこの剣の価値がわかるだろう。余に教えよ」

 

国王はそう後ろに控えた2人に言うと2人は剣を鑑定する。所々「おぉ…」や「これは…」などと小さく言葉が漏れている物のそれはやはり業物かつ神からの物である事の証明にほかならなかった。

しばしの鑑定ののち枢機卿が口を開く。

 

「国王陛下、これは間違いなく神がお送りになられた剣で間違いないと思われます。剣自体はおそらく腕利きのドワーフ、それもそこらの鍛冶場長を越える物でしょう。そして何よりも重要なのは、やはりここに刻まれる精霊文字でしょう。そしてここにはこうあります。《勇気ある人間の若者よ、其方の健闘を讃え剣を贈る。今後一層に精進せよ》と。これは彼が神より認められた事の表れです。以上でございます」

 

枢機卿が口を閉じると謁見の間にしばしの沈黙が続く。

しばらくすると国王はゆっくりと腰を上げ立ち上がると両手を広げ全員に向けて言い放つ。

 

「神からの干渉、および土の試練を認める!啓示の正しき解釈は先のじぃの物を認め、早々に民に発表せよ!大臣達はこれに伴い友好国全てに神からの啓示と解釈を伝えよ!さぁ!忙しくなるぞ皆の衆!」

 




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