俺らはあの日、聖霊皇になった。   作:すぺありぶ

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閑話 日緋色金

ここはグレート大陸地中の奥深く、土の聖霊皇の住む大空洞。そこでは土の聖霊皇や眷属達が何やら集まって話し合いをしていた。

 

「土の聖霊皇様、ドワーフの若造共に聞いてまいりましたが、やはりオリハルコンは300年も生きねば加工もできないようですじゃ」

「それで良い。我は己が創り出した物が不用意に流出するのを嫌う」

「わかりましたですじゃ。え〜、それから一部のドワーフからの報告でアダマンタイトが偏って埋蔵された鉱脈を発見、どう対処すればいいかとの報告が上がっておりますじゃ」

「それはノームお前に任せる。いつも通りで良い」

「はっ、それではいつも通りに。過分な所は聖霊皇様のところへ持ってまいりますじゃ」

 

土の聖霊皇の役割のうちに、この世界の全ての土に関する物質の管理がある。魔力や魔法の存在するこの世界では、当たり前というかやはりというか『伝説の金属』は存在していて、それを下手に地上に漏らさないのも土の聖霊皇の仕事の一つである。

 

「聖霊皇様、このターロスめよりご報告がごさいます。火の聖霊皇様、水の聖霊皇様が面会したいとの事です。なんでもご相談があるとか」

「わかった。ターロスよ大儀であった」

「はっ!ありがたき幸せ」

 

〜土の聖霊皇side〜

 

ふむ、あの2人が相談か、また何ぞ問題を連れて来ねばよいがな。

 

「よう、土の。急に来てすまなかったな」

「おっす!お久しぶりっす!」

「ああ、こちらは大丈夫だ。して、用とは?」

 

我がそういうと水の、火のがともに「ニヤリ」と擬音がつきそうな程不敵に笑む。

 

此奴ら、何ぞ面倒な事を考えておるな…

 

「いや〜実はな、昨日火のと話していて、オリハルコンやアダマンタイト、ミスリルなんかがあるなら日緋色金や青生生魂《アポイタカラ》なんかがあってもおかしくねぇよな〜って思ってさ!」

「ほう、続けよ」

 

なんだ、此奴ら中々面白い話を持ってくるではないか。

 

「全く、お堅いっすねぇ。それで水のと俺と2人で作ろうって話になったんスよ。でも俺らはどっちも金属なんて扱えないッス。だから土のに力を貸してもらいに来たんスよ」

「いいだろう、その話乗ったぞ」

「「おっしゃあ(ッス)!!」」

 

そうして我等の挑戦が始まった。

 

「我の知識では、そもそも日緋色金と青生生魂は同じものを指すと思ったのだが?」

「そうなんスか?自分てっきり日緋色金だから自分、青生生魂だから水のって考えてたんスけど」

「まぁ良い、どうせ我等のオリジナルのようなものになるのだ」

「それもそうだな」

 

開発は困難を極めた…

 

「おい!火の!火力が高すぎる!劣化するぞ!」

「うわぁ!ごめんッス〜!」

「水の!貴様温度を下げすぎるなと言ったはずだぁ!」

「わ、悪い!力を込めすぎた!」

 

なんども挫折しかけた…

 

「…我はもうこいつらを御せる気がせん」

「ごめんなさいッス…」

「申し訳ない…」

 

しかし…遂に!

 

「…できたぞ!」

「おぉ!これが!」

「あぁ、そうだ。早速試すとしよう」

 

出来た2つの金属はこうだ。

 

「日緋色金」火の聖霊皇からの超密度の火属性魔力を潤沢に含んだ金属。全体が金色だが、見る角度によっては緋く輝く。硬度はオリハルコンやアダマンタイトに比べとても低いものの、とても柔軟な金属。折れても日の光に当てていれば勝手に修復し、火属性の魔力を大幅に増幅する。

ヴォルケイノガフ山火口付近にのみに極少量生成される。

 

「青生生魂」水の聖霊皇からの超密度の水属性魔力を潤沢に含んだ金属。全体が光沢のある藍色だが、見る角度によっては水色や青に輝く。オリハルコンやアダマンタイトに比べても引けを取らない硬度。柔軟性もあるが日緋色金ほどではない。この金属には必ず1つにつき一体の水の妖精が宿り、水の魔力を大幅に増幅する。バミューダ海の海底にのみに極少量生成される。

 

我ながら良い出来である。これは金属の性質上あまり分布させることはできんが、いづれ誰かの手によって見つかるだろう…

 

「おっしゃあ!じゃあ早速これでアルマちゃんに髪飾りでも作るッス!」

「おお!これで俺もウンディーネにアクセサリーを!」

 

前言撤回だ、出来て早速人族の手に渡ることは確定した。

まぁ、良いだろう。久々に我も楽しめた。

 

〜side out〜

 

 

「ねぇ、ノーム?なんだかパパ楽しそうだったね」

「ええ、ええ。このノーム、久々に見ます聖霊皇様の無邪気な笑顔に感動しておりますじゃ…」

「このターロス、これからも一層、聖霊皇様にお仕えする所存です」

「せいれいおうさま、たのしそう…」

 

聖霊皇を暖かな目で見守る眷属達があったとか。

 

 

〜火の聖霊皇side〜

 

 

「聖霊皇様、これはなんですか?」

 

アルマは突然渡された綺麗に包装された小包を見て、聖霊皇にたずねる。

 

「アルマちゃんにプレゼントっす!日頃からの俺らの感謝の気持ちっすよ!」

「本当ですか!ありがとうござます!」

 

アルマは渡されたプレゼントを感慨深いといった面持ちで受け取る。

 

「ささ、早速開けて見てくださいっす!きっと気に入ってもらえると思うっすよ!」

「はい!では早速開けさせていただきます!」

 

アルマはそういうと、ゆっくりと丁寧にリボンを解き、包装を開け中の箱を開く。

 

箱を開けた瞬間、アルマが見たものは優しい緋色の光だった。

陽の光を浴び、優しい緋色の光を放つソレを手に取ると、ゆっくりと光が弱まっていく。

 

その手元にあったのは緋色や虹色にも輝く綺麗な「簪」だった。

 

「簪」は赤とも金ともとれるような金属でできており、全体に優しく暖かい光を帯びている。

先には同じ金属でできた見事な花の細工に紅色の小さな宝玉がついていた。

 

「…聖霊皇さま、これは一体?」

 

あまりの美しさに目を見開いて驚くアルマだったが、見たこともない金属でできたその簪について聞かずにはいられなかった。

 

「これは、日緋色金って金属でできた簪っす。先についてるのは火の魔結晶を綺麗に丸く削った物っすよ。これを作るためにキュクロプスとヘスファイトスにだいぶ手伝って貰っちまったんスけどね〜」

 

ちょっと照れ気味に火の聖霊皇が言い、軽く頭をかきながらアルマを見ると、アルマは俯いてしまっていた。

 

「どど、どうしたっすかアルマちゃん!?も、もしかして気に入らなかったっすか!?あわわ、い、今からでも作り直しt「違うんです!」…え?」

 

かなり焦った火の聖霊皇であったが、アルマの叫び声に落ち着きを取り戻しアルマを再び見る。

 

「違うんです…私、嬉しいんです…とってもとっても、嬉しいんですよ」

 

ポロポロとその瞳から涙を零すアルマだが、その顔は確かに微笑んでいた。

 

「嬉しくて、嬉しくて、泣けてきちゃったんです…」

 

アルマはそこで少し顔を曇らせて「でも…」と続ける。

 

「でも、私、わたし…こんなにたくさん皆さんから貰っちゃってばっかりで、何にも返せてなくて…こんなので良いのかなって、思っちゃ「良いに決まってるっス!!!」」

 

アルマの声を言わせまいと遮るように火の聖霊皇が叫ぶ。

 

「良いに決まってるっスよ!だってアルマちゃんは、アルマは!俺たちにたくさんの思い出をくれてるっす!俺達の家族として、たくさん手伝ってくれてるじゃないっすか!それでいいんスよ、アルマちゃんは」

 

火の聖霊皇はそこまでいうと少し間を置いて言う。

 

「俺たちは、俺は、アルマちゃんにこのままずっと一緒に居て欲しいって思ってるっス」

 

火の聖霊皇はとびきりの微笑みをアルマに向ける。

 

「ほんとう…ですか?」

「はい、ほんとっスよ」

「ほんとの、本当に?」

「はい、ほんとの本当っス」

「わたし、このままでも…いいの?」

「はい、このままのアルマちゃんが良いっす」

「…せいれいおうさまぁ〜!」

 

途端、アルマは感情があふれ出したのか、顔をくしゃっとして火の聖霊皇へ泣きついた…

 

 

 

「すぅ…すぅ…すぅ…」

 

「ありゃりゃ、アルマちゃん?泣き疲れて寝ちまったっすか?」

 

「すぅ…すぅ…」

 

「困ったっすねぇ…ま、このまま寝かせてあげますか」

 

 

 

その後、仲良く2人で抱きついて寝てるところをアグニをはじめとする火の聖霊皇眷属達に見つかり、向こう一年からかわれたのはご愛嬌である。

 

 

 

 

おまけ 〜水の聖霊皇の場合〜

 

「ウンディーネ、いつもありがとう。日頃からの気持ちを込めてネックレスを作ってみたんだ」

「……!…キレイなネックレス…」

「そうだろ?お前をイメージして作ったんだ、まるでお前の瞳のような深い青に艶やかなお前の髪のような輝き、お前の為だけに作ったんだ。綺麗じゃないはずがない」

 

水の聖霊皇が珍しく歯の浮くようなセリフをいった直後であった。

 

華麗な右フックが圧倒的体格差を覆して水の聖霊皇のこめかみにクリティカルヒットする。

 

「ふごぁぁぁぁぁ!!!?」

 

水の聖霊皇の意識はそこで途切れてしまった。

 

大事なところの直前で…

 

 

 

 

「…もぅ、バカっ」

 

 

 

 

その後、ウンディーネと仲睦まじく寄り添い寝てる水の聖霊皇が目撃されたとかされないとか…

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