俺らはあの日、聖霊皇になった。   作:すぺありぶ

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とある妖精のお話

ここは深海バミューダの奥深く…水の聖霊皇の住処にほど近いところ。今ここに1匹の水の妖精が生まれようとしていた。

 

「おお!頑張れ!もう少しだぞ!」

「頑張ってください!あとちょっとです!」

 

巨大な水の龍と水の精霊王に応援されまだ意識も自我もない妖精の幼体は本能的に精一杯周囲の魔力を集めて誕生しようとする。

 

「よし!いいぞ!体が出来てきた!」

「その調子ですよ!良い子です!」

 

龍がその巨大な身体でとぐろを巻くようにして2人を囲みながらも声援をかける。

すると、一瞬身体中の魔力が収縮したかと思うと次の瞬間カッ!と光りそこにはセミロング水色の髪に、青いワンピースのような服を着た妖精がいた。

 

「おお!生まれた!生まれたぞウンディーネ!」

「はいっ!聖霊皇様っ!ほんとうに、本当に良かった…」

 

 

〜水の聖霊皇side〜

 

たった今この世界に1匹の水の妖精が誕生した。この子はただの水の妖精ではないぞ?

なんとこの子は、俺とウンディーネの魔力を合わせ純度の高い魔結晶を核とした、いわば俺とウンディーネの娘のようなものである。

この子を生み出そうと思ったきっかけは5年ほど前の事だった。

 

〜回想〜

 

「なぁ、ウンディーネ」

「はい、なんでしょうか?聖霊皇様?」

「俺さ、娘が欲しい」

「…はい?今…なんと?」

「だから、娘が欲しいんだよ。土のがノーミードちゃんを可愛がってるの見てたら、"ああ、俺も娘欲しいな…"って思ってさ」

「…私では…ご不満ですか…?」

「え?いやいやいや、そういうことじゃないんだよ!ウンディーネに不満とかそんなんじゃなくてね…なんか、こう、娘が欲しいと思ったんだよ!」

「………………わかりました」

「ごめんね、俺の失言だったよ。なんでも1つ言うことを聞くから機嫌を直してくれないかな?」

「なら…その、ですね…ゴニョゴニョ…///」

「え?なんて?」

「ですから!その…私とゴニョゴニョ///」

「え?聞こえないよ?」

「ですから!私との娘を作って下さい!」

 

〜回想end〜

 

いや〜、普段クールですました顔をしてるウンディーネが真っ赤になって「私との娘を作って下さい」は、もう俺ハートをパイルバンカーされたような気分でしたわ。5000年経とうが1万年経とうが俺のウンディーネへの愛は冷めない!キリッ!

 

「ちょっ!!聖霊皇様!?なんてこと考えてるんですか!///」

 

あ〜照れるウンディーネもかわええんじゃあ〜。俺がウンディーネを生み出した当時は出会って早々絶対零度の白い目で見られたからこんなウンディーネを見れるようになって本当に嬉しい。

 

と言うわけで俺とウンディーネで魔力を合わせて水の妖精を作ることとなった。5年の歳月をかけたこの子はおそらく水の妖精としては桁違いの魔力を持つため、生まれてそれ程経たないうちにウンディーネ同様"精霊王"へと格が上がることだろう。いや、ウンディーネの娘だからさしずめ"精霊姫"ってところだろうか?

 

「んん…むにゅ…?」

 

お?目覚めたかな?マイスイートハニー?俺がパパでちゅよー!

 

「にゅ?ぱぱ?」

 

うぉぉお!そうだ!俺がパパだよぉ!

 

「私がママですよ?」

「まま?」

「ええ、ママです。さすが私と聖霊皇様…いえ、パパの娘ですね?」

 

なんかウンディーネからパパとか言われるとすっげー照れる。もう何千年何万年と生きてるはずなのに精神はあんまり成長しねぇな俺。

 

お、そう言えばこの子にまだ名前をつけて無いな。

 

「そうでしたね、この子の名前はどういたしましょうか?パパ?」

 

そうだねママ、この子はきっとウンディーネと同じく精霊となるだろう。ここは精霊の名前から取って「ルサルカ」と付けよう。

 

「ルサルカですか、いい名前ですね」

「るさ、るか?」

「そう、あなたはルサルカですよ?」

 

ウンディーネがそう言うとルサルカは名前を気に入ってくれたのか、パアッと花の咲くような笑顔を見せてくれる。

 

「さぁ、ルカ?パパのところまで行きましょうか?」

「ぱぱぁ〜」

 

ウンディーネはルサルカの手を取りゆっくりとこちらへ向かってくる。

 

妖精はそもそも自然発生したり俺らが作った水の魔力の塊である。尚且つ俺らの眷属として最低限のことを出来るだけの知識が生まれつき備わっている。しかしこの子は俺とウンディーネが一から手をかけて育てた子で、既に精霊並みの力を持つため並以上の知識を持つことだろう。きっと直ぐにいろいろなことを覚えて賢い子に育つはずだ。

俺は2人の姿になんとも言えぬ感激とまだ来ぬ未来への大きな希望を感じていた。

 

〜side out〜

 

こうしてここにまた一柱、子煩悩で親バカの聖霊皇が誕生したのであった。

 

そして、この子が世界を震撼させるトリガーになるなど、この時はまだ女神にさえも分からなかった。

 

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