「帝都ガルア」ガルア帝国の帝都にして島国ガルアの中心地に位置する都市である。ガルア帝国のあるガルア諸島は中心に大きな楕円型のガルア本島を据え、周りに多くの小島がある所で、そのガルア本島の中心地に帝都ガルアはある。
帝都ガルアを中心に東西南北四つの公爵領、そしてそのさらに外側八方に伯爵領があり、それ以下の領地は周辺の島が殆どなんだとか。
これが帝都ガルアに繰り出す前にソルトさんから大まかに聞いた帝国の様相である。
昨日も聞いた通り、帝国は島国なので海産物や貿易が盛んであるがその他にも"魔石"や"魔結晶"の輸出や魔力を帯びた金属、"魔鉄"なんかも産出されるのだとか。
興味を惹かれるような単語ばかりで楽しみである。
なんでも昨日会った門番の騎士さん達が着ていた軽鎧や槍、剣は魔鉄製で、そこらの鉄で出来たような武器とは一線を画すのだとか、剣道をしていた俺としては早く剣が持ってみたくて堪らなかったりする。
「それでは私めは勤めがございますので、ここまでです。ここからは侍女のアンナに案内させますので、ごゆるりと帝都を見聞してきてくださいませ」
ソルトさんとは城門までで、そこからは侍女をしていたアンナさんという女の方に案内され街を見るらしい。
城門をでて澄んだ水の綺麗な堀の上を見事な造形の橋を通り城下町へと出る。
朝早い、という時間でもないためか街は賑わいを見せており様々な人々が行き交っている。
「大兄みて!あの人もしかしてエルフじゃない?」
「ならあの人はドワーフかしら?」
薫や美沙はすこし興奮した様子で街行く人を指差す。
…本当だ、まるでゲームに出てくるような尖った耳に金髪まな板のエルフがローブを着て歩いており、身長が低めで胴体は正しく樽と言わんばかりの太い身体をした力強そうなドワーフが鍛冶屋だろうか?大きな金槌を振るい何かを鍛えている。
「そうでございます。この国では他国に比べまして、エルフの方々が多く他にもドワーフ、獣人族、人族と4種族の混成国家となっております」
アンナさんがそう付け足してくれる。
「そうなんですか、他の国に比べてってことは他の国はエルフは少ないんですか?」
「そうですね、エルフは基本的に選民的な意識が高い民族でプライドも高いですね。そんなエルフが他国で暮らすとしたら余程の変わり者だったり人族とのハーフであったりといった形が殆どですが、我が国ではエルフの住む"ズィール島"という島と僅かながら交易がありますので、エルフの方にも来ていただけております」
選民的なエルフ…ますますテンプレか?
話をしながら街を見ていくと賑わいのある下町の屋台なんかが立ち並ぶ辺りに来ていた。
「はい安いよ安いよ〜!ドード鳥の串焼きだぁ!一本銅貨1枚!早いもん勝ちだよ!」
「寄ってらっしゃい見てらっしゃい!こちとらデルシア王国試練の冒険譚だよぉ!神が認めた冒険者の物語だ!」
「朝獲れたばかりの新鮮な魚だよ!どれでも1匹銅貨2枚!さぁよりどりみどりお買い得ぅ!」
時間はおおよそ昼前だろう、出店や屋台は多くの人で賑わい、活気が溢れている。
「すみません、アンナさん帝国の通貨ってどうなっているんですか?」
ふとさとみさんが気になっていたことを質問する。
確かに、金は重要だしね。
「そうですね、ではこちらをご覧ください」
アンナさんはそう言うと3枚の硬貨を取り出した。
「右から銅貨、銀貨、金貨となっております。銅貨100枚が銀貨1枚、銀貨100枚が金貨1枚です。この更に上に白金貨、魔晶貨などがございますが、あまりに価値が高いので国同士の取引や大商人などでしか扱われませんね」
どうやら物の値段を聞く限り銅貨1枚が大体10円程度、銀貨が1000円、金貨は10万円といったところだろうか。
アンナさんはそう言うと俺たち一人一人に銀貨を3枚手渡す。
「見てるだけでもつまらないでしょうし、皆様で何かお好きなものをお買いになってくださいな。お金はこれをお使いください。ソルト様からお預かりしておりましたものでございます」
「本当ですか!ありがとうございます!」
アンナさんから小遣いを貰った俺たちは出店や屋台を見て回ることにした。
〜水の聖霊皇side〜
母から異世界の魂が帝国という島国にあると聞き俺は他の奴らと集まって遠くから魔力を通してのぞき見ることにした。
帝国は幸い俺の住むバミューダの海のすぐ近くであった為すんなりと俺の魔力が届き覗く事ができた。
「おい、コイツらってもしかして同郷か?」
「みたいッスね…男1人に女の子3人ッスか」
「我には関係ない…と言いたいが、母上からの頼みであるしな」
「この子達ですか、私は興味がありますね。接触してみます?」
「やめとけやめとけ、まだ時期尚早。帝国とやらの目的も分からないしな」
それにしても女連れとかコイツ…
「土の裁判長!同郷のあの男に対しハーレム容疑で求刑するっス!」
「いいだろう、他の2人判決は?」
「ギルティ」
「有罪ですね」
どこから取り出したのか、土のがガベル(裁判なんかで使われる木槌)を取り出すとカンカンカンと三回叩き
「判決、同郷のあの男に対して地味な嫌がらせ一年を下す」
何故かどこからともなく万雷の拍手が鳴り響く。
何も魔力やら眷属やらを動員してここまですること無いだろうに…
俺もだけどお前らも暇すぎるだろ…
ま、いいや。すこしムカついたのは事実だしな。
こうしてなんとも理不尽な裁判が終わると聖霊皇達はそれぞれの住処へと帰っていくのだった。