俺らはあの日、聖霊皇になった。   作:すぺありぶ

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娘の思春期

久しぶり?に俺の出番が来たな……

 

ん?俺は誰かって?みんな大好き、水の聖霊皇に決まってるじゃないか。

 

なんかテンションがおかしい?気にしないでくれ……いや、やっぱり気にしてくれ。

 

実は最近、とてもショックなことがあったんだ。

 

あれはルサルカに眷属を預けてしばらくの事だった……

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

俺はその日も、いつも通りにルサルカと触れ合うべく神殿内のルサルカの部屋を訪れていた。

 

「ルサルカ、起きてるか?朝だよ、パパと一緒にママのところへ行こうか?」

 

そういつも通りに声をかけたその時、悲劇は起こった……

 

 

「ルサルカ1人で行けるもん!パパはあっち行ってて!」

 

 

その一言を聞いた瞬間、俺の中で「ガシャーンッ!」というガラスの割れるような音が響く。

 

「ル、ルサルカ?どうしたんだ?具合でも悪いのか?」

 

何かの間違いだと思いそう聞き返すも、現実は非情であった。

 

 

「ルサルカはもう子供じゃないもん!いいからパパは先に行ってて!」

 

 

その言葉を聞いた俺は、文字通り凍りつき砕け散った。

そして水に漂いながらウンディーネの元を目指す。

 

「あら?……って!どうしたんですか聖霊皇様ッ!?こんなバラバラになってしまわれて…」

「……おお、その声は嫁か」

「はい!一体なにがあったんですか?」

「じ、実はな……」

 

バラバラに砕けた俺を心配そうに掻き集めて俺を覗くウンディーネに、俺は事の顛末を話した。

 

いつも通りにルサルカのところへ行った事、ルサルカに声をかけるも拒否された事、嘘だと思って再度声をかけた事、拒否されたショックで氷になって砕け散ってた事……

 

話を聞き終えたウンディーネは少し考えると、俺にこう告げた。

 

 

 

ーー もしかしたら、ルサルカは思春期に入ったのかもしれませんね ーー

 

 

 

その一言に、俺は言葉を失った。

 

 

ーー『思春期』、それは全娘大好き親父にとって最悪にして最低の時代……

 

ある日突然豹変する娘、いくら愛を伝えようと拒否され、避けられ、罵られる……

 

まだ幼く可愛い内は、そんな日など永久に来ないものに思えるが、それは足音1つ立てずに娘の背後に忍び寄る。

 

 

そうなってしまった娘を持つ親父に出来る事はただ一つ。

 

 

『娘が思春期を脱するまで、ただひたすらに耐える事』だけである。ーー

 

 

かく言う俺も『思春期』なんぞルサルカには無いと思っていたクチなのだ。

 

あの可愛く聡明な娘に限って思春期など存在しない。したとしても軽めのものになるだろう。

そう信じてやまなかった。

 

しかしその結果がコレだ。

俺はその日から三日三晩ウンディーネに泣きついた。氷の破片のままで……

 

そして三日後、全てを悟った俺は娘大好き親父の宿命として思春期を受け止めて、いつかルサルカが思春期を脱してまた俺の角に抱きついてくるその日をひたすらに待つことにした。

 

ウンディーネにそれを話すと

 

「いいと思いますよ。温かい目で気長に見守ってあげましょう?」

 

と優しく微笑み返してくれた。

 

それに勇気付けられた俺は、直接とは行かずとも間接的にでもルサルカを守れるように全眷属を動員し、『ルサルカの思春期見守ろうの会』を創設。

 

いつか我が娘がまた「パパー!」と叫びながら俺の角に飛び込んでくるその日を願って……

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