俺らはあの日、聖霊皇になった。   作:すぺありぶ

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神殿?

 

〜勇者side〜

 

ゴードンに敗退してから数日後、勇者達4人はとりあえず当面の目標として「自分の身体能力に慣れる」ことと「魔法に慣れる」こと、そして「この世界で生きていく上での最低限の知識を得る」ことを目指し、訓練を開始していた。

 

この日はその中でも「この世界で生きていく上での最低限の知識」を学ぶために帝都の神殿へと向かう事にしていた。

 

〜大地side〜

 

今俺たちは、この世界での常識を覚えるべく帝都ガルアの中でも神聖な場所とされる"インペルの丘"に来ている。ここには帝国で信仰されている3つの宗教の神殿があるらしい。

 

1つ目は四大元素の火を司るとされる「火の神」を信仰する「ルドア教」という宗教の神殿で友愛を重んじ、人族をはじめとする最も多くの人が信仰しているらしい。

 

2つ目は四大元素の土を司るとされる「土の神」を信仰する「マディア教」という宗教の神殿。調和を重んじ、ドワーフをはじめとする商業や工業をする人が多く信仰しているらしい。

 

3つ目は四大元素の木を司るとされる「木の神」を信仰する「ウイドル教」という宗教の神殿。規律を重んじ、エルフをはじめとする政治や法律などに関わる人が多く信仰しているらしい。

 

今日俺たちはその3つの神殿すべてに立ち寄りいくつか話を聞くつもりだ。城からの付き添いの人はいないものの、それぞれの神殿宛に皇帝直筆の紹介状をもらっているため問題はないだろう。

 

街中を通り抜けて"インペルの丘"へ出た俺たちは地球でいうアテネのパルテノン神殿のような大きな神殿が3つ、丘の中心にむかって三角を描くように立っていた。

丘の中心には大きな噴水の上で祈る女性の石像が立っている。

 

「さて、まず最初はどの神殿から行こうか?」

「そうね、あたしとしては火の神を祀るルドア教の神殿に興味があるわね」

「わ、わたしはマディア教の神殿にいってみたいな…」

「うーん、ミサもマディア教ってところの神殿にいってみたいかも」

「なら最初はマディア教にしてみるか、土の神ってどんな感じなんだろうな」

 

そう言いつつ俺たち4人はマディア教の神殿へと向かった。

マディア教の神殿はドワーフたちが信仰する神々の主神を祀る神殿だけあり、精緻で荘厳な神殿となっていた。柱の一つ一つにも細かな装飾が施され扉には複雑な紋様が描かれている。

 

「ようこそ、マディア教ガルア神殿へ。本日はどのようなご用件ですかな?」

 

扉を開けて入ると優しそうなドワーフのおじいさんが俺たちを迎えてくれた。

 

「はい、これを見せれば要件はわかってくれると伺って来たのですが…」

「そうですか、それでは失礼して拝見させていただきます…」

 

そう言ってドワーフのおじいさんへと皇帝直筆の紹介状を手渡すと、おじいさんはパラパラと読み少し目を見開いたかと思うとすぐにこちらに向き直り

 

「確認致しました。改めてようこそマディア教ガルア神殿へ。私はルドルフと申します。この神殿の神官の一人を勤めております」

「ご丁寧にありがとうございます。自分はダイチ・シガといいます」

「あたしはカオル・ササキです」

「わ、わたしはサトミ・サクラバです」

「はい!ミサは、ミサ・シガっていいます」

「ええ、よろしくおねがいいたします」

 

ドワーフのルドルフさんは優しい笑みで俺たちを見ると、さっそくマディア教の説明をしてくれることとなった。

 

「当マディア教は成立年代がまだはっきりとわかっていない程古い教えです。私たちドワーフの祖先は確認されているだけでも一万年以上昔から「土の神」を信仰しておりまして、一説では神々がまだ地上におられた頃からあるとされています。元々はドワーフ達が各々の工房に神棚を設けて祀っていたのが元ですが、マディアという一人のドワーフの大親方が土の神より認められ、それ以降マディア教と名乗っております」

 

一万年以上昔からの宗教…か、さすがは異世界。スケールが違うな。

 

ルドルフさんは話し終えると

 

「本来はまだ暫く話が続きますが、まずは当神殿自慢の神像をご覧いただきたい」

 

といい俺たち四人を神殿の奥へと案内してくれる。神殿の中にはもう一つ大きな装飾の施された門があり、二人のドワーフが門番をしていた。

 

「ルドルフです、門を開けてください」

「「はっ!」」

 

ルドルフさんが一声かけると、門番は大きな門を軽々と開けてくれる。とても大きな門だが、精密に設計されているのか開ける際の音が殆どしない。さすがはドワーフなのだろう。

 

「「どうぞ、お通りください」」

「ありがとうございます。さぁ、勇者様方。こちらが我らが神の神像にございます」

 

門の先の光景は俺たちの想像を遥かに超えていた。

 

"土の神"は神殿の高い天井いっぱいの巨大な体躯に黄金色の瞳、太く筋肉質な四肢、巨大で見るものを圧倒する貌、その口に生える大きな牙は人の背丈ほどもあるだろう。その姿は翼こそ無いものの、見まごう事なき「竜」であった。

 

(これは…"竜"じゃないか!?この世界の神は…女神ではなかったのか!?)

 

いつか夢に見た女神ではなく巨大な竜の像がでて来た事に俺は動揺した。

 

「これが我らが土の神、四大元素を司りし"土の聖霊皇"様の御姿を写したものにございます。数百年前の物になりますが、当時のドワーフ達が最高の素材で作り上げた神像で、瞳には最大級の土の魔結晶が用いられております。神に迎えられた教祖マディアの言葉では本物の神は全身が鎧のような金色の鱗に包まれ、体躯はこれまで見た如何なる山よりも大きかったと言われておりますので、この神像さえも小さい物です」

 

ルドルフさんはそう言うとゆっくりと神像へと近づくと、俺らもゆっくりと神像へと歩く。

 

「では皆様、折角ですので一つ御祈りでもしていかれてはいかがでしょうか?正しき神の神像には神へと願いを届ける力があると昔からの信じられております。皆様の願いも土の神に届くやも知れません」

 

異世界の神様にお祈りね、ものの試しにやってみようかね。

 

〜side out〜

 

〜美沙side〜

 

はいは〜い!ミサは志賀美沙っていうの!

ウチに帰る途中だったはずなのに気がついたら大兄達と異世界?に居てって、なんだかまだよくわかんないんだけどね!

 

で、ミサたちは今、大兄の提案で土の神様を祀っている神殿で神様にお祈りをしてみようってなったの。

 

(神様、もしも願いが届いたならば私たちのこれからが安全であるようお願いします)

 

そんな風に思って両手を合わせて神様の像の前でお祈りを始めたそのときだったの。

 

『我を呼ぶか、人の子よ』

 

フッと周りが暗くなって、目の前にはさっきまでの石像とは比べ物にならないくらいに、おっきな金色の竜がいたの…

 

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