俺らはあの日、聖霊皇になった。   作:すぺありぶ

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娘の成長と異変

〜水の聖霊皇side〜

 

「ぱぁ〜ぱ!」

 

マイスイートハニーの成長は早い、まだ一ヶ月もたってない筈なのに上位精霊とほぼ同格だ。

さすがは俺の娘だぜっ!

 

「ぱぁ〜ぱぁ〜!」

 

ただ最近ちょっと気になる事がある。

 

「もう!ぱぁ〜ぱぁ〜!」

 

なんだかこの子、「龍人」っぽいです。

あ、ヒゲをガブリとやられた。

 

「ああ、ごめんよルカ。パパが悪かったから噛みつかないでくれ」

 

身体のほんの一部だが、俺ら聖霊皇の様な龍に近いとのろがある。具体的には尻尾があったりツノが生えていたり足がどことなく龍っぽかったり牙が生えてたりと…

てっきり普通の精霊のように育つと思っていただけに俺もウンディーネも結構驚いている。

このことを初めてポセイドンに話した時は

 

「ふむ、私としましてはむしろ聡明な聖霊皇様やウンディーネ殿をしてこれが予測できなかった事に驚きを隠せませぬが」

 

と言われてしまった。ちょっと解せぬ。

 

さて、そのルサルカだが順調に成長したからか妖精は本来50cmにも満たないような身長の種族だがこの子は精霊となった為今は大体100cmくらいの身長になった。生まれたばかりの時は10cm程度で俺からすれば豆粒はおろか下手すりゃ蟻みたいなサイズだったがこれくらいになれば感覚的には生まれたての子猫くらいのサイズになっている。

 

俺の身体はあれからも限界などないかのように成長を続け、今やこの星を半周できる程になっている。しかしそれと同時に身体を縮める技術も進歩したからかなんとか1000m級で抑えられている。他の聖霊皇の連中は確かにデカイが「ドラゴン」であって「龍」じゃないから身体が長くなる方向にはあまり成長しない。唯一同類で「龍」の木の聖霊皇は確かにかなり長いのだが、俺よりは成長率は低めらしい。

 

それはさておき…

娘はやんちゃ盛り、食べ盛りに入ろうとしている。一応周りにはたくさんの古参の妖精や精霊、ウンディーネ眷属の精霊達などがいて遊び相手には困ってないようなのだが、凄まじい食欲と知的好奇心というやつなのだろう。なんでも知りたがる為に俺やウンディーネをはじめとする眷属達も結構ルサルカの「なぜなに」に振り回されている。

現に今も…

 

「ぱぱ?このキラキラはなんでぱぱのところにいっぱいあるの?」

 

そう言ってルサルカが指差す「キラキラ」は魔結晶のことである。正直言って俺からすれば呼吸をするだけでもそこら中にできるものだからな。厳密に説明できなくは無いのだが、魔力の概念からになる。ここは端折って…

 

「ルカ、これはなパパの息からできるんだ。みてろよ?フゥ〜ッ」

「わぁ!キラキラひかった!キラキラいっぱい!」

「だろ?」

「でも、なんでぱぱのいきでできるの?」

 

あ、マズったなこりゃ。余計興味持っちまったよ、しゃあない愛しい我が娘に教えたりますか。

 

こうして俺はその後2日ほどルサルカの為に魔力について教えるとは夢にも思っていなかった…

 

〜side out〜

 

〜ウンディーネside〜

 

「はぁ〜…」

 

私ことウンディーネは最近ちょっとした悩みがあるのです。私のごく一部の眷属妖精や精霊達の中に"生命の格"が下がって帰ってくる子が出はじめたのです。

 

その子達はみんは人間の召喚に応じて、厳しい契約や確かな信頼関係を持った上で人間と契約していたはずなのですが…

 

その子達に話を聞こうにも、あまりのショックからかずっと泣きじゃくっている子や、ふさぎ込んでしまった子ばかりで手の打ちようがありません。

 

かろうじて話を聞けた子の話だと、ある国に入りしばらく経った頃から突然契約者の様子がおかしくなりだし、怖くなって契約破棄して逃げてきた。

との事でしたが、肝心の国の名前が聞き出せませんでした。

 

心や身体に傷を負った子達はみんな聖霊皇様の住処で過ごす事で、魔力や"生命の格"を取り戻しつつありますが、状況は後手に回っているので芳しくは無いでしょう。

 

「はぁ〜…」

「まーま?どうしたの?」

「ルサルカですか、なんでもありませんよ?パパと遊んでいたのではありませんか?」

「うん、でもねパパ眠たくなっちゃったんだって」

 

そう言って我が娘が指を指す方にはルサルカの「なぜなに」に付き合わされたのか「俺…燃え尽きたぜ…」などとうわ言を言いながら白くなっている聖霊皇様。本当にこの方は頼りになるやらならないやら、私がしっかりサポートせねばなりませんね。

 

(しかし、この方のこう言った一面があるから私の曇った気分もあっという間に晴れてしまうのですがね…)

 

「なら、そうですねルサルカ。たくさん遊んでお腹が空いたでしょう?ご飯を用意するので待っていてくださいね?それまでパパから魔力をもらっていて下さい」

「わーい!ルカ、ごはんだいすき!」

 

悩んでいても仕方ありませんね、ここは聖霊皇様の眷属全てに通達を出して尚且つそこで白くなって寝そべっている旦那様にも骨を折っていただきましょう。

後ろから「ウンディーネ!俺を殺す気かぁ〜!」なんて叫びは聞こえません、ええ聞こえませんとも。ましてや「あ、ルサルカまってもう少しだけまっt…」なんて声も聞こえませんね。挙句愛娘に振り回されて真っ白に燃え尽きている駄聖霊皇などおりません、おりませんとも。

 

「ルサルカ、その辺にしてあげてください。パパも疲れてるのですからね?」

 

ウンディーネは振り返り、聖母のような微笑みでそういうと気分も晴れたからかいつに無い笑顔で愛娘にご飯を作るのだった。

 

 




余談

聖霊皇達にはご飯は入りませんが、眷属達には必要です。妖精も精霊もこれは変わりません。
妖精達のような"生命(魔力)の塊"である者達のご飯は魔力や魔力を含む食べ物です。ルサルカちゃんは水の聖霊皇とウンディーネから食育として魔力を多く含む食べ物を食べさせる事で育てていますが、直接聖霊皇から魔力を吸う事も可能だったりします。
因みに、魔石や魔結晶は土の聖霊皇眷属や、余程顎の強い者じゃないと食べられません。
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